リビング学習で学力があがる?その効果と心がけ
リビング学習とは、リビングに学習できるスペースを設け、子どもがそのスペースで勉強することをいいます。
「東大に入学した子どもはリビング学習だったらしい」「リビング学習は集中できていいらしい」などと耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
一方、リビング学習を始めてみたものの、子どもが思うように勉強してくれなかったり、リビングが散らかってしまったりと、うまくいかなかったという声も。
今回はリビング学習による効果や、どうやって行うと良いのかについてご紹介します。
目次
- リビング学習の効果と注意点
- リビング学習は効果あり?
- リビング学習の注意点
- リビング学習のレイアウトと家具
- リビング学習をする場合のレイアウトの考え方
- リビング学習に必要な家具
- リビング学習の便利グッズ
- リビング学習、いつまでさせる?
- リビング学習はいつまで?
- いつになったら個室にするか
- 個室にした場合の注意点と対処法
- リビング学習、親の心がけ
- 子どもの勉強に付き合う姿勢
- 口を出しすぎない
- 集中できる環境をつくってあげる
- まとめ
リビング学習の効果と注意点
リビング学習は効果あり?
リビング学習が勉強しやすい環境だと言われたり、効果的に勉強が進むとして注目を浴びています。
その理由の1つは、「集中できる環境がつくりやすいから」だと言われています。※1
さらに、集中できる環境というのは、同時に「リラックスできる環境」であるところから生まれるとされています。
リビングという環境は、いつも家族みんなで過ごす場所であり、居心地の良い場所です。
ママやパパがそばにいて、勉強をしていて分からないことがあったら気軽に話しかけやすい場所でもあるため、非常にリラックスした状態で勉強をすすめることができます。
この、「リラックスできる」環境で勉強をすすめるという中で頑張ることで、楽しく前向きに勉強に取り組みやすく、学習に集中する力を育ててくれます。
リビング学習は、集中力を高め、学ぶ習慣づくりのための環境を満たしており、効果的だと考えられます。
特に、学習に取り組み始めたばかりの低学年の子どもにはおすすめです。
※1 頭のいい子に育つ!リビング学習&子どものモノ収納術/株式会社主婦の友社/2017年発行
リビング学習の注意点
リビング学習では、リラックスしながら集中して学習に取り組む環境づくりが重要です。
リビングがその環境づくりに向いているとご紹介しましたが、注意点ももちろんあります。
リビングで学習する際、時間帯として「夕食を準備する時間」と重なることもあると思います。
その際、子どもが学習している机の隣に食器や食事を並べたり、大きな音を立てたりしてしまうと、集中がとぎれやすくなります。
「宿題は、○時頃までに終わらせよう」とルールを決めて、その時間になったら、一度子どもの手を止めたりすることで、夕食の用意などと平行しながら学習を進めやすくなります。
ただ、リラックスできる環境づくりが集中力を高めますので、気を使いすぎて物音一つ出さないようにするのもNG。
適度な生活音が出ることは気にせず、むしろリラックスできる環境づくりには必要だとされていますので、気を使いすぎないようにしましょう。
子どものリビング学習の時間を充実した時間にするよう、適度な距離で見守り、学習時間を決めて取り組むようにすることがおすすめです。※2
※2 頭のいい子に育つ!リビング学習&子どものモノ収納術/株式会社主婦の友社/2017年発行
リビング学習のレイアウトと家具
リビング学習をする場合のレイアウトの考え方
大事なのは子どもが一番リラックスしながら学習できる環境をつくることです。
リビングにある食卓をそのまま学習机として活用しても問題ありませんが、ダイニングテーブルでは子どもが学習に集中できないという場合は、リビングに学習机を置くご家庭も多いようです。
リビング学習をする時のレイアウトとしては、本人の目の前にテレビやおもちゃ、キッチンなどあらゆる物が視界に入らないよう、壁際にデスクを置くほうがよいでしょう。
また、実際の学習はダイニングテーブルで行い、学習用の文房具や教科書などをしまっておくための学習机や収納を別途用意するというパターンもあります。
子どもの様子や1日の流れを見てレイアウトを考えてみましょう。
リビング学習を行ううえで気になるのが「整理整頓」です。
