幼稚園の平均費用は私立は公立の2倍。補助対象や無償化はどうなる?

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学費だけではない幼稚園の費用。公立と私立で大きく違い、補助金額も異なります。
保育園と違い、給食費や送迎代、延長保育など利用した分だけ費用を支払うことになりますし、課外活動の習い事代なども別途かかります。
具体的にどのような費用がかかるのか、平均どれくらいなのか、また、2020年にスタートする無償化でどう変わるかをご紹介します。

目次

  1. 幼稚園にかかる費用とは?
  2. 公立と私立でこんなに違う!幼稚園の平均費用
    • 年間・月々の費用平均
    • 3年間で平均いくらになる?
    • さらに習い事代も
  3. 私立幼稚園の費用に対する補助金制度は自治体ごとに異なる
    • 私立幼稚園に対する補助金の種類
    • 対象は在住者
    • 2019年の無償化でどう変わる?
  4. まとめ

幼稚園にかかる費用とは?

幼稚園は、園によりかかる費用に開きがあります。
具体的な費用を見る前に、どのような費用がかかるのか確認しておきましょう。
公立・私立の違いでも学費が異なりますが、延長保育の有無や送迎の有無、園の行事やオプションの習い事など選択できる項目が多く、幼稚園の費用の差に繋がっています。
幼稚園にかかる費用の主な内訳

 

  • 授業料
  • 設備費
  • PTA費
  • 送迎代
  • 給食費
  • 延長保育費
  • 制服など
  • 図書/文房具費など
  • 遠足/見学費など
  • その他課外活動(習い事代)※1

 

保育園の場合、授業料・設備費・給食費・延長保育費はすべて保育料に含まれていますが、幼稚園の場合はそれぞれ利用に応じて費用がかかります。
保育園と幼稚園でこれだけ違う!入園までのスケジュールと準備するもの

でも紹介されていますが、幼稚園では制服や体操服、バッグから文房具などの小物まで揃えなければならない場合が多いようです。
幼稚園入園時には、これらの費用に加え入園料がかかるため、入学初年度に必要な費用は高くなります。
また、幼稚園では延長保育の時間に、園内で習い事の課外活動が実施されている園もあり、参加する場合には授業料とは別に習い事代が必要になります。

 

※1 文部科学省/平成28年度子供の学習費調査の結果について/2019年2月15日現在
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/12/22/1399308_1.pdf

公立と私立でこんなに違う!幼稚園の平均費用

では、具体的な幼稚園の費用を見てみましょう。
子育て費用、実際にかかる費用は?無理のない貯め方は?

の記事でも触れられていますが、幼稚園に限らず、公立か私立で必要となる教育費は大きく差があります。
幼稚園にかかる費用を、年間及び月々、3年間の合計を、公立と私立で比較してみてみましょう。
幼稚園に支払う学校教育費と給食費を対象とし、習い事などの学校外活動費は含みません。
公立と私立では授業料が大きく異なっています。

 

年間・月々の費用平均

・公立の場合の幼稚園費用の総額(平成28年度)
1年間の費用総額は154,000円(教育費 121,000円+給食費 33,000円)、月々12,833円となっています。

 

年間教育費の内訳: 
 授業料 66,000円
 修学旅行・遠足・見学費 3,000円
 学級・児童会・生徒会費 8,000円
 PTA会費 5,000円
 その他の学校納付金 5,000円
 寄附金 1,000円
 教科書費・教科書以外の図書費 5,000円
 学用品・実験実習材料費 9,000円
 教科外活動費 4,000円
 通学費 21,000円
 制服 9,000円
 通学用品費 18,000円
 その他 11,000円

※2 文部科学省/子供の学習費調査 平成28年度より引用

 

・私立の場合の幼稚園費用の総額(平成28年度)
1年間の費用総額は354,000円(教育費 319,000円+給食費 35,000円)、月々だと29,500円となっています。

 

