高校の学費はいくら?授業料無償化の条件は?他にもある支援制度を徹底解説

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高校は公立でも入学金や授業料といった費用がかかり、私立では高額。
大学に次いで学費が悩みの種となる時期です。
ただ高校の学費には、授業料無償化と呼ばれる「高等学校等就学支援金制度」があり、世帯年収など条件を満たせば実質無料です。
公立私立それぞれの学費と、授業料が無償になる支援金や授業料以外の費用への補助金について、また受験にかかる費用についてもご紹介いたします。

目次

  1. 高校の学費、授業料、公立・私立でそれぞれいくら?
    • 公立高校の学費
    • 私立高校の学費
  2. 高校授業料無償化とは?年収の条件は?共働き世帯も対象?
    • 高校無償化「高等学校等就学支援金制度」とは
    • 世帯年収と世帯人数などで判定される
  3. 私立高校の授業料、東京都の助成金はいくら?他の地域もある?
    • 東京都の助成金や補助金制度
    • 神奈川県や兵庫県にも補助制度がある
  4. 高3は、授業料+大学受験費用が必要に!受験はいくらかかる?
    • 大学受験の受験料、目安はいくら?
    • 高額な入学料、私立理系では26万円程度
    • 受験塾に通えば進学塾代がプラス
  5. まとめ

高校の学費、授業料、公立・私立でそれぞれいくら?

小中学校と異なり、高校は義務教育ではないため、公立高校でも授業料や入学金がかかります。
学費の詳細を見てみましょう。

 

公立高校の学費

文部科学省が実施している平成30年度子供の学習費調査によると、公立高校の3年間の学費の平均額は約84万円です。※1
ただ世帯年収などの条件を満たせば「高等学校等就学支援金制度」が適用され、年間11万8,800円が支給されます。(2021年5月現在)※2
【公立高校の授業料】
多くの公立高校では、授業料は118,800円です。※2
「高等学校等就学支援金制度」対象世帯では実質負担がなく、無償化対象外の世帯では118,800円前後の授業料がかかることとなります。

【公立高校にかかる授業料以外の学費】

(単位:円)
公立高校の学費1年2年3年3年間合計
学校教育費の合計額370,374299,848171,000841,222
修学旅行・遠足・見学費14,51189,5232,255106,289
学校納付金(その他)32,79424,89925,63983,332
教科書費34,55020,06512,69267,307
学用品費等35,90312,3788,24056,521
教科外活動費62,80541,68116,768121,254
通学費54,83742,41740,366137,620
制服55,5168,3044,11967,939
(参考)学校外活動費137,606160,622232,622530,850
※1平成30年度子供の学習費調査/文部科学省より作成

授業料以外の費用を見ると、公立高校でも意外と費用がかかると感じませんか?
高校になると教科書代もかかる上に、通学費として交通費が必要な場合もあります。
また上記の表にはないものの、給食がなくお弁当代がかかる場合もあるでしょう。
食べ盛りの高校生、お弁当1食500円とすると1年で120,000円近い費用がかかります。

 

私立高校の学費

私立高校の場合は、私立小中学校と同様、入学費や授業料の負担が大きくなります。
私立高校にかかる費用は3年間で約2,150,000円です。
私立高校の場合、学校にかかる費用は学校ごとに様々です。
地域によっても開きがあるでしょう。
私立高校にかかる平均的な学費は下記の通りです。

【私立高校の学費】

(単位:円)
私立高校の学費1年2年3年3年間合計
学校教育費956,333660,825532,5252,149,683
主な内訳:授業料241,755216,823231,296689,874
修学旅行・遠足・見学費33,648116,19611,874161,718
学校納付金(その他)313,129109,542124,479547,150
教科書費35,68019,969 14,34069,989
学用品費等34,36313,0769,78457,223
教科外活動費86,25859,08022,223167,561
通学費78,73873,57667,701220,015
制服71,54611,8466,26689,658
(参考)学校外活動費203,683232,302318,562754,547
※1平成30年度子供の学習費調査/文部科学省より抜粋

