勉強のスケジュール!無理のない勉強計画を立てよう

公開日:

小学校高学年や中学生になると、勉強の内容が難しくなるため、テストの点数が下がったり、周りの子供との成績の差が気になりはじめてきます。
「きちんと勉強させなくては」という意識が高まる親御さんが多いのではないでしょうか。
毎日勉強させたいと思っても、最近の子供は部活や習い事に忙しく、勉強時間を確保するのが難しいという課題にぶつかることもあります。
では、どのように勉強時間を確保し、学習内容を習得させていけば良いのでしょうか。
今回は、効率的な学習習慣の身につけ方と、計画の立て方についてご紹介します。

目次

  1. 自発的に勉強する子に育てるために
    • なぜ、自発的な勉強が必要なのか
    • 「なぜ勉強しなければならないの?」への答えを用意する
  2. 勉強を習慣づけるスケジュール
    • 12歳までに勉強を習慣にさせる
    • 勉強以外のスケジュールも含めて計画を立てる
    • 計画に沿って進めることが大事
    • 3時間以上勉強する必要はない
    • 習い事は目的を考えてウエイトを決める
  3. 「何をするのか」の計画の立て方
    • まずは目標を決めましょう
    • やることを決めて紙に書き出す
  4. 中期、長期の目標を立てる
    • 長期休暇を利用して目標や計画を立てる訓練を
    • 計画の達成具合を確認することも忘れずに
  5. まとめ

自発的に勉強する子に育てるために

小学生や中学生の子供に対して、初めから「自発的に勉強しろ」というのは難しい話です。
勉強の計画を立てることも、実際に学習を進めていくのも、最初のうちは親のサポートが必要になります。
言い換えれば、親子で一緒に勉強をする環境を整えていくことになるのですが、それにはまず、計画を立てる以前に、子供が前向きに勉強できるよう、動機付けをしてあげることが必要になります。

 

なぜ、自発的な勉強が必要なのか

勉強に限ったことではありませんが、親は、子供が自発的に行動を起こせるよう、導いてあげなくてはなりません。

勉強も、強制的にやらせることは不可能ではないでしょうが、無理やりさせても身になりにくく、勉強を好きにさせることは難しいからです。

小学1年生!勉強はどのくらいさせるべき?小学生の力を伸ばす勉強法とは

でもご紹介しているように、低学年のうちは宿題を自発的に行う環境作りをしてあげましょう。

子供が楽しく、効率的に学べるよう、勉強をサポートしてあげましょう。

 

「なぜ勉強しなければならないの?」への答えを用意する

「なぜ勉強しなければならないのか」を子供に問われて、答えに困る方も多いのではないでしょうか。
子供を「自発的に勉強する子」に育てるには、この問いに対する答えを親も用意しておかなければなりません。
答えの内容は、もちろん人それぞれで構いません。
「勉強するのは当たり前!」、「子供は勉強が仕事なの!」、「つべこべ言わずに勉強しなさい」などという理不尽な答えでなく、論理的で、子供が聞いて納得できるものであれば、何でも良いでしょう。
子供にとってすぐにピンとこなくても、大きくなってから納得できる理由であれば良いでしょう。
とは言え、親自身が適切な答えを見つけられないこともあるかもしれませんので、ここに2つの例をご紹介しておきます。


勉強をしなくてはならない理由のひとつは、社会の中で大きな力に利用されるのではなく、自分のやりたいことを自分の力で実現していくためです。
現代は、超情報化社会です。
知っているかいないかで、人生の質が大きく変わると言っても過言ではありません。
知っていれば、自らの手で選択することができますが、情報弱者になってしまえば、情報を持っている人にいいように使われたり、最悪の場合騙されたりして、苦労の多い人生を送ることになりかねません。
騙されることなく、適切な選択をする力は、経験と勉強でしか養うことはできません。
自ら学ぶことを放棄し、受動的に得られる情報だけを得ていたのでは、情報を持っている人たちに利用される側の人間になってしまいます。
人間が人生の中で経験できることは限られていますが、勉強は少ない経験を補ってくれます。
ですので、勉強によって知識をつけなければならないのです。

 

勉強が必要なもうひとつの理由は、成長のためです。
人間は、ほんの少しずつでも成長し続けることで、幸福感を得られます。
勉強に終わりはなく、勉強し続けることで常に自分を高めることができるのです。
成長することは喜びであり、日々の積み重ねがやがて大きな実を結ぶことを、親は子どもに教えてあげましょう。※1

