通信制高校とは?進学・就職は?高校進学を諦めたくない中学生へ

公開日:2019.08.05

「中学校を卒業したら、やりたいことにもっと時間を使いたい」「中学校では不登校だったけど、進学して高校卒業資格をとりたい」。
そんな希望を持っている中学生に知ってほしいのが通信制高校です。
生徒一人ひとりの事情にあわせて高校生活を自由にデザインすることができることが特徴で、大学進学や就職への道もあります。
この記事では、通信制高校とはどんな学校なのか、メリット・デメリットなどを紹介します。

目次

  1. 通信制高校とは?
    • 通信制高校とは?
    • 全日制高校や定時制高校との違いは?
    • 通信制高校とサポート校の違いは?
    • 入学するには?
    • 費用は?
  2. 通信制高校のメリット・デメリット
    • 通信制高校のメリット
    • 通信制高校のデメリット
  3. 通信制高校の学校生活は?
    • 入学式・卒業式や学校行事はあるの?
    • 制服はあるの?
    • 部活やクラブ活動はあるの?
  4. 通信制高校の卒業後の進学や就職は?
    • 大学進学を希望する場合
    • 就職を希望する場合
  5. まとめ

通信制高校とは?

中学生のあなたは「通信制高校」がどんな場所なのか、イメージできますか?
文部科学省によると、通信制高校は全国に252校あり、180,000人以上の生徒が学んでいます。※1
一般的に「高校」というと「全日制高校」のことを指すので、通信制高校の仕組みについてよく知らない人がほとんどでしょう。
まずは通信制高校の基礎知識を知っておきましょう。

 

通信制高校とは?

全日制高校や、夜間が中心の定時制高校は、生徒が学校に登校して教室で授業を受けます。
基本的には中学校までと同じような学校生活を送るイメージです。

これに対して通信制高校は、自宅での勉強と、レポート提出・添削指導を中心に学習を進めていき、少ない登校回数で単位を取得することができる仕組みになっています。
通信制高校も、全日制や定時制と同じように3年間で合計74単位以上を取得することで、高校卒業資格を得ることができます。

通信制高校では、登校して授業を受けることをスクーリングと呼びます。
高等学校学習指導要領(文部科学省が定めた教育課程の基準)では、「国語、地理歴史、公民及び数学に属する科目」で1単位を取得する場合、3回の添削指導(レポート)と、1単位時間つまり50分の面接指導(スクーリング)を受ける必要がある、と定められています。※2
例えば、国語で3単位を取得しようと思ったら、レポートは合計9回、スクーリングは合計150分となります。

 

全日制高校や定時制高校との違いは?

全日制や定時制との大きな違いは、登校する日数の少なさです。
通信制高校のスクーリングは年間20日程度が目安です。※3
スクーリングのペースは学校によって異なり、1週間に1〜3日程度の学校が中心です。
定期的なスクーリングが難しい人は、合宿形式で1週間程度の集中スクーリングを実施している通信制高校を選ぶこともできます。

また、通信制高校は単位の取得方法も異なります。
全日制高校や定時制高校のほとんどは「学年制」を採用しています。
各学年で取得しなければならない単位数が決まっていて、それを満たさなければ進級できません。
でも通信制高校は「単位制」で、卒業に必要な74単位は3年間の合計で取得できればいいので、学年ごとに取得単位が大幅に異なっても大丈夫です。
例えば、1年生で30単位、2年生で30単位取得すれば、3年生で必要な単位は14単位だけになるのです。

 

通信制高校とサポート校の違いは?

通信制高校と似た名前の「通信制サポート校」というものがありますが、これらには大きな違いがあります。

サポート校は、通信制高校の生徒の学習や気持ちを支援するためにあります。
通信制高校の学習のメインは生徒の自習なので、一人で勉強するうちに途中で行き詰まることがあります。
その結果、卒業までに4年以上かかってしまったり、卒業することを諦めてしまったりする生徒も出てくるのです。
このため、3年間での卒業や、生徒が希望する進路の実現を支援しているのがサポート校です。

ただしサポート校はあくまで民間の教育施設であり、通信制高校との連携が前提です。
サポート校に通うだけでは高校卒業資格を取得することはできません。

 

入学するには?

一般的に高校に入るためには、5教科の筆記試験や面接による選抜を受けて合格する必要があります。
一方、通信制高校の入試は、学力の筆記試験が行われず、書類選考、面接、作文で選考されることが多いです。

中学卒業見込みの人や、中学卒業後に高校などに進学しなかった人は、全日制等と同じ4月入学となりますが、2学期制の学校では10月入学が可能な場合もあります。
また、全日制・定時制高校からの転入や、高校を中退した人の編入も受け入れています。
転入の場合は、前の学校で取得した単位を通信制高校に引き継げることもあります。

 

費用は?

