小学校で導入された英語授業はどんなもの?親が押えておくきポイントとは

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小学校に英語教育が導入されて久しいですが、2018年から段階的に、高学年だけでなく3、4年生の中学年でも英語の授業が始まっていることをご存知ですか?
小学生の子を持つ親にとって、自分たちのときにはなかった「小学校での英語授業」では、どんなことが行われるのか、子どもたちに何を学ばせれば良いのかは大きな関心ごとでしょう。
そこで今回は、2020年から全面実施される新学習指導要領の内容をもとに、現在の小学校英語について解説します。

目次

  1. 現在の小学校の英語教育について
    • どう変わる?小学校の英語教育
    • 中学年における「外国語活動」導入の背景
    • 教科化されるとどうなる?
  2. 小学校の英語授業の内容とは
    • 言葉だけでなく文化についても理解を深める
  3. 3、4年生「外国語活動」の学習のポイント
    • リスニング(聞くこと)
    • スピーキング(話すこと「やり取り」)
    • プレゼンテーション(話すこと「発表」)
  4. 5、6年生「外国語科」の学習のポイント
    • リスニング(聞くこと)
    • リーディング(読むこと)
    • スピーキング(話すこと「やり取り」)
    • プレゼンテーション(話すこと「発表」)
    • ライティング(書くこと)
  5. 英語を身に付けやすい環境を作る親の関わり方
    • 学校での学習内容に寄り添う
  6. 使える英語を習得させるためには?
  7. まとめ

現在の小学校の英語教育について

すっかり定着して行われている小学校の英語教育がスタートしたのは2008年。
小学校5、6年生を対象に導入された「外国語活動」は、2011年に必修となり、すべての子どもが学校で英語を学ぶようになりました。
2017年の小学校学習指導要領の改訂により、今後は、さらに低学年から英語教育が始まることが決まっています。

 

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どう変わる?小学校の英語教育

2017年までは、小学校の英語教育は5、6年生の「外国語活動」が必修となっているだけでした。
「必修」とは、必ず時間割の中に取り入れなければならないということですが、2017年までは「教科」とはされていなかったため、いわゆる「教科書」のような決められた教材があったわけではありません。
学習内容やテキスト等は、学校や教員によって自由に使用されていました。
しかし、2017年の小学校学習指導要領改訂では、この「外国語活動必修」は3、4年生に導入され、5、6年生では「外国語」が「教科」として始まることになったのです。
3、4年生の外国語活動必修化、5、6年生の外国語教科化の全面実施は2020年4月1日からとなっていますが、2018年からは移行期間が始まっており、一部の学校ではすでに新学習指導要領に基づいた英語教育が実施されています。

 

中学年における「外国語活動」導入の背景

2020年の新学習指導要領改訂で、外国語活動の導入が中学年に早まった背景は、2008年から始まった小学校英語教育の中で浮き彫りになってきた、さまざまな課題にあります。
2008年の導入時点では、小・中・高等学校で一貫した外国語教育を実施することにより、外国語を通じて言語や文化に対する理解を深め、積極的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度や、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりする力を子どもたちに身に付けさせることが目標として掲げられていました。
その目標を達成するために、現場では「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」などを総合的に育成することをねらいとして、さまざまな取り組みを通じた指導が行われてきました。
その中で、一定の成果が見られたものの、
「音声中心で学んだことが、中学校の段階で音声から文字への学習に円滑に接続されていない」
「日本語と英語の音声の違いや英語の発音と綴りの関係、文構造の学習において課題がある」
「高学年は、児童の抽象的な思考力が高まる段階であり、より体系的な学習が求められる」などの課題も指摘されました。


また、学年が上がるにつれて子どもの学習意欲に課題が生じたり、進級・進学の際に、それまでの学習内容や指導方法の接続が十分とは言えなかったりする状況も見られたため、中学年から外国語活動を導入し、外国語に慣れ親しんで学習への動機付けを高めた上で、高学年から教科学習を行い、中学校への接続を図られるものとされました。※1

 

教科化されるとどうなる?

