親業をマスターすれば親子の絆が深まり、子育てがもっと楽しくなる

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思い通りにいかない子育てに、毎日のようにイライラしたり、不安を抱えたり。
「子育ては難しい」と思う方も、多いのではないでしょうか。
そんな日常から抜け出すために、親業の方法を取り入れてみませんか。
肩の力を抜いて、子育てを楽しみ、笑顔に溢れた毎日を送ってみましょう。

目次

  1. ママ友とは?欲しい場合、どこで出会う親業から学ぶ親の役割とは
    • なぜ親業を学ぶ必要があるの?
    • 親業での親の役割とは何か
  2. 親業で子供の問題解決の能力を育てる
    • こんな対応が実は子供の成長を阻んでいた!?
    • コミュニケーションを磨いて、本音で語り合える親子関係を作る
  3. 親の主張を上手に伝える親業流の方法
    • 子供の行動を不快に感じたときの対処
    • 親子の欲求や不満がぶつかり合うときの対処
  4. 環境を変える、整えると親業もよりスムーズになる
    • 環境改善はどの年代にも有効であり効果絶大
    • 環境改善はこうして進めよう
  5. まとめ

ママ友とは?欲しい場合、どこで出会う親業から学ぶ親の役割とは

なぜ親業を学ぶ必要があるの?

親業とは、「将来こんな大人になって欲しい」という願いを込めて、親の思い描く理想像に近づけるために「どう育てていくか」と考える子育て法ではありません。
「こんな大人」に成長するためには、親がどのように子供と関わっていけば良いのか、親が果たす役割について考え行動しながらコミュニケーションしていく親になるための訓練なのです。 ※1
かつては、親や親戚、教師、近所の人など、子供の周りにいる大人達が自分なりに学んできた情報や経験から、価値基準をみいだして子供に教えてきました。
ところが現代では、スマホやテレビなどのメディアから誰でも自由に情報が得られる時代へと変化しています。
SNSなどで知り合った人や友達が、子供の話し相手や相談相手になっている場合もあるのです。 
子供が自分の話したい相手、相談したい相手を家族の外に求めるようになると、同じ屋根の下で暮らしていても、親子のコミュニケーション不足が生じる可能性があります。 ※2
また、親の過干渉や過保護などの親側が抱えている問題が、子供の自立を阻んだり非行や問題行動を引き起こしたりしていることもあります。
子供が抱える問題の本質から目をそらし、最初からカウンセラーなどの専門家にすべてを任せるのではなく、親としての役割とは何かを親業から学び、子供とコミュニケーションをとることが何よりも大切なのです。  ※2

 

親業での親の役割とは何か

まずは親業でいう親の主な役割とは何かを学んでいきましょう。


・聞く技術を身に付ける
親の意見や考え方は言わずに、まずは子供の気持ちや考えを聞いてあげましょう。
すると子供は「ママ(パパ)は自分のことをわかってくれている」と、愛されていることを感じ、安心感や自己解決への自信を持つようになります。
親は「あなたを受け入れていますよ」という態度を、積極的に子供に示していきましょう。 ※2

 

・話す技術を身に付ける
受け入れることは、子供の欲求を全て叶えることではありません。
親にも考えやその時の感情があります。
自分の考えや気持ちを正確に、子供の心を傷つけないように伝えましょう。 ※1、2

 

・人としての価値や尊重される権利は、子供であっても皆平等であることをしっかりと認識する
子供の意見や考え方に批判や評価、注意や命令などの否定的な態度はいつしか子供の反発や何も話さなくなる状態をつくってしまいます。
まずは我が子の目線に合わせ、ありのままを受け入れてあげましょう。 ※1、3

 

・親の生きている背中を見せる
子供は親が思っている以上に親の背中を見ているものです。
本音で語り合える関係をつくり、親が自分らしく誇りをもって生きている姿を見せること、これを意識していくことも大切です。 ※2、3

 

※1 トマス・ゴードン著 1998年11月発行 親業 子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方 大和書房
https://books.rakuten.co.jp/rb/1012055/
※2 近藤千恵著 2007年2月発行 理由ある反抗 みくに出版
http://www.mikuni-webshop.com/shopdetail/008001000001/
※3 朝妻秀子著 2012年8月発行 幼児期・小学生・思春期 子どもが本当は欲しがっている お母さんの言葉 青春出版社
http://www.seishun.co.jp/?s=%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%8C%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AF%E6%AC%B2%E3%81%97%E3%81%8C%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%80%E3%81%8A%E6%AF%8D%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E8%A8%80%E8%91%89&x=0&y=0

親業で子供の問題解決の能力を育てる

こんな対応が実は子供の成長を阻んでいた!?

