家事分担、共働きと専業主婦の差は?

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夫婦の家事分担がうまくいっていないと、イライラが募りますよね。
夫に家事をしてほしいという思いは、共働きでも専業主婦でも変わりありません。
共働き・専業主婦、それぞれの家事分担の割合や家事の役割を、様々な調査結果をもとに解説します。

 

夫婦の家事分担は、妻8割以上・夫2割未満

イクメンが増えたとはいえ、家事の主な担い手は女性という家庭が多いのではないでしょうか。
第6回「全国家庭動向調査」報告書によると、家事分担の割合はおよそ妻83:夫17です。※1
家事の大部分を妻が担当しています。
育児の分担割合も、およそ妻80:夫20となっており、家事も育児も女性の負担が大きいのです。※1
ただ正社員共働きと、妻がパートやフリーランス、専業主婦の家庭では、家事負担の割合が少し異なります。

家事のほとんど(9割以上)を妻が担当している家庭の割合は、妻が常勤の家庭で約4割。※1
パートの家庭で約6割、フリーランスと専業主婦の家庭では約7割です。※1
妻が常勤の共働き家庭のうち4割は、ほとんどの家事を妻がこなしているようです。

次章からは、共働き夫婦の家事時間、専業主婦の家事分担について詳しく見ていきましょう。

 

※1 2018年社会保障・人口問題基本調査 第6回「全国家庭動向調査」 報告書/国立社会保障・人口問題研究所/2021年8月7日現在
http://www.ipss.go.jp/ps-katei/j/NSFJ6/Mhoukoku/Mhoukoku.pdf

共働きの家事分担、夫婦平等には程遠い

「夫がもう少し家事をしてくれたら…」と不満が募る働く女性も多いのではないでしょうか。
共働きであっても、主な家事の担い手は女性です。
女性が不満を感じるのも、当たり前のことかもしれません。
内閣府が実施した「令和元年度 家事等と仕事のバランスに関する調査 報告書」によると、フルタイムの共働きであっても、妻の家事時間は夫の2倍。※2
時短勤務等の共働きの場合、妻は夫の約4倍と働いていても女性の家事負担は少なくないことが分かります。※2

フルタイム共働きと、妻が時短勤務の場合の平均的な家事時間は下記の通りです。

 

※2 令和元年度 家事等と仕事のバランスに関する調査報告書より作成

 

フルタイム共働きの家庭は、妻の家事時間が約2時間に対し、夫は約1時間。※1
妻が時短勤務の家事時間は、妻の約3時間半に対し夫は約30分です。※2
共働きでも、主な家事は女性が担当していることが分かります。

さらに時短勤務で働く妻と専業主婦の妻の家事負担は、あまり変わらないようです。

※2 令和元年度 家事等と仕事のバランスに関する調査報告書/内閣府/2021年8月7日現在
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/balance_research_202003/07.pdf

 

専業主婦、夫も家事をしてもらうのはおかしい?

育児や親の介護に手がかかり、専業主婦であっても忙しい家庭も多いのではないでしょうか。
少しでも夫に家事を負担してもらえたら…と思いますよね。

専業主婦の家庭では「妻がすべての家事をするもの」と思われがちですが、実態は100%の家事を妻がこなすのは一般的ではないようです。
令和元年度「家事等と仕事のバランスに関する調査報告書」によると、専業主婦の家事負担の平均割合は約65%。※2
妻が専業主婦であっても、夫は家事の約35%を担当していることがわかります。

さらに子供が乳児の時期は、専業主婦妻の家事負担は、時短勤務の家庭と同等の負担です。※2
子供が小学生になると、時短勤務で働く妻よりも専業主婦の方が家事の負担が少ないことがわかります。※2
フルタイムの家庭とも大きな差はありません。※2

専業主婦だから、すべての家事を女性が担うという家庭は多くはなさそうです。

 

【妻の家事負担の平均割合】

◆子供が0~2歳時
・妻がフルタイム…60%※2
・妻が時短勤務…65%※2
・妻が専業主婦…65%※2


◆子供が小1~小3時
・妻がフルタイム…62%※2
・妻が時短勤務…75%※2
・妻が専業主婦…64%※2

 

※2 令和元年度 家事等と仕事のバランスに関する調査報告書/内閣府/2021年8月7日現在
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/balance_research_202003/07.pdf

「年収の低い方が家事をすべき」は、過去の話

夫が年収1,000万円、妻がパートで年収200万円の場合、妻が家事をすべきだと思いますか?
時間的な制限を考えると、妻しかできない家事もあるかもしれませんね。
年収に応じて家事を分担すると、専業主婦は家事の100%、時短勤務では専業主婦より負担が少ないはずです。
ただ実態はそうではないようです。

平均的な家事を給料に換算すると、フルタイムで働くのと同等の年収になります。
家事にはそれだけの価値があるのです。

 

