小学1年生!勉強はどのくらいさせるべき?小学生の力を伸ばす勉強法とは
もうすぐお子さんが小学校に上がるというとき、勉強は1つの不安要素ですよね。
幼稚園や保育園のうちから、習い事に通わせたり通信教材を使ったりして、少しずつ学習を始めている人もいるかもしれませんが、1年生になるといよいよ本格的に勉強が始まり、親は子供の学力が気になるようになります。
最初からつまずかず、学力を伸ばしていくためには、どのくらい勉強をさせるべきなのでしょうか。
今回は、小学校低学年の勉強のポイントと親のサポート方法についてご紹介します。
目次
- 小学1年生の勉強内容とは
- 宿題だけで十分?小学生に学校以外でやらせるべき勉強量は?
- 1年生はまず習慣づけから
- 家庭での勉強時間はどのくらい?
- 目標設定はした方が良い?
- お金をかければ学力が伸びるわけではない
- 親のサポートについて
- 子供の学力を伸ばすための親の役割
- 子供のやる気を出させるためには
- お手伝いを通して生活の中で学ばせる
- 学校以外での勉強を効果的に行うコツ
- 親が教えることにこだわらない
- 通信教育教材や塾を活用
- 家族のフォローも忘れずに
- まとめ
小学1年生の勉強内容とは
小学1年生の時間割に必ず組み込まれる教科は、「国語・算数・生活・音楽・図画工作・体育・道徳・特別活動」です。
いわゆる「勉強」とイメージされるものは、主に国語と算数となっています。※1
国語は、文章の内容を理解したり、言葉の表現方法を身に付けたりする、すべての勉強の基礎となる教科。
また算数も、日常生活でも必要となる、足し算・引き算といった基本的な計算を学ぶ教科であり、ここから続くさまざまな学習の土台となる大切なものです。
小学1年生は、社会で生きていくために必要な、いわゆる「読み・書き・そろばん」を身に付ける時期なのです。
小学校へ入学準備段階の方は
の記事もおすすめです。
※1 文部科学省「小学校学習指導要領」http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/index.htm
宿題だけで十分?小学生に学校以外でやらせるべき勉強量は?
小学生になれば宿題が出るようになり、家での勉強時間を設けなければならなくなります。
宿題以外の学習をするかどうかは、親が子供に求める学力レベルによるので一概には言えません。
学校の勉強についていける程度であれば、ひとまず学校の宿題がきちんとできれば、他の勉強を加える必要はないでしょう。
小学校低学年のときに大切になるのは、きちんと内容を理解できていることです。
宿題をするところを見ていて、理解度が足りないと感じたら、説明を加えて教えてあげるなどのサポートが必要です。
1年生はまず習慣づけから
入学したばかりの1年生は、机に向かって勉強することに慣れていません。
多くの学校では宿題が出されるはずなので、まずは毎日宿題をする時間を作ることで、家でも机に向かって勉強をするという習慣をつけさせましょう。
習慣づけをするためには、「やりなさい」と言って放っておいてはよくありません。
最初のうちは、出された宿題を子供がきちんとできるよう見守るのが親の仕事です。
小学校1~2年生のうちの宿題は、それほど時間のかからずできる可能性が高いですが、勉強机に向かっている間、隣について見てあげましょう。
の記事でもご紹介している通り、親が働いていてなかなか時間をとれない場合、リビングで学習させるのも1つの方法です。
ママが夕食の支度をしている間にダイニングテーブルで宿題をやらせてあげれば、子供もママのそばでリラックスしながら、集中して勉強に取り組めるでしょう。
また、どうしても夕方時間が取れないときは、
家庭での勉強時間はどのくらい?
小学校低学年の家庭学習時間の目安は10分~30分と言われており、公文教育研究会の調査でも、平日の家庭学習時間の平均は35.8分という結果が出ています。※2
習慣づけをうまく行うためには、勉強時間をあまり長くとりすぎないことがポイントになります。
時間があるときは、宿題以外にも教科書を音読させてみたり、学校のもの以外に用意したドリルなどをやらせてみたりするのも良いでしょう。
ただ、あまり時間を長くとることを強要してしまうと、子供はその時間が苦痛になって勉強嫌いになってしまうかもしれません。
何より、あまり長時間勉強を続けても、子供の集中力が続かないので非効率です。
の記事でもご紹介しているように、集中させるときのメリハリをつけましょう。
また、スケジュールの立て方については、
の記事で、詳しくご紹介しています。
勉強するタイミングや勉強時間は、宿題の量や子供の理解度、学習意欲などを見ながら、子供と相談して決めるても良いでしょう。
目標設定はした方が良い?