私立高校の場合、授業料と学校納入金が公立よりも高額です。
2020年4月から「高等学校等就学支援金制度」が私立高校も対象となっており、世帯年収などの条件を満たせば最大396,000円が支給されます。※3(2021年5月現在)
さらに都道府県の支援制度もあるので、対象となる世帯では上記金額よりも大幅に学費が抑えられるでしょう。
最大の受給額の対象となれば、3年間でかかる学費はおよそ半分です。
東京都では、都内在住者を対象とした私立高校向けの助成金制度があります。
この助成金制度も、世帯年収や世帯人数などの条件を満たした場合に、最大348,200円が支給されます。※4(2021年5月現在)
国の支援金制度と併用できるため、対象の世帯では大幅に学費の負担が軽くなります。
次章では、これらの学費に対する支援制度について、詳しくご紹介します。

 

※1 平成30年度 子供の学習費調査 2 学年(年齢)別,所在市町村の人口規模(学科)別の学習費 (4)高等学校(全日制)より/文部科学省/2021年5月6日現在
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00400201&tstat=000001012023&cycle=0&tclass1=000001135827&tclass2=000001135828&tclass3=000001135830&tclass4val=0
※2高等学校等就学支援金制度(就学支援金制度概要リーフレット)/文部科学省/2021年5月6日現在
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/20200715-mxt_kouhou02_2.pdf
※3 高等学校等就学支援金(就学支援金リーフレット)/文部科学省/2021年5月6日現在
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/20210317-mxt_kouhou02_1.pdf
※4 私立高等学校等授業料軽減助成金事業|東京都私学財団/2021年5月6日現在
https://www.shigaku-tokyo.or.jp/pa_jugyoryo.html

高校授業料無償化とは?年収の条件は?共働き世帯も対象?

ここまでは公立・私立それぞれにかかる学費についてご紹介しました。
ここからは、国や都道府県の高校の学費に関する支援制度についてさらに詳しく見ていきましょう。

 

高校無償化「高等学校等就学支援金制度」とは

高校生の就学を支援する制度が、“高校無償化”とも呼ばれている「高等学校等就学支援金制度」です。
世帯年収や世帯人数などの条件を満たしていれば、国から支援金が受給でき、国公立・私立どちらの高校も対象です。
【対象】
日本に住所があり、高校等に在学する人のうち世帯年収などの条件を満たした場合※2
【支給額】
公立高校の場合・・・年額118,800円※2
私立高校の場合・・・年額118,800円~396,000円※2
【支給方法】
受給するには、学校からの案内をもとに学校へ申請書を提出します。※2
提出した書類をもとに都道府県が認定し、受理された場合に受給できます。※2
ただ支援金は、家庭で受け取れるものではありません。※2
国から学校へ、授業料として直接支払われます。※2
私立高校の場合は、支給額の不足分の授業料を家庭で負担します。※2

世帯年収と世帯人数などで判定される

対象かどうかは、世帯年収や世帯の人数、子供の人数など複数の基準から判定されています。
わかりやすく“世帯年収”と表現しているものの、実際に算出の基準となるのは、“市区町村民税の課税標準額”です。※3
“市町村民税の課税標準額×6% - 市町村民税の調整控除の額“で算出した額が基準となります。※3
文部科学省のリーフレットに紹介されている世帯人数と年収の目安の一部をご紹介します。


【公立高校・私立高校の支給額118,800円の対象例】

  • 両親共働きで子供が中学生と高校生の場合、世帯年収約1,030万円※3
  • 両親のうち1人が働いていて子供が大学生と高校生の場合、世帯年収約960万円※3

 

【私立高校の最大支給額396,000円の対象例】

  • 両親共働きで子供が中学生と高校生の場合、世帯年収約660万円※3
  • 両親のうち1人が働いていて子供が大学生と高校生の場合、世帯年収約650万円※3

※こちらは目安です。詳しくは学校や都道府県へお問い合わせください。

 

この「高等学校等就学支援金制度」は、全国の8割の高校生が利用していると言われています。※2
共働き世帯も対象で、公立高校の場合は授業料が実質無料となる家庭も少なくないでしょう。
私立高校でも、公立と同額の118,800円の支給を受けられれば、高額な授業料の負担軽減になります。
都道府県によっては、私立高校向けにさらに支援制度が整備されています。
次章で詳しく解説します。

 

※2高等学校等就学支援金制度(就学支援金制度概要リーフレット)/文部科学省/2021年5月6日現在
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/20200715-mxt_kouhou02_2.pdf
※3 高等学校等就学支援金(就学支援金リーフレット)/文部科学省/2021年5月6日現在
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/20210317-mxt_kouhou02_1.pdf

私立高校の授業料、東京都の助成金はいくら?他の地域もある?

