「勉強しない」子供にイライラ…叱る前に、親としてできること

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小学校高学年、中学校と学年が上がるにつれて、勉強しない・勉強嫌いという子供も増えてきます。
子供が勉強してくれないと、親はストレスが溜まりイライラ…
つい「勉強しなさい」と叱ってしまうのは無理もありません。
今回は、子供が勉強しない時にイライラする前に親がしたいことや、勉強しない時の叱り方、ゲームやスマホとの付き合い方などについてご紹介します。

目次

  1. 子供が勉強しない!親はイライラ…ストレスなく子供をやる気にするには
    • 親がイライラしていると悪循環
    • やる気を引き出す「目標」や「将来の夢」
  2. 叱ることが悪いわけではない。「勉強しなさい」ではない言葉と態度で
    • 叱ると褒めるのバランスを考えて
    • 子供が受け入れやすい「叱り方」とは
    • 叱るのは子供の気持ちを受け入れてから
    • 愛情を伝え信頼関係を築いておく
  3. ゲームやスマホばかりで勉強しない!今から始めるルール作り
    • ゲームやスマホとの付き合い方
    • スマホのルールも子供に決めさせる
  4. 中学生が勉強しない問題は、集中力とスケジュール管理をサポートしよう
    • 子供が勉強計画を立てるためのサポート
    • 勉強に集中するためのサポート
  5. まとめ

子供が勉強しない!親はイライラ…ストレスなく子供をやる気にするには

テストが迫っているのに、スマホに夢中で勉強していない!そんな状況にイライラしてしまうのは、親として、ある意味当たり前なのかもしれません。
あるアンケートでは、中学生の子供を持つ親の半数以上が、子供のテスト結果を叱ったことがあると報告されています。
叱った内容としては、日々の勉強に対する姿勢ややらないことに対してという回答が多く、子供が勉強しないことに問題意識を持っている様子が伺えます。※1

 

親がイライラしていると悪循環

親は、子供のことを思っているからこそ、勉強しない態度にイライラしてしまうものです。
しかし、親がイライラしっぱなしでは、子供のやる気は起きないかもしれません。
実際、ある調査によると、中学生が勉強のやる気がなくなることのワースト3に、「家族の仲が悪いなど家庭が嫌なとき」が挙げられています。※2
子供が勉強しなくてイライラする時には、
少し子供から離れ、まずは自分が冷静になり気持ちを落ち着かせましょう。
感情的に叱ってしまうと、子供がさらにやる気をなくし悪循環に陥ってしまいかねません。
そうならないためにも、日ごろから何でも話せる相談相手を見つけておくことも有効です。
話を聞いてもらえるだけでイライラが和らぐこともあるので、パパやママ友などに気軽に相談できる関係性を築いておくとよいでしょう。
子育てに関するイライラ解消法

こちらの記事で、その他の方法もご紹介しています。

 

やる気を引き出す「目標」や「将来の夢」

様々な調査で、将来の夢や将来就きたい職業を持つことで、子供のやる気が高まることが分かっています。※2※3※4
子供に目の前の勉強をやらせる前に、勉強する目標を一緒に考えてみるのもよいかもしれません。
中学生くらいになると、将来就きたい職業をより具体的に考えられるようになり、自分の将来像を考えるようになります。※5
子供の職業観、労働観を育てるために、親は子供に自分の働く姿を見せたり、様々な職業の方と交流する場に参加をしたり、子供が興味を持っている分野の会社見学に参加をしたり、家庭だからこそできるキャリア教育を実施してみることをおすすめします。
子供に具体的な夢や希望を実現するために具体的な進路を親子で一緒に考えることで、親子のコミュニケーションの機会にもなるのではないでしょうか。
勉強しない時には、目の前の勉強をやるやらないに捉われすぎず、子供のやる気を引き出すための対策を考えるのがポイントです。
この他にも、子供の勉強のやる気を引き出すために親ができることはいくつかあります。
宿題のやる気が出ない、宿題ができない…子供のために親は何ができる?

