夫婦の家事分担、どう決めたらいいの?お互いが上手に家事を分担していくコツ

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昔は結婚、妊娠、出産を機に、妻は仕事を辞めて専業主婦になる方が多くいました。
しかし近年は、育児休暇を活用して仕事に復帰する、再就職し働き始めるなど、共働き世帯が増えています。
妻は、仕事・家事・育児と毎日忙しい日々を送ることになりますから、夫の家事・育児参加は不可欠です。
夫婦で楽しく家事に取り組めると、よいですよね。
夫婦が上手に家事を分担していくためのコツをご紹介します。

目次

    • 日本の女性の就業状況は
  1. 日本の夫婦の現状
    • 日本の夫婦の育児・家事時間の実態
    • 諸外国と日本夫の育児・家事時間の比較
  2. 家事分担が求められる理由
    • 妻の社会進出を社会が後押し
    • 夫の家事参加による非常時のリスク回避
    • 夫婦の時間、子供との時間が増える
  3. 家事分担はどうやって決めればよいの?
    • 家事といっても、いろいろ
    • 家事分担を決める時のコツ
    • 家事分担でやってはならないこと
  4. 夫婦で家事をうまくこなしていくにはどうしたらよい?
    • 家事は可視化することで見えやすい
    • 家事は完璧を目指さなくてもよい
    • 自分のことは自分でやるようにする
    • お互い感謝の気持ちは忘れずに
  5. まとめ

日本の女性の就業状況は

日本の夫婦の現状

まずは、日本の女性の就業状況から見てみましょう。
内閣府の「就業者数及び就業率の推移」をみると、生産年齢人口(15~64歳)の女性の就業数は、2013年以降増加しています。
生産年齢人口の女性の就業率をみても、2017年は15~64歳で67.4%、25~44歳で74.3%となり、近年、著しく上昇しています。※1
さらに、女性の年齢階級別労働力率の推移をみると、1977年は25~35歳ぐらいにグッと労働率が下がっています。
2017年も同じく30代ごろに低くなり、「M字」のようになっているものの、そのMのカーブは1977年に比べると徐々に緩やかになっています。
つまり、昔は結婚や出産を機に仕事を辞めて専業主婦になる人が多かったが、近年は育児休暇を利用し復帰する女性や、一度辞めても再就職して働く女性がする人が増えてきていることがわかります。※1
女性が職業を持つことへの意識にも変化が見られます。
男女ともに「子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい」と答える割合が増えてきています。※1
ただし一方で、再就職した場合の妻の雇用形態は、パートの場合が多いようです。
妻は仕事・家事・育児の役割が夫よりも多く、仕事をセーブせざるを得ない状況にあると言えるでしょう。※1、2

 

日本の夫婦の育児・家事時間の実態

では、日本の夫婦の育児・家事時間についても見てみましょう。
内閣府の「6歳未満の子供をもつ夫の育児・家事関連時間(1日平均)の推移」をみると、夫の育児・家事関連時間は、2016年で83分です。
これは20年前の1996年38分と比べると、45分増加しています。
一方で、妻の方は454分と、20年前とほぼ変わらない状況です。※3
現在、夫の育児・家事時間は増えていても、妻の育児・家事時間が減っていないのは、妻の育児の時間が増加しているからです。※3
世間でも妻のワンオペ育児・ワンオペ家事が問題視されており、家事・子育ての負担に対する差は、現在でも大きいことがわかります。※3
また夫婦間の分担割合状況において、男女で評価の違いが見られます。
夫が全く家事・育児をしない(夫0割、妻10割)と回答した人は、夫5.8%、妻13.4%と、配偶者間で分担評価に差がありました。
妻は、夫に対して厳しい評価をしていることがわかります。※4

 

諸外国と日本夫の育児・家事時間の比較

では諸外国の夫婦の状況はどうなのでしょうか。
夫の育児・家事時間を先進国(米国・英国・フランス・ドイツ・スウェーデン・ノルウェー)と比較してみましょう。
日本の夫の育児・家事時間が83分に対して、米国190分、英国166分、フランス150分、ドイツ180分、スウェーデン201分、ノルウェー192分といずれも長いです。
日本の夫は、先進国中、最低の水準と言えます。※3
一方、妻の方はどうでしょうか。
同様に比較してみます。
日本の妻の育児・家事時間が454分に対して、米国340分、英国369分、フランス349分、ドイツ371分、スウェーデン329分、ノルウェー326分と短いです。
夫婦の育児・家事時間は諸外国においても妻の方が長いですが、特に日本の妻は育児や家事の負担が大きいことがわかります。※3

