夫婦喧嘩が子供に与える影響!喧嘩後は子供へのフォローが大事!

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夫婦喧嘩、ふとした時に起きてしまいますよね。

意見の違い、行動の違いなど、お互いに譲れない部分があったり…。

どうしても己の意見を通そうとすれば、夫婦間に限らず、喧嘩は起こります。

でもそれを子供が見ていたら?

喧嘩する両親を目の当たりにした子供には、どのような影響があるでしょうか。

ここでは、夫婦喧嘩が子供に与える影響と、夫婦喧嘩の後でどうフォローするかを考えてみます。

目次

  1. 育児期は夫婦喧嘩が起きやすい!
    • よくある夫婦喧嘩、なぜ起こる?どうすべき?
    • 育児期に起こる夫婦の変化
  2. 夫婦喧嘩を見た子供が抱える問題
    • 子供の感情と変化
    • 夫婦喧嘩を見て育った子供が抱えるトラウマ
    • 子供が考える「家庭の中での自分の立ち位置」
    • いい夫婦喧嘩と悪い夫婦喧嘩
  3. 夫婦喧嘩をしなくなれば子供への影響はなくなるのか
    • 子供の脳が受けたダメージは回復する?
    • 冷戦状態も悪影響をおよぼす
  4. 夫婦喧嘩の後、子供へどうフォローしていくのか
    • まずは、子供の心のケアから
    • 親の関係、親子の関係
    • 話が理解できる子供へのフォロー
    • まだ話が理解できない子供へのフォロー
    • 出来ることからコツコツと
  5. まとめ

育児期は夫婦喧嘩が起きやすい!

よくある夫婦喧嘩、なぜ起こる?どうすべき?

育児期は、子供の世話や、しつけなどへの考え方の違いから、夫婦間での葛藤や、不仲が起こりやすい時期です。
夫婦とはいえ、元々他人であり、性別も違う人間ですから、考え方の違いや、相容れない部分があり、夫婦喧嘩に発展してしまうのも当然です。
夫婦喧嘩にならないためには、お互いの考えを尊重し、譲り合い、妥協点を見つける必要があります
しかし、育児期はお互いに忙しく、理解し合うためのコミュニケーションの時間が取れないことも、夫婦喧嘩の原因の一つです。
お互いの状況や考え方、要望などを正しく理解するためは、忙しくても夫婦の時間を作る努力が大切です。※1

 

夫婦喧嘩の原因については、

夫婦喧嘩になる原因は何?喧嘩した時はどうすればいいの?

で詳しくご紹介しています。

 

育児期に起こる夫婦の変化

元々仲のよい夫婦だったのに、子供ができてから不仲になるというケースも珍しくありません
産後から育児期にかけて、夫婦の関係は大きく変化するからです。

産後のイライラの原因は?その解消法は?の記事でもご紹介していますが、子供が産まれるとすぐに、昼夜問わずのお世話が始まり、最初は夫婦ともに心身が疲れてしまいイライラしやすくなってしまいます。
女性は睡眠不足やホルモンバランスの乱れでイライラしやすくなり、男性も、家族が増えたことによるプレッシャーや経済面での不安により、ストレスを感じやすくなるでしょう。 ※2

 

さらに、それまでは一人の人として、自分とお互いの気持ちを考えていれば良かったのが、子供を持つことで役割が変化し、その変化にお互いが不満を持ちやすくなります

 

例えば、「今まではがんばって仕事をしていれば、休日は休んでいられたのに、子供の世話や家事までさせられるようになった」、という男性側の不満や、「仕事をしていたら評価されたのに、家事育児では誰にも評価されず、感謝すらされない」といった女性側の不満です。
こういった、子供を持ち役割が変化してしまったという不満は、夫婦でお互いに感謝し、存在を認め合うことで解消される場合もあります。

育児、子育てのイライラについては

の記事で詳しくご紹介しています。 

 