年間教育費の内訳:
 授業料 217,000円
 修学旅行・遠足・見学費 6,000円
 学級・児童会・生徒会費 9,000円
 PTA会費 7,000円
 その他の学校納付金 40,000円
 寄附金 2,000円
 教科書費・教科書以外の図書費 7,000円
 学用品・実験実習材料費 11,000円
 教科外活動費 7,000円
 通学費 28,000円
 制服 13,000円
 通学用品費 21,000円
 その他 11,000円
※2 文部科学省/子供の学習費調査 平成28年度より引用

 

幼稚園に必要な学習費の総額では、公立と私立で2倍以上の差があることがわかります。
特に、授業料と入学金・施設設備費となるその他学校納付金の費用が大きく異なります。
授業料は、公立幼稚園の平均66,000円に対して私立幼稚園の平均が217,000円と私立の方が3倍以上の費用となっています。
また、その他学校納付金に含まれる施設設備費は公立幼稚園ではかからないため、公立と私立の費用の差に繋がっています。
このように、私立幼稚園の授業料は公立と比較すると高いのですが、実は年々下がっています。
平成18年以降毎年下がり続けており、平成18年から10年の間に学校教育費は約50,000円も下がっています。※3
さらに、のちにご紹介する補助金制度も開始しており、私立幼稚園の場合でも家庭での実質負担額は減少傾向にあります。

 

3年間で平均いくらになる?

項目別に公立幼稚園と私立幼稚園の費用をご紹介しましたが、入学金を含む平均教育費の3年間の合計は下記の通りとなっています。
公立幼稚園    462,000円
私立幼稚園 1,066,000円 ※2
(学校外活動費は含まず)
私立幼稚園の場合には、3年間で1,000,000円超の費用がかかることがわかります。

 

さらに習い事代も

幼児の習い事はいつから?学習・知育系の幼児教室、通信教育は?

の記事でも触れられていますが、3歳~5歳の間に習い事を始める方が多く、幼稚園の費用にプラスして習い事代もかかります。
文部科学省の調査によると、習い事代などの学校外活動費は、公立幼稚園の場合は年間約92,000円、私立幼稚園の場合は年間約97,000円となっており、公立私立とも習い事などにも費用をかけていることがわかります。※2
私立幼稚園の場合は、幼稚園にかかる費用と習い事などの費用を合わせ、平均450,000円程度/年の教育費がかけられており、家計の負担になってしまうと心配になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、このような私立幼稚園の費用に対する措置として、国と地方自治体の補助金制度があり、条件を満たせば幼稚園にかかる費用に対する補助が受けられます。

 

通信教育については、年齢別でこちらの記事でもご紹介しています。

【特集】勉強系の習い事は通信教育で!年齢別おすすめ教材と選び方

勉強系の習い事は通信教育で!年齢別おすすめ教材と選び方

 

※2 文部科学省/子供の学習費調査 平成28年度/2019年2月15日現在
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00400201&tstat=000001012023&cycle=0&tclass1=000001110595&tclass2=000001110596&tclass3=000001110599&second2=1
※3 文部科学省/平成28年度子供の学習費調査の結果について/2019年2月15日現在
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/12/22/1399308_1.pdf

私立幼稚園の費用に対する補助金制度は自治体ごとに異なる

私立幼稚園の費用に対しては国や地方自治体からの補助金がありますが、地方自治体により制度が異なります
私立幼稚園へ入園を考えている方は、事前にお住まいの地方自治体の制度を確認しておきましょう。

 

私立幼稚園に対する補助金の種類

地方自治体ごとに、私立幼稚園の費用を対象としたいくつかの補助金制度があります。
補助金の対象は、子ども・子育て支援新制度に移行していない私立幼稚園に通っている場合や、世帯年収の規定に合う場合などの条件があります。
東京都の場合は、私立幼稚園就園奨励費補助金保育料補助金、さらに入園料に対する補助金の3つの補助金があります。
東京都に隣接する横浜市では私立幼稚園就園奨励費補助金のみですし、東京都内でも自治体により補助金額には差があるなど、自治体により補助金制度の内容は異なるので注意が必要です。※4※5

 

