育脳で賢い子に育てたい!どうすれば良い?育脳の方法とは?

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子育てをしている親なら誰しも、我が子に「賢く優しく、自立できた人」に育ってほしいと願うものではないでしょうか。
近年では育脳という子育てが注目を集めています。
しかし、なかなか聞き慣れない「育脳」とは、具体的には何を表すか、どのような育児を育脳と呼ぶのか、悩んでしまいますよね。
今回はそんな育脳について見てみましょう。

目次

  1. 育脳に大切なのは「好奇心」
    • 育脳とは
    • 賢い子にと願うなら好奇心を育てよう
    • 好奇心は脳が育つ一番のエネルギー源
  2. 年齢別 育脳のすすめ方
    • 0歳~3歳
    • 3~4歳
    • 5~6歳
    • 7~10歳
  3. アウトドアは育脳に効果絶大
    • 自然は賢く育つ要素の宝庫
    • 自然界へ出かけよう
  4. 育脳離乳食で賢い脳の土台作り
    • 育脳離乳食で大切なこと
    • 育脳に必要な栄養素5つ
  5. 好奇心だけでは脳は育たない
    • 脳のコンディションを良い状態にキープ
    • やり過ぎは禁物、子供の脳にも休憩を
  6. まとめ

育脳に大切なのは「好奇心」

育脳とは

育脳とは、3歳頃までに多くの経験や刺激を適度に与えることで、脳の発達を促すことをいいます。
では、なぜ3歳頃までなのでしょうか。
その理由は生後すぐに始まる脳内のネットワークづくりが関係しています。
人間の脳内には脳神経細胞同士をつなぐネットワークがあります。
場所と場所をつなぐ道のようなものです。
赤ちゃんはいろいろなことに興味を示し、触れたり目で追ったりします。
初めて得る情報から脳が刺激され、次々と情報の通り道をつくっていきます。
そして、繰り返しよく使われる道は太く頑丈な情報の通り道となり、反対に使われなくなった道は整理されていきます。
脳内の道づくりは3歳まで活発に行われ、道の整理が3~7歳頃に行われるといわれています。※1、2、3

 

賢い子にと願うなら好奇心を育てよう

さまざまなことに「なんだろう?」、「どうして?」と関心を持ち、それらを突き詰めていく好奇心が強い子は、自然と賢い子に育っていきます。
好奇心は生まれながらにして持っているのですが、その好奇心レベルの高低は、親の働きかけや育つ環境が影響してきます。
つまり育脳には、子供の好奇心を引き出してあげることが大切なのです。 ※1、2

 

好奇心は脳が育つ一番のエネルギー源

前出の通り、脳内での情報の道づくりは産まれたときから始まっています。
そして子供の脳は著しく発達していくので、沢山の質の良い刺激でできるだけ多くの道をつくり、それぞれを強化しておくと良いでしょう。
好奇心は道を作り、強化するための大きなエネルギー源となります。
好奇心を育むためには、図鑑や本、テレビなどから得る「実体のない知識」を、実際に触れたり見たりする「本物の体験」へと結び付けてあげることが大事です。※1、※2

※3 増進堂・受験研究社 親子で育む天才能0~7歳編 子どもの脳は「3・7・10歳」で変化するって本当!? / 2019年12月25日閲覧
http://www.zoshindo.co.jp/common/images/special/tensainou/ikunoujiten_p188.pdf
※1 瀧靖之 著 2016年4月 16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ 株式会社文響社
※2 瀧靖之 著 2018年2月 脳科学者が教える!子どもを賢く育てるヒントアウトドア育脳のすすめ 株式会社山と渓谷社

年齢別 育脳のすすめ方

さあ育脳を始めるぞと小さい子に何でもかんでも知識を詰め込むのはかえって悪影響になる可能性があります。
年齢ごとの成長に合わせ、効率良く育脳をしていきましょう。

 

