子育て中の夫婦が抱える「子育ての悩みトップ5」はコレだ!

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子供ができれば、今までの生活もがらりと変わるでしょう。
仕事、家事、育児と毎日の生活に追われて、悩むことも多いはず。
でも悩んでいるのは決して自分たちだけではありません。
子育て中の多くの家庭が、子育ての悩みを抱えているのです。
今回は厚生労働白書から、思わず「そうそう!」と頷きたくなる、子育ての悩みトップ5について考えてみました。

目次

  1. 第5位 仕事や家事が十分にできない 22.0%
    • 妻に育児・家事の負担が偏っていない?
    • 解決策:育児・家事に完璧を追い求めない
  2. 第4位 気持ちに余裕を持って子どもに接することができない 25.6%
    • 人は忙しくなると優しくなれない
    • 解決策:子供との時間は量より質
  3. 第3位 子育てによる身体の疲れが大きい 28.9%
    • 子育ては誰のためのもの?
    • 解決策:ワンオペ育児を乗り切るには
    • 解決策:子供を育てているだけでも十分素晴らしいと自覚し、辛い時は助けを求める、
  4. 第2位 自分の自由な時間が持てない 44.1%
    • パパやママだって一人の人間だ
    • 解決策:子育ては良い加減で
  5. 第1位 子育てで出費がかさむ 53.2%
    • 子育て費用は年々増加している
    • 子育てにかかる費用は
    • 解決策:将来を見据えて、お金のかけ方を考えよう
  6. まとめ

第5位 仕事や家事が十分にできない 22.0%

妻に育児・家事の負担が偏っていない?

夫婦間の育児負担・家事分担状況に関する総務省「社会生活基本調査」をみると、2011年の時点では、「6歳未満の子どもをもつ夫婦の育児・家事関連時間(1日あたり)」の育児・家事時間に対し、夫と妻での大きな差がみられました
夫が1時間7分、対する妻は7時間41分とおよそ7倍。
妻が圧倒的に育児・家事に費やす時間が多いことが分かります。
共働き世帯でも、似た様な傾向でした。※1
その後、2016年度にも同様の調査が行われましたが、この時は2011年とくらべると、男性の家事・育児時間は増加傾向にあります。


一方、女性は家事時間が減少傾向にあり、育児時間が増加傾向となっています。
家事時間の差では男性は増加、女性は減少となっており、男女の差は小さくなっていますが、依然として育児・家事の時間の男女の差があるといえるでしょう。※2
さらにこの調査では、同様の設問に対する国際比較をしています。
これによると、日本の男性よりも諸外国の男性の方が、育児や家事に関わる時間が多い(2~3倍)ことが分かります
日本は先進国の中で、最低水準となりました。※3

 

そもそも、家事や育児は妻の仕事なのでしょうか?
家事とは本来、自分ですべき家の中の事です。
結婚して一緒に生活するようになったがゆえに、それまでは母が行っていた家事を、妻がまとめて行っているに過ぎません。
夫の側にも「家事は本来自分でやるべきもの」という意識があるかどうかの違いではないでしょうか。
次に育児について考えてみます。
確かに、生まれてから幼少期までは母親でないと嫌がったり、母親でないとできないことも多かったり、母親の方が子供と過ごす時間が多いぶん子供の気持ちに寄り添えたりと、母親の役割は大きいといえるでしょう。
これらのことを考えると、育児よりも家事の方が、夫が分担できる仕事なのかもしれません。※4

 

解決策:育児・家事に完璧を追い求めない

子育てをしているママ同士で、お互いの日常生活について話す機会は多いかと思います。
フルタイムで働きながら、食事、掃除、洗濯、子供の送り迎えなど、忙しい中でも段取りよくこなしているママもいるでしょう。
そんな時、ついつい、自分と他のママを比べていませんか?「すごいなあ、私も見習わなきゃ!」とか「私はダメなママだな」と。


そして、さらによいママになろうと頑張ろうとします。
でも、もう一度よく考えてみてください。
人はみなそれぞれ違い、家庭の事情もそれぞれ違うのですから、みなが同じことをしなくても良いはず。
自分にできる限度はそれぞれ違いますし、家事や育児に世間的なノルマは無いのです。
大事なのは、それぞれの家庭のルールに沿って、自分たちのペースで進めていくこと。
完璧な家事ではなく、「○○家の家事」を目指すことです。
完璧な家事や育児を追い求めると、親も子供も苦しくなります。
少しぐらい家事に手を抜いたって、家族が幸せな生活を送っているのであればそれで良いのです。
もちろん、働くママは、子育てを理由に仕事の手を抜くことはできませんから、自分の出来る範囲で社会や会社に貢献する、というスタンスが必要です。
もし仕事や家事の状況に悩んでいるならば、家族で話し合い、新たなルールを決めることも必要かもしれません。※5

