兄弟姉妹が増えたときの親の接し方!上の子の環境は大きく変わります
新しい家族が増えることはとても素敵な事です。
お腹の中に赤ちゃんがいるころは、子供も兄(姉)の目線で、赤ちゃんが生まれることにワクワクしたり、なんだかちょっと不安になったりしていたはず。
しかし、兄弟姉妹となった子供達がいつまでも仲良くいられるかというと、それはなかなか難しいようです。
実は、親が子供達にとる態度によって兄弟姉妹関係の良し悪しに大きな影響があったのです。
兄弟姉妹が増えた時の親の正しい接し方を考えていきましょう。
目次
- 家庭にだってある人間関係
- 子供2人の家庭が一番多い
- 生まれた順番でみられる特徴
- 二人兄弟姉妹の関係
- 兄弟姉妹の中に生まれる負の感情
- ある日突然奪われたスターの座
- 多くを学びあう兄弟姉妹
- 兄弟姉妹はライバル?
- 兄弟姉妹の喧嘩は、親の機転で上手に終わらせる
- 兄弟にもそれぞれの個性がある
- 隙間時間でしっかり愛情表現
- 平等に接する難しさ
- 子供との時間の作り方
- まとめ
家庭にだってある人間関係
子供2人の家庭が一番多い
1つの家庭に子供が何人いるかのかを推し量る統計があります。
完結出生児数と呼ばれるもので、結婚した女性が産む子供の平均数を示しています。
2005年の完結出生児数調査では、夫婦の間に産まれる子供の数は2.09人でしたが、2010年の調査で初めて2人を下回る1.96人となりました。
また、この調査で結婚後5~9年の夫婦に限ってみると、一人っ子家庭の割合は、1977年では全体の17.3%、2002年では23.6%、2015年では28.0%となっており、一人っ子の家庭は増加傾向にあることが分かります。※1
一方、二人兄弟姉妹家庭の割合は、1977年では61.8%、2002年では51.5%でしたが、2010年には全体の約半数の47.5%となりましたので、減少傾向にあるといえます。
また、子供が3人以上の家庭の割合は、1997年では16.8%でしたが、2002年では14.4%、2015年では11.7%と、こちらも減少傾向にあります。※1
の記事でご紹介している通り、子供の性格は同じ環境で育っても兄弟それぞれ違う性格になります。
現在、家庭数全体でみれば二人兄弟姉妹の家庭が一番多く、兄弟姉妹の関係は今も昔も出生順位から「上の子」、「下の子」などと言われます。
古くから「上の子は〇〇という性格」、あるいは「下の子は△△という性格」など、兄弟姉妹の順番によって性格が語られることがありますが、実際はどうなのでしょうか。
兄弟姉妹における、性格の特徴を見ていきましょう。
生まれた順番でみられる特徴
では、上の子、下の子の特徴を見てみましょう。
二人兄弟姉妹の上の子にみられやすい特徴
●自制的
● 慎重
●控え目
● 親切だが、面倒は嫌う
二人兄弟姉妹の下の子にみられやすい特徴
●快活で活動的
●おしゃべり
●甘えん坊
●告げ口をする
●強情
●依存的
●やきもちやき
また、中間子(三人以上の兄弟姉妹のうち、一番上と末っ子以外)にみられやすい特徴には、気に入らないと黙り込む、あまり深く考えない、面倒なことでも一生懸命に取り組むなどがあげられます。
なぜ、生まれた順番によって、子供の行動や性格形成に違いがあるのでしょうか。
それは、上の子と下の子とで育成環境が違うことがあげられます。
家庭における兄弟姉妹関係は、上の子と下の子の間に「タテ」の関係を作り出します。
しかし、「タテ」の関係は同時に、「ヨコ」の関係の要素も含んでいます。
兄弟姉妹の間には、親子ほどの年の差が無く、友人に近いためです。
つまり、タテの関係とヨコの関係という二つの要素が混じりあい、「ナナメ」という関係ができるので、兄弟姉妹間の関係性は親子関係と友人関係の中間的関係といえます。
