受験、就活、進学、コロナの影響は?学校選びにも変化が
新型コロナウイルスによる休校や外出自粛は、子供たちの進学や就職へも影響を与えました。
コロナ禍の1年で受験や就職活動にどのような変化があったのかをまとめました。
目次
- 中学受験への影響は?学校選びにも変化が
- 首都圏の受験者数はほぼ横ばい
- 学校選びが変化
- 受験当日、入試への影響
- オンライン授業の導入率
- 高校受験への影響は?入試はどう行われた?
- 高校の受験率は微減
- 入試への影響
- 高校でのオンライン授業の導入状況
- 進学率に影響あり?コロナ禍の進路選択、大学進学は?
- コロナ禍で大学進学率はどうなる?
- コロナで変化した志望校の傾向
- 大学でのオンライン授業の導入状況
- 就活も様変わり!オンライン化だけではない変化とは
- 企業の新卒採用数は減少
- 合同説明会や面接もオンライン化
- 通年採用を検討する企業も
- まとめ
中学受験への影響は?学校選びにも変化が
コロナ禍の中学受験では、受験者数・学校選び・入試に変化が見られました。
首都圏の受験者数はほぼ横ばい
学習塾の調査によると、2021年の中学受験者は定員50,470人に対し、応募者数は310,512人で倍率は6.2。※1
2020年の倍率6.3より僅かながら下がってはいるものの、ほぼ横ばいという結果が出ています。(2021年3月8日現在)※1
コロナ禍の経済的懸念も大きな影響はないようです。
学校選びが変化
昨年までは高い偏差値の学校に人気の集中する傾向があったところ、今年は偏差値がさほど高くない学校にも志願者が集まり話題となりました。※2
私立校はオンラインによる授業を積極的に行うなど、公立校よりも柔軟な学校も多いものです※3
公立校を避けたいと考える受験者層が、合格が確実なラインの中学を受験したと考えられます。
一方私立学校では、既に時間割に沿って授業を動画配信する、テレビ会議を使って生徒同士のコミュニケーションをはかるなど、様々なオンラインでの取り組みが既に導入されているところもあるようです。※4
このように、オンライン授業などへの対応の有無が、学校選びに影響を与えているのではないでしょうか。
受験当日、入試への影響
コロナの影響で、2021年の中学受験は試験自体にも見られました。
試験当日は受験会場の入り口で検温や手指の消毒の実施を行い、37.5℃以上の高熱症状がある受験者は受験出来ないなど、感染防止対策がとられました。※5
さらに、コロナによる一斉休校で学習の進度に遅れが出てしまった学生に配慮して、小学6年生で習う漢字を主題範囲から外す受験校もあったようです。※6
2021年入試は、例年通りとはいかず受験生も親も大きな影響を受けたことでしょう。
コロナ禍を経て、2022年以降も学校選びには変化がみられるかもしれませんね。
オンライン授業の導入率
コロナ禍の休校中、オンライン授業の導入が話題となりましたよね。
休校中のオンライン授業導入状況は、地域によって差があったようです。
2020年6月の内閣府の調査によると、学校の先生からオンライン授業を受けた子供は、東京23区内では26%だったのに対し、大阪名古屋圏で8.7%、地方圏で6.7%と報告されています。※7
文部科学省では、コロナ前から生徒1人1台端末と通信ネットワークを整備する「GIGAスクール構想」を推進していました。
コロナによる休校が明けてから、2020年度内にタブレットなどの端末が導入された地域もあります。
公立校もオンライン授業の活用に向け動きだしたと言えそうです。
※1 入試倍率サマリー2021年 倍率状況一覧/日能研/2020年2月28日現在
https://www.nichinoken.co.jp/np5/schoolinfo/bairitsu/cmp/j.html
※2 中学受験率コロナ禍でも微増 偏差値50以下の学校で志願者が増えた理由とは/AERA dot./2020年2月28日現在
https://dot.asahi.com/dot/2021021900025.html?page=1
※3 オンライン教育の重要性と課題 | 内閣府/2020年2月28日現在
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2020/0708/shiryo_01-3_2.pdf
※4 オンライン上でロングホームルームを行いました/吉祥女子中学・高等学校/2020年2月28日現在
https://www.kichijo-joshi.jp/%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E4%B8%8A%E3%81%A7%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F/
※5 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う本学の入学試験における対応について/湘南学園中学高等学校/2020年2月28日現在
https://www.shogak.ac.jp/highschool/nyushi/ex_info_co
※6 生徒募集要項・学費・WEB出願・ 合否照会・入学手続き関連 [中学校]/修徳中学校・高等学校/2020年2月28日現在
http://www.shutoku.ac.jp/nyuushi/yoko_j/
※7 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査/内閣府 /2021年3月10日現在
https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo2.pdf
高校受験への影響は?入試はどう行われた?