通信制高校には公立と私立があり、学費はそれぞれ異なります。
公立の通信制高校の場合、都道府県ごとに1単位あたり数百円の受講料が設定されていて、履修する単位の数に応じて費用がかかります。
1単位あたりの受講料は、最も高い場合でも700円程度で、1年で30単位受講した場合で学費は21,000円となります。※4
一方、私立の通信制高校も履修する単位数に応じて学費が決まりますが、1単位あたりの費用は5,000〜12,000円となっています。※5
また、サポート校を活用する場合は別途費用がかかります

※1:文部科学省「平成30年度学校基本調査」調査結果の概要/2019年3月15日閲覧
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2018/12/25/1407449_2.pdf

※2:文部科学省「平成30年改訂高等学校学習指導要領」/2019年3月15日閲覧
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/07/11/1384661_6_1_2.pdf

※3:「通信制高校があるじゃん! 2018-2019年版」学びリンク編集部 学びリンク出版2018年3月発行 

※4: 手島純「通信制高校のすべて: 「いつでも、どこでも、だれでも」の学校」彩流社 2017年/2019年3月15日閲覧

※5:「通信制高校があるじゃん! 2018-2019年版」学びリンク編集部 学びリンク出版2018年3月発行 

通信制高校のメリット・デメリット

通信制高校の特徴について、メリット・デメリットの観点から掘り下げてみましょう。

 

通信制高校のメリット

通信制高校の最大のメリットは、生徒一人ひとりが自分のペースで高校卒業資格の取得を目指せることです。
スポーツや芸能活動など勉強以外にやりたいことがある人、小学校や中学校で不登校になったことで全日制の高校生活になじめるか心配な人、病気を患っていて毎日通学することが難しい人など、いろんな事情がある人を受け入れて、学びの機会を与えてくれます。
高校卒業資格があれば、大学入試を受けることができますし、就職の際も最終学歴が中卒の場合よりも選べる仕事の幅が広がります。

通信制高校の生徒には不登校経験がある人が多く、一人ひとりの生徒に対する手厚いケアや、小学校・中学校の学習内容の学び直しなど、学校生活や学習にきめ細かなサポートをしてくれる学校もたくさんあります。
周りの生徒も同じような経験をしているので、クラスメイト同士で気持ちを分かり合いやすい環境でもあります。

通信制高校は学校に拘束される時間が少ないので、自由な時間に様々な活動にチャレンジすることもできます。
アルバイトでお金を稼いだり、学校ではできない社会経験を積んだりと、自分次第で有意義な時間の使い方ができます。

また、通学が前提の全日制や定時制は、毎日通学できる距離の学校しか選ぶことができませんが、通信制高校の場合は、3つ以上の都道府県の生徒を募集対象とする「広域通信制高校」という選択肢もあります。

 

通信制高校のデメリット

一方、通信制高校は生徒自身が主体的に勉強する姿勢が不可欠です。
通学を前提とする全日制や定時制は、決まった時間に授業が行われて、自動的に学習や生活のペースが作られます。
しかし、通信制高校では生徒自身で自習やレポート作成を計画・管理して進める必要があります。
「高校を3年で卒業したい」「高校卒業資格を取得したい」という意思をきちんと持っていないと、通信制高校の学習スタイルについていけなくなるかもしれません。

中学校までとまったく異なるやり方になるので、不安を覚える人もいるかもしれませんが、もちろん学校はアドバイスや支援をしてくれますし、必要に応じてサポート校を活用することもできるので、必要以上に不安にならなくても大丈夫です。

また、全日制や定時制と比べて人との関わりが少ないこともデメリットと言えるでしょう。
毎日登校するわけではない通信制高校では、先生や他の生徒と直接関わる時間は少ないため、他人とのコミュニケーションを学んだり友情を育んだりする機会も必然的に少なくなってしまいます。

しかし、高校卒業後に大学・専門学校に進学したり、就職したりすると、広い社会や多様な人々との関わりを完全に避けることはできません。
高校時代に人と関わった経験が少ないと、新しい人間関係に対するハードルが高く感じられたり、全日制や定時制の学校生活を経験した人のコミュニケーション力とのギャップを感じたりすることがあるでしょう。

不登校の経験などから人との関わりに不安がある人にとって、自分のペースを大切にできる通信制高校は有効な選択肢の一つです。
しかし、他人との関わりを完全に遮断せず、少しずつ先生や他の生徒のコミュニケーションを経験していくことで、より有意義な高校生活にしていけます。

通信制高校の学校生活は?

通信制高校に通うと、どんな学校生活が待っているのでしょうか?
「学校行事はあるの?」「服装は?」といった点について解説します。

 

入学式・卒業式や学校行事はあるの?

全日制や定時制と同じように、通信制高校でも入学式・卒業式や各種学校行事が開催されています。
学校行事は学校によって異なりますが、遠足、球技大会、文化祭、スキー教室など、高校生活の思い出に残るような催しが用意されています。
普段は離れた場所にいる先生や他の生徒と時間を共にすることで、「学校が楽しい」「みんなと一緒に頑張って卒業したい」という気持ちが芽生えて、高校生活に張り合いが出てくるでしょう。
「人と関わりたくないから通信制高校を選んだのに……」という人も、同じように人間関係の悩みを抱える人と仲良く慣れるチャンスになるかもしれません。
参加してみようかなと思う行事があれば、ぜひ前向きに検討してみてください。

 

制服はあるの?