必修化と教科化の最も大きな違いは、成績評価と教科書の有無です。
必修の時点では、学習教材は特に定められておらず、成績評価することも義務付けられていませんが、教科になると、検定教科書に基づいて授業が進められるようになり、テストによる成績もつけられます。※2
教科化して一定の学習レベルの担保が求められるようになると、受験の世界にも影響してくることが予想されます。
これまで一部の学校でだけ導入されていた中学入試のための英語試験が、今後は多くの学校にひろがっていくでしょう。

※1 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年公示)解説 外国語活動・外国語編」http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/05/07/1387017_11_1.pdf
※2 文部科学省「教科について」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/096/shiryo/attach/1340551.htm

小学校の英語授業の内容とは

小学校の英語教育では、語彙や文法などの個別の知識がどれだけ身に付いたかではなく、子どもが学ぶ過程を通して、知識やスキルを実際のコミュニケーションで活用される中で学習内容の理解が深まることが重視されています。
考え、判断して、表現することが繰り返されることによって、資質と能力が相互に関係し合いながら、子どもたちの力が育まれることが狙いとされているのです、
具合的には、中学年の外国語活動では、「聞くこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」の3つの領域が目標として設定されており、音声面を中心とした英語を用いたコミュニケーションを図る土台となる力をつける学習内容になっています。
その上で、高学年での「読むこと」「書くこと」を加えた内容を教科として学習し、5つの領域の言語活動を通じて、英語コミュニケーションの基礎を身に付けることが図られています。

 

言葉だけでなく文化についても理解を深める

現代の英語教育では、コミュニケ―ションが重要視されています。
英語をはじめとする外国語の知識やスキルを身に付けるためには、相手と主体的にコミュニケーションを図ることの楽しさや大切さを知り、日本と外国の言語や文化について理解することが大切と考えられているため、学習内容にも、外国語を通じて言語や文化について体験的に理解を深めることが盛り込まれています。
具体的には、日本の一日の生活を題材にした英語での絵本の読み聞かせをしたり、映像資料などを通して世界の遊びと日本の遊びの共通点や相違点に気付かせたりするなど、子どもにとって身近な日常生活における食生活や遊び、地域の行事などを取り扱うことで、日本の文化と異文化を比較して考えの多様性に気付いたり、日本の伝統文化について理解を深めたりして、英語によるコミュニケーションの中で自国の文化を発信する力がつくことが期待されています。

 

また、ALT(外国語指導助手)や留学生、地域に住む外国人など、異なる文化を持つ人々との交流を通じて、体験的に理解を深めることが重要視されています。
このように、中学年の外国語活動で、「言語を用いて主体的にコミュニケーションを図る楽しさや大切さを知ること」や「日本と外国の言語や文化について理解すること」を達成することによって、高学年で教科として学ぶときに、英語の特徴やきまりに関することが身に付けやすくなると考えられています。

 

3、4年生「外国語活動」の学習のポイント

中学年の外国語活動で身に付けるべき能力は、コミュニケーションを図る土台とされています。
そのため、学習内容ではリスニングやスピーキング、プレゼンテーションの力をつけることが中心となっています。
英語で簡単な情報や考えなどを相手に理解してもらえるよう表現したり、伝え合ったりすることを通して、思考力や判断力、表現力などを育むことが目指されているのです。
具体的な授業の例をご紹介しましょう。

 

リスニング(聞くこと)

身近で簡単な事柄に関する短い話をきいて、だいたいの内容がわかる体験をさせるため、教師が動作やイラスト、写真などを添えて、数や色などの表現を話しているということを子どもに聞かせる指導が中心になります。
英語の絵本の読み聞かせを行ったり、教師同士の会話を聞かせたりすることも行われます。
絵本の読み聞かせや、文字の書かれたカードを使った活動では、文字の読み方が発音されるのを聞いて、文字と読み方を結び付ける効果も狙いとして含まれます。
リスニングについては、子どもが楽しんで学習できるよう、歌やチャンツ(リズムに乗せて単語や文を発すること)を使って英語に親しむこともされます。

 

スピーキング(話すこと「やり取り」)

友達や教師と挨拶をしたり、簡単な指示を出したりそれに応じたりすることができるよう身近で日常的な場面設定の中で、英語を使ったやり取りをする活動を行います。
例えば、“How are you?”という問いかけに対して、自分の体調や状態を答えたり、“The card, please.”という依頼に対して“Here you are.”などと言いながら文字のカードを渡して応じたり、さらにそれに対して依頼した側が“Thank you.”と感謝の言葉を言ったりするなどのやり取りを体験しながら学びます。
また、ペアやグループになって、お互いの好みや欲しいものなどについて、質問をしたり答えたりすることも行います。

 

プレゼンテーション(話すこと「発表」)

身の回りの物やイラスト、写真などを見せながら、人前で話す活動を行います。
聞き手に届きやすい話し方、話し手が積極的に話せるような聞き手の態度なども学びながら、数や形状、時刻や曜日、場所などについて表現したり、好き嫌いを示したりしていきます。

 