子供が親に悩みや不満などを伝えてきたときの対応の中には、子供の健やかな成長を妨げてしまう12のパターンがあります。※1、2

 

1.命令(何かをさせたり、しないように命令や指示をだす)
「文句ばかり言わないの」「いいから外で遊んできなさい」 
2.脅迫(どんなことになるか結果をいう、注意をする)
「意地悪してたら友達に嫌われるよ」「言うこと聞かないとママ帰るからね」 
3.説教(どのようにするべきか、しないべきかをいう)
「小さな子には優しくしなさい」「嫌なことから逃げてはダメよ」
4.提案(問題解決にむけ、助言や答えをあたえる)
「他のお友達と遊んだらどう?」「ママだったらこうするけど」
5.理詰め(親の経験や知識を持ちだし倫理だて、子供の考えに影響を与える)
「社会に出たらそんなこと通用しない」「高校は卒業した方がいいと思うよ」
6.非難(子供を評価したり否定的判断をする)
「言っていることが理解できない」「こんなこともできないなんて」
7.同意(積極的に認める、判断をする)
「まったくその通りだよね」「やればできる子よ」
8.屈辱(馬鹿にする、嫌みを言う)
「根性なしだなぁ」「わかったよカワイ子ちゃん」
9.分析(子供の言動の背景をさぐり、理解したことを伝える)
「本心は違うんでしょ?」「ずるいって言いたいのね」
10.尋問(すぐに情報を聞きだそうとする)
「どうしてやりたくないの?」「どうするつもりなの?」
11.同情(今の状態を良くしようとする、励ます)
「本当によく頑張ってるよね」「明日には良いことがあるよ」
12.ごまかす(気をそらし、親が問題から目をそらす)
「気晴らしに散歩しようか」「しょうがないよ」

 

いずれかのパターンを日常的に使ってしまうことが多いかと思いますが、親子の関係によっては子供の自立や自己肯定感の成長を止めてしまうパターンがあるのです。
親子の信頼関係が確立されているなら、「屈辱」は冗談まじりの会話となりますし、「命令」や「説教」はやる気を起こさせることもあります。 ※1、2
しかし、親子だから信頼関係があって当然と思っていたり、関係性が崩れたりすることはないと思って日常的に上記のような行動をとっていると、子供は「自分は信用されてない」と感じます。
また、子供の話をきちんと聞かずに上記の中にある同情や同意を繰り返していると、「あしらわれている」と感じ、理解されていないと思うようになります。
そしていつしか否定的になり、心を閉ざしてしまうでしょう。※2

 

コミュニケーションを磨いて、本音で語り合える親子関係を作る

子供を受け入れている姿勢を伝えるためには、受動的な聞き方をすることが、コミュニケーションの第一歩となります。
たとえば次のような言動です。

 

  1. 黙認(うなずく微笑む、など聞いている意思表示をする)
  2. あいづち(そうなんだ、へぇ、なるほど、など)
  3. うながし(それでどうなったの?もっと教えて、など)  ※1、2

親の意見は言わず、あなたの話をもっと聞きたいということを示し、子供が自分のことを話したいと思えるように導きます。 ※2

 

子供がもっと聞いて欲しいと話を進めるようになったら、次に能動的な聞き方をします。 ※2

  1. 言葉を繰り返す
  2. 言い換える
  3. 気持ちを理解する  ※2

例えば子供が「仲間外れにされた」と訴えてきたとき、

 

  1. 仲間外れにされたんだ
  2. 皆と一緒にできなかったのね
  3. 仲間外れにされたから、悲しいんだね

このやり取りでは「仲間外れにされた」という言葉から、子供の気持ちを確認して察したことを伝えています。
言葉を繰り返し、言い換え、気持ちを理解するプロセスにより、親からの「あなたはとても大切な存在だよ」というメッセージが子供に伝わり、子供は親が自分のことをわかってくれたと安心感を抱きます。 ※2、3
そして心の中の影が消えると、問題解決に向けて自分で考えるようになり、自己肯定感も育っていきます。 ※2、3