しかしそれでも、兄や姉には「自分が先」という意識がありますし、兄弟姉妹の中には、引っ張る側と引っ張られる側、面倒をみる側とみられる側という関係性ができます。
親の方も、上の子に「役割」を求めている環境にあれば、自然とそれぞれの行動や性格に、違いが出てくるのです。※2
二人兄弟姉妹の関係
夫婦と子供一人の家庭では、家庭の人間関係は夫婦と母子、父子の3種類の関係になります。
しかし、この単純な3種類の関係は第2子が加わるだけで、相互関係は倍の6種類にも増加し複雑化します。
兄弟姉妹が増えた分、家庭内の人間関係は多彩かつ複雑化し、兄弟姉妹同士の関係性も多様なものとなります。
現在の日本にもっとも多い二人兄弟姉妹の関係は、4つに分類することが出来ます。
1. 対立関係:兄弟姉妹の一方が優位にならずお互いに対立している関係
2. 調和関係:兄弟姉妹同士の仲がよい関係
3. 専制関係:兄弟姉妹のうちどちらかが優位に立っている関係
4. 分離関係:兄弟姉妹間に積極的なやりとりがみられない関係
この4つのうちどれに該当するかは、出生順位や性別、年齢といった要因で異なり、時代の流れと共に、どの関係が多くなるか少なくなるかという、割合も変化します。
現在、分離関係にある兄弟姉妹が増加傾向にあるといわれています。
社会生活に必要な人間関係の基本を学べるはずの兄弟関係は、従来とは違うかたちに変わってきているのです。
兄弟姉妹同士が口もきかないといった分離関係にならないために、親は子供達とどう関わっていけばよいのでしょうか。※2
※1 厚生労働省 第15回出生動向基本調査
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000138824.pdf
※2 永井千恵子 大井晴策/編 1990年7月20日発行 幼児の人間関係 学芸図書
兄弟姉妹の中に生まれる負の感情
ある日突然奪われたスターの座
ママのお腹がどんどん大きくなり、「お兄ちゃんになるんだよ」「お姉ちゃんになるんだよ」と言われていても、子供の年齢がよほど大きくない限り、赤ちゃんがやってくる本当の意味は子供には伝わっていません。
子供はある日、ママがいなくなりしばらく離れて暮らすことにより、初めて「何かが起こっている」と実感します。
やがて、ママは赤ちゃんを連れて家に帰ってきます。
そして、その日から上の子の環境は大きく変わります。
いつも寝る前には絵本を読んでいてくれたママは、絵本の途中でも赤ちゃんが泣けば「後でね」と赤ちゃんを抱き、パパは帰ってくれば自分を一番に抱っこしてくれていたのに、今では一番に赤ちゃんの顔を覗き込んでいます。
このような親や周りの対応に、子供は大きなショックを受けるかもしれません。
子供の視点で見ると、あんなに毎日愛情を注いでくれていたママを、後からきた弟妹にとられてしまったのです。
しかも、とられてしまったのはママだけではありません。
パパも下の子を気にかけ、さらにはあんなに甘やかしてくれていたおばあちゃんですら赤ちゃんに夢中なのです。
この様に、周りの大人の態度や行動が一変すると、子供は赤ちゃんを憎らしく感じてしまいます。
もちろん上の子だって、小さな可愛い赤ちゃんを愛おしいと思わないわけではありません。
でもやっぱり小さなお兄ちゃんやお姉ちゃんは、後から来た下の子に、嫉妬してしまうのです。
こんな時、ママや周りの大人たちは、上の子が持てあましている気持ちを、十分に理解してあげることが必要です。※3
※3 佐藤眞子著 2013年11月10日発行 新編 2才児イヤイヤ期の育て方 主婦の友社
多くを学びあう兄弟姉妹
兄弟姉妹はライバル?