0歳~3歳

視覚、聴覚が凄い速さで発達していく時期です。
目に映るモノに手を伸ばしたり、口の中に入れて感触を楽しむことから始まり、ママの声に反応し、興味のあるモノを指差しするようになります。
1~2歳になってくると、粘土を使って形の変化を楽しんだり、自分で楽器を鳴らして喜んだりします。
この時期はさまざまなジャンルの図鑑や絵本、写真などを見せ、読み聞かせをしましょう
赤ちゃんの頃からの読み聞かせは、絵や写真という視覚刺激と言葉という聴覚刺激で、脳の発達にとても良い刺激を与え育脳に最適です。
さらに親子の愛着形成を深めるので、感性と感覚が身につきます。
2歳以降は、多くのものや人との触れ合いが脳を発達させます。
できるだけ沢山の経験をさせて豊かな人間性を育んでいきましょう。 ※1、2、4

 

3~4歳

3~4歳になると、好き/嫌い、合う/合わないを自分で判断をするようになります。
育脳に大切な好奇心を育てる図鑑は、遅くとも3、4歳までに用意しましょう。
子供が図鑑に興味を持ち、いろいろなものに好奇心を示すようにするためには、コツがあります。
まずは、親が楽しそうに図鑑を見るのです。
すると子供は気になり一緒になって図鑑を覗いてくるようになるでしょう。
次に毎日の中で、子供が発見したことや疑問に思ったことを「図鑑で詳しく見てみようか」と促し、親子で調べます。
子供にとって図鑑は、より身近なものになっていくでしょう。
運動面では、弾ませたボールを取る、つま先歩きなど色々な歩き方ができる、ボタンの留め外しなど、細かな動きができるようになってきます。
この細かな運動を巧緻(こうち)運動といい、器用さを身に付けるのにとてもよい時期となります。
是非この時期に楽器や体を動かす遊びで巧緻運動の能力を伸ばし、子供の才能を開花させてあげましょう。 ※1、4

 

5~6歳

生活が一変する小学校に向けて、スムーズに生活を移行できるように準備をしましょう。
この頃の子供は、語彙が増え日常会話もスムーズになり、自身の価値観を持ち、言葉や行動が大きく変化していきます。
自分の想いや意見が説明できるようになるこの時期の育脳は、まずは子供の意見に耳を傾け、それに対して丁寧に答えてあげましょう。
忙しくても毎日きちんと触れ合うことで、子供は自分が認めてもらえたという自信もつきますし、豊富な会話により語彙も増えていきます。
また、数字に慣れさせ親しみを持たせる時期です。
カレンダーの見方、値段の読み方など、生活の中にある数字に触れさせ、算数の土台づくりをしましょう。
そして、遊びやスポーツで身体を沢山動かすことも大切です。
手足を動かすことは、脳を活発に働かせることになります。
ただしこの時期はまだ筋肉の発達は十分ではありませんから、必ずしも激しいスポーツは必要ありません。
子供が、汗をかきながら夢中になれるような遊びや、スポーツの習い事で良いでしょう。 ※4、5

 

7~10歳

小学校低学年の時期は、あらゆることを吸収し脳も身体も心も全てが飛躍的に成長し出来ることが格段に増えていきます
言語の発達のピークを迎え、目上の人に対しての敬語、年下の子に対しての言葉かけなど、相手や状況によって口調や言葉づかいを使い分けるようにもなってきます。
そんな7歳~10歳の育脳では、こころの脳を育ててあげましょう。
低学年の頃はまだ、放課後に時間の余裕があります。
だからといって習いごとや家庭学習を詰め込むのはよくありません。
むしろ、自由な時間を使い何かに夢中になって取り組むことは集中力や想像力を伸ばします。
また友達と遊ぶことはコミュニケーション能力を養います
大人からすると意味がないように思われるような遊びや取り組みが、実は子供を成長させているのです。
あたたかく見守ってあげましょう。 ※2、6

※1 瀧靖之 著 2016年4月 16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ 株式会社文響社
※2 瀧靖之 著 2018年2月 脳科学者が教える!子どもを賢く育てるヒントアウトドア育脳のすすめ 株式会社山と渓谷社
※4 川原佐公 著 2015年11月 発達がわかれば保育ができる! ひかりのくに株式会社
※5 祖川泰治 著 2015年11月 小学校前3年間にできること、してあげたいこと 株式会社すばる舎
※6 中根克明 著 2016年12月 小学校最初の3年間で本当にさせたい「勉強」 株式会社すばる舎