夫婦は合わせ鏡といわれます。
夫婦喧嘩になりそうになったら、労りや感謝を忘れていないか、まずは自分の言動を振り返ってみましょう。※1、※3、※4

※1 山本ユキコ 2016年2月6日発刊 出産・育児ママのトリセツ ~「子どもができて妻が別人になりました」というあなたへ 忘羊社
※2 2006,家族社会学研究,18(1):17-26 「夫婦の不仲は親子の不仲」か―近代家族の情緒的関係についての語りの変容https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoffamilysociology1989/18/1/18_1_17/_pdf/-char/ja
※3 発達心理学研究 2013, 第24巻, 第3号, 238-249
育児期夫婦のペア・データによる家庭内役割観タイプの検討:役割観の異同の類型化と夫婦の関係性の視点から
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjdp/24/3/24_238/_pdf/-char/ja
※4 2006,家族社会学研究,18(1):17-26 「夫婦の不仲は親子の不仲」か―近代家族の情緒的関係についての語りの変容https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoffamilysociology1989/18/1/18_1_17/_pdf/-char/ja

夫婦喧嘩を見た子供が抱える問題

夫婦間の喧嘩も、大事になってしまうと、警察のお世話になる場合もあります。
平成27年の警察における配偶者からの暴力の相談件数は63,141件で、過去最多だったようです。
この相談内容には、身体的暴力、心理的攻撃、経済的圧迫、性的強要などが含まれています。※5
今回はその中でも特に、子供への影響が大きいと考えられる、「相手に手を上げる」「物を投げる」などの身体的暴力や、「大声を出す」などの心理的攻撃について考えてみます。
このような暴力や暴言は、夫婦間で行われる「夫婦喧嘩」だったとしても、子供の前で行われるものであれば、子供への虐待にもなります。
それだけ、子供へのダメージは大きいのです。※5

 

子供の感情と変化

両親が怒鳴り合う、もしくは一方的に怒鳴られる親を見た子供は、恐怖心を抱くようになります。
家の中でくり返されれば、子供には逃げ場所がありません。
夫婦喧嘩はその時だけでなく、終わった後も家庭内の雰囲気を悪くします


その結果、子供は常に不安な状態になり、日頃からびくびくと怯えるようになります。※6
子供は自己中心的に物事を考る傾向にあるため、次第に「夫婦喧嘩は自分のせいだ」と思い込むようになります。
つまり、「自分が良い子じゃないから両親は喧嘩している」「自分がいなければ家族は幸せ」という考え方をしてしまいます
この状態が続くと、いずれ「自己肯定感の低い大人」になってしまうのです

 

中には、夫婦喧嘩が始まらないように、無理に明るく振る舞ったり、良い子を演じるときもあります。
本来の自分を出せない子供は、家庭内で悩みを抱え込み、苦しい思いをすることになるかもしれません。※6、※7

 

夫婦喧嘩を見て育った子供が抱えるトラウマ

では、夫婦喧嘩を見て育った子供が抱えるであろう、トラウマ(心理的な傷)について、考えてみます。

 

【身体や心への影響】
日常的な両親の喧嘩を目の当たりにした子供は、何の問題も無く、健やかに育つのは難しいでしょう。
「親に気を使うようになった」「乱暴になった」「よく泣くようになった」という、気持ちや身体の異変を感じることも、少なくありません。
中には、ぜんそくの発作やアトピーの悪化など、「喧嘩が始まると、身体に変化が生じた」という子供もいます。


他にも、子供に次のような変化が起きたときは要注意です。

  • 食欲不振や腹痛、吐き気などの消化器症状、頭痛
  • トイレの失敗、回数が増える
  • いつもビクビクしている、イライラしている
  • 多動や多弁、集中できない、落ち着きがなくなる
  • 必要以上に誰かにベタベタする、甘えが強くなる
  • 反抗的になる、乱暴になる

夫婦喧嘩が絶えない状態は、両親に精神的な余裕がなく、子供の話しや悩みに耳を傾けられないため、子供が寂しさを抱えたまま成長してしまう場合もあります。※6、※7、※8

 