子供に勉強を意欲的にさせるためには、目標があった方が良いのではと考える人も多くいます。
確かに、目標を持つことでやる気が出て、自分から勉強するようになる子もいますが、それは、必ずしもすべての子に当てはまるわけではないようです。
子供の中には、目標があることで不安感や義務感を持ってしまい、窮屈さを感じてやる気が低下してしまう子もいるので、そうした場合には目標はない方が良いと言えるそうです。※3
特に、年齢が低いうちは、勉強がその先何につながっていくのか、まだイメージするのが難しい時期です。
無理に大きな目標を設定するよりも、それぞれの子に合わせた声掛けをしてあげるのが良いでしょう。
お金をかければ学力が伸びるわけではない
近年は、「学校での学習時間が足りない」「経済格差が学力格差になる」などという世の中の声が聞こえてくることもあります。
確かに、最近は通信教材や塾、家庭教師など、お金をかけることで得られるさまざまな学習機会が存在しており、それぞれに合ったものを選ぶことで、一定の効果が得られる場合があります。
ただ、それだけが子供の学力を伸ばす方法ではありません。
教師生活23年の経験を踏まえ、現在「親が子供に与える影響力」について講演や執筆を行っている親野智可等氏によれば、小学生の学力をつける基本は学校の教科書であり、教科書の内容を理解しないまま他のものに手を出しても、効果は期待できないというのです。※4
小学校低学年のうちは、まだつまずきも起こりにくく、親が教科書の内容を教えてあげることができるレベルなので、まずはお金をかけられないことを言い訳にせず、教科書など学校で使用する教材を使いこなすことを身に付けさせてあげましょう。
※2 公文教育研究会「家庭学習調査2017」https://www.kumon.ne.jp/press/9570/
※3 大塚隆司 2015年『自分から勉強する子の親がしていること』さくら舎
※4 親野智可等 2010年『小学生の学力は「教科書」中心学習でグングン伸びる!』すばる舎
親のサポートについて
子供の学力を伸ばすためには、家庭でのサポートは欠かせません。
特に勉強を始めたばかりの小学校低学年の子は、勉強が習慣づいていなかったり、勉強のしかたそのものがわからなかったりするため、親が勉強するように促し、勉強のしかたを教えてあげる必要があります。
学力を伸ばすために必要な、やる気や自信は、親が上手に接することで育つものだと言われています。※5
親も働いていたり、子供が複数いたりすると忙しいと思いますが、毎日少しの時間をとり、手間をかけてあげることが、長い目で見て子供の学力を伸ばしていくことにつながるのです。
子供の学力を伸ばすための親の役割
小さな子供にとって、机に向かって行う勉強はつまらないものであったり、わからないことがあって不安なものであったりします。
そのため、子供が安心して勉強に取り組めるようにするために、親が近くで見守って一緒に勉強することが大切になります。
親が近くで見ていることで、子供は、
・わからないところはすぐに聞ける
・できたらすぐに褒めてもらえる
・勉強が嫌になったり飽きたりしたときに声を掛ける相手(親)がいる
という安心感を持つことができます。
子供は安心感があることで、頑張ることができるものです。
成長とともに、子供はひとりで勉強するようになりますが、安心してそのステップにいけるよう、最初の段階で見守ってあげるのが親の役割になります。
無理に頑張って教えようとしたり、励まそうとしたりする必要はありません。
ただ、見ているだけで良いのです。
子供が「親が見ていてくれている」という安心感の中で勉強ができるように、環境を整えてあげましょう。※3
子供のやる気を出させるためには
勉強を効果的に行うためには、子供のやる気が必要です。
特に、勉強を始めたばかりの小学校低学年のうちにやる気をなくさせないことが、その後の学習意欲を左右することになります。
東京大学名誉教授の汐見稔幸氏によれば、子供は好きなことに没頭していれば、自然とやる気になるものです。
勉強をやる気にさせたいのであれば、勉強ばかりに注意を向けさせるのではなく、好奇心がふくらむよう、好きなことを思いっきりさせることも大切だというのです。※5