アウトドアは育脳に効果絶大

自然は賢く育つ要素の宝庫

育脳を進めるなら、好奇心、運動力、コミュニケーション力を育てましょう。
自然の中には、この3の要素が随所にちりばめられており、日常とは違った不便さや、想定外のできごとに直面することが多くあります
もちろんすぐに解決できる便利な道具なんてありませんし、近くにお店もありませんから、困難や問題に「どうしよう」と考え「よし、こうしてみよう」と挑み、大変な思いをしながら克服していく、という体験ができます。
また、デコボコ道を一生懸命に歩き目的地に着けば「くじけずにやり遂げた!」と達成感を味わうことができます。
苦労をして何かを成し遂げるという成功体験達成感を繰り返し経験すると、子供の自信は育ち自己肯定感問題に立ち向かう力を伸ばすことができます。
これが、脳を育てる行動、育脳なのです。

 

自己肯定感は自らが進んで行動を起こす原動力になり、問題に立ち向かう力はくじけない強いこころを育てます。
また、自然の中でたくましく生きる植物や動物、昆虫に触れ合うことで、生き物の不思議を発見し知的好奇心も育ちますし、命の大切さを知ることができます。
命の価値観を知ると、思いやりのこころも成長していきます。
自然の中には「危ない!」という場面もありますが、危機や困難に対処することで脳は活発に働きます。
例えばそり滑りでは、「あの辺は急坂だから、こっちの方向に進もう」など、状況判断、問題把握、課題遂行といった能力が鍛えられるのです。
このような力は、いつしか学習や日常生活に応用されていきます。


そしてアウトドア体験はぜひ親子や家族で一緒に楽しみましょう。
子供に何かを強要するのではなく、まずは親が本気で楽しんでいる姿を子供に見せることが大切です。
楽しそうな親を見た子供は、共感性により楽しく感じ一緒に行動をおこすでしょう。
そして、褒める行為も脳を発達させますので、何かが上手にできたときは、沢山褒めることも忘れずにしてください。 ※2

 

自然界へ出かけよう

都市部に住んでいる方にとって雄大な自然を体験することはなかなか大変ですが、まずは緑地や草花、木々などが多く存在する自然公園に出かけてみましょう。
季節の植物や小動物を見学できる公園や、池や釣りを楽しめる公園など、バラエティーに富んださまざまな公園があります。
花や木の実、動物や魚などに触れ、「帰ったら図鑑で調べてみようか」と育脳に必要な好奇心を刺激し、「調べる」習慣を身につけるきっかけにもなります。
公園になれてきたら、キャンプに挑戦してみましょう。
日常を抜け出し自然の中で一夜を過ごすキャンプは、公園とは違った世界を体験できます。
居住空間となるテントは自分達で設置し、火をおこし協力しながら調理をし、雨が降ればテントに当たる雨音を聞きながら不安を感じ、夜になれば満点の星空を眺め感動する、そんな体験ができます。
自然の荒々しさや素晴らしさを知り、家族とコミュニケーションをとりながら仕事の役割分担する共同作業は子供の自立心を育み、お互いの信頼関係連帯感を一層強めることができます

 

日本には四季があり、季節により自然界も変化していきます。
訪れる場所によっても触れる要素が変わってきます。
緑に覆われた山が冬には雪山と変化したり、海は塩水なのに湖は淡水など、季節・場所が異なると見るもの体験するものも変化し、世界が広がります。
自然への興味や好奇心を持続させるために、季節・場所を変えてみるのも良いでしょう。
こうした行動も、育脳には大切なことです。 ※2

※2 瀧靖之 著 2018年2月 脳科学者が教える!子どもを賢く育てるヒントアウトドア育脳のすすめ 株式会社山と渓谷社

育脳離乳食で賢い脳の土台作り

育脳離乳食で大切なこと

脳に栄養を送るための食事も、育脳にとって大切なことです。
育脳離乳食を始める前におさえておきたい6つのポイントを紹介します。

  1. 離乳食期の食体験は、将来の食習慣に影響を与えます。
    正しい食生活を心がけましょう。
  2. 母乳やミルクの味に近いものから与えます。
    米がゆは母乳やミルクの甘味に近いので違和感なく離乳食に移行できます。
  3. 成長に合わせて少しずつ食材を増やし、いろいろな味を体験させて味覚の幅を広げます。
  4. 咀嚼は脳が刺激され活性化する効果があります。
    月齢に合わせて大きさや硬さを変えて咀嚼力を鍛えましょう。
  5. 自然の味を教えるためにも、天然素材からだしを取りましょう。
    化学調味料の旨みとの違いを判別できるようになると、正しい食を選ぶ力となります。
  6. 素材の味を覚え正しい味覚を育てるために、調味料は控えましょう。