こちらの記事でご紹介しています。

 

※1 子どものテスト結果、6割以上の保護者が適切な叱り方が出来ていないと回答/明光義塾調べ/2019年7月24日現在
http://www.meikonet.co.jp/news/detail/year/2018/id/681
※2 「学習意欲に関する調査研究」概要/国立教育政策研究所内「学習意欲研究会」/2019年7月24日現在
https://www.nier.go.jp/seika/seika0208_01/seika0208_01.htm
※3 平成22年度佐賀県小・中学校学習状況調査Web報告書/2019年7月24日現在
http://www.saga-ed.jp/kenkyu/scholastic_attainments_analysis/web_report_H22/ishiki_bunseki/motive.htm
※4 叱る!知恵: 子どもの心に響く叱り方のコツ100/多湖輝/2006年2月出版/PHP出版
※5中学校キャリア教育の手引き/文部科学省/2019年7月24日現在
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/1306815.htm

叱ることが悪いわけではない。「勉強しなさい」ではない言葉と態度で

叱ると褒めるのバランスを考えて

「勉強しなさい!」と言われると、子供は勉強したくなくなる…とはよく言われることです。
しかし、親としては、何も言わないで放っておくと本当に勉強しない…と頭を悩ませていませんか?
様々な研究から、叱ること自体がダメなのではなく、伝え方や親子の関係性が重要であることが指摘されています。
また、叱るだけでなく、褒めることも忘れず、日ごろから親子の信頼関係を築くことも大切です。

 

子供が受け入れやすい「叱り方」とは

親が自分の感情に任せて「勉強しなさい」と言っていても、なかなか子供には受け入れられません。
勢いに任せて感情的に叱っても、子供はその場を無言でしのぎ、反発心のみが残ってしまいます
また、よく言われることですが、「何をやってもダメな子ね」のように、子供の人格を否定するような叱り方や「好きにしなさい」のような突き放しも子供の反発を買うだけです。
より具体的に、親として「何をどうしてほしいのか」、「現状どうなっているのか」を子供に冷静に伝える方が、子供は親の意見を受け入れやすいようです。※6
中学生は、第二次反抗期真っただ中で、なかなか親の意見を言うことを聞いてはくれないかもしれません。
しかし、親の意見を冷静に伝え、反抗に毅然と立ち向かう親の姿を、子供も必要としているものです。※7
「スマホばかり見てないで勉強してほしい」「ゲームばかりしてるからテストの点数が下がっている」といように、直接やめて欲しいことや望ましくない状況を指摘しましょう。

 

叱るのは子供の気持ちを受け入れてから

子供の意見も聞かずに「勉強しなさい」と言い続けても、子供はその場をやり過ごすことしか考えていないかもしれません。
中学生にもなれば、子供なりの理由があることでしょう。
子供の言い分を聞き、「あなたの言うことはよくわかる」と理解を示したうえで、親が自分の意見を言うことで、子供は「自分が間違っていた」素直に受け取りやすいと言われています。※7
第一次反抗期「イヤイヤ期」の対応と同じですね。
反抗期真っただ中の中学生の場合、コミュニケーションをとることも難しい時期ではありますが、子供の気持ちを受け入れてから、勉強してほしい理由を丁寧に説明するのがよさそうです。

 

愛情を伝え信頼関係を築いておく

子供が親に素直に心を開くには、日ごろから信頼関係を築いておく必要があります。
親としてできるのは、普段から「あなたは大切な存在だ」と十分に伝えることです。
子供が小さい頃は、親が愛情を伝えれば子供も素直に受け取ってくれますが、反抗期を迎えた中学生頃になると、そうはいかないことも多いでしょう。
信頼関係を築くためには、親の方が「ありがとう」「ごめんね」など素直に子供に伝えることも1つの手です。
親が、自分の失敗したことや子供の頃の様子を話すことも、子供に受け入れられやすくなるポイントです。※8