※1 トマス・ゴードン著 1998年11月発行 親業 子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方 大和書房
https://books.rakuten.co.jp/rb/1012055/
※2 近藤千恵著 2007年2月発行 理由ある反抗 みくに出版
http://www.mikuni-webshop.com/shopdetail/008001000001/
※3 朝妻秀子著 2012年8月発行 幼児期・小学生・思春期 子どもが本当は欲しがっている お母さんの言葉 青春出版社
http://www.seishun.co.jp/?s=%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%8C%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AF%E6%AC%B2%E3%81%97%E3%81%8C%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%80%E3%81%8A%E6%AF%8D%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E8%A8%80%E8%91%89&x=0&y=0

親の主張を上手に伝える親業流の方法

子供の行動を不快に感じたときの対処

では、子供の行為を親が受け入れられないときはどうすればよいでしょうか。
例えば、疲れていて休みたいのに遊ぼうとしつこい、大事な会話に子供が割って入って中断させる、など親側が不快感や満たされない欲求を抱えている場合は、きちんとその気持ちを子供に伝えましょう。
親も一人の人間ですから、自身の気持ちや権利を主張してもよいのです。 ※2
ですが、「疲れているのにあなたのせいで休めない」「話を中断させるな」といった伝え方では、自分は悪い子だ、ママ(パパ)に受け入れてもらえていないと感じてしまいます。
「遊びたいのは分かるけど、疲れているから今は休憩したいな」「大事な話を中断されると困るよ」といった具合に、子供の行為を完全否定せずに「○○だから□□だよ」と、私の気持ちを伝えましょう。
そうすると「疲れているとは思わなかった」「困ってしまうんだな」と、子供は自分が周りに与えていた影響に気が付き、相手を思いやる気持ちも育ちます。


次に、怒りの感情への対処法を考えてみましょう。
危ないと注意をしているのに子供が聞き入れず、滑って転んだとします。
つい「ほらっ、言うことを聞かないからだよ」と言ってしまいますが、こんなときはまず「大丈夫?怪我はない?心配になっちゃうよ」と伝えます。
その後に「言うことをきかなかったからだよ」、又は「次からはきちんと言うことをきいてね」と伝えましょう。
危ないと言っているのに聞き入れなかった(怒り)は、怪我をしてほしくない(心配や不安)という最初の気持ちから発生したものです。
どんな気持ちから生まれた怒りなのかをよく考えて、まずは気持ちを伝えてからその後に受け入れられなかった子供の行為を指摘しましょう。 ※1

 

親子の欲求や不満がぶつかり合うときの対処

親と子の双方がそれぞれの気持ちをぶつけ合うときも多々あります。
この状況はごく自然なことであり、本音を語り合えていることになります。
ですが、大抵はどちらか一方の意見を押し通しその場の問題を解決しようとしています。 ※1
親が意見を押し通すことが多ければ、子供は反感という怒りを持ち、非行や強い反抗をするでしょう。
また、親の言いなりになっていますので、自分の考えや判断で行動できなくなり指示待ち人間になる可能性もあります。
一方で子供の意見が常に通ってしまうと、駄々をこねれば思い通りになると学習し、やがて自己中なわがままな子になります。 ※2


そこで、親業ではこの2つ以外の方法で対処していきます。 

まず、お互いの要求や感情にフォーカスして問題点を明確にしてから、解決策を色々な方向から考え、各々が提案していきます。 ※4
その中で最も双方が納得できる案を選び、実行への進め方や取り決めを話し合い、折り合いをつけていくのです。
問題となる内容が同じであっても解決策は各家庭で異なるため、決まった最善・万能な方法はありません。
ですからご自分の家庭のルールで模索していきましょう。 ※1、4
また、親自身が「自分らしく幸せに生きている」と、自らの生き方を認めて受け入れていると、子供を一人の人間として受け入れやすくなり、子供の価値観や人生観を認めることができます。
そうすると子供に対しての不満や不安も薄れ、より良い解決策が見つかるようになるでしょう。 ※2
勝ち負けなしの対処法は、双方が納得して考えて行動をしているので、反発や敵意が起こりにくくなりお互いの気持ちを尊重できるようになるでしょう。 ※2