通信制高校には、私服で登校する学校もあれば、制服のある学校もあります。
制服があっても私服と制服のどちらを着るか生徒が選べる学校もあり、学び方のスタイルと同じように服装も自由度が高いことが特徴です。
スクーリングが週5日など登校回数の多い通信制高校では、制服があるケースが多いようです。
高校時代は多くの人にとって制服を着る最後の機会になります。
どんな制服があるのかも、学校選びの一つのポイントになるでしょう。
スクーリングの日のテンションを上げるアイテムとしても、気になる通信制高校にどんな制服があるのかチェックしてみてください。

 

部活やクラブ活動はあるの?

意外かもしれませんが、部活やクラブ活動を行っている通信制高校はたくさんあり、中には全国大会に出場するほど本格的な活動を行っているところもあります。
部活やクラブ活動の内容も、テニス、野球、サッカー、卓球、ダンスといった運動系から、吹奏楽、美術、軽音楽、書道といった文化部まで実に多彩です。
部活・クラブ活動に参加すると、他の生徒と友達になるきっかけが作りやすくなり、活動を通じて一人では得られない達成感や喜びを得ることができます。
一つの部活・クラブ活動に専念するのもよし、掛け持ちがOKの場合は複数の活動に気軽に参加するのもよし。
通信制高校での日々をより充実させたいなら、部活・クラブ活動はおすすめです。

通信制高校の卒業後の進学や就職は?

高校選びでは、卒業後にどういった進路があるのかという点も気になります。
最後に、通信制高校の卒業後の進学や就職について紹介します。

 

大学進学を希望する場合

文部科学省の調査によると、平成29年度の通信制高校卒業者53,550 人のうち、約18%にあたる9,885 人が大学等に進学しています。※6

近年は、私立の通信制高校を中心に大学進学を見据えた様々なサポートを行う学校が増えています。
大学受験対策に特化したコースを設ける学校もあり、一人ひとりにきめ細かな指導ができる通信制高校の強みをいかして、生徒の学力レベルや志望校に合わせたプランを提案したり、大学受験を専門とする講師がいたり、学習塾と連携していたりするので、学習面で手厚いサポートが受けられることが特徴です。

また、通信制高校から大学を目指すなら、一般入試だけでなくAO入試や指定校推薦の道もあります。
AO入試とは、学力試験ではなく面接や小論文などから入学意欲や人物の評価で合否が決まる入試のことです。
指定校推薦とは、大学が高校に対して与える推薦枠を利用する推薦入試で、高校内の選考で選ばれると大学に出願することができます。

通信制高校の生徒の中には難関大学に進学する人もいて、全日制高校と同等かそれ以上のレベルの大学に進学することも夢ではありません。
しかし、やはり通信制高校での受験勉強は、自学自習が中心でもどれだけ勉強できるかにかかっているので、進学に強い学校選びや本人の努力が欠かせません。

 

 

就職を希望する場合

文部科学省の調査によると、平成29年度の通信制高校卒業者53,550 人のうち、約20%にあたる10,501 人が就職しました。※6
通信制高校の高校卒業資格は、全日制や定時制との区別はないので、通信制高校出身であること自体が求人への応募に不利になることはありません。
ただし、就職面接などでは通信制高校について詳しくない面接官もいるので、通信制高校を選んだ理由や、自分の強みを明確に伝えられるようになっておく必要があるでしょう。

「高校を卒業したらすぐに就職したい」という人は、簿記検定、調理師免許、美容師免許、トリマーなど就職に有利な資格を取得できる通信制高校がおすすめです。
定番の資格のほかにも、プログラミング、保育、福祉など仕事に直結する専門的な内容を学べる学校もあります。
将来やりたいことを見つければ、在学中の勉強もぐっと楽しく、有意義なものになるでしょう。
通信制高校を選ぶ時は、自分は何をしていると楽しいのか、将来どんな大人になりたいのかをイメージしながら、様々な可能性に目を向けてみてください。

一方、卒業生全体の37%程度の人の進路は、進学にも就職にも当てはまりません。
この中にはニートやフリーターになっている人も多いと考えられます。

※6:文部科学省「平成30年度学校基本調査」調査結果の概要/2019年3月15日閲覧
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2018/12/25/1407449_2.pdf

まとめ

現代は、一人ひとりが自分らしい生き方を探して時代になりました。自分のペースを大切にしながら学べる通信制高校は、様々な事情を抱えている多くの中学生の可能性を広げてくれる存在と言えるでしょう。自分らしい高校進学を諦めたくない方はぜひ通信制高校のことを詳しく知ってみてくださいね。

公開日:2019.08.05
上へ