中学生も睡眠不足!理想の睡眠時間は?勉強や部活との両立は?
中学生は、部活や定期テストの勉強、受験勉強などで寝る時間が遅くなりがちです。
さらに動画やゲームなどに時間をとられ、睡眠不足の中学生も増えています。
睡眠不足は学力ややる気にも影響するため、最低限の睡眠時間は確保したいものです。
理想と平均的な睡眠時間、睡眠不足の影響などさまざまなデータを交えながら解説します。
目次
- 中学生に必要な睡眠時間は?寝る時間の平均は?
- 中学生の理想の睡眠時間は8~10時間
- 寝る時間は23時前後
- 睡眠不足の中学生も
- 睡眠不足の原因は、勉強・動画・部活
- 家での勉強時間は1~2時間
- 動画・インターネットは平均1時間半
- 中学生の部活は2時間
- 成長期の中学生、睡眠不足の影響は?
- 生活の乱れは学力低下や不登校にも
- 睡眠不足は不安感にもつながる
- 効率的な勉強で、睡眠時間を減らさない
- 睡眠不足で勉強しても知識が定着しない
- 効率的な勉強のコツ
- まとめ
中学生に必要な睡眠時間は?寝る時間の平均は?
必要な睡眠時間は、人それぞれ異なります。
あまり寝なくても大丈夫な人もいれば、たくさん寝ても眠いという人もいますよね。
まずは一般的な中学生の睡眠時間と寝る時間を見てみて みましょう。
中学生の理想の睡眠時間は8~10時間
育ち盛りの中学生には、どれくらいの睡眠時間が必要なのでしょうか?
米国国立睡眠財団によると、中学生の望ましい睡眠時間は、6歳~13歳が9~11時間、14歳~17歳は8~ 10時間と発表されています。※1
最短睡眠時間は、6歳~13歳が7~8時間、14歳~17歳は7時間です。※1
中学生も、9時間くらいは睡眠時間を確保できるとよさそうですね。
ただ忙しい中学生、実際に9時間の睡眠をとれている子は多くはないようです。
中学3年生 の約半数は、睡眠時間が8時間未満です。※2
国立教育政策研究所の調査では、8時間以上睡眠をとっているのは中学3年生で約48%。※2
8時間以上の睡眠をとれている子とそうでない子は、およそ半数ずつです。
約1割は、平日の睡眠時間が6時間より少ないと回答しており、睡眠不足の中学生も一定数いることがわかります。※2
寝る時間は23時前後
小学生と違い、試験勉強や部活など中学生の生活は一気に忙しさを増しますよね。
民間企業の調査結果によると、中学生の平均就寝時間は22時 48分です。※3
文部科学省の調査では、中学1年生の約60%が23時までに寝るのに対し、中学2年生では約45%、中学3年生では約22.6%と、学年があがるごとに寝る時間が遅くなることがわかります。※4
受験勉強が本格化する中学3年生では、23時以降0時までに寝るとの回答が最も多く40.7%。※2
さらに約37%が深夜0時以降と回答しており、日付が変わってから寝ることも珍しくはないようです。
睡眠不足の中学生も
自分自身で睡眠時間が足りていないと感じている中学生も一定数います。
文部科学省の調査では、2割超の中学生(中学1年生の22.7%、中学2年生の24.6%、中学3年生の27.1%)が、自分の寝る時間は十分ではないと回答しています。※4
寝るのが遅くても睡眠時間が足りている中学生もいるものの、全体の1/ 4前後は睡眠不足だと認識しているようです。
さらに、朝ふとんから出るのがつらいと感じることがよくあると答えた中学生は、1年生が40.1%、2年生が42.2%、3年生になると46.2%。※4
小学5・6年生 では約30%なのに対し、年齢があがるごとに朝がつらいと感じていることもわかっています。※4
多くの中学生が睡眠不足に陥ってしまうのはどうしてなのでしょうか?
