夫婦間の関係にも影響する?子供のパパ嫌いはどうしたらいいの?

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子供がパパを嫌っている、そんなご家庭も多いのではないでしょうか。
もっとパパと接してほしい、パパと何でも話せる関係であってほしいと願うママ。

パパの方も「子供と一緒に楽しく過ごしたい」「子供のために何かしてあげたい」と思って寄り添うのに、「パパ嫌い!」「パパ、こっち来ないで」と言われると、なんだか悲しい気持ちになります。
子供の心理やパパを嫌う原因を知り、日々の生活を振り返ってみましょう。

目次

  1. 子供にとってパパってどんな存在?
    • 昔と今の父親(パパ)の傾向
    • 本来あるべきパパ像とは
  2. パパ嫌いはいつから始まるのか
    • 成長過程の子供の特徴
  3. 子供がパパを嫌いになる理由
    • 年齢による子供の変化
    • 実は夫婦関係も大きく影響している
  4. 子供がパパ嫌いにならないために
    • 生まれたときからのパパの関わりが大事
    • 夫婦円満こそが家庭円満
  5. まとめ

子供にとってパパってどんな存在?

昔と今の父親(パパ)の傾向

昔はよく、地震、雷、火事、親父と言われ、父親は世の中で怖いものの一つとされていました。
父親は家庭の中で中心的存在、家長であり、父親が中心となって家庭が動いていました。
父親の言うことは、絶対的であったといえるでしょう。
昔の父親はまた、子供と遊ぶ時は思いっきり遊んでいたといわれています。

ゲームなどがなかった時代ですから、周りの自然と触れ合う遊びを通じ、父親の威厳を見せる場も多くあったことでしょう。
時は下り、高度経済成長期が終わった1986年、女性の社会進出も進み、男女雇用機会均等法が施行されました。

ちょうどその年に流行したのが、「亭主元気で留守がいい」という言葉でした。
世の中は少しずつ、家の中での父親の権威が薄まりつつあったのかもしれません。
そして、現在。

どちらかというと、子供が小さいうちは特にママに家庭のことを任せがちであり、ママ中心に動いているという家庭も多いのではないでしょうか。
また、厳しい父親は子供に嫌われるという思いからか、子供との接し方がわからず、戸惑っているパパもいるようです。
子供をガツンと叱ることをしなくなり、子供に我慢している父親も多くいるのではないでしょうか。※1、2

 

本来あるべきパパ像とは

では、本来あるべきパパ像とはどのようなものでしょうか。
それは、いざとなった時の決定権はパパにと言ってもらえるような、頼もしい存在であるはずです。

叱るときは思いっきり叱り、遊ぶ時は思いっきり遊ぶ、これが本来あるべきパパ像ではないでしょうか。
子育ての悩みに関しても、「僕は子育てにあまり関わっていないから妻に任せる」のではなく、問題に向き合い、夫婦で協力しながら、解決していく姿勢が大切です。

これは、子供にも良い影響を与えます
思春期では会話も少なくなりがちですが、親の行動はしっかり見ています。

仕事が忙しくて、子供と接する時間が少ない家庭でも、パパができることはたくさんあります。

いざという時、家族のために真剣に考え、動いてくれるパパです。
子供がそんなパパを誇らしく思えるならば、パパが嫌い!とは、ならないのではないでしょうか。※1

※1 青木匡光(著) オトコの子育て講座 2006年5月発行 株式会社教育評論社
※2 渡部昇一(著)  父の哲学 2008年3月発行 株式会社幻冬舎

パパ嫌いはいつから始まるのか

成長過程の子供の特徴

ところで、パパ嫌いは、いつごろから始まるのでしょうか。

反抗期や思春期に入る、小学校高学年以降くらいと思われている方も多いかもしれません。
実は、パパ嫌いは、生まれたときから始まっているといわれています

年代にわけて、子供の成長を見てみましょう。

 

【乳児期】
生まれたころは、授乳やおむつ替えも頻繁に行うことにより、ママといる時間が圧倒的に多くなります。

それゆえに、ママ以外の人に対しては強い感情を抱かず、ママだけが自分を守る人という感情を持っているようです。※3


【幼児期】
2歳前後は、まさしくイヤイヤ期

歩けるようになり、自分の足でどこでも行きたがるようになります。
これもしたい、あれもしたい、一番目が離せない時期です。
一方、子供は何がしたいのか、なぜ泣いているのかを言葉でうまく伝えられないため、大人も理解できないことが多々あります。
3歳になると、服や靴の着脱など、親の手を借りなくても自分でできることが増えてきます。