 

※1 内閣府男女共同参画局 男女共同参画白書平成30年度版 第一節 就業をめぐる問題
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h30/zentai/html/honpen/b1_s02_01.html
※2 中野円佳(著) 2019年6月発行 なぜ共働きも専業もしんどいのか PHP研究所
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-84312-4
※3 内閣府男女共同参画局 「平成28年社会生活基本調査」の結果から~男性の育児・家事関連時間~
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/k_42/pdf/s1-2.pdf
2020年7月31日閲覧
※4 内閣府 第2章 4.(4)夫婦の家事・育児の分担割合
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_riyousha/pdf/zentai/2_4_5.pdf
2020年7月31日閲覧

家事分担が求められる理由

妻の社会進出を社会が後押し

日本は少子高齢化により、この先、働き手が不足していく可能性が大いにあります
女性の社会進出、女性の労働力が、ますます必要とされています。※2
実際、女性の社員育成に力を入れている会社も増えてきており、結婚・出産後も働く女性が増えています
しかし、仕事と家庭(家事・育児)との両立に大変さを感じている人も多く、子育て中のママが働きやすい環境にあるとはいえない状況です。※2
夫が家事に参加することで、妻の負担は軽減し、女性が働きやすい環境へとつながっていくと考えます。
また、日本の企業の中にも男性の育児休暇制度もありますので、併せて利用していくことが望まれているといえます。※2、6

 

夫の家事参加による非常時のリスク回避

夫が家事に参加することによって、各家庭に起こる非常時でも、そのリスクを回避することができます。※5
普段から家事に参加していれば、妻がいない状況でも、どうしよう…と慌てることはないですし、妻も夫に安心して家のことを任せることができます。※5
しかし、何もかも妻任せにしているとどうでしょう。
例えば妻が体調を崩した時、家事は夫がやらなくてはなりません
物の置き場所や手順がわからないと、その都度聞きながら家事を進めることになりますので、時間もかかってしまいますし、妻は体を休めることも難しくなります。※5
全く家事をしない夫は、日々の生活に支障が出るだけでなく、自分の仕事にも影響が出てくる可能性があります
普段から、やれることから少しずつやっていくとよいでしょう。※5

 

夫婦の時間、子供との時間が増える

夫の家事参加で妻のワンオペ状態が解消できれば、夫婦の時間、子供との時間は当然増えてきます。※6
夫も子供も、時間に追われてイライラしている妻(ママ)には、正直話しかけづらいです。
しかし、妻に時間の余裕ができれば、気持ちにもゆとりが出てきます。
夫婦・親子の会話も増え、良好な関係を築けるでしょう。※6
夫もまた、ある程度家事を分担することで、仕事にもメリハリをつけて取り組むようになります。
例えば、子供のお迎えがある場合、お迎え時間に遅れるわけにはいきません。
子供をお風呂に入れる場合も子供の就寝時間に関わってくるので、遅くまで仕事はできません。
当然夫は仕事の効率化を考えるようになります。※6
結果的に、家族と過ごす時間、夫婦の時間や子供との時間が、増えてくるようになります

 

※2 中野円佳(著) 2019年6月発行 なぜ共働きも専業もしんどいのか PHP研究所
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-84312-4
※5 栗田正行(著) 2012年5月発行 「働くパパ」の時間術 日本実業出版社
https://www.njg.co.jp/book/9784534049568/
※6 藤田結子(著) 2017年6月発行 ワンオペ育児わかってほしい休めない日常 毎日新聞出版
http://mainichibooks.com/books/humanities/post-416.html

家事分担はどうやって決めればよいの?