子どもが帰宅してから学習するまでの流れを考え、整理整頓しやすいような配置を考えましょう。
子どもでも整理できるように持ち帰ったものを置く場所を決め、学習に必要な物だけを机に出して学習できる方が散らかりにくくおすすめです。
リビング学習を始めた最初の頃は、ご両親と一緒に持って帰ってきたものを確認し、学習が終わったら片付けるという一連の流れを一緒に行い、習慣づけることが重要です。
その習慣づけのためには、整理整頓しやすい収納環境やレイアウトを作ってあげるようにしましょう。
リビング学習に必要な家具
リビングで学習するためのスペースを作ろうと思った時、どんな家具が必要なのでしょうか。
リビングにはソファやダイニングテーブル、テレビなどがありますので、あまり大きな学習机を置くには向いていません。
また、リビングにすでに色々な物が置いてあるため、気が散らないようにするには、できるだけシンプルな家具を置くことがおすすめです。
新たに机を用意する場合には、120cm程度の横幅があり、子どもがノートや教科書を置いて学習できるスペースがとれるものを選びましょう。
子ども用の学習机でなくても大丈夫です。
シンプルな家具であれば、子どもが好きなように装飾したり好きなように物を置くことができますので、子どもの好きな環境の中で学習に取り組めるというメリットもあります。
学習用具をしまう収納用の家具もあると便利です。
教科書や図書などの本の収納や、ランドセルや文房具などをしまうための収納家具です。
ランドセルがのせられるように作られている専用の棚でもよいですし、大きな本棚や、カラーボックスなどの小さめのもので代用したり、部屋の広さや使いかってに応じて準備をしましょう。
リビングがあまり広くない場合は、学習机だけをリビングに置き、その他の子どもの物は子供部屋に収納するという方法もあります。
リビング学習の便利グッズ
子どもでも整理整頓しやすいよう、ランドセルを置くスペースのある家具は便利です。
また、持って帰ってきた「書類」を入れておくためのケース、散乱しがちな文房具は「文房具専用ケース」などまとめて収納できる物を用意しておくことで、子どもでも収納を理解できて自分で対応できるでしょう。
リビング学習、いつまでさせる?
リビング学習はいつまで?
小学生の間はリビング学習を行い、やる気と集中力を保つための環境づくりを親と一緒に行うことがおすすめです。
ただ、成長すると自分でその環境をつくれるようになってきます。
親がいることで逆に集中しづらいと感じたり、友人と一緒に勉強する環境が良いと感じる子どももいます。
子どもの学習意欲や希望に合わせて、子ども部屋で勉強させたり、図書室や塾なども取り入れた勉強に変えたりしていきましょう。
親の立場では「本当に勉強しているかが分からない」というデメリットもありますが、子どもが集中して勉強できる環境づくりを心がけましょう。
調査によると、約8割の小学生がリビングで学習しているという結果が出ています。
また、中学生になっても、約5割、半数の子どもがリビングで学習しているという結果が出ています。
一方、受験勉強や試験のための勉強は、いわゆる「子ども部屋」で勉強する割合が高くなっています。※3
小学1年生!勉強はどのくらいさせるべき?小学生の力を伸ばす勉強法とは
でもご紹介しているように、小学校低学年で、ガツガツ勉強させる必要はありません。
子どもが小学生などの小さい間は親が近くにいる場所で勉強できるリビングで、より集中して勉強することが必要な中学生以上では子どもによって勉強する場所を変えていくという形が良いのかもしれません。
※3東京ガス都市生活研究所 都市研究レポート「子どもの勉強実態と親の意識」/ 2014年10月
http://www.toshiken.com/report/life19.html
いつになったら個室にするか
調査によると、半数以上の小学校低学年の子どもが、「自分だけの部屋」、「他の兄弟姉妹と一緒の部屋」があると答えています。
高校生の場合は、約8割が「自分だけの部屋」があると回答しています。※4
子ども部屋を設けるかどうかは、家庭によって異なります。
最近の都会の自宅では間取り的に子ども部屋を設けにくいところもあるため、必ず子ども部屋があるとも限りません。
リビング学習はいつまで?でご紹介している調査と合わせると、小学生のうちは個室もありながらリビング学習をしているという実態がわかります。
個室は、実際には荷物を置いたり、寝るための部屋という場合も少なくないかもしれません。