家事・育児を平等に分担するには

女性の1日の家事にかける平均時間は、平日4時間23分、休日4時間44分です。※1
一方男性の平均時間は、平日37分、休日66分。※1
さらに育児の平均時間は、女性が平日8時間52分、休日11時間20分に対し、男性は平日1時間26分、休日5時間22分です。※1

これらを東京都の最低賃金1,013円(2021年8月現在)で月収換算すると

  • 女性:399,000円
  • 男性: 94,000円
    です。※3

女性の家事育児を年収に換算すると、約480万円に値します。
「稼ぎの少ないほうが家事をすべき」という考え方の旦那さんに、家事分担を考え直してほしい際の交渉材料の1つになるのではないでしょうか。

 

ただお金に換算するのは、あくまで考え方の1つ。
相手への思いやりを忘れないようにしたいものですね。

実際に、男性にはどのような家事をお願いすればよいのでしょうか。
次章では、家事分担の内容を解説します。

 

※1 2018年社会保障・人口問題基本調査 第6回「全国家庭動向調査」 報告書/国立社会保障・人口問題研究所/2021年8月7日現在
http://www.ipss.go.jp/ps-katei/j/NSFJ6/Mhoukoku/Mhoukoku.pdf
※3 地域別最低賃金の全国一覧/厚生労働省/2021年8月7日現在
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

夫婦の家事分担、夫の担当1位は「ゴミ出し」

家事の多くを女性が担っているものの、夫は何もしないという家庭は少ないものです。
夫が担当する家事の代表は、「ゴミ出し」と「買い物」「食後の片づけ」です。※1※4
ただ「ゴミ出し」は夫の担当でも、「ゴミを分別しまとめる」のは妻の担当のようです。※1

毎日の家事以外に目を向けると、実は男性が担当している家事もあることが分かります。
「名もなき家事」をテーマに実施した民間企業の調査によると、「家電製品の選定・購入・設置」や「新聞を取りに行く」「古くなった照明の交換」「靴を磨く」の4つは、妻より夫がやっている家事です。※5

妻も夫もやっている家事には、「飲みっぱなしのグラスを片付ける」「使い切ったティッシュの取り換え」「使ったものを元の位置に片づける」「郵便物のチェック」「ポストの不要なチラシを捨てる」「脱ぎっぱなしの服をしまう」「カーテンの開け閉め」「ベッドの整頓」などが挙げられています。※5

 

下記に家事分担の例をまとめました。
これらはあくまで一例ですので、家庭ごとの家事内容を考えてみてくださいね。

 

【主に夫が担当する家事の例】

  • ゴミ出し※1
  • 家電製品の選定・購入・設置※5
  • 新聞を取りに行く※5
  • 古くなった照明の交換※5
  • 靴を磨く※5

 

【主に妻が担当、夫もやることがある家事の例】

  • 日用品の買い物※1
  • 食後の片づけ※1
  • 家族の予定調整※1
  • 食べ残しを冷蔵庫に戻す※5
  • 使い切ったティッシュの取り換え※5
  • 使ったものを元の位置に片づける※5
  • 郵便物のチェック※5
  • ポストの不要なチラシを捨てる※5
  • 脱ぎっぱなしの服をしまう※5
  • カーテンの開け閉め※5
  • ベッドの整頓※5
  • トイレットペーパーの補充※5
  • クリーニング※5
  • 新聞や雑誌を捨てる※5
  • ペットのお世話※5

 

【多くを妻が担当する家事の例】

  • 調理※1
  • 食事の献立を考える※1※5
  • 調味料の補充・交換※5
  • 洗い場のタオル替え※5
  • 食事の前にテーブルを拭く※5
  • 掃除※1
  • お風呂洗い※1
  • 洗濯※1
  • アイロンがけ※5
  • 玄関の靴を揃える※5
  • ゴミの分類※1

 

さらにコロナ禍では、家事の負担が増えています。
アンケート調査からも「3食の食事の献立から準備、片付け」「おやつの用意」「マスクや消毒の在庫管理」、「子供への手洗いうがいの声掛け」などが、テレワークに伴い増えていることが分かっています。※6

食事や洗濯などの主要な家事は多くの場合、妻の担当です。
コロナ禍では妻の負担がさらに増えています。

脱いだ靴や服の整頓、使ったものの片づけなどは、自分の分は自分で整理整頓できていれば、妻の負担にはならないはず。
家族が自分でできるようルールを作るなど工夫して、妻の負担を減らすことも必要です。

夫婦での家事分担の考え方や進め方について、次章から解説します。

 

育児の分担は?