これらのポイトを意識しながら育脳離乳食を始めてみましょう。 ※7

 

育脳に必要な栄養素5つ

離乳食でも普通食でも、栄養のバランスが大切です。
中でも、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン・ミネラル類は体の基本となる栄養素です。
育脳離乳食では以下の栄養素を意識して取り入れていくことが必要です。

  1. DHA
    DHAは主に魚に含まれる脂質で脳のネットワークづくりに必要な栄養素です。
    脳細胞を増やしネットワークを発達させ、情報をスムーズに運ぶ働きをします。
  2. タンパク質
    タンパク質は神経伝達物質の材料で、視覚・聴覚などから得た情報を記憶する・考えるといった情報処理をする場所へと送る役割をします。
    良質なタンパク質で、脳の働きをスムーズにしましょう。
  3. レシチン
    レシチンは神経伝達物質のなかでも理解・記憶に関わるアセチルコリンという重要な物質の材料になります。
    主に大豆や卵に多く含まれていて、ビタミンCと一緒に摂取すると効率的に吸収されます。
  4. ビタミン類
    ビタミンB群は脳の機能維持などに関与する栄養素で、中でも葉酸は脳をつくる上で必須な栄養素です。
    ホウレン草や枝豆などに多く含まれ、不足すると神経伝達障害を招くこともあるので、しっかりと摂取しましょう。
  5. ミネラル
    鉄分は栄養素を運搬する血液の材料ですが、不足しやすいので十分に取り入れられるように心がけましょう。
    また、脳の働きを早くするカルシウムや味覚の発達に重要な亜鉛も意識して摂取したい栄養素です。

アレルギーに注意しながら最初は少量ずつから始め、さまざまな食材からバランス良く栄養が摂取できるようにしていきましょう。 ※7

※7 小山浩子 著 2018年12月19日 脳をはぐくむ食事は0歳からかしこい子どもに育つ!「育脳離乳食」 株式会社小学館

好奇心だけでは脳は育たない

脳のコンディションを良い状態にキープ

知的好奇心が旺盛に育ってきても、脳の働きが悪く、力が生かしきれていなければ「伸びしろ」が短い、非常にもったいない状態になります。
睡眠不足は、脳の司令塔であり記憶を司る海馬の成長を妨げ、記憶力が低下します。
朝食を食べない子はこれから活発に働く脳に必要なエネルギーを届けることができず、働きが弱くなります。
運動不足もまた、脳の軟弱化を招く要因になってしまいます。
さらに、叱りすぎは子供にとってストレスとなります。
ストレスフルな状態が続くと海馬は萎縮してしまいます。
虐待もまた、海馬を萎縮させるだけでなく、情動を司る「帯状回」という部分も萎縮させてしまいます。 ※1
以上のように脳の働きに悪影響を与える習慣などを見直すことで、脳のコンディションを良い状態に保ちます

 

やり過ぎは禁物、子供の脳にも休憩を

子供が望まないことや詰め込み過ぎの行動は、子供にとっては負担が大きく、疲れや寝不足を招き、ストレスの原因にもなります。
子供が楽しいと思う分野で好奇心を育てていくように心がけましょう。
そして、子供が上手くできなかったときは「まだ早かったかな」くらいの気持ちで受け止めましょう。
そして、やる事・意欲そのものを褒めて好奇心を維持していくことが大切です。 ※1、5

※1 瀧靖之 著 2016年4月 16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ 株式会社文響社
※5 祖川泰治 著 2015年11月 小学校前3年間にできること、してあげたいこと 株式会社すばる舎

まとめ

育脳にはまず好奇心を育てていくことが最も大切なようです。
親として出来ることは「子供をよく観察しながら興味の幅を広げてあげる」こと。
育脳の取り組みによって親の脳も変化して成長していくことでしょう。
しかし、やり過ぎ、詰め込み過ぎは禁物です。
あまり難しく考えず肩の力を抜いて、親子で楽しく好奇心を育てていけるようにしていきたいですね。

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