※1 松永暢史 2009年『こんな働く母親が、子供を伸ばす!』扶桑社

勉強を習慣づけるスケジュール

現代の子供たちの生活は、親たちの頃に比べて忙しくなっていると言われています。
英語やスイミングなどの習い事、部活、そして学校の宿題。
あれもこれもしなければならない状況でも勉強の時間を確保し、学習成果を得るためにはやはり、計画を立てることが大切です。

 

12歳までに勉強を習慣にさせる

小学生くらいの子供に勉強の計画を立てさせる一番の目的は、勉強を習慣化させることにあります。
自発的に勉強させるための第一歩は、習慣付けです。
毎朝起きたらパジャマを着替える、顔を洗う、ご飯を食べる、歯を磨く、などと同じように、勉強することを癖付けます。


勉強することを早くから癖付けておけば、中学生以降も自分自身で勉強する子になります。
習慣化させるのは、子供が小さければ小さいほど、ハードルが低くなります。
学年が上がってわからないことが増えてきて、勉強が嫌いになってしまう前に習慣付けるのが大切なのです。
中学生以降は親の言うことなど素直に聞かない子も増えますので、12歳までに習慣づけることをおすすめします。
うまく習慣付けができないとしたら、それは「勉強=苦痛なこと」という親自身の想い込みのせいだと思ってください。
「勉強は楽しい」「できるようになったら嬉しい」という想いを持って声掛けができれば、子供も学んで成長することに喜びを感じ、勉強が習慣化していくでしょう。※2

勉強以外のスケジュールも含めて計画を立てる

計画を立てるときのポイントは、勉強だけでなく、他のやらなければならないこと、そしてやりたいことを含めて表にすることです。
やるべきことややりたいことが多い場合でも、当然何かをするには時間が必要なので、すべて書き出して管理するのが有効です。
やらなければならないタスクだけでは、子供のモチベーションを保つのは難しいので、子供がやりたいことをきちんと確保した上で、勉強の時間も作るようにしましょう。※3

 

計画に沿って進めることが大事

習慣化するために最も大切なことは、1日15分でも毎日勉強をさせることです。
やること、やる量を決め、勉強のタイミングや時間も決めて、その時間になったら必ず始めることを続けましょう。
子供なので、どうしてもやりたくないという日もあるでしょう。
そういう場合にも少しだけでもやらせるようにします。
後の分は、次に回して構いませんが、後でやる量が増えることをきちんと伝えましょう。
子供のうちから、やるべきことはやり遂げる、やらなければその分ツケが回るということを体験させることが、自ら勉強する子に育てる秘訣です。
一方で、計画時間もかからずにその日の分をやり終えた場合に、追加しないことも注意しましょう。
せっかく「やった!」と思ったのに追加されると、やればやるほど量が増えてしまって、子供の意欲をそぐ原因になってしまいます。
子供が自分で「もっとやる」と言うのでなければ、最初に決めてあるその日の量で終わりにしましょう。※2

 

3時間以上勉強する必要はない

勉強時間は、長ければ良いというものではありません。
例えば、山口県山陽小野田市で取ったデータでは、学習時間と学力はある程度まで比例するものの、2時間半を超えると伸びにくくなり、3時間以上になると学力が下がることがあると示されています。※3
勉強で重要なのは効率であり、集中力をもって取り組むことが大切なのです。
それを踏まえ、時間の計画を立てるときには、メリハリのある勉強スケジュールを組むことを意識しましょう。
また、家庭では夜10時以降の勉強も好ましくありません。
小学生の場合は、10時以降に起きていること自体、百害あって一利なしなので、就寝時間も遅くならないよう勉強のスケジュールを計画しましょう。※3

 

習い事は目的を考えてウエイトを決める

子供に習い事をさせる家庭も多いですが、勉強と習い事のバランスを考えるときには、習い事の目的をはっきりさせておくことが大切です。
基本的に、習い事は趣味の世界です。
オリンピックに出られそうなくらい才能を示して、その道に行きたいと言い出したら別問題ですが、そうでなければ、習い事は趣味と捉え、あまり多くの時間を費やさないようにしてあげた方が良いかもしれません。※3

※2 谷あゆみ 2010年『東大脳は12歳までに育てる!』かんき出版
※3 陰山英男 2009年『一日3時間以上、勉強するな!』小学館

「何をするのか」の計画の立て方

1日の中でいつ勉強して、いつ遊ぶのか、時間の計画が立てられたら、次はいつ何の勉強をするのかの計画を立てましょう。
一歩ずつ成長したり、目標を達成したりするためには、きちんと計画を立てることが最も基礎的で、最も重要なことと言えます。
テストの予定や、その子自身の目標などを見て逆算し、段取りをしていく力を付けさせましょう。

 