どんなに仲が良くても、必ずと言っていいほど兄弟姉妹間で喧嘩は起こります。
これは双子でも、年の差が有っても変わることはなく、さらに性差もありません。
男女の兄弟でも、男の子同士、女の子同士に関わらず、ふとしたきっかけで喧嘩が始まるのです。
毎日飽きることもなく繰り返される兄弟姉妹の喧嘩。
親はこんなに喧嘩ばかりしていると、子供達の仲が悪くなったりしないかと気になりますよね。
しかし、兄弟姉妹の誰かが長く家を空けるような時は、残された子供は急に「お兄ちゃん(お姉ちゃん、あるいは弟や妹)はいつ帰ってくるの?」と寂しそうな顔をしたりします。
兄弟姉妹とは親の愛を奪い合うライバルではあるものの、やはりお互いが近くにいないと寂しいと感じるのでしょう。
心は繋がっているものなのです。※4
では、兄弟姉妹同士の接し方はどうでしょうか。
まず、下の子は上の子から多くの事を学びます。
親が教えなくても、上の子との遊びの中で三輪車に乗れるようになったり、鉄棒ができるようになったりします。
下品な言葉やいたずらといった悪いことまで、しっかりと兄弟姉妹から教わるのです。
一方、上の子も下の子からいろいろな刺激を受け、日々学んでいます。
年上らしく振舞おうとする自制心や積極性、フラストレーションの処理方法などは、下の子と関わり、多くの体験をすることで身についているのです。
親は、上の子に単に「下の子の面倒を見てね」というだけではなく、お互いの関係性をしっかり観察しつつ、「(自分が遊びたくても)我慢が出来たね、偉いね」「しっかり下の子の面倒をみてくれてありがとう」と上の子を肯定し、褒めてあげることも必要です。
兄弟姉妹の喧嘩は、親の機転で上手に終わらせる
では、兄弟姉妹の喧嘩に対して、親はどのように行動すれば良いでしょうか。
兄弟姉妹同士で喧嘩が始まると、親はつい干渉してしまいがちです。
下の子が小さければ小さいほど、親は干渉してしまうでしょう。
しかし、兄弟姉妹の喧嘩というものはそんなに悪いものではありません。
上の子は下の子に対して手加減を覚えますし、下の子は負けると分かっていても挑むという精神力を養っていきます。
また、喧嘩中の下の子のは「お兄ちゃん(お姉ちゃん)に挑んでいる」という、どこか誇らしい気持ちを持っています。
親の過干渉は、上の子の手加減を覚えるチャンスを奪い、下の子の挑む精神力と誇りを奪うこともあるのです。
確かに、どちらかがケガをするまで放っておけません。
しかし、ほんの少しだけこの兄弟姉妹の喧嘩の行方を見守ってみてください。
親が思っている以上に子供達は何かを得ているのです。
その上で、下の子の気持ちを理解して手加減が出来た上の子を、しっかりと褒めてあげましょう。※2、※3
年齢が近い兄弟姉妹ほど、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから我慢しなさい!」は、言ってはいけない言葉かもしれません。
上の子からすれば、「好きで兄(姉)になったわけじゃない!」「何でいつも自分ばっかり我慢しなきゃいけないんだ!」と、兄弟姉妹や親子関係が余計にこじれてしまう可能性もあります。
兄弟にもそれぞれの個性がある
同じ生まればかりの赤ちゃんでも、おっぱいをたくさん飲む子もいれば、あまり飲まない子、いつまでも泣きやまない子やよく寝る子、などそれぞれです。
このように、人が生まれつき持っている気質や性格などをひっくるめて個性といいます。
3人、4人などたくさんの子供を育てたことがあるママは、どの子にも個性があり、それは生まれた時からのものだと知っています。※4
また、子供の特徴は産まれた順番でも変わってきます。
例えば、一番上の子は親の愛情を一心に受ける時期があり、自己肯定感が高いため、のびのびした性格となりやすいと言えます。
さらに上の子は、幼少期から「兄弟の面倒をみる役割」を課せられるため、集団の中でも自然に指揮をとる傾向があります。
逆に、上の子の時は泣けばすぐにあやしていたのに、下の子は少しくらい泣いていても気にならないなど、同じ泣くといった動作でも長子と次子では親の受け止め方と態度に変化が出てきます。
このような環境の差と子供の生まれ持った個性は、複雑に絡み合い、影響しあっています。
親は、それぞれの性格や個性をしっかりと見極め、上の子が「上の子としての役割」を果たしていれば褒め、下の子が上の子を敬っていればそれを肯定するなど、子供一人ひとりに合わせた接し方をしていきましょう。※2、※5
※2 永井千恵子 大井晴策/編 1990年7月20日発行 幼児の人間関係 学芸図書
※3 佐藤眞子著 2013年11月10日発行 新編 2才児イヤイヤ期の育て方 主婦の友社
※4 山本勝美著 2005年亜3月発行 3歳児は困ったちゃん?-育児カウンセラーのアドバイス 筑摩書房
※5 無藤隆ら 著 2018年4月6日発刊 心理学 新版 (New Liberal Arts Selection) 有斐閣
隙間時間でしっかり愛情表現
平等に接する難しさ
子供にはみんな平等に接しているつもりでも、実際には一人ひとりに対する親の態度は異なります。
例えば、下の子が生まれた時。
前述のように、上の子は下の子が生まれた時、親の愛情を全部下の子に持っていかれたような感覚を覚えます。
この時の親は、上の子供が持っている赤ちゃんへの憎しみと、愛おしいという相反する感情のバランスを上手にとりながら子供自身が表現していけるよう、導いてあげる必要があるのです。
逆の視点でみると、例えば母子手帳の記録はどうでしょう。
長子の時にはびっしりと書かれていたものが、次子ではほぼ書かれていないということはありませんか?