私立高校の授業料に対して、国の高校無償化「高等学校等就学支援金制度」とは別に都道府県ごとに授業料に対する補助金制度を設けているところもあります。
国の支援金制度と併用できるため、助成の適用になれば私立高校であっても学費負担が低減されます。

 

東京都の助成金や補助金制度

東京都では、高校の学費に対していくつかの助成金や補助金の制度があります。
保護者が東京都在住で、各制度の条件を満たす場合に支給されます。
都外から東京都内の高校に通っている場合、申請できるのは住んでいる都道府県の制度です。


【東京都の私立高校等への負担軽減制度】

  • 私立高等学校等授業料軽減助成金(特別奨学金補助)※5
  • 学校の授業料減免制度に対する補助※5
  • 私立高等学校等奨学給付金※5
  • 私立高等学校等授業料軽減助成金(特別奨学金補助)

東京都では、高額な私立高校の授業料負担を軽減する「私立高等学校等授業料軽減助成金」という制度があります。
こちらも世帯年収や世帯人数をもとに基準が定められています。※4
支給額は最大で348,200円。※4
国の支援金と併せると、年間467,000円です。(2021年5月現在)
子供が3人以上いる場合は、世帯年収にかかわらず59,400円が支給されます。※4
ただこの支給される額は、実際に負担した授業料の範囲内です。※4
世帯年収や世帯人数ごとに細かく基準が定められていますので、対象かどうか気になる場合は学校等へ問い合わせてみて下さい。

 

学校の授業料減免制度に対する補助

家計が苦しい場合や、経済状態の悪化などにより急に学費の支払いが難しくなった時の補助もあります。
この制度は、学校への補助制度です。※6
生徒の家計状況により授業料を免除した学校に対して、補助金が支払われます。※6
家庭に補助金がもらえるわけではありません。
通っている学校に減免制度がなければ利用できませんので、詳しくは学校に確認してみて下さい。

 

私立高等学校等奨学給付金

授業料以外の費用を助成する制度が「私立高等学校等奨学給付金」です。
こちらの対象は、住民税非課税の世帯です。※7
令和3年度は最大で150,000円支給されています。(全日制第二子の場合)※7

 

※4 私立高等学校等授業料軽減助成金事業|東京都私学財団/2021年5月6日現在
https://www.shigaku-tokyo.or.jp/pa_jugyoryo.html
※5 授業料負担軽減パンフレット(通信制)/東京都私学財団/2021年8月19日現在
https://www.shigaku-tokyo.or.jp/pdf/pamphlet/r3_brochure_t.pdf
※6 経常費補助とは|東京都生活文化局/2021年5月6日現在
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/shigaku/jyosei/0000000050.html
※7 私立高等学校等奨学給付金事業|東京都私学財団/2021年5月6日現在
http://www.shigaku-tokyo.or.jp/pa_shougaku.html
※8 私立高等学校等生徒学費補助金について - 神奈川県/2021年5月6日現在
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/v3e/jyosei/gakuhisien/gakuhihojyo.html
※9 私立高等学校等生徒授業料軽減補助制度 兵庫県/2021年5月6日現在
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk35/pa15_000000008.html
※10 愛知県入学納付金補助金(高等学校全日制) - 愛知県/2021年5月6日現在
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/shigaku/0000003288.html

神奈川県や兵庫県にも補助制度がある

神奈川県では、世帯年収の条件を満たせば私立高校の授業料や入学金の補助が受けられます。※8
授業料の補助額は最大325,200円。※8
入学金の補助額は最大208,000円です。※8(2021年5月現在)
兵庫県では授業料軽減の補助制度が、愛知県にはさらに入学金の補助制度もあり、都道府県ごとに補助される金額も様々です。※9※10
兵庫県の場合は授業料が最大100,000円、愛知県の場合は入学金が最大200,000円補助されます。※9※10
対象は世帯年収などの条件を満たした世帯である点は同じです。
その他の県にも様々な制度があります。
お住まいの地域の制度を確認してみて下さい。

 

高3は、授業料+大学受験費用が必要に!受験はいくらかかる?

