朝って勉強してる?学習を効率的にする朝勉強のコツを紹介!
「朝勉強」が良いという話を聞いたことはありませんか?確かに、大人でも仕事のできる人は朝型と言われたりしますが、子供に朝勉強をさせると、どのような効果があるのでしょうか。
成績をアップさせるための勉強法のひとつとして取り入れられている、朝勉強のメリットと習慣化するためのコツ、学習を効果的にする方法などをご紹介します。
目次
- 朝に勉強するメリットは?
- 朝は脳科学から見て勉強のゴールデンタイム
- 勉強を習慣化できる
- 夕方の時間に余裕が生まれる
- 朝勉強に効果的な学習内容とは?
- 難易度が高すぎない理系の問題を解く
- 英語の音読をする
- 朝の勉強時間はどれくらいが最適?
- 3日坊主にならないために!朝勉強を習慣化させるコツ!
- 朝勉強をするのに早寝早起きは欠かせない
- 朝起きたときにやることを事前に決めておく
- しっかり休ませるための、夜の過ごし方
- 朝勉強に取り組む上での注意点
- 睡眠時間は削らない
- 朝食は勉強をした後で
- まとめ
朝に勉強するメリットは?
生活リズムを整えるには、朝の時間を有効活用するのが良いと言いますが、朝は実際に勉強をするのに向いている時間帯です。
脳科学的に見ても効果的であり、「勉強する子」になるための良い循環が生まれるきっかけにもなるでしょう。
朝は脳科学から見て勉強のゴールデンタイム
朝勉強するのが良いとされる理由のひとつが、脳科学的に見て、朝は「脳のゴールデンタイム」と言われることにあります。
朝いちばんの脳は、前日の疲労やストレスがリセットされる状態になるため、刺激を与えると新たな情報を受け取りやすくなるのです。
人間は、普段生活をする中で、目や耳を通じてさまざまな情報を得ています。
外部から入ってきた情報は脳の中で、大脳辺縁系の一部である「海馬」という場所に集まり、一時的に短期記憶として保管されます。
その後、大脳皮質の側頭連合野というところへ運ばれて蓄積され、睡眠によってきれいに整理され、長期記憶へと変わります。
このようにして、朝いちばんには前日に入手した情報が一度リセットされ、新たな情報を受け入れる準備ができている状態になるため、朝は新しい記憶を収納したり、物事を考えたりするのに最適な時間帯だと言われるのです。※1
勉強を習慣化できる
学力をアップさせるためには、学校だけでなく家庭学習の時間を確保することが大切ですが、家ではなかなか勉強しないと頭を悩ませている親も多いと言います。
子供が家で勉強をしない場合は、まず決まった時間に机に向かわせることが効果的ですが、それには朝の時間が適しています。
夕方以降は、帰宅時間が毎日違ったり、習い事の有無などで日々の動きが違ったりするため、「毎日同じ時間に」を実行するのが難しい状況であることが多いです。
しかし、朝であれば、毎日決まった時間に起きることができれば、ルーティーンワークとして、ひとまず机に向かわせることができます。
はじめは大した勉強をしなくても、毎日朝起きて机に向かうことが習慣化できれば、それだけで子供は達成感を味わうことができ、次第に自分から勉強するようになることが期待できます。※2
夕方の時間に余裕が生まれる
最近の子供は、習い事で忙しかったり、親が働いていて帰宅が遅かったりするため、夕方以降、就寝までのタスクが多く、時間に追われがちです。
なかなか落ち着いて家庭学習する時間をとることが難しく、勉強が習慣化しない、よって学力も向上しないという悪循環に陥ってしまいます。
しかし、朝勉強する習慣が身に付けば、夕方以降に疲れた頭や身体にムチを打って勉強するのではなく、余裕をもって就寝し、翌朝すっきりとした頭できちんと勉強に向かうという、良いサイクルを生み出すことができるのです。
※1 2013年 茂木健一郎『脳を最高に活かせる人の朝時間』すばる舎
※2 2015年 佐鳴予備校 著『塾の先生が教える13歳からの学力が伸びる子の習慣』/中経出版/KADOKAWA
朝勉強に効果的な学習内容とは?