子供がいる家庭では、育児の分担も気になりますよね。
夫が担当する育児は、子供の年齢が低いほど多いようです。
子供が0~2歳の頃は、夫は「遊ぶ」「泣いたときや機嫌が悪い時にあやす」「おむつ交換やトイレのお世話」「お風呂に入れる」などを手伝っているようです。※2
子供が3歳以降は「遊ぶ」「お風呂」「食事」などの育児をしています。※2
ただ毎日している人はどの項目も3割未満で、時間が合うときにしているというのが実態のようです。※2

男性の育児参加は、子供の自己肯定感が高まるなど、よい影響があるそうです。
育児に限りませんが、女性があまりダメ出しをすると男性は自信をなくしてしまいます。
細かいことには目を瞑りましょう。


※1 2018年社会保障・人口問題基本調査 第6回「全国家庭動向調査」 報告書/国立社会保障・人口問題研究所/2021年8月7日現在
http://www.ipss.go.jp/ps-katei/j/NSFJ6/Mhoukoku/Mhoukoku.pdf
※4 平成29年度 仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書 労働者アンケート調査結果/厚生労働省/2021年8月7日現在
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000174277_3.pdf
※5 2017年「母の日」を前に、共働き夫婦の「家事」に関する意識調査/大和ハウス工業株式会社/2021年8月7日現在
https://www.daiwahouse.co.jp/column/pdf/kajishare.pdf
※6 新しい生活様式大調査|ダイワハウス/2021年8月7日現在
https://www.daiwahouse.co.jp/jutaku/lifestyle/kajishare/research/index.html

家事分担を決めるには「見える化」を

ここまでは、夫婦の家事分担の実態をご紹介いたしました。
これらの内容は、あくまで平均的なものです。
家庭に合った分担を夫婦で話し合い、決めていきましょう。

 

【家事分担を決める手順】

  1. 家事を洗い出す
  2. 家事分担の現状を可視化する
  3. どう分担したいかを夫婦で話し合う
  4. 家事分担表を作成する
  5. 表の分担を実行する
  6. うまくいかないところは変更する

 

家事の分担を決めるには、ビジネスの業務効率化が参考になります。
業務効率化を進める際にまずすることは、「業務の可視化」です。※7
家事も「見える化」することで、どれだけの家事が存在するのか、どうやったら効率化できるのか、夫婦で考える材料になります。
出来る限りすべての家事を洗い出すと、「名もなき家事」も平等に分担しやすいはずです。
誰がどれくらいの時間をかけているのかも、併せて書き出します。
一週間、何かの家事をするたびにメモに書き留めておいてもよいかもしれません。
それをもとに夫婦で話し合い、分担を決めましょう。
分担表を作成しておくと、共有しやすく振り返りにも役立ちます。
ビジネスの「PDCAを回す」と同じように、分担表をもとに実行をしたら改善していくと、より不満のない分担ができるはずです。

分担を決める際に、効率化できる項目を見つけることも大切です。
乾燥機付き洗濯機などの時短家電を導入する、家事代行サービスを利用するはもちろん、買い物の頻度を減らすなど、夫婦で話し合うとよいアイデアがみつかるかもしれません。

次章では、家事分担表の具体的な項目について解説します。

 

※7 業務の洗い出しと可視化で実現する生産性向上と事業継続性/NTT印刷株式会社/2021年8月7日現在
https://maruden.nttprint.com/654/

家事の分担表の例

家事分担表には家事の内容だけでなく、項目分け、場所、発生頻度、かかる時間、発生時間を書き込むと分担しやすいでしょう。

 

【家事分担表のイメージ(例)】

【家事分担表のイメージ(例)】

項目 家事内容 場所 頻度 所要時間 発生時間 担当
食事 献立 問わず 毎日 10分 常時
食事 食材管理 キッチン 毎日 10分 常時
買い物 食材調達 週2 30分 夕方

買い物やゴミ出しなど外出ついでにできるものは、通勤ついでにお願いしやすいものです。
場所や時間を記載しておくと、旦那さんに頼みやすい家事選びの参考になるかもしれません。

また子供がいる家庭では、子供にお手伝いをお願いするのも1つです。
子供(特に小学生以降)のお手伝い経験は、コミュニケーション力や自己肯定感につながることが分かっています。※8
お手伝いなど家庭での経験が多いほど、社会を生き抜く資質・能力が高いそうです。※8
料理の準備や後片づけ、掃除やゴミ出し、洗濯ものを取り込んだり畳んだりなどの手伝いは、子供にお願いするのもよさそうですね。※8

 

※8 「子供の頃の体験がはぐくむ力とその成果に関する調査研究」[結果の概要](改訂版)/国立青少年教育振興機構/2021年8月7日現在
https://www.niye.go.jp/files/items/1335/File/r1_syakaiwoikinukuchikara.pdf

まとめ

夫婦の家事分担は、放っておくと妻に負担が偏りがちです。
平均的な家事分担は、およそ妻8割:夫2割。
フルタイム共働きでは、少し妻の負担が減るものの、パートや時短勤務でも専業主婦でも妻の負担は8割程度で変わりありません。
不平等に感じているならば、家事の現状を把握し、夫婦で話し合うことが大切です。
もし「年収の低いほうが家事をすべき」と考える夫を説得する必要があるならば、毎日行う家事を年収に換算して提示するのも1つの方法です。
さらに現状の家事を可視化すれば、負担を減らせる家事や、夫がやる気になる家事がみつかるかもしれません。
相手への思いやりの気持ちを忘れずに分担し、家事のストレスを減らしましょう。

 

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