 

※4 立石美津子 1人でできる子になる「テキトー母さん」流子育てのコツ 2016年7月発行 株式会社 日本実業出版社p.78.80
※5 立石美津子 1人でできる子になる「テキトー母さん」流子育てのコツ 2016年7月発行 株式会社 日本実業出版社
※1 厚生労働省 平成27年版 厚生労働白書 人口減少社会を考える p.107 / 2019年5月30日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/15/dl/all.pdf
※2 総務省 平成28年社会生活基本調査 生活時間に関する結果の概要 / 2019年5月30日閲覧
https://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/pdf/gaiyou2.pdf
※3 内閣府男女共同参画局「平成28年社会生活基本調査」の結果から~男性の育児・家事関連時間~p.5 / 2019年5月30日閲覧
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/k_42/pdf/s1-2.pdf

第4位 気持ちに余裕を持って子どもに接することができない 25.6%

人は忙しくなると優しくなれない

忙しい時、イライラしている時、他人に対して強く当たってしまう。
こういった経験がある人も、少なくはないはず。
人は忙しいと心に余裕がなくなり、他人に対してつい厳しく接してしまいがちです。
忙しいという字は「心を亡くす」と書きます。
この字には時間的余裕が無い、精神的余裕が無いという意味もあります。※6


例えば、忙しい日常の中で、一生懸命夕飯のカレーを作っても、子供に「えー、今日はハンバーグが良かったー」などといわれると、それだけでストレスですよね。
つい「うるさい!じゃあ食べなくてもいい!」と反論したくなります。
でも、子供からしたら素直に自分の考えを言ってみただけ。
そこで怒られるのは、子供にとっては心外です。
また、たくさんの時間を子供と一緒に過ごしたいと思っていても、忙しさのあまり子供との時間が思うように取れていないと感じる人も多いのではないでしょうか。
仕事が忙しくて休めない、時間が取れないというのは、自分で自分を忙しくしているのかもしれません
仕事や家事を効率化させて子供との時間を増やそうとしても、さらに自分を追い込み、気持ちに余裕のない状態になっている、ということはありませんか。※7

 

解決策:子供との時間は量より質

例え忙しい時でも、自分自身の気持ちに余裕があるならば、子供に対しても優しく接することができるのではないでしょうか。
「子供には優しくしたい」と思ったなら、仕事・育児・家事で忙しい日常でも、少しでも笑顔になれる時間を作ってみてはいかがでしょうか。
自分の好きなことでも、家族との時間でも、何でも良いのです。
ふと立ち止まって、自分を客観的に見る時間を作ってみてください。
そうすることで、気持ちに余裕が持てるようになります。
もしも子供に対して必要以上に強く接してしまったと感じたならば、一旦、深呼吸して冷静になりましょう。
そして、素直に「さっきはイライラしてごめんね」と伝えてみましょう
子供は、いつも忙しくてイライラしているママよりも、忙しい中でも自分に笑いかけてくれるママが大好きなのです。


また、子供との時間を多く取ることだけが、解決策ではありません。
少ない時間でも、充実した子供との時間を作ることはできます。
子供との時間は量より質なのです。
今ある限られた時間を、子供と遊ぶ時間や子供の宿題をみる時間、自分のしたいことをする時間、リフレッシュできる時間にあてるなど、生活にメリハリを付けることを意識的に取り入れてみるのもいいかもしれません。
その時間は、ほんの数分でも良いと思います。
心に余裕ができれば、その時間が楽しいものとなるでしょう。
特にお仕事をしているパパやママは、子供と過ごす1日のうちの数分間を大事にして、子供と正面から向き合う時間にしていきましょう。※7

 

※6 大辞林第三版 2006年10月発行 株式会社 三省堂 松村 明
※7 おおたとしまさ 忙しいビジネスマンのための3分育児 2013年5月発行 株式会社 ディスカヴァー・トゥエンティワン

第3位 子育てによる身体の疲れが大きい 28.9%

子育ては誰のためのもの?