家事といっても、いろいろ

家事を分類すると、掃除、洗濯、買い物、料理などに分けられますが、その作業もいくつかの工程に分けることができます。※7
例えば、洗濯を細かくみると、洗濯機を回す、洗濯物を干す、洗濯物を取り込む、洗濯物をたたむといったような作業があります。
一人でこの作業を全部やることもできますが、みんなで分担することも可能です。
洗濯機を回すのは妻がやる、干すのは夫がやる、取り込むのは早く帰ってきた方がやる、たたむのは各自でやるといったような分担方法もあります。※7
細かく分担することで効率性があがる場合がありますので、効率性を考えながら各家庭で工夫してみるとよいでしょう。※7

 

家事分担を決める時のコツ

分担を決める時の主導権は家事に詳しい妻にあるかもしれませんが、必ず夫婦で意見を出し合ったうえで決めてください
お互いが納得する分担でなければ、途中で意見の食い違いが出る可能性があります
「あなた、これお願い!」と、妻が勝手に夫の分担を決めることはやめましょう。※5
また、できれば家事の量で分担していくのではなく、適材適所で決めていくと、家事を進めやすいです。
料理が得意な夫なら料理や食事を担当してもらう、几帳面な夫なら家計簿記帳をお願いするなど、得意なことを任せると効率性も上がります。※5
もちろん、毎日同じように時間が進んでいくわけではないので、その日の家庭の状況で臨機応変に対応していくことが大切です。
「いつもは妻がお買い物担当だけど、今日は夫が午後から会社を休むから買い物をお願いする」など、協力し合っていきましょう。※5

 

家事分担でやってはならないこと

家事分担をするとき、夫婦の収入比が7対3だから家事は3対7で負担するといった、「収入が多い=家事分担は少なくてよい」という考え方は望ましくありません。※7、8
また、「専業主婦(主夫)だからといって、家事を100%負担しなければならない」という考えも同様です。※7、8
妻(夫)のサポートおかげで、夫(妻)は生活と仕事が守られているのです。
夫婦は協力しながらやっていくものです。
お互いがうまく家事がこなせるように考えていかなければなりません。
「家族がいるから仕事も頑張れる」という気持ちがあれば、収入の割合で家事を分担するということはしないでしょう。※7、8
もちろん、妻が「家事は私に任せて」と言ってくれて、妻が家事に負担を感じていないのであればお願いしても問題ありません。
大事なのは、お互いが納得し、家族が機嫌よく過ごせていることなのです。※7、8

 

※5 栗田正行(著) 2012年5月発行 「働くパパ」の時間術 日本実業出版社
https://www.njg.co.jp/book/9784534049568/
※7 佐光紀子(著) 2019年5月発行 家事のワンオペ脱出術 エクスナレッジ 
http://xknowledge-books.jp/ipscs-book/BooksApp;jsessionid=B764527BC7DD0C4924E6D0F1169AB80D?act=book&isbn=9784767826141
※8 おおたとしまさ(著) 2017年4月発行 <喧嘩とセックス>夫婦のお作法 イースト・プレス
https://www.eastpress.co.jp/goods/detail/9784781650838

夫婦で家事をうまくこなしていくにはどうしたらよい?

家事は可視化することで見えやすい

夫婦で家事を見直す際には、夫婦の現状を紙に書き出し、可視化するとよいです。
図や表にすると、より効果的です。※6、9
家事には「食事づくり」や「洗濯」など毎日行うものもあれば、「ごみ捨て」や「布団干し」など毎日ではないが定期的に行うものもあります。
家事をやる時間帯もさまざまです。
このように細かく見ていくことも、お互いが効率よく作業していくためには必要です。※5、6、
可視化することで、夫は、妻が家事にどれほどの時間を費やしているのかを明確に知ることができ、夫の意識も変わってきます。※5、6、9
子供がいる家庭は、育児時間もあわせて見ていくとよいです。
家事分担だけでなく、育児に参加してもらうことでも、妻の負担は軽減します。※9
また、自分の気持ちを伝え、相手にわかってもらうことは大切なことです。
時には意見の衝突があるかもしれませんが、私はこう思う、私はこうしたい、といった素直な気持ちを相手に伝えてみてください。
上手く思いを伝えられない人は、内閣府男女共同参画局に掲載されている夫婦が本音で話せる魔法のシート(http://www.gender.go.jp/public/sakusenkaigi/pdf/sakusenkaigi.pdfを活用してみてはいかがでしょうか。※9