私立幼稚園就園奨励費補助金
私立幼稚園就園奨励費補助金は国の補助金制度で、全国の地方自治体で導入されていますが、私立幼稚園でも子ども・子育て支援新制度に移行していない園に通う方が対象です。※6
世帯年収により補助金額が異なり、最大で年間308,000円となっています。
住民税の納付金額と子供の人数で補助金額が決定し、自治体によっては高所得世帯の第一子は補助金が出ない場合もあります。※7

 

その他の補助金(保育料補助・入園料補助など)
東京都では、私立幼稚園就園奨励費補助金以外に、毎月の保育料や入園料に対する補助金制度が自治体ごとに定められています。
私立幼稚園就園奨励費補助金のような所得制限はなく、自治体ごとに決められた金額の範囲内で支給されます。

 

対象は在住者

自治体ごとに補助金額に違いがありますが、対象となるのは在住者です。
お住まいの自治体の制度を確認してみてください。

 

2019年の無償化でどう変わる?

上記にご紹介した通りの幼稚園の費用ですが、2019年10月から幼児教育無償化が開始されると、その費用負担も変わる可能性があります。
幼稚園の場合、基本的な無償化の対象は月額25,700円が上限となります。
幼稚園の預かり保育については、保育の必要性が認められた方に関しては月額11,300円までが無償化の対象となります。
しかし、2019年2月現在、給食費や通園の送迎費など実費負担の費用については無償化の対象外とされており、自己負担となります。※9

公立と私立でこんなに違う!幼稚園の平均費用の章でご紹介している費用の項目では、授業料が主な無償化の対象となります。
授業料は、私立幼稚園では平均18,000円程度/月であることから、平均的な幼稚園の授業料であれば無償化の上限金額の範囲内であることがわかります。


私立幼稚園の場合は、授業料以外の給食費やその他学校納付金の合計額、年間140,000円程度の費用が自己負担と言えそうです。
私立幼稚園への入園を検討する場合には、授業料がいくらなのか、そのほかの項目がいくらなのかを把握し、さらにご家庭の就業状況で預かり保育の無償化を受けられるのかどうかを確認しておく必要があります。

 

保育無償化については、

・幼児教育・保育無償化とは?その制度から対象までを説明

の記事でもご紹介しています。

※4 東京都生活文化局/私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業/2019年2月15日現在
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/shigaku/hogosha/0000000054.html
※5 横浜市/こども青少年局子育て支援課/2019年2月15日現在
http://www.city.yokohama.lg.jp/kodomo/youji/
※6 文部科学省/幼稚園就園奨励費補助の充実/2019年2月15日現在
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/youchien/07121725/001.pdf
※7 中野区公式サイト/私立幼稚園等保護者向け補助金のご案内/2019年2月15日現在
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/244000/d001630.html

※9 内閣府ホームページ/幼児教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要/2019年2月15日現在
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/pdf/free_ed/child_gaiyo.pdf

まとめ

幼稚園でかかる費用についてご紹介しました。
保育園と違い、幼稚園は選択次第で費用に違いが出てきます。
公立か私立かの選択だけでなく、送迎や給食、延長の預かり保育、課外活動などの選択が可能です。
公立の場合は年間150,000円程度、私立の場合は年間354,000円程度と、私立幼稚園に通うとなると費用がかかると思われがちですが、補助金制度を活用することで、実質負担は減る場合があります。
お住まいの自治体の制度を確認してみましょう。
また、2019年10月から実施予定の幼児教育無償化がスタートすると、私立幼稚園の授業料も無償化の対象となる場合があります。
しかし、給食費などの実費負担は自己負担となりますので、内訳の確認が必要となります。
幼稚園にかかる費用以外にも習い事にも教育費をかける傾向にあり、ご家庭の就業状況や教育方針などから、どのような選択をし、どれだけ費用をかけるか考えてみることも、その後の教育費を捻出するためにも重要となります。
子育て費用、実際にかかる費用は?無理のない貯め方は?

でも、高校生までの子育て費用をご紹介していますので、参考にしてみてください。

 

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