教育資金はいくら必要?貯め方は?贈与の注意点は?

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教育資金は「住宅資金」「老後資金」に並ぶ人生における三大資金の1つ。

特に子育て世代にとって、目先の教育資金の準備は必要不可欠です。

教育資金の目安や貯め方のコツから、教育資金贈与の税制について解説します。

 

目次

  1. 子供の教育資金、目安はいくら?
    • 幼稚園児の教育費、私立では年間50万円以上
    • 小学生の教育費、公立でもゼロではない
    • 中学生、私立を選ぶと教育費は公立の3倍
    • 高校生の学費は無償化により負担減
    • 大学の教育費、私立で年間137万円
  2. 教育資金はどう貯める?どう選ぶ?ジュニアNISAはいつまで?
    • 教育資金を貯める主な方法3つ
    • 教育資金の貯め方、どれがいいかは期間ごとに異なる
  3. 教育資金を運用して増やすには?ジュニアNISA以外には何がある?
  4. 教育資金の贈与、贈与される時の注意点とは?
    • 教育資金贈与とは?
    • 贈与を受ける側の3つの注意点
  5. 子供二人の教育資金、貯め方のコツは?子供名義の口座は必要?
    • 計画的に準備を
    • 子供の教育資金、名義は?運用商品の場合の管理は?
  6. まとめ

子供の教育資金、目安はいくら?

幼稚園~大学までに必要な教育費は、幼稚園から大学まで全て国公立でも約800万円
仮に、幼稚園から大学まで全て私立の場合だと約2,200万円もかかります。
子供が2人、3人となると2倍、3倍とかかる計算になるので、早めの準備が肝心です。
ここでは、子供の年齢ごとに必要な教育費の目安を解説します。

 

幼稚園児の教育費、私立では年間50万円以上

未就学児に必要な教育資金の目安は、幼稚園で20万円~53万円ほどです。※1
私立か公立かで、かかる費用の差は2倍以上です。
一方保育園では、保育料徴収基準額表という基準があり、各市町村によって、子供の年齢や所得基準などによって保育料が定められています。
東京都北区の例でみると、0~2歳児の保育料は所得に応じて0円~63,000円の保育料が定められています。※2
保育の無償化が適応される3~5歳では保育料はかかりません。※2
 

幼児教育・保育無償化とは?その制度から対象までを説明

で解説の通り、2019年10月よりスタートした幼児教育・保育の無償化により幼稚園や保育園にかかる教育費の負担も軽減されました。
ただし入学費や給食の食材費、行事費用などは無償化の対象外です。※3
さらに習い事など、幼稚園や保育園以外でかかる教育費も少ない額ではありません。

 

【幼稚園児一人にかかる教育費/年(単位:円)】

公立幼稚園 私立幼稚園
学習費総額 223,647 527,916
(内訳)学校教育費 120,738 331,378
   学校給食費 19,014 30,880
   学校外活動費 83,895 165,658

<平成30年度子供の学習費調査より/文部科学省>※1

小学生の教育費、公立でもゼロではない

小学生の1年間に必要な教育資金の目安は30万円~160万円です。
私立と公立では、その差は130万円ほど。
私立では、授業料にあたる学校教育費が高いだけでなく、学校外活動費が効率の3倍もかかっています。
一方公立小学校では、授業料はかからないものの、学校にかかる費用はゼロではありません。
給食費や教材費は、基本的には家庭で負担します。
学習塾などの学校外活動費を含むと、公立小学校でも月平均約3万円弱がかかるようです。※1
小学校にあがると公立・私立ともに塾や習い事などの学校外活動費にかかる費用負担が増えています。

 

学年別の学費については、
小学校の学費は公立と私立でこれだけ違う!学費と塾代を学年別の比較

の記事にまとめられています。

【小学生一人にかかる教育費/年(単位:円)】

公立小学校 私立小学校
学習費総額 321,281 1,598,691
(内訳)学校教育費 63,102 904,164
   学校給食費 43,728 47,638
   学校外活動費 214,451 646,889