 

家事は完璧を目指さなくてもよい

友達の家庭と同じようにやってみようと思って実際やってみても、上手くいかないことはしばしばあります。
家族構成も生活スタイルも各家庭で違うのですから、同じようにできなくて当たり前です。
真似るのではなく、その家庭に合った方法を考え、我が家は我が家のやり方で進めていけばいいのです。※9
買い物は宅配にして買い物に行く時間を減らす、時には外食をする、総菜を買ってくるなど手の抜けるところは抜いてみましょう。※6、7、9
疲れている時、体調が悪い時は無理をせず、自分の身体を労わってください。
夫にはできないという先入観は捨てて、思い切って夫に任せてみましょう。
たとえ作業に時間がかかっても、自分とやり方が違っていたとしても、夫にダメ出ししたり、高いレベルを求めたりしてはいけません。
やる気を失ってしまいます。
不得意なことでも、何度も経験すれば、それなりにできるようになります。
温かく見守ってあげましょう。※6

 

自分のことは自分でやるようにする

家族それぞれが自分のことは自分でやるようにすれば、妻(母親)の家事負担は軽減されます。※7、8
例えば、学校や会社に着ていくシャツは自分でアイロンがけをする、自分が使った茶碗やコップは自分で洗う、自分のことは自分で用意するようにすると、妻(母親)はとても助かります。
子供だっていずれ親元を離れていくのですから、最低限自分のことは自分でできるようになっていれば、いざという時にも困らないでしょう。※7、8
さらに各自がきちんと整理整頓、片づけができていると、余分な作業を減らすことができます。
靴下や服の脱ぎっぱなしだと、それらを洗濯かごに入れにいく作業が生じます。
テーブルの上が物置化してしまうと、物を取り除く作業から始めなければなりません。
どこに何があるのかも把握できなくなり、探すのに時間がかかってしまいます。
今一度、自分の行動を見直してみましょう。※9

 

お互い感謝の気持ちは忘れずに

誰しも家事に得意・不得意があります。
やってくれたことに「ありがとう」という感謝の気持ちを示すことが大切です
妻に負担が偏っていたとしても、夫や子供から「いつもありがとう」という感謝があれば、不思議なことにイライラや不満はなくなるのではありませんか。※7、8、9
また人は「ありがとう」と感謝されると、また協力したい、やってあげたいと思います。
妻(母親)は当たり前と思うことでも、「よく気づいたね」とか「助かったよ」という言葉を伝えてください。
夫や子供の自主性につながっていくでしょう。※7、8

 

※5 栗田正行(著) 2012年5月発行 「働くパパ」の時間術 日本実業出版社
https://www.njg.co.jp/book/9784534049568/
※6 藤田結子(著) 2017年6月発行 ワンオペ育児わかってほしい休めない日常 毎日新聞出版
http://mainichibooks.com/books/humanities/post-416.html
※7 佐光紀子(著) 2019年5月発行 家事のワンオペ脱出術 エクスナレッジ 
http://xknowledge-books.jp/ipscs-book/BooksApp;jsessionid=B764527BC7DD0C4924E6D0F1169AB80D?act=book&isbn=9784767826141
※8 おおたとしまさ(著) 2017年4月発行 <喧嘩とセックス>夫婦のお作法 イースト・プレス
https://www.eastpress.co.jp/goods/detail/9784781650838
※9 内閣府男女共同参画局 夫婦が本音で話せる魔法のシート 「○○家作戦会議」 http://www.gender.go.jp/public/sakusenkaigi/pdf/sakusenkaigi.pdf
2020年7月31日閲覧

まとめ

家事といっても、様々な作業がありますし、内容ややり方は家庭により変わります。
まずは、夫婦の現状を可視化し、じっくり話し合う機会を持ちましょう。
周りの家庭と比べる必要はありません。
我が家のやり方で進めていけばよいのです。
忙しい、疲れた時は手を抜いたり、優先順位をつけて、翌日に回したりしましょう。
そして家族で決めた分担やルールはずっと同じではなく、子供の成長や仕事のペースに合わせて変えていきましょう。

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