コロナ禍での高校受験率はどうだったのでしょうか?
ここでは東京都立高の調査結果を見ていきましょう。
高校の受験率は微減
東京都教育委員会によると、2020年度の東京都立高(全日制)の受験率(最終応募倍率)は募集人数3万501人に対し、4万2577人が志願して1.40倍。※8
コロナの影響があった2021年度は、受験率1.35倍という調査結果が出ています。※9
都立高校の受験率は微減しています。
一方私立高校の応募率(中間倍率)は、2020年の2.61倍に対して2021年2.52倍と、こちらも減少しました。※10
東京都内では私立・公立とも受験率が微減したことが分かります。
入試への影響
2021年の入試では、一斉休校で授業が遅れた学生を考慮して試験の出題範囲を狭めたり、試験会場の出入り口で検温をしたりするなどの対策がとられたようです。※11
出題範囲の変更は、受験生にとっては大きな影響ですよね。
来年度以降の入試にも、2020年以降の休校の影響が出るのでしょうか。
高校でのオンライン授業の導入状況
高校では、平成27年から遠隔授業が認められていました。※12
内閣府の調査によると、コロナ禍の休校中にオンライン授業を受講した高校生は約半数。※7
通常の授業をオンラインで受講できたのはわずか13%でした。※7
民間企業が2020年9月に実施したアンケート調査でも、高校生のオンライン授業受講率は約半数。※13
小中学生よりは多いものの、学校ごとの対応に開きのあることが伺えますね。
※7 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査/内閣府 /2021年3月10日現在
https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo2.pdf
※8 令和2年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(全日制)/東京都/2021年3月10日現在
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2020/files/release20200213/01_r2.pdf
※9 令和3年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(全日制)/東京都/2021年3月10日現在
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/high_school/application/files/release20210215/doc_1.pdf
※10 令和3年度都内私立高等学校入学応募者状況(一般入試・中間)|東京都/2021年3月10日現在
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/02/03/16.html
※11 東京都立高等学校を志願する生徒の保護者の皆様へ /東京都教育委員会/2021年3月10日現在
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/high_school/exam/files/relase_20201218_2/besshi02.pdf
※12 高等学校における遠隔授業[教科・科目充実型]/文部科学省/2021年3月10日現在
https://www.mext.go.jp/content/20200610-mxt_koukou01-1358056_2.pdf
※13 マカフィー、コロナ禍におけるIT利用やセキュリティに関する調査結果を発表 | マカフィー/2021年3月10日現在
https://www.mcafee.com/enterprise/ja-jp/about/newsroom/press-releases/press-release.html?news_id=2020100601
進学率に影響あり?コロナ禍の進路選択、大学進学は?
コロナ禍で大学進学率はどうなる?
コロナの影響で2021年度の大学進学率はどのようになるのでしょうか?