【コミュニケーションに支障を来す】

他にも、両親間の暴力や暴言を日常的に目撃した子供は、脳の「視覚野」の一部が萎縮するという研究結果があります。
福井大学とハーバード大学との共同研究によるものですが、両親の暴言や暴力を数年に渡って目撃してきた人は、視覚野が平均で16%萎縮していたのだそうです。

 

さらに、身体的な暴力を目撃してきた人よりも、言葉の暴力を目撃してきた人の方が、脳へのダメージが大きいことも分かりました。
視覚野の中でも「夢や単語を認識する部分」が、身体的暴力を目撃した人よりも、言葉の暴力を目撃した人の方が、3倍のダメージを受けていたのだそうです。
視覚野が萎縮するということは、目の前にあるものを正しく認識できない、あるいは見たくないモノは存在を認識できないことにつながります。
つまり、記憶力や学習に影響が出る可能性がありますし、語彙力が落ちてしまうのだそうです。

 

その結果、

に影響を及ぼす可能性も。

子供の成長だけでなく、会話をする相手の表情が読み取れなくなるなど、コミュニケーションに支障が出てしまう可能性を秘めています。※6、※7、※8、※9

 

子供が考える「家庭の中での自分の立ち位置」

親が子供の話しや悩みに耳を傾ける余裕がなくなると、子供は「ママやパパは自分を見てくれていない」と感じるようになり、やがて「家の中に自分の居場所がない」と考えることもあります。
自分は家族の一員ではないと考えるようになると、自分の存在を小さく、目立たなくしてしまうのです。
例えば「家族の絵」を描くと、自分を異常なほど小さく描いたり、離れたところで家族に背を向けた様子を描いたりすることもあるそうです。
また、大きな布団の中に自分の小さな頭だけを出し「ここから出たくない」という意思表示を無意識にすることもあるようです。
そして、自分自身の殻に閉じこもってしまい、体調不良や不登校、学校には行ってもいわゆる「保健室登校」に繋がっていく可能性があります。 ※6

 

【将来的な影響】

トラウマを抱えた子供は、学校に行くようになっても学習に集中できなくなりますし、体調不良が続いて保健室に通う日が多くなる、という場合もあります。
このままでは「楽しい」と思うことに集中できなくなりますし、一人で過ごす時間も多くなるでしょう。

 

また、成人後に就職して社会に出ることができても、人間関係に問題が生じるケースがあります。
例えば、人とうまく話せない、人とぶつかることが多い、などです。
幼少期に一人で過ごすことが多かったり、他の人とのコミュニケーションが上手くとれなかった場合、結果的に「相手の気持ちを思いやる」という感情が欠如してしまったというのが、その原因の一つかもしれません。
幼少期に大きなトラウマを抱えた子供は、青少年期になっても感情の抑制が上手く出来ず、うつ状態や多動、人格障害などの精神的な病気を抱えることにつながり、社会への適応が難しくなるケースが増えているといわれています。※9
さらに、両親がしていた暴力を悪い事と思えずに、将来、自分のパートナーへ暴力を振るってしまう場合も、多々あるとされています。

 

いい夫婦喧嘩と悪い夫婦喧嘩

「相手に手を上げる」「物を投げる」「大声を出す」という夫婦喧嘩は、子供の前に限らず良いことではありません。
しかし、意見の食い違いからの衝突そのものは、決して悪いことばかりではありません。


ここには「建設的な対立」と「破壊的な対立」というものがあるからです。

破壊的な対立とは、威嚇する、批判する、怒りや不満をぶつけるなどの言動です。
「だからアナタはダメ」と強く主張したり、暴力を振るうことも含まれます。 

一方の建設的な対立とは、冷静に話し合う、人ではなく課題にフォーカスした発言をする、歩み寄りをみせるなどの言動です。
「では、こうしたらどうだろうか」という前向きな意見をお互いに述べることが必要です。
これを夫婦間の対立におきかえると、子供に対する影響も踏まえ、お互いが冷静になりじっくりと話し合うという体制を設けることが必要になります。