※6 叱りの意味を再考する/丹羽智美/子ども未来学研究 2012 年第 pp.25-30/2019年7月24日現在
http://ypir.lib.yamaguchi-u.ac.jp/bg/metadata/1479
※7 3歳~18歳 教えて!子供の反抗期/國米欣明/戎光祥出版/2009年10月発行
※8 叱る!知恵 子どもの心に響く叱り方のコツ100/多湖輝/2006年2月出版/PHP出版

ゲームやスマホばかりで勉強しない!今から始めるルール作り

勉強しないでゲームやスマホで遊んでばかり…とイライラしてしまう親も多いのではないでしょうか。
男子中学生の半数以上が毎日オンラインゲームをしており、そのうちの6割以上は1時間以上プレイをしているという調査結果もあります。※9
子供たちにとっては、ゲームはコミュニケーションとしての役割も果たしている場合もあり、やめなさい!と言ってもやめられない子供側の事情もあるようです。

 

ゲームやスマホとの付き合い方

文部科学省の調査によると、「ゲームで遊ぶ時間を制限している」「スマホの使い方についてルールを決めている」という家庭の方が子供の学力が高い傾向にあります。※10
ゲームやスマホは子供にとって楽しいものです。
イライラする親の気持ちはよくわかりますが、一方的に禁止するのではなく、親子できちんと話し合い現実的なルールを決めるほうが解決につながります。
ゲームと勉強の折り合いをつけさせるには、子供自身に計画を立てさせ、子供自身の判断で行動させてみてはいかがでしょうか。
自分で判断し計画立てた方が、勉強の効果が上がるともいわれています。※11
親の立場としては、子供に決めさせたらゲームばかりになり勉強しないのでは?と思ってしまいますよね。
しかし、自分の判断に委ねられた子供は、ゲームで思う存分遊んだ後に集中して勉強できるといいます。※11
親はイライラした感情にまかせてゲームを禁止するのではなく、子供自身に勉強との時間配分を考え計画を立てさせてみてください。
同時に、将来の夢や進路などが具体的な目標になっていると、子供も勉強に前向きになり、自発的に勉強の時間を意識できるかもしれませんね。

 

スマホのルールも子供に決めさせる

中学生くらいの子供にとって、友達とのコミュニケーションツールにもなっているスマホ。
勉強中もSNSが気になって集中できないという子もいるでしょう。
親は、スマホがあるから勉強しないと一方的に取り上げるようなことは避けたほうがよいです。
子供と現状について話し合い、どの時間にどれだけ使うか、子供自身に決めさせましょう


反抗期の中学生ではなかなか難しいという家庭もあるかもしれませんが、親としての意見はきちんと伝えるべきです。
SNSを常に確認し、即座に返事をすることの必要性が本当にあるのか、子供と話し合うのもよいでしょう。
子供には子どもなりの理由があるので、そこは受け止めた上で、親としての意見を伝えてみると、素直ではないにしろ聞き入れてくれることもあるかもしれません。
子供自身にルールを決めさせますが、気になる箇所があれば、スマホとの付き合い方を具体的に提案してみてもよいでしょう。※12
1時間勉強したら区切りのよいところでスマホをチェックするなど具体的な対策を提案し、親が自分の体験談や失敗談を交えて話し合いをすると、反抗期の子供も聞く耳を持つかもしれませんよ。
子供にスマホを持たせるための注意点は、
スマホのルールの決め方とスマホ利用の注意点

でも、詳しくご紹介しています。

 

※9子どものICT利活用の検討No.14|調査・研究|NTTドコモ モバイル社会研究所/2019年7月24日現在
http://www.moba-ken.jp/project/children/kodomo14.html
※10
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/07/10/1406896_1.pdf
※11 叱る!知恵: 子どもの心に響く叱り方のコツ100/多湖輝/2006年2月出版/PHP出版
※12家庭でマスター!中学生のスマホ免許/遠藤美季、 坂本ロクタク/誠文堂新光社/2014年12月発行

中学生が勉強しない問題は、集中力とスケジュール管理をサポートしよう

中学生になると定期テストに受験勉強、さらに部活と、やらなければならないことが増え多忙な毎日です。
さらに、ゲームもしたい、友達とも遊びたいとなると、楽しいこと・やりたいことを優先してしまい、勉強が後回しになってしまうのもわからなくはないですよね。
子供が自主的に計画を立て、「勉強する」と決めた時間は勉強に集中できるよう、親は出来る限りサポートをしてあげられるとよいですね。
具体的なサポート方法をご紹介します。