多くの親は「子供のために」子育てをしているかと思います。
子供のことを第一に考えて生活をしているでしょう。
例えば、ママが高熱で体調を崩した時でもゆっくり休むことができない、それが子育て中のママの現状です。
やはり子供のことがとても気がかりですし、自分が辛くても子供のために買い物、炊事、洗濯、掃除などの家事をします。
子供がいる生活には24時間365日、休みはないのです。
身体的な疲労が大きいと感じている方が多いのが、現実ではないでしょうか。
ところで、最近よく聞かれるワンオペ育児という言葉。
ワンオペ育児とは一般的に
・ひとり親の家庭
・父親が仕事で帰りが毎日遅い家庭
・共働きで父親が単身赴任の家庭
などの理由で、仕事、家事、育児のすべてを一人で行わなくてはならない状態のことをいいます。
共働きのママだけでなく、専業主婦においてもワンオペ育児の辛さはあります。 ※5、8

解決策:ワンオペ育児を乗り切るには

ワンオペ育児を乗り切るためのポイントをみてみましょう。
●がんばり過ぎない育児を目指す
そもそも日本の女性は、頑張りすぎる傾向があります。
体が辛い時、手を抜けるところは抜いても良い、仕事に子育て、家事をしていること自体が、すごいことなのです。
ご飯は食材の宅配を利用したり、休みの日に作り置きしたりするのも良いでしょう。
掃除や片付けは子供たちにも手伝ってもらうなど、毎日の家事のすべてをママ一人でやらなくても良いのです。
パパがいるなら、できるだけ家事、育児を分担しましょう。
子供の年齢が低いうちこそ、誰かの協力が必要です。
●夫婦間で家事・育児の分担を可視化する
お互いが、何をどれだけの頻度で行っているかを再確認できます。
もしかすると、同じことを二人で行っている、ムダが見つかるかもしれません。
ただし、分担を明確にしたら、お互いにダメ出しをしないこと。
ダメ出しされるとやる気が削がれます。
お互いが「やってくれたこと」に感謝の気持ちを持ちましょう。
●家族や親せき、地域を頼る
ワンオペ育児が孤独や不安を生む理由の一つに、家族や親せき、近所の人とのつきあいが
減っていることが挙げられます。
助けを借りることに、引け目を感じることはありません
時には、両親に来てもう、地域の保育園などに一時的に子供を預かってもらうことも良いでしょう。
子連れで楽しめるネットワークづくりも、気分転換になります。※8

解決策:子供を育てているだけでも十分素晴らしいと自覚し、辛い時は助けを求める、

「ママなんだから、しっかりしなさい!」という言葉に、強くなくてはならない、立ち止まっていたらいけないと思い、自分を追い込んでいるママも多いのではないでしょうか。
ママだって、最初は子育て初心者。
何でも完璧では無いのです。
子育てをしていれば、子供の成長とともにいろいろな悩みが出てきます。
子供を育てることは、とても大変なことです。
子育てをしている自分をほめてあげてください。
1人で抱え込まず、どうしても辛い時は、自分の感情を出してもいいと思います。
パパ、家族、周囲の人たちに、助けを求める勇気も必要なのです。※5

※5 立石美津子 1人でできる子になる「テキトー母さん」流子育てのコツ 2016年7月発行 株式会社 日本実業出版社
※8 藤田 結子 ワンオペ育児 わかってほしい休めない日常 2017年6月発行 毎日新聞出版

第2位 自分の自由な時間が持てない 44.1%

パパやママだって一人の人間だ

特に女性は、子供が生まれると「ママ」となり、「一人の人間」として扱われなくなってしまうことが多いでしょう。
同じ人間であるにもかかわらず、「ママ」という名がついただけで、いろいろなことが制限されているのではないでしょうか。
例えば、「単身の女性」と「子供のいるママ」が、それぞれ一人旅を計画したとします。
ママの方は子供を預けて旅行することになるわけですから、周囲には「ママの責任を放棄した」と捉えられるかもしれません。
でも、「ママやパパだって一人の人間」ですから、子供を持ったからといって好きなことが全て制限されるべきなのでしょうか。
時には子供を両親に預けたり、ベビーシッターを利用したりして、夫婦でデートをする余裕も必要です。
他人がとやかく言うことではなく、その家庭がうまく動いていくならば、それはそれで認められても良いはずです。
ママやパパだって、時には気分転換することも必要です。※9

 

解決策:子育ては良い加減で

子供のことが気になり、つい声をかけてしまうという親も多いことでしょう。
宿題は済んだの?明日の学校の準備はできたの?忘れ物はない?など、日々声をかけてしまうママも多いはず。
でもそれって、本当に子供のためなのでしょうか。
問題は、子供自身が宿題を忘れて先生に怒られることで「明日からはちゃんとしよう」と思うかどうか、忘れ物をしたために教科書を見せてもらうなど「お友達に迷惑かけたから気を付けよう」と思えるかどうかです。
子供はいずれ親から離れて社会に出ていきます。
小さいうちから、自分で行動できる子に育てることは、とても大事なことです。
だからといって、子供を放ったからしはダメです。
過保護になり過ぎず、放ったからしでもなく、適度に力を抜き、子供を見守る「良い加減の育児」を目指しましょう。※5、9
そして何より、夫婦間の協力なしでは、子育てはうまくいきません。
育児でママが疲れていたら、パパはママが息抜きできる環境を作りましょう。
時には子供を連れて外出し、ママを一人にさせてあげるのも一つの方法です。
身近にいるからこそ、お互いが頼れる存在であるべきなのです。※4