小さいうちは、遊びの中で学習の楽しさやおもしろさを見つけていくこともあります。
遊びの時間もとり、さまざまなことへの興味が生まれる環境を作ってあげると良いでしょう。
お手伝いを通して生活の中で学ばせる
汐見氏は著書の中で、遊びの他にお手伝いをさせて親子で一緒に家事を行うことも、子供の学力アップにつながると述べています。
例えば、料理を手伝ってもらいながら、野菜の数などで楽しく足し算、引き算をしたり、一緒に買い物に行ってお金の計算をしたり。
また、普段の会話の中でも、一緒に本を読みながら漢字の読み方を訓練したり、一緒に地図を見て旅行の計画を立てながら地理的な話に触れてみたり。※5
生活の中で自然と学べると、楽しく身に付き、意欲も失われることなく、親子ともにストレスなく学習することができます。
なるべく、普段の生活の中でコミュニケーションをとりながら、学習につながるような声掛けをしてあげるようにしましょう。
※3 大塚隆司 2015年『自分から勉強する子の親がしていること』さくら舎
※5 汐見稔幸 2011年『小学生 学力を伸ばす 生きる力を伸ばす』主婦の友社
学校以外での勉強を効果的に行うコツ
学校で勉強してきたことを確実に身に付けさせるには、学校以外での勉強を効果的に行うことが必要です。
その基本は家庭学習になりますが、親の時間や教える力にも限りがあります。
最近は、頼れる専門家や便利なツールがたくさんありますので、状況に合わせて利用するのも良いでしょう。
親が教えることにこだわらない
小学生くらいの勉強なら簡単に教えられると思っていても、自分たちの頃とは内容が変わっていたり、学年が上がるにつれて難易度が上がったりと、教えることが難しい場面も出てくるでしょう。
一生懸命教えるのは良いことですが、教えていることがなかなか伝わらなければ、叱ったり責めたりして親子のコミュニケーションがうまくいかなくなり、結果的に子供の学習意欲や自信を奪ってしまうことになりかねません。
下手な家庭教師になって悪影響を与えてしまうくらいなら、親が教えることにこだわらず、塾や他のツールなどに頼ることも考えてみましょう。※5
通信教育教材や塾を活用
学年が上がり、さらには中学、高校と進級していくにつれ学習内容も難しくなりますが、大きくなったときに勉強で苦労しないためには、小学生で習う内容をしっかりと理解させておくことが重要になります。
できないままにしておけば、わからないことが積み重なり、苦手になってしまうからです。※5
そのため、大事な小学生の時期に、親が教えていても伝わらない、理解させられないと、教えることに難しさを感じた場合は、通信教育教材や塾などのツールを活用してみましょう。
文部科学省の調査によれば、小学校低学年でも、約2割の人が学習塾に通い、約2割の人が通信添削での学習を行っています。※6
専門家や便利なツールを賢く使って、子供の勉強がうまくいく環境を整えてあげましょう。
通信教材については、こちらの記事でもご紹介しています。
家族のフォローも忘れずに
塾や通信教育教材を使ったとしても、これまでご紹介してきた、遊びや日常生活での学びや、好奇心の刺激が大切になることは変わりません。
むしろ、塾などに行かせた場合は、親の目の届かないところで勉強してくるからこそ、家庭での会話で学習の進捗を確認したり、興味を刺激してあげたりすることが必要になります。
子供が学ぶことに親自身が興味を持ち、学習をフォローしていくことを忘れないようにしましょう。
※5 汐見稔幸 2011年『小学生 学力を伸ばす 生きる力を伸ばす』主婦の友社
※6 文部科学省「子供の学校外での学習活動に関する実態調査報告」http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/08/__icsFiles/afieldfile/2009/03/23/1196664.pdf
まとめ
今まで自由に遊びまわることが仕事だったところから、机に向かってペンを握り、勉強しなくてはならない生活に変わると、子供も親も戸惑うことが多いかもしれません。
ただ、勉強のし始めであるこの時期に、習慣ややる気をつけさせることが、その後の子供の学力に大きく影響してきます。
毎日少しずつ家庭学習の時間を設け、親子で一緒に楽しく勉強できる環境を作っていきましょう。