朝の時間帯にどんな勉強をするのか、あるいはさせるのか、それぞれの自由ではありますが、どうせなら効果的な学習をしたいものですよね。
上記でもご紹介した通り、朝は前日までの記憶が整理されて、頭がスッキリとした状態です。また起きてから、心身ともに徐々にエンジンがかかってくる時間帯でもあります。そのため、前日までにインプットした情報を使いつつ、少しずつ脳が活性化していくような、アウトプット型の勉強が向いていると言われています。※3
難易度が高すぎない理系の問題を解く
朝にする勉強でおすすめのひとつが、理系科目の比較的軽めの問題を解くことです。
記憶が整理されてスッキリしている状態にある朝の時間帯は、思考力を必要とする問題を解くのに向いています。※3
とは言え、朝いちばんからいきなり難しすぎる問題に向かってしまうと、脳がついていかず、時間ばかりが過ぎる上、やる気の喪失にもつながる危険性もあります。
ウォーミングアップのつもりで、頭と手を軽く動かせる程度の問題を解いていくのが良いでしょう。
英語の音読をする
アウトプット型の勉強が向いている朝の時間帯の勉強で、もうひとつおすすめなのが、英語の音読です。
頭だけでなく口を動かして声を出すことで、脳がどんどん覚醒していき、その後の学習が効率的になります。
また、朝は日中に比べて静かなため、自分の声がよく聞こえ、発音やリスニングの練習にもなるでしょう。
朝いちばんから大きな声を出す必要はありませんが、実際に口や耳を使うのが効果的です。
朝の勉強時間はどれくらいが最適?
朝の勉強にかける時間は、45分~1時間程度が良いと言われています。
人間の集中力が続くのには限りがあるため、ダラダラと長い時間をかけても効率よくはありません。
また、朝勉強するには、早起きをする必要があるため、あまり早く起きすぎると睡眠時間が足りなくなってしまいます。
ある程度まとまって学習ができつつ、集中して取り組める程度の時間にとどめておくのが良いでしょう。
東京大学・池谷裕二教授の研究によれば、高い学習効果を発揮するためには、「15分×3」という時間で勉強をするのが良いそうです。
15分ごとに短い休憩を入れてリフレッシュすることで、学んだことが定着し、積み上がりやすくなると言います。※4
こうしたデータを参考に、最初は子供の様子を見ながら、親子で一緒に時間を決めていきましょう。
また、集中力を持続させる方法は
でもご紹介しています。
※3 2010年 山本憲明『朝1時間勉強法』中経出版/KADOKAWA
※4 Effect of intermittent learning on task performance: a pilot study
http://neuronet.jp/jneuronet/002.pdf
3日坊主にならないために!朝勉強を習慣化させるコツ!
いくら朝勉強するメリットを、大人も子供も頭で理解したとしても、肝心の「時間」を確保するための具体的な行動が伴わなければ、メリットを享受することはできません。
学習は継続が大切です。朝勉強を3日坊主にせず、メリットを受け取り続けるためには、生活を整えて朝勉強を習慣化していく努力が必要になります。
朝勉強することが当たり前の習慣になるまでは、朝時間を確保するために生活を整えることを、親子で意識して取り組みましょう。
朝勉強をするのに早寝早起きは欠かせない
基本中の基本ですが、朝勉強する時間を確保するためには、早起きが欠かせません。
起きてから家を出発するまでの時間が十分でなければ、身支度をするだけで精一杯で、とても勉強をする時間なんてありません。
また、いくら頑張って早起きをさせたとしても、夜寝るのが遅かったために睡眠時間が足らず、起きた後も頭がぼーっとした状態になっていれば、せっかく確保した朝勉強の時間が、無駄なものになってしまいます。
朝の勉強時間を確保するために早起きをすること、その時間を効果的なものにするために早く寝ることはセットで行い、早寝早起きの習慣をつけさせましょう。
朝起きた後すぐに脳や身体を覚醒させて、勉強ができる「活動モード」に入るためには、朝いちばんに太陽の光を浴びることも効果的です。
歯を磨いたり、新聞を取りに行ったり、簡単なストレッチをさせたりすることで、身体が目覚めやすくなりますので、スッキリしたスタートをきれるように、そうした行動を促す声かけを子供にしてあげると良いでしょう。※1
朝起きたときにやることを事前に決めておく
の記事でもご紹介しているように、スケジュールを調整しておくのは勉強の習慣作りと集中力アップのためにも、重要なポイントです。
小学校高学年~中学生くらいなってくると、前日早く寝たとしても早起きが苦手な子が出てきます。
早起きが得意な子でも、朝勉強が習慣になるまでは、起きてから「何の勉強をしよう」と考えていたのでは、やる気が出にくいものです。
そうした場合でも、朝勉強を習慣化させ、朝時間を効果的に使えるようにするためには、朝行う勉強内容を、前日までに決めさせておくことが大切です。※1