<平成30年度子供の学習費調査より/文部科学省>※1

中学生、私立を選ぶと教育費は公立の3倍

中学生の年間に必要な教育資金の目安は49万円~140万円です。
学校外活動費を含めると、公立の場合でも年間50万円近い教育費がかかっています。
小学校に比べ 公立と私立との学習費の差は約3倍程度。
公立中学校の場合、授業料はかからないものの、入学時の制服代や通学鞄などの費用は家庭で負担しなければなりません。
また中学校からは、部活動のユニフォーム代や道具代なども必要になるでしょう。

私立と公立の違いを比較すると、私立中学では入学試験の検定料や入学金の費用負担は大きいものです。
さらに給食費についても違いがあります。
公立の場合は給食制のところも多い一方、私立の場合はそもそも給食がない学校もあるでしょう。
給食費はかからないものの、お弁当にかかる食費や、学校でお昼を買うための費用が別途かかります。
仮に1食300円としても、1ヶ月20日で換算すると年間72,000円。
公立中学の給食費よりは、負担が大きいと考えられます。

 

一方で、学校外活動は私立と公立では大きな差はありません。
学校外活動費の内訳をみると公立中学校では学習塾代の支出が多いことがわかります。※1
私立中学校は学校での学習サポートを手厚かったり、中高一貫で高校受験がなかったりという理由から、学習塾にかける費用が少ないのでしょう。

 

学年別の学費については、
中学校の学費は月々いくら?公立・私立それぞれご紹介

の記事にまとめてご紹介しています。

 

【中学生一人にかかる教育費/年(単位:円)】

【中学生一人にかかる教育費/年(単位:円)】

公立中学校 私立中学校
学習費総額 488,397 1,406,433
(内訳)学校教育費 138,961 1,071,438
   学校給食費 42,945 3,731
   学校外活動費 306,491 331,264
<平成30年度子供の学習費調査より/文部科学省>※1

高校生の学費は無償化により負担減

高校に必要な教育資金の目安は45万円~97万円です。
私立の小学校や中学校に比べ私立高校は全体的に学習費が抑えられているようです。

高校については「高等学校等就学支援金制度」と呼ばれる授業料の支援制度が2020年4月よりスタートしています。
この制度の対象であれば、高校生の教育費はさらに抑えられるでしょう。

「高等学校等就学支援金制度」は、全国の約8割の生徒が利用しており、世帯年収や家計の就労形態、子供の人数などによって支援額が決まります。※4
全日制の私立高校の場合、支給額は最大39万6,000円。※4
「私立高等学校授業料の実質無償化」とも言われています。
年収1000万円超の世帯でも、一部支給の対象のケースもあります。※4
公立高校の場合の支給額は最大11万8,800円です。※4

 

高校にかかる教育費や大学受験の費用について、
高校の学費、私立は公立の2倍以上!無償化の条件は?受験にかかる費用は?

の記事で詳しくご紹介しています。

 

【高校生(全日制)一人にかかる教育費/年(単位:円)】

【高校生(全日制)一人にかかる教育費/年(単位:円)】

公立高校 私立高校
学習費総額 457,380 969,911
(内訳)学校教育費 280,487 719,051
   学校外活動費 176,893 250,860
<平成30年度子供の学習費調査より/文部科学省>※1

大学の教育費、私立で年間137万円

大学に必要な教育資金の目安は66万円から137万円ほどです。
国公立の場合でも年間60万円以上の教育資金が必要で、一段と家計への負担が重くのしかかります。
ある調査では、子育ての経済的不安で大きいのは「大学等の教育費」という回答が約7割。※5
大学の場合は授業料など以外に下宿費や通学費などが必要なこともあり、多くの家庭で不安の種になっていることがわかります。

 

【大学生一人にかかる教育費/年(単位:円)】

【大学生一人にかかる教育費/年(単位:円)】

国公立大学 私立大学
学習費総額 666,700 1,373,900
<平成30年度子供の学習費調査より/文部科学省>※1

未就学から大学までにかかる教育費は、私立の場合は家計に大きな負担となります。
公立の小中学校では授業料はかからないものの、調査結果から学習塾費や給食費などを含めると、年間まとまった金額が必要です。
教育資金は、計画的に貯めていくと困らずにすみます。
次章からは、具体的な教育資金の貯め方・増やし方をご紹介します。

 