まずは目標を決めましょう

勉強の計画を立てるためには、まず目標が必要です。
目指すところがわからなければ、適切に計画を立てることはできません。
現実的で具体的な目標を、子供に立てさせるようにしましょう。
「もっと良い点数をとりたい」では、具体的とは言えません。
「次のテストで80点が取りたい」、「1週間以内に問題集を30ページやる」など、なるべく数字で表現した目標を立てるようにします。
最初のうちは、子供だけで適切に目標を立てることは難しいと思いますので、親が目標を決める手助けをしてあげましょう。
アドバイスをしたり、質問をしたりして、適切な目標を設定できるよう導いてあげてください。
ただし、最終的には自分で目標を決めさせるようにしましょう。※4

 

やることを決めて紙に書き出す

「勉強をする」ことだけを決めていても、「今日」その時間に何をするのかが決まっていなければ、行動を起こしにくいですし、何となく机に向かっていても時間を有効に使えているとは言えません。

朝って勉強してる?学習を効率的にする朝勉強のコツを紹介!

でもご紹介しているように、クラブ活動などで忙しいお子さんは、朝勉強をするのも有効です。


人は、決まっていないと動きにくいので、いつ何の勉強をどこまでするのかを具体的に決めることで、行動が明確化し、動きやすくなります。
行動を促進し、勉強を習慣化するためにおすすめなのは、日記や日課表をつけることです。
紙の上に書くことで、やるべきことを客観視することができ、意識を焼き付けることにつながります。
すると、自然にやるべきことが決まり、「今」に集中できるようになるのです。
習慣的にやることができれば、行動に無駄と迷いがなくなり、立てた計画も守りやすくなります。

 

勉強に必要な集中力については、

勉強に集中できる!集中力を持続させる4つの方法をご紹介!

の記事でもご紹介しています。

 

※4 ウェイン・ブライアン ウッディ・ウッドバーン 古賀 祥子 2005年『「できる子」が育つ魔法のルール』阪急コミュニケーションズ

中期、長期の目標を立てる

目標は、短期的にだけでなく、中期的、長期的に立てることも大切です
遠い将来の目標でも、「そうなりたい」と思うことが子供にとって大きなモチベーションになるからです。
夢に近づくためには、年・月・週・日と、目標を細かい単位まで落とし込み、日々実行可能なものに設定していきましょう。

 

長期休暇を利用して目標や計画を立てる訓練を

夏休みや冬休みなどの長期休暇は、目標や計画を立てるのに絶好の機会です。
「やらなければならないこと」や「やりたこと」、「やると決まっていること」をすべてリストアップして、計画表を親子で作ってみましょう。
宿題は、量と期間から計算して1日の量を決めます。
例えば、40ページあるドリルを夏休み中に終わらせると決めた場合、1日4ページやれば10日で終わるので、週3回をドリルの日にして、3週間ちょっとで終わらせよう、というように計画を立てましょう。
計画を立てるときは、「プールがある日は、疲れるからあまりたくさん宿題はできないね」や「家族旅行の前の日は準備に時間を使うよ」など、先を見通して無理のない計画ができるよう、親が声掛けしてあげるようにしましょう。※5

 

計画の達成具合を確認することも忘れずに

計画表には「親のチェック欄」を設けて、毎日子供の計画が進んでいるかを確認することも大切です。
もし遅れていれば、計画の立て直しが必要になってきます。
計画に沿って少し進めてみて、計画通りに「できたこと・できなかったこと」を本人の観点で確認させるようにしましょう。
自分で計画し、自分でチェックするという流れを経験することで、次第に子供自身で無理のない計画を立てられるようになっていくはずです。
進捗を確認するときに注意したいのは、たとえどんな結果であっても、努力したことは認めてあげるということです。
子どもの場合は、努力を認めてもらえなければ、頑張ったことが無駄に思え、次のやる気を失ってしまう可能性があるからです。
目標や計画に到達していなくても、「今、自分はどの位置にいるのか」「どうしたら足りない分を埋められるのか」を、親子で一緒に考えることを忘れないようにしましょう。※4

※4 ウェイン・ブライアン ウッディ・ウッドバーン 古賀 祥子 2005年『「できる子」が育つ魔法のルール』阪急コミュニケーションズ
※5 高取しづか NPO法人JAMネットワーク 2008年『子どもが変わる「じぶんルール」の育て方2 時間のルール』合同出版

まとめ

忙しい中でも子供に勉強させるためには習慣化が必要であり、習慣化するためには計画を立てることが欠かせません。
近い将来、自分で計画を立てて自ら勉強する力をつけさせるためにも、最初は子供に寄り添い、親子一緒になって、目標や計画を立てていきましょう。

公開日:
上へ