アメリカのアリゾナ大学の研究チームが、「建設的な対立」と「破壊的な対立」が、子供に与える影響を調査しました。
すると、夫婦間での破壊的な対立は、子供の精神面に特に大きな影響を及ぼすという結果が出ました。※10

元々は他人である2人が一緒に生活していれば、意見の食い違いや多少の衝突が起こるのは当然です。
その際は、感情的になりすぎず、冷静な議論を心がけましょう。

 

建設的な対立の元の夫婦喧嘩は、共に問題を解決しようとする姿勢を見せれば、同じ衝突であっても、子供に対してむしろ良い影響を与えることができます。※9
子供の人間関係で、同じような意見の違いや対立があったときに、冷静に話し合い、解決するスキルが身につくのです。

※5 内閣府男女共同参画局 男女共同参画白書(概要版) 平成28年版 第5章 女性に対する暴力
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h28/gaiyou/html/honpen/b1_s05.html
※6 加藤孝正 監修 2018年1月1日 発刊 描画からわかる子どもの危機と成長のサイン 黎明書房
※7 日本心理学会 日心第75回大会(2011)夫婦げんかが子供に与える影響11 https://psych.or.jp/meeting/proceedings/75/contens/poster/pdf/2AM104.pdf
※8 国立成育医療研究センター こころとからだのケア
https://www.ncchd.go.jp/kokoro/disaster/to_protected.pdf
※9 日本小児禁煙研究会雑誌 不適切な養育と子どもの依存
http://www.jsptr.jp/zasshi/6-2/02sosetsu_tomoda.pdf
※10 AMERICAN PSYCHOLOGICAL ASSOCIATION
Patterns of interparental conflict, parenting, and children’s emotional insecurity: A person-centered approach.
http://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Ffam0000343

夫婦喧嘩をしなくなれば子供への影響はなくなるのか

子供の脳が受けたダメージは回復する?

前述したように、暴力や激しい暴言での日常的な夫婦喧嘩を子供の前ですることは、いわゆるマルトリートメントに該当します。
マルトリートメントとは、児童虐待よりも広義な意味を持つ言葉です。
分かりやすい表現をするなら保護する立場にある大人が弱い立場の子供へ「不適切なかかわり」をすることです。※11

 

激しい夫婦喧嘩によるマルトリートメントにさらされた子供の脳は傷つけられ、さまざまな脳機能を変化させながら苦しい環境を耐えていることが分かってきています。※11
夫婦間の問題が解決され、子供が夫婦喧嘩を目の当たりにしなくなっても、脳は傷ついていて、トラウマはしっかりと刻まれています。その後のフォローをしないまま成長すると、感情の歪み、うつ、心的外傷後ストレス障害などを引き起こす危険性があります。※12

 

では、一度傷つき損なわれた脳の機能を修復できないのかというと、そんなことは無さそうです。
最近の脳科学分野研究では、成人の脳でも再生・回復の可能性があるという報告がたくさんあります。※12
例えば、これを世界で最初に証明したとされるオランダの脳科学者が、慢性疲労症候群の成人に認知行動療法を行ったところ、それまで萎縮していた脳(大脳辺縁系の前庭状回の部分)の容積が回復した、と報告しています。※13
大人の脳でさえ回復の可能性があるなら、成長段階である子供の脳も、適切なケアや治療(認知行動療法や薬物治療など)を行うことで、回復する可能性は高いでしょう。
ポイントは早めの対応です。
1日でも早く適切なケアや治療を行うことが早期の回復につながることは、いうまでもありません。※12
脳や心に負った傷は、体の外から目で見て確かめることができません。
どんなに強がっていても、子供は子供、小さな大人ではありません。
大人が思っている以上に、子供の脳と心は傷つきやすく出来ています。
親だから気付くほんの少しの変化を、見逃さないようにしましょう。 ※15

 