幼稚園などの集団生活を通じてお友達ができたり、習い事を始めたりと、身内以外の人と関わりが増えてきます。※3

 

【小学生低学年から中学年】
小学生低学年は、まだまだ親への依存心が強く、困った時は親を頼ってきます。

親の方も、子供のことが心配で、つい手を出してしまいます
小学生になった途端、習い事などで忙しくなる子も多いでしょう。
小学校中学年になると、休日でも友達と遊ぶ約束をしてくるようになり、仲間が子供の中で重要なポジションを占めるようになります。※3

 

【小学生高学年から中学生】
小学校高学年ぐらいになると、身体と心の大きな変化がみられます。
女の子であれば、ママや友達には話せても、パパには話したくないことも出てきます
また、自分に関心を持ち始め、異性を意識し始める時期でもあります。
親は異性関係を詳しく知りたいところではありますが、子供はあまり聞かれたくないことです。※3

※3 パパのための娘トリセツ 小野寺敦子(著) 2018年11月発行 講談社

子供がパパを嫌いになる理由

年齢による子供の変化

【乳児期】
この時期はまだ、パパが嫌いなのではなく、ママ以外の人との関わりがほとんどないためママ以外は怖いという感情が出ると考えられます。
これは、誰でも通る道であり、ここはパパの我慢の時です。
子供が早く自分に懐いてほしいと思うあまり、無理に抱っこすることは控えましょう。

無理なスキンシップがパパ嫌いの原因になるかもしれません。


【幼児期】
パパが嫌いというよりは、「ママが大好き」「ママがいい」という感情が強い時です。

ママといる時間が多い子供は、パパとママのどっちか選ぶとなると、ママと答える方が多いでしょう。
パパ嫌いは一時的なものであり、パパと一緒にいるのが楽しいと思えてくれば、自ずとパパという存在を受け入れていくようになります。


【小学生低学年から中学年】
幼児期のような言葉かけでは、子供は物足りなさを感じます。

自分で考えて行動できる子にしていくためには、成長とともに親の接し方も変えていきましょう。
親の言うことを素直に聞いてきた子供が、自分の言い分を出してくる時期でもあります。

同時に、パパのことは嫌いではないけど、幼児期のようにベタベタされることに恥ずかしさを覚える頃です。
子供扱いすることが、パパ嫌いにつながる可能性もあります。


【小学生高学年から中学生】
このころは、思春期反抗期であり、身体と心に大きな変化がみられます
自分や異性に関心が向き、自分の意見も持ち始め、親との意見の食い違いで戸惑うこともあります。

頭ごなしに子供の意見を否定すると、さらに反抗します。
親としての意見を子供に伝え、子供の意見をじっくり聞いてあげましょう。

子供は、自分の意見と周りの意見を照らし合わし、再度自分で考えるようになります。

この過程をないがしろにすると、子供はパパを頼らなくなってしまいます
また、中学生になると生活環境も大きく変わります。部活動が始まり、先輩、後輩と上下関係が発生してきます。

その付き合い方に悩み、気持ちが不安定になりやすい時期です。
特に男の子の場合、活動範囲も広がり、さまざまな方向に好奇心のアンテナが伸びていきます。

思春期に入ると声変わりもし、男同士の付き合いができるようになるかもしれませんが、親の過干渉が、子供の成長を妨げるかもしれません

子供を信用し、見守ることも必要です。※3

 

実は夫婦関係も大きく影響している

夫婦関係が子供に大きな影響を与えるということは、よく言われています。

夫婦仲が良好であれば、きっと家庭内の雰囲気もよいと考えられます。
一方、夫婦仲が悪く、いつも喧嘩ばかりしている場合だとどうでしょうか。

おそらく子供はその場にいたくないと感じ、家に帰りたくないと思うようになります。
また、子供の前でパパの悪口を言うことは厳禁です。パパへの印象は、さらに悪くなります。※4

※3 小野寺敦子(著) パパのための娘トリセツ 2018年11月発行 講談社
※4 林道義(著) 父親のための家庭教育のヒント 幼児期から思春期まで 2016年9月発行 株式会社日本教文社

子供がパパ嫌いにならないために

では、子供がパパを嫌いにならないために、パパやママは子供とどう関わっていけば良いのでしょうか。

子供の年代に関わらず、留意したいポイントを挙げてみます。

 

生まれたときからのパパの関わりが大事

【生まれたときから積極的に子供と関わる】
生まれたばかりの時は、パパの出番はないと考えてママに任せっきりになっていませんか。

しかし、赤ちゃんの時は人の認識はできませんが、声や匂い、肌などによって、いつもお世話してくれている人だなと感じとることはできるといわれています。
基本的なこと、例えば朝起きたら「おはよう」、夜寝る前は「おやすみ」など、日常的な声かけも一つの関わり方です。