※1平成30年度子供の学習費調査の結果について:文部科学省/2021年3月20日現在
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_01.pdf
※2保育料基準額表|東京都北区 /2021年3月20日現在
https://www.city.kita.tokyo.jp/k-hoiku/kosodate/hoikuen/hoikuen/moshikomi/hoikuryo/documents/hoikuryou10gatsu.pdf
※3 幼児教育・保育の無償化について(日本語)子ども・子育て本部 / 内閣府/2021年3月20日現在
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/about/index.html
※4 2020年4月から「私立高等学校授業料の実質無償化」がスタート:文部科学省/2021年3月20日現在
https://www.mext.go.jp/content/20200117-mxt_shuugaku01-1418201_1.pdf
※5 【資料5- 2】教育投資参考資料集:文部科学省/2021年3月20日現在
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo2/siryou/__icsFiles/afieldfile/2013/01/30/1330218_11.pdf
※6 平成30年度学生生活調査結果/独立行政法人日本学生支援機構/2021年3月20日現在
https://www.jasso.go.jp/about/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2020/03/16/data18_1.pdf

教育資金はどう貯める?どう選ぶ?ジュニアNISAはいつまで?

授業料の無償化など様々な支援制度があるとはいえ、やはり経済的な負担が大きい教育費。
なるべく早くから計画的に準備するのが、無理なく教育資金を貯めるコツです。
貯める方法と、貯め方について押さえておきたいポイントを解説していきます。

 

教育資金を貯める主な方法3つ

定期預金や積立預金、学資保険、ジュニアNISAの3つの方法は、計画的に教育費を貯めるのに向いています。
ただしジュニアNISAは2023年で廃止されることが決定していますので注意してください。

 

定期預金・積立預金

まとまった金額や毎月決まった金額を預金として貯めていく方法です。
手持ちの銀行口座で貯められるので、取り入れやすいでしょう。

 

学資保険
保障を兼ね備えながら教育資金を準備できるのが、学資保険です。
保険契約者である親に万が一のことがあった場合の保証を兼ね、まとまった教育資金が必要となる時に満期を迎えるよう設定できます。

 

ジュニアNISA
未成年を対象とした少額投資非課税制度で、投資信託などで得た利益に対して、税金が非課税になる制度です。※7
運用しながら、将来の教育資金を準備する方法と言えます。
ジュニアNISAの制度は2023年をもって廃止、利用する場合の口座開設は2023年までです。※7
教育資金を運用して増やす方法については、次章で詳しくご紹介します。

 

教育資金の貯め方、どれがいいかは期間ごとに異なる

教育資金は、必要とする金額や目的は人それぞれです。
大切なのは、貯める期間と金額の目標を設定しておくこと。
教育資金は、必要になる年齢が決まっている支出です。
どのくらいの期間がかけられるのか、いくら貯める必要があるのか、子供の年齢などに応じて考えてみてください。
貯める期間に応じて、いくつかの方法に分けて貯めることも有効です。

 

※7ジュニアNISAのポイント:金融庁/2021年3月20日現在
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/junior/point/index.html

教育資金を運用して増やすには?ジュニアNISA以外には何がある?

教育資金で最もお金がかかるのが大学時の費用と言われています。


将来必要となる教育資金に備えるためには、「時間」を味方につけることが大切
今まとまった資金がなくても、時間をかけて少しずつ増やしながら貯めることもできます。
教育資金を運用して増やす場合の方法をご紹介します。

 

【教育資金の運用方法】

  • 学資保険
  • 投資信託
  • 外貨預金   など

 

何年後にどのくらい増えるのか、あらかじめ加入時に把握できるのは「学資保険」です。
一方で、投資信託や外貨預金などは何年後に必ずいくら増えるという保障はありません
解約するタイミングによっては元本割れする可能性もあります。

 

教育資金を運用して増やす場合、2・3年という短期間で増やすのは不向き。
長期投資の目線が必要です。
長い時間をかけてコツコツ増やしていくことで、より収益が安定的なものになると言われています。
経験がないと、なかなか分かりづらいものでもあります。
銀行の窓口やフィナンシャルプランナーに一度相談してみるのもよいのではないでしょうか。

 

教育資金の贈与、贈与される時の注意点とは?