※4 文部科学省 教育課程部会 考える道徳への転換に向けたワーキンググループ(第3回)配付資料 「特別の教科 道徳」の指導方法・評価等について (報告)平成28年7月22日 道徳教育に係る評価等の在り方に関する専門家会議
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/078/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/09/02/1376802_5.pdf
2020年4月24日閲覧
※1 トマス・ゴードン著 1998年1月発行(手持ちの書籍には、1998年11月5日第1刷発行 との記載あり) 親業 子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方 大和書房
https://books.rakuten.co.jp/rb/1012055/
※2 近藤千恵著 2007年2月発行 理由ある反抗 みくに出版
http://www.mikuni-webshop.com/shopdetail/008001000001/

環境を変える、整えると親業もよりスムーズになる

環境改善はどの年代にも有効であり効果絶大

環境を変える、整える。
これだけでも、子供の問題行動を減らすことができます。
この環境改善はどの年代の子供にも有効で、大きな効果を発揮します。
家は、家族皆が衣食住を共にする場所なわけですから、当然子供の目線にたち、家具の配置や危険物の管理、使いやすさなどを見直すことも、大切な親業です。 ※1
また、環境改善は家庭の外でも必要です。
犯罪に巻き込まれないために、子供を取り巻く環境に対し、親はどう関わっていけばよいかと考えることも、環境改善につながります。
このように、子供との関係を見直し、環境を改善していくことは、子供の問題行動を減らすきっかけづくりになります。
子供がいくつになっても必要な親業といえます。 ※2

 

環境改善はこうして進めよう

では、詳しい方法の例を紹介していきます。


1.整える

好奇心を刺激するようなものを用意する
粘土や塗り絵、パズルや本など、子供が夢中になれるもの

子供が自由に行動できる範囲を設ける
プレイマットを敷くなど、自由に遊んでも良い範囲を決めて子供に分かるように示す ※1、2

 

2.取り除く

寝る前や静かにして欲しいときなどは刺激物を遠ざける
スマホなどの電子機器、好きなキャラクターのおもちゃなどを片付ける

危険なものや触れてほしくないものを遠ざける
刃物や壊れやすいものは手の届かい場所に移す ※1、2

 

3.変える

子供が使いやすいように変える
自分で洋服が取り出せるように工夫する、コップは握りやすいものを選ぶ

ものの場所の定位置を決める
誰が見てもわかるように、いつでも使えるようにしておく ※1、2

 

4.準備

環境の変化があるとき(引っ越し、入学など)は前もって説明をする
急な環境変化に困惑しないようにしておく

代用を準備する
床に絵を描こうとしたら、大きめ模造紙を渡すなど ※1、2

 

5.計画

お小遣いについて話し合う
月々○○円、どこまでをお小遣いでまかなうかなど

外泊や遠出の際の決まり事をきめておく
必ず電話には出る、連絡が取れない場合の対処などを決めておく

子供の部屋に入るときは必ずノックをする
子供といえどもプライバシーは守る(特に思春期からは気をつかうように心がける) ※1

 

これらはほんの一例です。
各家庭の生活スタイルや子供の年齢に合わせて、環境を改善していきましょう。
家族一丸となって、さまざまな環境改善を試行錯誤していくのも良いでしょう。
環境改善がうまくいけば、親子、夫婦、兄弟といった、双方の間で生じる不快感やイライラなどの問題行動が減り、子供と過ごす時間が楽しくなり、ぶつかり合うこともぐっと減るでしょう。 ※1、2

 

※1 トマス・ゴードン著 1998年1月発行(手持ちの書籍には、1998年11月5日第1刷発行 との記載あり) 親業 子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方 大和書房
https://books.rakuten.co.jp/rb/1012055/
※2 近藤千恵著 2007年2月5日発行 理由ある反抗 みくに出版
http://www.mikuni-webshop.com/shopdetail/008001000001/

まとめ

子供を授かった瞬間から、完璧な親になれる人はいませんし、親にとっての親業とは、一朝一夕で身につくものではありません。
親がいくらがんばっても上手くいかないときはありますが、子供も日々失敗を繰り返しながら成長しています。
親として子供に何を伝えていきたいのかを意識すれば、小さく丸まった背中ではなく、堂々とした背中をみせられるはず。
子供と一緒に成長できる親こそ、親業を果たしているといえるのではないでしょうか。

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