その理由は現代の中学生ならではの生活にあるようです。
次章で詳しく見ていきましょう。
※1 早寝早起き朝ごはんで輝く君の未来/文部科学省/2021年4月15日現在
https://katei.mext.go.jp/contents2/pdf/H26_keihatsushiryo-student.pdf
※2 平成25年度 全国学力・学習状況調査 /国立教育政策研究所/2021年4月15日現在
https://www.nier.go.jp/13chousakekkahoukoku/data/research-report/13-questionnaire-02.pdf
※3 中学生白書Web版 学研教育総合研究所/2021年4月15日現在
https://www.gakken.co.jp/kyouikusouken/whitepaper/j201708/chapter4/04.html
※4 平成 26 年度「家庭教育の総合的推進に関する調査研究」 睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との 関係性に関する調査 /文部科学省 /2021年4月15日現在
https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/katei/__icsFiles/afieldfile/2015/07/13/1357460_03.pdf
睡眠不足の原因は、勉強・動画・部活
民間企業の調査によると、中学生の睡眠不足の原因上位3位は下記の通りです。
【睡眠不足の原因】
1位:家での勉強に時間がかかる※5
2位:動画を見ている※5
3位:部活で帰りが遅い※5
中学生は、それぞれにどれくらいの時間を割いているのでしょうか。
家での勉強時間は1~2時間
文部科学省が実施した調査によると、中学生の平日の学校外での勉強時間は、1~2時間未満が最も多いことがわかります。※6
中学1・2年生は、1~2時間未満が最も多く37.3%、次いで1時間未満が3割弱と続きます。※6
中学3年生では、1~2時間未満が最多(29.8%)なのは1・2年と変わらないものの、次いで多いのは3~4時間未満。※6
やはり中学3年生の勉強時間は長く、平日でも2時間以上勉強する子が半数です。※6
動画・インターネットは平均1時間半
睡眠が足りていない理由として二番目に多かったのが「動画を見ている」です。※5
内閣府の調査によると、動画やゲーム、SNSでインターネットを利用している中学生は95.1%。※7
インターネットでしていることの第1位は動画視聴で、中学生では8割を超えています。※7
いまや、中学生がインターネットを利用して動画を見るのは当たり前のようです。
さらに中学生の平日のインターネット利用時間は、平均176分。※7
平日でも約1時間半前後をインターネットに費やしていることがわかります。
3時間以上使っている中学生も45.8%と約半数近くおり、勉強時間よりもインターネットに費やす時間の方が長い中学生も多そうです 。※7
平日3時間以上もインターネットをしていると、寝る時間は必然的に遅くなりますよね。
長時間のインターネットは、成績にも影響しているようです。
総務省の調査では、中学生の32%が「ネットをしている時間が長く、学校の成績が下がっている」と回答しています。※8
つまりインターネットに時間を使いすぎ、学業に支障をきたしている中学生が約1/ 3もいるということ。
インターネットの使い過ぎは、睡眠不足になる上、学力にも影響することがわかります。
中学生の部活は2時間
中学生になると始まる部活動。
中学1年・2年では、9割以上が部活動に参加しているようです。※4
文部科学省が平成30年に発表した運動部の部活動のガイドラインでは、平日の部活動は2時間と定められています。※9
平成26年度の文部科学省の調査でも、中学生の部活動の活動時間で最も多いのは2時間です。※4
中学生の授業が4時前後に終わり、その後2時間部活動をすると、帰宅するのは早くても6時過ぎ。
現代の中学生は部活に勉強にと忙しく、さらにインターネットもやりたいとなると、睡眠時間が削られるのも無理もありませんよね。
ただ睡眠不足が続くと、心身への影響が心配です。
次章で詳しく見てみましょう。
※4 平成 26 年度「家庭教育の総合的推進に関する調査研究」睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との 関係性に関する調査 /文部科学省/2021年4月15日現在
https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/katei/__icsFiles/afieldfile/2015/07/13/1357460_03.pdf
※5 キッズ調査レポート夜ねる時間と睡眠/キッズnifty /2021年4月2日現在
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000142.000023383.html
※6 第 16 回 21 世紀出生児縦断調査(平成 13 年出生児)の概況/文部科学省/2021年4月15日現在
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa08/21seiki/kekka/__icsFiles/afieldfile/2018/09/28/1408263_002_1_1.pdf
※7 令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査報告書/第1章 青少年調査の結果/内閣府 /2021年4月2日現在
https://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/r01/net-jittai/pdf/2-1-1.pdf
※8 中学生のインターネットの利用状況と依存傾向に関する調査 (調査結果全体版) /総務省情報通信政策研究所/2021年4月2日現在
https://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2016/20160630_02.pdf
※9 文部科学省 | 運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン/スポーツ庁/平成30年3月発表/2020年2月4日現在
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/013_index/toushin/__icsFiles/afieldfile/2018/03/19/1402624_1.pdf
成長期の中学生、睡眠不足の影響は?
ここまでは中学生の睡眠不足の実態や、その理由について見てきました。
では実際に睡眠不足は中学生の学力や心身にどのような影響を与えるのでしょうか?