5、6年生「外国語科」の学習のポイント

高学年の外国語科では、英語の音声や文字、語彙、表現、文構造、言語の働きなどについて、日本語と英語の違いに気付き、これらの知識を理解するとともに、読むこと、書くことに慣れ親しみ、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことによる実際のコミュニケーションに活用できる基礎的なスキルを身に付けることが、目標とされています。
そのため、中学年の外国語活動のリスニング、スピーキング、プレゼンテーションに加え、リーディングとライティングの要素も加わってきます。
学習の方向性としては、個別の知識やスキルを獲得するだけでなく、実際のコミュニケーションで活用できることが目指されています。
具体的な授業の例をご紹介しましょう。

 

リスニング(聞くこと)

聞いて理解した内容と、イラストや写真に描かれている非言語情報とを照らし合わせる活動が行われます。
例えば、外国人講師が自国で行われている花火大会のことを紹介する英語を聞いて、花火大会が行われる月を表すカレンダーの絵を選んだり、持っている物を紹介する英語を聞いて絵に丸を付けたりするようなことを行います。
また、日付や時刻、値段などの日常生活に関する身近な事柄を表す語句について音声で慣れ親しみ、聞いて意味がわかるようにしたり、短い会話や説明などの英語を聞いて必要な情報を得ることに取り組んだりします。

 

リーディング(読むこと)

高学年の外国語科の中では、活字体で書かれた文字を見て、その読み方を適切に発音する活動が行われます。

具体的には、歌やチャンツを使って、文字には「名称」と「音」があることに気付かせ、文字を見て必要な情報を得たり、表現したりする言語活動につながるような指導が行われます。

 

スピーキング(話すこと「やり取り」)

人と挨拶を交わしたり、相手に指示や依頼をして、それらに応じたり断ったりする活動を行います。
例えば、自己紹介や道案内、お店での客と店員の会話などを通して、気持ちを伝え合ったり、質問したり答えたりする言語表現を身に付けます。

 

プレゼンテーション(話すこと「発表」)

例えば、自己紹介をしたり、自分の休日の過ごし方について説明したりする中で、時刻や日時、場所など、日常生活に関する身近で簡単な事柄を英語で話したり、自分自身のことや考え、気持ちなどを発表する活動が行われます。
子どもが自分の考えを持ったり、それを伝えるための英語表現を身に付けたりすることが目標です。
発音やイントネーションなどの音声に関する指導も行われます。

 

ライティング(書くこと)

高学年のライティングでは、文字の読み方が発音されるのを聞いて、活字体の大文字、小文字を書く活動が行われます。
流れとしては、リスニングの活動により文字の読み方に十分慣れ親しませた上で、文字を識別したり発音したりさせ、その後にライティングに取り組ませるという順序で指導されることになっています。※1

※1 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年公示)解説 外国語活動・外国語編」http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/05/07/1387017_11_1.pdf

英語を身に付けやすい環境を作る親の関わり方

小学校3年生から始まる英語教育は、親世代の人たちが受けてきたものとは全く異なるものになっています。
国際化が進む時代の流れの中、自分たちが身に付けられなかった英語を、子どもには習得させたいと考える方もいるでしょう。
受験を見据えて英語学習に力を入れたいという方も増えるはずです。
子どもが楽しく英語を身に付けられるために、保護者はどんな関わり方をすれば良いのでしょうか。

 

学校での学習内容に寄り添う

まずは、学校で行われている学習内容を把握し、家庭でも話を聞いてあげたり、一緒に復習をしたりして、親子で共に、英語学習に取り組みましょう。
どのような学習が行われているかを知り、寄り添ってあげることが大切です。

・コミュニケーション力をつけるために
ご紹介したように、小学校英語で重視されるのは、コミュニケーション力を身に受けることです。
家庭でも声掛けをしながら、子どもの英語への興味が刺激されるよう、サポートしてあげましょう。

 

使える英語を習得させるためには?

英語教育が早期化する中で、受験のため、あるいはこれからの国際社会を見据えて、我が子に「使える英語」を習得させるには、学校での学習や家族のサポートに加え、英会話スクールに通わせ、家庭用教材を利用したりするのも効果的です。
学校の授業を補完できるような学習をすることで、相乗効果となって学びを加速することが期待できます。
ただし、こうしたスクールや教材を選ぶときにも、時代の流れや学校の授業内容に合ったものを利用できるよう配慮することが大切です。
従来のように単語や文法を詰め込んで理解するようなスタイルではなく、コミュニケーションを重視した学習ができるようなところを選ぶと良いでしょう。

 

まとめ

親世代が学んでいた頃よりも、現在、そしてこれからの時代は、より高い英語力が求められていくでしょう。
小学校の中学年から始まる英語教育を、流れに乗って無理なく習得していけるよう、親子でコミュニケーションをとりながら、楽しく学習していきましょう。

 

 また、2020年はプログラミン教育が盛り込まれることも話題となっています。

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