冷戦状態も悪影響をおよぼす

では、コミュニケーションが極端に低下した、あるいはまったく無くなった家庭はどうでしょうか。
両親の会話がなくお互いを無視した状態でいること、これも子供にとっては不安の原因であり、居心地の悪い家庭環境といえます。
また、冷戦状態ということは、そのきっかけとなった問題が解決されていないということ。
つまり、お互いの不満は残ったままであり、家庭内にはピリピリとした空気が満ちていることになります。※14、15
子供の脳は、家族や両親、周囲の人たちからの愛情や信頼を確認しながら、たくさんの体験を通して学習していきます。
そして親や家庭が、安心・安全な場所であると認識し、自ら関係性を築いていくのです。
ところが、こうした家庭環境に恵まれず、親との関係性を上手く築くことができないまま成長した子供は、「自分は大切な存在ではない」という自己否定感が強くなる可能性もあります。※12
子供は一番身近な存在である親の行動を見て、それを模範とし色々なことを学んでいきます。
嫌な相手や納得のいかないことに対して「無視をすればいいんだ」と学んでしまうかもしれません。※15

 

※11 厚生労働省 子どもからのお願い 別居・離婚後のお父さん・お母さんへ 2019年6月28日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11920000-Kodomokateikyoku/0000183780.pdf
※12 子どもの脳を傷つける大人たち 友田明美 著 NHK出版 2017年8月発刊
※13 OXFORDACADEMIC BRAIN A JOURNAL OF NEUROLOGY Increase in prefrontal cortical volume following cognitive behavioural therapy in patients with chronic fatigue syndrome. 2019年6月28日閲覧
https://academic.oup.com/brain/article/131/8/2172/267610
※14 親に壊された心の治し方「育ちの傷」を癒す方法がわかる本 藤木美奈子 著 講談社 2017年1月発刊 
※15 発達が分かれば保育ができる! 川原佐公 著 ひかりのくに 2015年11月発行 

夫婦喧嘩の後、子供へどうフォローしていくのか

まずは、子供の心のケアから

夫婦喧嘩を目の当たりにした子供は、心が深く傷ついています。
自分の両親が暴力的な言動を発したり、自分を気遣ってくれなかったことなどに対して、子供の年齢が小さいほど、混乱は大きいでしょう。
喧嘩をした相手、自分に暴力や暴言を振るった相手に対して「怖かった」「居心地が悪かった」「悲しかった」「軽蔑した」などの言葉を伝えるのは、二の次です。
暴力や暴言を振るった方も、決して言い訳せずに、まずは子供の傷ついた感情を受け止めて下さい。

その後、必ず子供を、優しく抱きしめてあげてください。
夫婦にとって、子供は大切な存在だと伝えてあげれば、子供の心は和らぎます。 ※6、※11

 

親の関係、親子の関係

夫婦喧嘩をしてしまったとき、無かったことにはできませんので、深く反省しなければなりません。
子供の前で取ってしまった言動への振り返りはもちろん、なぜそうなってしまったのかを考え、解決していく必要があります。
夫婦喧嘩の原因が何だったのか考えず、一方的に「相手が悪い」と決めつけてしまうのはNGです。
次に同様の問題が持ち上がったとき、夫婦喧嘩にならないためにはどうすればいいのか、お互いに解決策を考えるようにしましょう。
そのためには、お互いの気持ちや価値観について、しっかりとした話し合いが必要です。

お互いに深く反省し、話し合いをしてもなお、衝突してしまう時は、相手の言動だけに気を取られるのではなく、子供の存在をしっかりと意識するようにしましょう。
子供にとって、この行動はどう見えるか、この言動がどれだけ子供を傷つけてしまうのか、常に客観的に意識すれば、夫婦喧嘩のブレーキになるはずです。 ※6、※11

 

話が理解できる子供へのフォロー

まずは、二人で「怖い思いをさせてごめんね」と、子供の気持ちをストレートな言葉で表し、素直に、真剣に謝りましょう。
そして子供の思いを聴き出し、その思いを否定せずに受け止めて、落ち着かせます。
それから、喧嘩をしてしまった理由を、子供にも分かる言葉で説明しましょう
話が理解できるようになってくると、相手の感情を理解できるようにもなってきますから、できるだけ正直に説明をして、「喧嘩の原因はあなたではないからね。あなたは大切な存在だよ。」と伝えます。