生活の乱れは学力低下や不登校にも
寝る時間を削り勉強時間を増やしても、睡眠不足の状態では学力は上がらないかもしれません。
睡眠時間が足りないと集中力はもちろん、思考力や記憶力といった勉強に必要な 脳の働きが低下してしまうと言われています。※10
集中できず思考力が低下した状態では、効率的な勉強はできませんよね。
また、睡眠時間が長い と学力が高いことが、アメリカで中高生を対象に行われた調査でも明らかにされています。※11
成績上位のグループは成績下位のグループよりも、寝る時間が1時間以上早いことがわかっています。※11
平日の睡眠時間は30分以上長いこともわかっており、睡眠と成績は関連があると言えるでしょう。※11
さらに睡眠時間を削り、生活リズムがあまりに乱れてしまうと、不登校などの一因にもなりかねません。
文部科学省が中高生を対象に実施した調査では、学校に行かなくなったきっかけとして「友人関係」に続き「生活リズムの乱れ」が挙げられています。※12
また不登校の継続理由には「朝起きられないなど生活リズムが乱れているため」との回答も見られます。※12
睡眠不足は不安感にもつながる
睡眠不足になると、日中も眠気がおさまらず、集中力が続かない、イライラするなどの症状が表れやすいと言われています。※10
さらに睡眠不足によって、不安を感じる傾向が強まることも懸念されています。※13
中高生を対象に睡眠時間と不安の関係性を調べた調査では、中学生では平日8.8時間睡眠をとっているグループが最も不安のリスクが少なかったと報告されています。※13
最も不安のリスクが高かったのは睡眠時間が7.5時間未満のグループだったことから、8時間以上の睡眠が心の面でも望ましいと言えそうです。※13
中学生は小学生よりも、不登校やいじめが増えることがわかっています。※14
※10 毎日しっかり眠って成績を伸ばす 合格睡眠/学研プラス /2021年4月2日現在
https://hon.gakken.jp/book/1130517000
※11 特集2 子どもの睡眠不足はなぜ悪い? 夜更かしっ子大国、日本 生活習慣病、イライラ、学力低下招く/全日本民医連/2021年4月2日現在
https://www.min-iren.gr.jp/?p=4711
※12 中高生を中心とした子供の生活習慣が心身へ与える影響等に関する検討委員会設置要綱/文部科学省/2021年4月2日現在
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2014/08/26/1351212_01_2.pdf
※13 思春期の子どもは夜何時間眠ったらよいのか? 〜精神保健の観点から〜/佐々木司/2021年4月2日現在
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400043770.pdf
※14 令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について/文部科学省/2021年4月2日現在
https://www.mext.go.jp/content/20201015-mext_jidou02-100002753_01.pdf
効率的な勉強で、睡眠時間を減らさない
定期試験や受験前は、寝る時間を削ってでも勉強時間に充てたいこともあるでしょう。
ただ、適切な睡眠時間をとらない と、勉強をしても知識が定着しないという研究結果もあります。
睡眠不足で勉強しても知識が定着しない
人間の脳は、睡眠中に浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)を交互に繰り返すことで、日中の記憶を整理して定着させると言われています。※15
睡眠時間が短い、脳が日中の記憶を定着しづらくなってしまうそうです。※15
睡眠時間を削ってしまうと、長時間勉強しても無駄になってしまっては本末転倒ですよね。
では、一日の限られた時間をうまく勉強時間にあてるにはどうすればいいでしょうか?
効率的な勉強のコツ
【効率的に勉強するコツ】
・朝の時間を活用する
・短時間に集中して休憩をはさむ
・普段の授業に集中する
・朝の時間を活用する
睡眠時間を確保しながら効率よく勉強するには、朝の時間が1つのポイントです。
朝って勉強してる?学習を効率的にする朝勉強のコツを紹介
で解説の通り、朝起きてから3時間は脳が効率よく働くゴールデンタイムとも言われています。
朝の 勉強に向くのは、前日までに覚えた知識を使って問題を解いていくアウトプット重視の勉強です。
数学などの理系科目で、思考力を必要とする問題を解くのもよいそうです。
・短時間に集中して休憩をはさむ
家での勉強時間は、長ければいい というわけでもありません。
中学生でも、集中できる時間はそれほど長くはないものです。
勉強に集中できる!集中力を持続させる4つの方法をご紹介
で解説の通り、中学生を対象とした調査では、60分連続して勉強したグループよりも、15分ごとに休憩をはさんだグループの方が、成績がよかったそうです。
・普段の授業に集中する
受験勉強で何より大切なのは、授業に集中することです。
授業できちんと理解していれば、家での勉強時間を減らせますよね。
中学生・高校生の受験勉強はいつから?どのくらいの時間をかける?
で解説の通り、家ではまず机に向かう習慣をつける、授業に集中する、という基本的なことも大切です。
※15 第1回 睡眠と記憶について|知っていますか?「勉強に効果てきめんな睡眠」の手に入れ方/甲南大学/2021年4月2日現在
https://www.konan-u.ac.jp/special/vol_1.html
まとめ
中学生の睡眠時間の目安は、8時間~10時間です。
将来の進路を左右する勉強も大切ですが、十分な睡眠がとれているかは、将来の生活リズムにも大きく影響します。
親としては、子どもの活動時間が夜間に集中しないように、朝勉強を取り入れるなど、程よくサポートしてあげられるといいですね。
スマホばかりしていて勉強がはかどらない場合は、親子でスマホの使い方や時間について改めて話し合う必要があるかもしれません。