 

※4 山本ユキコ 出産・育児ママのトリセツ2016年3月初版発行 忘羊社
※5立石美津子 1人でできる子になる「テキトー母さん」流子育てのコツ 2016年7月発行 株式会社 日本実業出版社
※9 古市 憲寿 保育園義務教育化 2015年7月発行 小学館

第1位 子育てで出費がかさむ 53.2%

子育て費用は年々増加している

日本の子育て費用の現状をみてみましょう。
2017年3月に内閣府が公表した子育て費用の調査報告書によると、年齢別にみた1人当たりの子育て費用は年々増加傾向にあります。
特に18歳未満までは年齢が上がるほど子育て費用は高くなっています。※10

 

子育てにかかる費用は

では、年齢別の子育て費用はどれくらいでしょうか。
0~5歳では、1997年度で1,043.3千円/人・年、2002年度で1,147.7千円/人・年、2010年に行われた調査では、1043.5千円(第一子)です。
いずれにしても年間で100万円以上かかっています。
尚、2010年に行われた調査は「中学生」までが対象でしたが、小学生全体で1,153.5千円、中学生全体で1,555.5千円と、子供が大きくなるにつれて、子育ての費用が高くなります(第一子の場合)。
子供が中学生くらいになると、子育て費用は未就学児の頃の1.5倍くらいになるようです。※11
そして、子育て費用が最も高い年代は15~17歳。
その費用は、1997年度で2,111.5千円/人・年、2002年度で2,184.1千円/人・年と、0~5歳のおよそ2倍、年間で200万円以上です。※10
見かけの生活費でみると、18歳未満の子供がいる家庭では、1997年度と2002年度ともに「その他生活費(保健医療、教育を除く)」が60%近くを占めています。
次に「教育費(学校教育費、学校外教育費)が35%前後、妊娠・出産費や保育料、医療費がこれに続きますがいずれも3%未満です。※10

 

解決策:将来を見据えて、お金のかけ方を考えよう

子育てで出費がかさむなら、まずは休日の過ごし方を見直してみませんか。
外食したり遠出をしたり、お金をかけることが子供にとって良い思い出になるとは限りません
もちろん、お金を使うことは悪いことではありませんが、前述のように子供が大きくなるにつれて、子育て費用はどんどん大きくなっていきます。
子供がまだ小さいうちは、ママと一緒にご飯やお菓子作ることも子供にとっては良い経験ですし、いずれ自分で生きるための知恵を養うことにつながります
家や公園など、子供の好きなことでいっぱい遊んであげることでも、子供は満足なのです。
お金を使わなくても、楽しめることはたくさんあるはずです。
最近は、SNS等を通じて、他の家庭のことを知る機会が増えました。
でも、○○へ行きました!という写真をうらやましがったり、落ち込んだりするのはナンセンスです。
SNSには基本的に、良いことしか書かれないことに気付いてください
家庭ごとに考え方やお金のかけ方があり、無理をすれば歪が生まれます
歪はやがて子供の心にも影響を与えます。
子供が幼いほど、子供の世界を一緒に楽しむ気持ちが大切なのです
もしも経済的な不安があるのであれば、今一度、夫婦でお金の使い道について話し合ってみましょう。
無駄な出費に気付くかもしれません。※5

 

※5立石美津子 1人でできる子になる「テキトー母さん」流子育てのコツ 2016年7月発行 株式会社 日本実業出版社
※10 内閣府 社会全体の子育て費用に関する調査研究報告書概要 5.子ども1人あたりでみた子育て費用 / 2019年5月30日閲覧
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa16/hiyo/chap2_5.html
※11 内閣府 インターネットによる子育て費用に関する調査報告書 / 2019年5月30日閲覧
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_hiyo/pdf/gaiyou.pdf

まとめ

子育ての悩みは、それぞれの家庭で違います。
でも、どこの家庭でも似た様な事に悩んでいると分かったら、辛いのは自分だけじゃないと思えるのではないでしょうか。
一概にこうした方が良いという解決策はありませんが、夫婦間の話し合いやお互いが協力することで解決できることが、きっとあるはずです。
育児を完璧にしようと思うと、心も体も疲れてしまいます。
手を抜けることは抜き、子供と一緒に成長できる子育てを目指しましょう。

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