中学生以上になったら勉強も個室で行う家庭が多いようですので、その頃を目安に個室を検討してもよいかもしれません。
※4 東京ガス都市生活研究所レポート
「家で子どもが過ごす部屋~子どもの過ごし方と親子それぞれの意識」/2014年3月 / http://www.toshiken.com/report/life15.html
個室にした場合の注意点と対処法
子ども部屋を個室にし、子ども部屋で勉強するようになると、当然ですが個室にいる時間が長くなります。
集中するために個室にいるのは問題ありませんが、食事の時間以外は個室から全く出てこないようになると、家族とのコミュニケーションの時間が減ってしまいます。
また、個室で本当に勉強しているのかは見えなくなってしまいますので、適宜「勉強は順調?」「宿題で分からないところはある?」など、子どものやる気を奪わない程度に、勉強の進捗具合などの声がけをしていきましょう。
また、子ども部屋を設けた場合、その部屋は子どもの空間です。
プライバシーがあるということを親も理解し、あれこれ部屋を詮索したりせず、片付けや整理整頓も子どもと一緒にいる時間にできるだけ行いましょう。
リビング学習、親の心がけ
子どもの勉強に付き合う姿勢
リビング学習をしている子どもの隣で、親がテレビを見たり、ゲームをしたり、子どもに任せっぱなしで放置してしまうと、子どもは「頑張って勉強している自分の姿を見てくれていない」「分からないことがあるけど聞きにくい」と感じてしまいます。
つきっきりで指導する必要はありませんが、同じ空間で子どもが勉強をしている時はそばで見守ってあげるような姿勢でつきあうようにしましょう。※5
「分からなかったら聞いてね」「終わったらおやつにするね」など適宜声をかけながら、子どもの勉強時間が有意義な時間となるように気をつけてあげられると良いですね。
また、ちゃんと終わった時は「すごいね!」「偉いね」と褒めてあげることも大切です。
リビング学習だからこそ、その終わったタイミングに気づきやすいため、ちゃんとできた時は褒めてあげるようにしましょう。
口を出しすぎない
リビング学習では、ご両親が「監視」しないことが大切だと言われています。
子どもの学習意欲を育てるためには、本人の意思で取り組めるように見守ることが必要だとされています。※5
そのため、目の前に座ってじっと見ていたり、「あれできた?」「まだなの?」というように進捗を監視してしまうと、子どもも親のことが気になってしまい、集中が切れてしまうでしょう。
子どもの勉強するペースや能力に対してあれこれ口を出しすぎないようにしましょう。
自ら考え、学びを得られるように、分からないことに対してもヒントを出す程度、勉強するペースに対しても本人の考えを尊重しながらアドバイスしていくと、子どものやる気も失われにくいとされています。※5
リビング学習のメリットはリラックスできる環境が集中力を育てるということです。
その点を忘れず、監視しすぎないように注意しましょう。
集中できる環境をつくってあげる
リビングでの学習は、個室ではないため、親が同じ空間にいると生活音がしてしまいます。
多少の生活音は逆にリラックスできる効果があるため、あまり気にしすぎる必要はありませんが、料理や掃除を行ってうるさくしたり、テレビの音を大きくしたりしないようにしましょう。
また、リビングが散らかっていたり、目に入る範囲の中にあれこれと物が多く置いてあることも、気が散る原因になります。
子どもだけでなく親も普段から整理整頓を心がけ、すっきりとしたリビング環境を作りましょう。
集中力を持続させるポイントについては、
の記事でもご紹介しています。
※5 頭のいい子に育つ!リビング学習&子どものモノ収納術/株式会社主婦の友社/2017年発行
まとめ
リビング学習が効果的なのかどうかは、お子様の性格や個性によって異なります。
大切なのは子どもの勉強する気持ちを邪魔してしまったり、やる気をそいでしまうようなことを親がしないようにすること。
リビング学習はリラックスできる環境づくりを行いやすく、子どもの集中力を高め、学習に取り組むことができるのがメリットです。
これから先の学習習慣を身につけるスタートとして、まずは親が一緒に取り組み、子どもの学習に取り組む意欲や集中力を見てあげるようにしましょう。
学習するうえで分からないことがあった時に、すぐに親に聞くことができるのは子どもにとっても安心して学習に取り組むことができる環境です。
リビング学習を試しながら、お子様にとって前向きに勉強に取り組める環境づくりが行えると良いですね。