おむつ替え、ミルク、抱っこなど、お世話をしながらたくさん触れ合いましょう。
生まれたときからパパが積極的に関わっていれば、パパは安心できる存在であると認識します。
もちろん、お世話の程度がママに及ばないのは当たり前。

何回もこなしていけば、コツをつかんで慣れていきます。


【命令ではなく、アドバイスするように言葉をかける】
幼児期までのパパ嫌いは、一時的なもの。

今まで親の指示で動いていたものが、小学生になると、徐々に自分で考え、行動できるようになります。

子供の考えるタイミングで行動しますので、「○○しなさい」というような命令的な発言は避けましょう。
「今勉強しようと思ったのに、親に言われるとやる気を失った」などもよく聞かれます。

できれば、押し付けではなく、「○○したほうがいいと思う」とアドバイスするような言葉かけをするとよいかもしれません。


【父親は尊敬される存在であり続ける】
父親は、ある意味、子供を守っていく存在でいる必要があります。
例えば、子供が社会に出ても乗り越えていけるように礼儀や社会常識を教える、良いことと悪いことをきちんとわからせるなど、子供が自立していけるように教育していくことが、父親の役目ともいえます。
ここぞという時に、しっかり叱る。最終的な判断はやっぱりパパ。そういう家庭環境があれば、自ずと子供は父親に魅力を感じ、尊敬の念を抱くようになります。


【子供とたくさん遊び、体験の場を増やす】
普段会話が少ない親子でも、遊びや体験をすることで自然と会話ができてきます。

もちろん、遊びでなくてもよいです。一緒に計算問題を解いてみるのもよいでしょう。
一緒に何かをすることで、普段のパパとは違うパパが見られ、それが子供にとって良いものであれば、パパとの距離はどんどん縮まっていくでしょう。※1、3、4、5
但し思春期の女の子は、成人男性という広い範囲で嫌悪感を抱くこともあります。

家の中にいるパパは、もっとも身近な「イヤな存在」です

子供のご機嫌を伺う必要はありませんが、嵐が過ぎ去るのを待つことも必要かもしれません。※3

 

夫婦円満こそが家庭円満

子供は、親をよく見ています。

いつもと違うママを見て、「今日のママはなんだかイライラしているな。何かあったのかな?そうっとしておこう」と、口では出さなくても、子供なりに感じているはずです。
子供は、ママが毎日笑顔で過ごしていると、嬉しいものです。

ママが笑顔でいられるのは夫婦関係が良好であり、パパに大切にされているからという側面もあります。
親が子供を大切にするならば、きっと子供も親を大切にします。

夫婦がお互いを思いやっていれば、子供も思いやりを持って、人と接していくでしょう。
ママは、子供のこともパパのこともよく知っている存在です。

子供と親密な関係にあるママだからこそ、できることを挙げてみました。

 

  • パパの愚痴を子供の前で言わない
  • パパに感謝する
  • パパのよいところをさりげなく子供に伝える

思春期の女の子という存在を除けば、ママがパパを大切にすることで、子供はパパを嫌いにはなりません

ママも子供とパパとの懸け橋になって、子供とパパとの関係をサポートしてあげるとよいでしょう。
もちろん、パパもママを大切にしてあげましょう。

夫婦関係がギクシャクしていては、親子関係もよい方向に向かいません。
まずは夫婦が互いにを大切に思いやることこそ、必要なことでしょう。※1、※2、※3、※4、※5

 

※1 青木匡光(著) オトコの子育て講座 2006年5月発行 株式会社教育評論社
※2 渡部昇一(著)  父の哲学 2008年3月発行 株式会社幻冬舎
※3 小野寺敦子(著)  パパのための娘トリセツ 2018年11月発行 講談社
※4 林道義(著)  父親のための家庭教育のヒント幼児期から思春期まで 2016年9月発行 株式会社日本教文社
※5 多湖輝(著)  なぜか「娘に好かれる父親」の共通点 2005年3月発行 株式会社新講社

まとめ

実は赤ちゃんの頃から、「パパ嫌い」は始まっています。でも、決して落ち込むことはありません。
パパ嫌いは、年齢によってそれぞれ理由があってのこと。

必ず通る道です。

子供の年齢に応じて接し方を変え、適度な距離感で育児をしていくとよいでしょう。
同時に、子供の成長とともに、パパも成長していくことが必要でしょう。

そして、「いざとなったらパパ!」と言われるような存在でいてあげましょう。

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