高校3年生時には、高校の学費にプラスして大学進学に向けた受験料や入学料が必要です。
お金のかかる大学入学を控え、これらの負担も軽くはありません。
主な費用となる受験料・入学納付金についてみてみましょう。

 

大学受験の受験料、目安はいくら?

大学受験は、受験するコースの数が多くなるほど費用がかかります。
国公立+私立2コースを受験するだけでも、必要な受験料は10万円を超えるでしょう。


【大学受験料の目安】

  • 入学共通テスト 約18000円※11
  • 国公立大学の受験料 約17000円/1校当たり※12
  • 私立の受験料 約30000円~35000円程度/1受験当たり※13※14※15

私立大学の場合、1コース受験ごとに受験料がかかります。
同一大学同一学部であっても、異なる選考方法で併願すると、それぞれに費用がかかる大学も多いでしょう。
さらに遠方の大学を受験する場合には、交通費や宿泊費用も必要です。

 

高額な入学料、私立理系では26万円程度

複数の大学を受験する場合は、私立大学では入学のいかんにかかわらず、入学の意思がある場合には合格発表後に入学料を支払わなければなりません。
学校や学科により入学料の費用は異なり、文系学部では約23万円、理系・その他の学部では約26万円、医学部では100万円を超える金額となっています。※16
入学しない場合でも返金はありません。
合格発表後すぐに必要になる費用ですので、すべり止めで私立大学を受験する場合でも必要な費用です。

 

受験塾に通えば進学塾代がプラス

大学受験にむけ進学塾に通う場合には、塾代がかかります。
平成30年度子供の学習費調査によると、公立高校の生徒の3年間の学習塾代は約32万円、私立高校の生徒では約40万円です。※1
予備校に通うのにかかる費用は?年間費用、学費免除や奨学金制度まで詳しく解説

にある通り、大学進学の場合は文系か理系か、目指す大学のレベルの高低により塾代は異なります。
場合によっては、これ以上の費用がかかる可能性もあるでしょう。
大学受験にかかる費用の目安は、受験料と入学料で35万円程度(医学部以外)。
さらに進学塾に3年間通い40万円をかけるとすると、合わせて約75万円の費用が学校の学費以外にかかることになります。
受験費用は早めに準備しておくのがよさそうですね。

 

※11 共通テストの仕組み・運営|大学入試センター/2021年5月6日現在
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_gaiyou/index.html
※12 入学料・授業料 | 東京大学/2021年5月6日現在
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/tuition-fees/e03.html
※13 検定料 |早稲田大学 入学センター/2021年5月6日現在
https://www.waseda.jp/inst/admission/undergraduate/system/fees/
※14 入学者選抜試験概要 | 専修大学/2021年5月6日現在
https://www.senshu-u.ac.jp/education/lawschool/admission/#anchor03
※15 国際基督教大学教養学部2019 年度入学試験要項/2021年5月6日現在
https://www.icu.ac.jp/admissions/undergraduate/images/2019%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E4%B8%80%E8%88%AC%E5%85%A5%E5%AD%A6%E8%A9%A6%E9%A8%93%E5%85%A5%E8%A9%A6%E8%A6%81%E9%A0%85.pdf
※16 令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について/文部科学省/2021年5月6日現在
https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_sigakujo-000011866_1.pdf

まとめ

高校の学費についてまとめました。
高校在学の3年間でかかる学費の目安は、公立高校で約84万円、私立高校で約210万円です。
義務教育である小中学校より費用はかかりますが、世帯年収によっては公立・私立とも支援金や補助金や助成金が受給可能です。
自治体により制度が異なりますが、小中学校の就学援助制度よりも受給条件は幅広い世帯を対象としているので、高校の学費を考える際には一度自治体や学校に確認してみましょう。
高校では、学校の学費以外にも大学受験に高額な費用がかかります。
また、大学に見事合格すれば大学の学費は高校までの費用よりも高額になります。
進路の目標が立った段階で、受験対策にいくらかけられるのか、何校受験するのか、また大学の学費をどうするのかを一度親子で話し合い、早めに資金計画を立てておきましょう。
教育資金の準備については、
教育資金はいくら必要?貯め方は?贈与の注意点は?
の記事で詳しくご紹介しています。

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