教育資金について注目を集めているのが、「教育資金贈与」です。
親族などから教育資金として贈与を受ける際に、条件を満たせば非課税になるという制度です。※8
2021年の税制改正において、教育資金贈与の期限が当初は2021年までだったのが2023年まで延長されることになりました。※8
これから教育資金贈与を検討したいという方に、贈与を受ける際の注意点などを解説していきます。

 

教育資金贈与とは?

祖父母などから孫や子など に対して、教育資金として贈与を受けられる制度。
教育資金であれば最大1500万円までが非課税です。
贈与は通常、年間110万円までが非課税、これを超えた額は課税対象となります。
一方教育資金贈与は、「教育に関すること」と用途に限定されるものの、一括で多くの贈与を受けることができます。
ただし、受ける側の合計所得が1000万円を超える場合には教育資金贈与を受けることはできません。※9

 

贈与を受ける側の3つの注意点

他にも、贈与を受ける際に気をつけたい3つの注意点があります。

 

まず1つ 目は、教育資金贈与を受けるには、申告が必要という点。
信託銀行等を経由し、「教育資金非課税申告書」を提出しなければなりません。※9

 

2つ 目は、どこまでが教育資金として認められるかを把握しておくことです。
学校などの教育機関に支払う授業料や入学金のほかに、修学旅行費用や学用品代等、通学定期代にも適用されます。※9
そのほか、学校以外の学習塾やスポーツ教室などの習い事などの月々の月謝なども適用の範囲内です。※9
不安な場合は、契約の金融機関などに都度確認すると良いでしょう。

 

最後に、教育資金として使ったことをかたちに残しておく必要がある点も重要です。
教育機関等に対して支払いをした証明として領収書や契約書を金融機関に提出しなければなりません。
その都度、領収書などをきちんと管理しておく必要があるのです。

 

教育資金贈与の場合、通常の贈与に比べ制約や用途が限定されます。
年間110万円までの通常の暦年贈与であれば用途は限定されず、複雑な書類の提出等は不要です。
一括贈与を受けられるか、メリットがあるかどうか事前に検討してみてください。

 

※8令和3年度税制改正の大綱(2/9) : 財務省 /2021年3月20日現在
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2021/03taikou_02.htm
※9 『教育資金贈与信託 「まごよろこぶ」』:三菱UFJ信託銀行 /2021年3月20日現在
http://www.lifeplan.tr.mufg.jp/zei/mago/index.html

子供二人の教育資金、貯め方のコツは?子供名義の口座は必要?

子供が二人以上いると、必要な教育資金も大きな額です。
先々困らないための準備や管理のコツをご紹介します。

 

計画的に準備を

子供同士の年齢が近い場合、高校進学と大学進学の年度が重なるなど、教育費用がかかる時期が重なることもあるはずです。
年によっては一気に家計への負担も大きくなることもあるでしょう。

まずは高校入学、大学入学など、まとまった大きい資金が必要となる年はそれぞれ何年後になるのかを計算してみてください。
さらに本記事でご紹介した費用を参考に、必要な資金を算出してみてください。
そうすると、何年後にいくらくらい必要かが見えてきますよね。
その結果に合わせ、月々貯めるべき額を設定し、定期預金や学資保険などで準備を進めます。
教育資金は、基本的には子供一人一人ごとに分けて準備しましょう。

 

子供の教育資金、名義は?運用商品の場合の管理は?

教育資金として貯める場合、子供それぞれの名義で貯めておくこともできます。
親名義の口座として貯めていくことも可能なものの、教育資金に使った後に子供に口座を渡すなら、子供名義で口座を開設しておくのもよいでしょう。

ただし子供名義の口座でも、贈与税の対象になる場合もありますのでご注意ください。

 

一方、通常の投資信託等、運用性の商品は親の名義で管理しなければなりません。
上の子用の貯金は夫名義で、下の子用は妻名義でというように、あらかじめ誰のために貯めていくものなのかを決めておくと分かりやすいです。

 

まとめ

子供の教育資金は、まとまったお金が必要です。
大学までに1,000万円を超える金額と聞くと、頭が痛いですよね。
ただ資金が必要となる時期があらかじめ分かるため、計画的に準備できます。
家庭に合った貯蓄の方法で貯めていきましょう。
いくつかの方法を組み合わせるのも1つ の手です。
2023年までであれば、ジュニアNISAの口座開設もできます。

 

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