 

さらに、仲直りをしたことや喧嘩の事後報告を子供に伝えると、子供自身が「自分を仲間(家族という組織の一員)として扱ってくれた」という意識を持つようになり、信頼感と安心感を得ることができるでしょう。※15
もちろん、子供の年齢によって理解度は違います。
しかし、小さくても仲間意識は持っていますし、例えば小学生くらいになれば漠然とでも「同じ家族の一員」という考えを持てるようになるでしょう。

 

まだ話が理解できない子供へのフォロー

小さな子供や乳児であっても、ピリピリとした空気感やいつもと違う両親の様子は感じとります。
言葉を理解できなくとも、怒鳴り声や感情的な声が聞こえれば、不安と怖さと悲しさで縮こまってしまったり、混乱して泣き出してしまいます
すぐさま喧嘩をやめ、話は理解できなくても、「怖かったね、嫌だったね」と言いながら抱きしめてあげましょう。
言葉で感情を表せる時期の子供には、その感情をしっかりと受け止めてあげてください。
喧嘩の後も、子供の情緒の変化(夜泣きなど)や行動の変化(おもらしなど)を見逃さないように注意をし、変化が見られたときは、今まで以上に愛着関係を深めて、安心させることが大切です。※15

出来ることからコツコツと

共働きの場合は

共働きのワーママは辛い!子育てと家事の両立、その実態と対策とは?

でもご紹介しているように、夫婦で仕事と子育ての両立を行えるよう相談するのも良いでしょう。

お互いに不満や辛さを溜め込んで喧嘩になる前に、家事や育児で分担できる部分は分担しましょう。
まずは子供が○歳になるまでとか、保育園(幼稚園)に入るまでなどのように、分担の見直しの期限を決め、お互いが思いやり、譲歩し合うことも大切です。
その際、他人と比べてしまうことは、絶対にやってはいけません。※12
「△△さんの家は、奥さんがすべてやっている」「□□さん家の旦那さんは、もっと家事や育児に協力的だ」というようなセリフは、夫婦間の亀裂を産み、夫婦喧嘩の原因となってしまいます。

 

また、「わざわざ細かい内容まで言わないとやってくれない」というのは、頼んだ側からすると非常にストレスになり、分担したことが逆効果にもなります。
小さな事でも、言われる前に率先して動くことで、お互いの信頼度はアップします

 

お願いする方も「この人はどこまで言えば、仕事をしてくれるのか」相手を見極めましょう。

お互いが気持ちよく、日常生活を送れるよう、少しずつの思いやる努力が、夫婦喧嘩をしない秘訣なのかもしれません。※16

 

※16 内閣府男女共同参画局 夫婦が本音で話せる魔法のシート 「○○家作戦会議」 2019年6月28日閲覧
http://www.gender.go.jp/public/sakusenkaigi/index.html
※6 描画からわかる子供の危機と成長のサイン 加藤孝正 監修 黎明書房 2018年1月発刊
※14 親に壊された心の治し方「育ちの傷」を癒す方法がわかる本 藤木美奈子 著 講談社 2017年1月発刊 
※15 発達が分かれば保育ができる! 川原佐公 著 ひかりのくに 2015年11月発行

まとめ

夫婦喧嘩は、元は他人の二人がともに生活すれば、必ず起こるのかもしれません。
しかし子供にとって、くり返される夫婦喧嘩は虐待と同じ。
子供の体や心に大きな傷を残すのです。
もし、子供のいるところで夫婦喧嘩をしてしまったら、まずは子供を抱きしめて「アナタは大事な存在である」とちゃんと伝えてください。
その上で、夫婦の対立が建設的な対立となるよう、お互いに歩みよる姿勢を心がけましょう。

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