「何ページから何ページまで」など具体的な項目は前日夜に決めるとしても、朝の時間帯にはいつもどんな勉強をするのか、決めておくのもおすすめです。
例えば、「教科書をノートにまとめる」「問題集を解く」「間違えたところを見直す」「暗記をする」など。
やることを決めていれば、「何をしよう」と考える精神的なハードルを下げられ、時間も節約できるため、勉強に取り組みやすくなります。
しっかり休ませるための、夜の過ごし方
朝起きたあと、身体や脳をしっかりと動かして効果的な勉強をさせるためには、ただ「早く寝させる」だけでなく、良い睡眠をとって身体や脳が十分に休めるよう、夜の過ごし方をサポートしてあげる必要もあります。
睡眠の質を良くするためには、夕食は就寝する3時間前までにし、眠る1時間前までに38~39℃くらいのぬるめのお風呂に入るのが良いので、そのスケジュールで動けるよう準備してあげましょう。
夜の過ごし方で最も注意しなければならないのは、スマートフォンの使い方です。
最近は、小学生の約5割、中学生の約7割がスマートフォンを持っていて、半数以上が1日2時間以上利用しているというデータが出ています。※5
夜寝る直前までインターネットやSNSをしているケースも多いようですが、こうした行為は良い睡眠をとるための妨げになってしまいます。
人間は、テレビやスマートフォン、パソコンなどの画面を見ていると、交感神経が過剰に興奮した状態になります。
一度活性された脳は、画面を見ることをやめても、すぐに休息状態になるわけでなく、数時間は興奮状態を維持したままになってしまいます。
その結果、なかなか寝付けなったり、浅い睡眠しかとれなかったりする状況に陥ってしまうのです。
中学生くらいになると、どこまで親が管理できるのか難しいところにはなりますが、スマートフォンによる悪影響や、朝勉強の効果、そのための睡眠の重要性などをできるだけ親子で共有して、効率的に勉強するための環境を整えてあげましょう。※1
スマートフォンやゲームとの向き合い方については、こちらの記事でもご紹介しています。
※1 2013年 茂木健一郎『脳を最高に活かせる人の朝時間』すばる舎
※5 内閣府「平成29年度青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」http://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/h29/net-jittai/pdf/sokuhou.pdf
朝勉強に取り組む上での注意点
ご紹介してきたように、さまざまなメリットがある朝勉強。
習慣化すれば早起きすることも苦にならなくなるでしょうが、万が一寝坊してしまったときのことを考えて、絶対にやっていかなければならない宿題などは、前日のうちに済ませておく方が良いかもしれません。
他にも、朝勉強を気持ちよく続けるためには、以下のような点に注意しましょう。
睡眠時間は削らない
三章でも触れましたが、朝が学習において効果的な時間になるのは、十分な睡眠時間が確保できていることが前提です。
朝早く起きるために、快適な朝を迎えるために必要とされる理想的な睡眠時間よりも短くなってしまっては、せっかく早起きしても集中して勉強することはできません。
小学校高学年~中学生にもなると、習い事が忙しくなったり、試験前などは夜勉強することも増えたりします。
また、趣味や友達とのやりとりなど、やりたいことも増えて、つい夜更かししてしまう子も出てきます。
しかし、「朝起きて効果的な勉強をする」という目的を達成するためには、寝不足は禁物です。
帰宅時間、就寝時間の時間を決め、帰宅から就寝までのルーティーンを家族でサポートし合うなどして、子供の睡眠時間が短くならないよう気を付けてあげましょう。
朝食は勉強をした後で
朝は昨晩までに入手した記憶が一度リセットされ、新たな情報の受け入れ態勢が完了していて勉強に適した時間帯であることは一章でご紹介しましたが、この「ゴールデンタイム」は、あくまで朝食前までであると理解しておきましょう。
大人の人も経験則で知っていると思いますが、人間の脳は、食事をすると満腹中枢が満たされることで、パフォーマンスが著しく低下します。
つまり、いくら朝の時間帯と言っても、朝食を先にとってお腹が満たされると、効率的に勉強することはできないということです。※1
朝食を食べること自体は脳にも身体にも良いことですが、朝に勉強するメリットを最大限に受け取らせたいのであれば、起きた後まず勉強をさせてから、朝食にする方が良いでしょう。
※1 2013年 茂木健一郎『脳を最高に活かせる人の朝時間』すばる舎
まとめ
朝勉強の習慣をつけさせるためには、親がそのメリットを理解して子供と共有し、毎日当たり前にできるようになるまで、親がしっかりサポートしてあげることが大切です。
最初は少し大変かもしれませんが、実践できれば親子で得られるメリットは大きいでしょう。
あなたも取り組んでみてはいかがですか?