長子は初めての子だったから親も一生懸命だったけれど、次子より下の子に対しては丁寧さが欠けている、ということは無いでしょうか。
こうした親の態度や考え方が無意識でも子供に伝わると、子供達は兄弟姉妹に比べて自分のほうが愛されていない、大切にされていないという気持ちを抱いていることがあります。※5
ここに差が出てしまうのは良くありません。
親は本来、すべての子供に平等に接するべきなのです。
また、大人の接し方で子供の反応は大きく変わります。
当たり前ですが、子供に笑顔で挨拶をされると思わず笑顔になってしまいませんか?
笑顔で「おはよう」や「ありがとう」を言う、話をする時は相手の目を見るなど、親が礼儀正しくあれば、子供もそれを見て礼儀正しくなっていきます。
同様に、子供にたくさんの愛情を伝えることで、子供は「愛情とは何か」を知り、兄弟姉妹にも自分が受けた愛情を伝えることができるようになります。
兄弟姉妹の仲が悪いことは、子供に問題があるとは限りません。
「いつもお兄ちゃんだけいい思いをしている」「妹はいつも可愛がられている」など、子供に「自分より兄弟姉妹の方が好きなのだ」と思わせた親にも、責任があるのです。
子供には、子供自身に分かるようにしっかりと、愛情を平等に伝えていくことが大切なのです。※2、※5
子供との時間の作り方
親が子供に愛情を伝えるのは、子供と一対一の時です。
別の兄弟姉妹の前で一人に愛情を伝えると、別の兄弟姉妹は「やっぱり自分よりあっち(他の兄弟姉妹)の方がいいのだ」と思ってしまいます。
パパに子供を預けることができるのであれば、ママはたまにどちらかの子供と二人でお出かけをするのもよいでしょう。
この場合、パパに預けられた子供もパパとの時間を楽しむことができます。
子供と二人でのお出かけが難しいならば、パパに下の子を見てもらっている間に上の子と二人でお風呂に入るなど、まずは、ほんの少しの時間でもいいので、日常的な生活の中で子供と二人の時間を作り出すようにしましょう。
上の子だけに関わる時間、下の子だけに関わる時間を作り出し、その時間はその子を思いっきり可愛がってあげましょう。
子供に愛情を伝えることで兄弟姉妹の仲が良くなるなんて不思議な気もしますが、子供達は自分が愛されていることを自覚することで、他者にも優しくなれます。
ママやパパはいつの間にかつけていた子供達への差を自覚し、子供への接し方を見直してみましょう。※2
共働きで、なかなか時間が取れない!そんな方はこちらの記事もおすすめです。
・共働きのワーママは辛い!子育てと家事の両立、その実態と対策とは?
※2 佐藤眞子著 2013年11月10日発行 新編 2才児イヤイヤ期の育て方 主婦の友社
※5 無藤隆ら 著 2018年4月6日発刊 心理学 新版 (New Liberal Arts Selection) 有斐閣
まとめ
世の中には、大きくなっても連絡を取り合い食事や買い物、旅行などにいく兄弟姉妹もいれば、連絡すら取りあうこともなく、すっかり疎遠になってしまう兄弟もいます。
せっかく同じ屋根の下、家族として巡り合えたのですから、いがみ合うことなく、いつまでも仲のいい兄弟姉妹でいてもらいたいものです。
兄弟姉妹がずっと仲の良い相手でいられるよう、親はどの子にもしっかり愛情を伝えていきましょう。