ある学習塾が発表した、2021年度の主要私立大志願状況のデータによると、2020年度2,650,467人に対して、2021年度は2,345,527人。※14
前年比88%という結果が出ています。※14
中高の受援率とは異なり、大学の志願状況は大幅に減少しています。
やはりコロナによる感染拡大や経済状況の悪化などが影響しているのではないでしょうか。
コロナで変化した志望校の傾向
大学受験において、コロナの影響を受けたことの1つが「志望校の変化」です。
これまでは東京都内にある有名大学に人気が集中していました。
しかし2021年は、首都圏の大学を避け地元の大学を選ぶ学生が増えたと言われています。※15
大学でのオンライン授業の導入状況
内閣府の調査によると、休校中の大学生のオンライン授業受講率は95%を超えています。※7
通常の授業をオンラインで受講したとの回答も約75%です。※7
大学では、多くの学校がオンライン授業を取り入れていました。
しかしオンライン授業が評価されている一方で、大学へ通えないことへの懸念も問題視されています。
2020年10月~12月に文部科学省が実施した大学への調査によると、調査校のうちに半数の大学が授業の半数以上を対面で実施していると回答しています。※16
さらに2020年9月時点の国立大学への調査によると、大学の施設を全面的に利用可能としている学校は14%と少数です。※17
図書館などの利用も制限されているところもあり、学生によっては学業に支障がでている可能性もあるでしょう。
今後、段階的に対面授業が再開されていく様子ではあるものの、大学選びの基準にも影響を与えそうですね。※16
※7 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査/内閣府 /2021年3月10日現在
https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo2.pdf
※14 2021年度主要私立大学志願状況(2月25日現在集計) /河合塾/2021年3月10日現在
https://www.keinet.ne.jp/exam/topic/20/20210226-2.pdf
※15【大学入試情報(4)】コロナ禍で地元志向がより顕著に/産経新聞/2021年3月10日現在
https://www.sankei.com/nyushi/news/201121/nys2011210001-n1.html
※16 大学等における後期等の授業の実施状況に関する調査/文部科学省/2021年3月10日現在
https://www.mext.go.jp/content/20201223-mxt_kouhou01-000004520_01.pdf
※17 コロナ対応の現状、課題、今後の方向性について/文部科学省/2021年3月10日現在
https://www.mext.go.jp/content/20200924-mxt_keikaku-000010097_3.pdf
就活も様変わり!オンライン化だけではない変化とは
企業の新卒採用数は減少
コロナの拡大は、就職活動にも大きな影響を与えました。
2020年に行われたアンケート調査によると、2022年卒学生の新卒採用数を「前年度より減らす」と答えた企業は11.6%、「前年度より増やす」と答えた企業は7.6%となっており、新卒の採用者数は減少傾向にあると考えられます。※18
「わからない」と答えた企業は前年度の19.7%から26.1%と増加。※18
先行きの不透明さが伺えます。
合同説明会や面接もオンライン化
コロナによる就活への影響は合同説明会や面接などのリアルイベントにも影響を及ぼしています。
説明会や面接は多くの人が集まるうえに至近距離で会話をするため、多くの企業がオンラインでの選考に切り替えを余儀なくされました。
大規模な合同企業説明会の開催も中止され、オンラインでの説明会や面談が実施されています。※19
2021年度の22卒採用でも同様に、オンライン選考が盛んです。a
オンライン選考には、就活生も試行錯誤しています。
オンラインでは対面よりも自分の意志や熱意が伝わりづらいため、カメラを見て話す、リアクションを大きくするなど工夫をしている学生もいるようです。※20
通年採用を検討する企業も
2020年はコロナの感染拡大により、従来の就活スケジュール通りの採用が難しい状況でした。
採用シーズン真っただ中の3月~6月にかけて外出自粛となり、合同説明会の中止や面接の後ろ倒しなどの対応が必要となったためです。
これを機に新卒者の一括採用ではなく「通年採用」を導入した企業もあります。※21
この通年採用とは期間を限定せずに、企業側が必要なタイミングで随時採用を行う方式のこと。
企業側は、留学中などで卒業時期が異なる学生も採用しやすくなることもあり、日本経団連も通年採用を推奨しています。※22
今後は、通年採用をする企業も増えるのではないでしょうか。
※18 ワークス採用見通し調査(新卒:2022年卒)/リクルートワークス研究所/2020年2月28日現在
https://www.works-i.com/research/works-report/item/201221_saiyou_1.pdf
※19 『リクナビ2021』合同企業説明会 3月1日から31日まで中止を決定 | プレスリリース | リクルートキャリア - Recruit Career/2020年2月28日現在
https://www.recruitcareer.co.jp/news/pressrelease/2020/200220-01/
※20 コロナ禍就活の実態と若者の価値観 | SHIBUYA109 lab.
https://shibuya109lab.jp/article/210216.html
※21 2021年度新卒採用枠を拡大 通年採用の導入により多様な人材確保 アイリスグループ過去最多640名を採用予定 | アイリスオーヤマ/2020年2月28日現在
https://www.irisohyama.co.jp/news/2020/?date=0804
※22 現在、就職活動をしている学生の皆さんへ (2020-05-29) |経団連/2020年2月28日現在
https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/049.html
まとめ
コロナ禍で受験や就活は大きな影響を受けました。
試験の形態や志望する学校や企業の傾向など、コロナ前とは異なる状況です。
今後の受験や就活も引き続き、このような変化があることを想定したうえで試験や就職活動の対策が必要となるかもしれません。
感染対策をしっかり行いつつ、子どもが最高のパフォーマンスが出せるよう、親としてサポートしていきたいですね。