 

子供が勉強計画を立てるためのサポート

いままでの章でご紹介した通り、子供が勉強するためには、子供自身で計画を立てることが重要です。
しかし、何もないところから計画を立ててといっても、目の前の楽しいことを優先してしまうかもしれません。
子供が計画を立てられるよう、目標を考えるサポートをするのも親の役目です。
勉強のスケジュール!無理のない勉強計画を立てよう
でも詳しくご紹介していますが、短期的な目標よりも、将来の夢や希望など長期的なものを設定すると、勉強へのモチベーションにつながる可能性もあります。
将来の夢から、今何をやるべきかの目標設定まで、落とし込む作業を親子で取り組んでみてもよいでしょう。
日々の勉強計画を子供自身が立てられるよう、行動のリストアップや計画立ても、親子で一度取り組んでおくと計画立ての練習になります。
夏休みなどの長期休暇の計画立てはよい機会です。
「やるべきこと」「やることが決まっていること」「やりたいこと」などをリストアップし、必要な勉強量や時間を夏休み期間中に配分していきます。
家族で外出する予定や、部活の合宿など、勉強以外のイベントもあるかと思いますので、それらを考慮し、日々の計画に落とし込んでいくことで、先を見通し計画する力が身につくはずです。
夏休みのスケジュールの立て方は、
本気になりたい受験生必見!夏休みの勉強スケジュールの立て方とは?

こちらの記事で詳しくご紹介しています。

 

勉強に集中するためのサポート

中学生にもなると、自分の部屋で勉強するという子が多いかと思います。
自分の勉強部屋(個室)が集中できる場所とは限りません
静かな環境が集中できる人もいれば、雑音がある方が集中できる人、音楽を聴きながらの方が集中できる人、など人により集中できる環境は異なることが、様々な研究から分かっています。
自分の部屋で勉強できないようであれば、リビングに勉強するスペースを設けてみたり、場合によっては図書館などで勉強する日があってもよいでしょう。
また、だらだらと勉強しても集中力は続きません。
子供が集中する時間や範囲を決めたら、その時間は親もテレビの声に気を付ける、なるべく話しかけない、など子供の集中力を切らさないよう配慮が必要です。
また、目の前にスマホやゲームがあると気が散る原因になってしまいます。
集中すると決めた時間だけ、目に入らないようリビングの棚にしまうなどのように置き場所を決めるとよいですね。
スマホであれば、充電を兼ねて家族共通の置き場所を決めておくのもおすすめです。
勉強に集中するための方法を、
勉強に集中できる!集中力を持続させる4つの方法をご紹介!

で詳しくご紹介しています。

 

まとめ

子供が勉強しない…とイライラしてしまう親は多いものです。
現代の子供は、スマホやゲームなど手軽に遊べる楽しいものに囲まれているので、嫌な勉強にはなかなか気が向かないのも無理はありません。
中学生くらいになると、反抗期真っただ中で勉強しなさいと言ったところで聞く耳を持たず、話し合いの余地もないという家庭もあるかもしれません。
子供をやる気にさせるには、勉強すべき実利を伝えることです。
将来の夢や進路などの目標があると、勉強すべき理由を説明しやすいものです。
勉強すべき理由付けを親子で考え、一緒に具体的な計画に落とし込むことで、やる気を引き出してみてはいかがでしょうか。
ゲームやスマホばかりで勉強しないからといって、禁止するのは避けたいものです。
親世代でも、今のような形ではないにしろ、子供の頃にゲームや漫画などにのめりこんだ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
やめさせるのではなく、子供の気持ちを汲み取り、上手に付き合う方法を子供に考えさせるようにしましょう。
子供が計画を立てられたら、実行できるようサポートを。
イライラするよりも、実現可能な方法を考えることに時間を割けるとよいですね。

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