子育てに失敗はある?無い?問題は「やってはいけない」子育て

公開日:2020.08.11

子育てに奮闘中の多くの親は「自分の子育て法は正しいのだろうか」と感じる瞬間が、たびたび襲ってくるではないかと思います。
そして、溢れかえる情報をかき集めては、混乱し不安になることも。
全ての人にあてはまる「この方法が正解!」子育て法というものはありません。
しかし「やってはいけない子育て」はあります。親は子供に対して、何をしてはいけないのでしょうか。

目次

  1. 「してはいけない子育」を代表する陥る3つの行動
    • 厳しすぎるしつけ
    • 甘やかし・過保護
    • 虐待(ネグレクトや暴言・暴力)
  2. 子育てに失敗はない、あるのは「してはいけない子育て」
    • 「子供のため」が裏目に
  3. してはいけない子育てからの脱却
    • もしかして、子育て失敗?どこで感じる?
    • まずは親の自立から
  4. まとめ

「してはいけない子育」を代表する陥る3つの行動

厳しすぎるしつけ

多くの親は子供の将来を考えながら、子育てをしているでしょう。

礼儀やモラルが分かる子、人の気持ちを考えられる子、自分の考えできとんと行動できる子、など人として自立し困ることがないような人生を歩んで欲しいと、願うものではないでしょうか。
しかし、「あなたのため」という思いが強くなってしまうと、たちまち親は「子供は親のいう事を聞いて従うもの」という考え方に変わっていきます。

そして、親の思い通りの行動をとらないことにイライラして、ガミガミと怒鳴り、長々と叱り続けてしまう厳しいしつけとなってしまうのです。

また、「何度叱っても状況が変わらない」「言動を改める様子がない」などの悩みをお持ちの方は、子供が変わらない、ひどくなる一方という場合、その叱り方は間違った方法なのかもしれません。
「延々とガミガミと叱る(怒る)」方法だけでは、子供は慣れてしまいます。
「あぁ、また怒鳴ってる」と、嵐が過ぎるのをただ待つだけの状態になり、やがて親の伝えたいことが届かなくなることでしょう。※1、2

 

甘やかし・過保護

厳しすぎの反対で甘やかしすぎ・過保護も子供の将来の自立を阻んでしまう行為です。「この子は私が守ってあげないと」という思いは親であれば当然の感情だと思います。けれども、その信念が行き過ぎてしまうと、

  • 失敗や挫折をしないようにとアレコレと先回りをして障害物を排除する
  • 身の回りのお世話を全てしてあげる
  • 子供の歩む人生のレールを親が決めてしまう

などの行動にでてしまいがちになります。

また「か弱い我が子」と、いつまでも赤ちゃんのような考え方でいると

  • 親が全ての物事をやってしまう
  • 悪いことをしても仕方がないと思い注意をしない
  • 何か問題が発生したとき子供の言い分を鵜呑みして、他者を責め立て我が子を守る

などの行動にもでてしまいがちです。

 

子供が成長するにつれ子供自身のやることに、親は不安を感じ手や口を出してしまったり、いつまでも「か弱い我が子」という考えが抜けずにいたりしている状態です。
でも、これは裏を返せば子供のことを信頼できていない状態だといえます。子供は日々成長し、たくさんの学びを得ているのにもかかわらず、親がなかなか子離れができず過保護になってしまっているのです。
これでは、「親がしてくれて当然」と思うようになり、子供自身が考え行動を起こすということをしなくなってしまいます。※1、2、3

 

虐待(ネグレクトや暴言・暴力)

ここ何年かで急速に発展・普及してきたスマホやタブレット。

とても便利で役に立つ生活に欠かせないツールですよね。
しかし近年、このスマホやタブレットが原因となるネグレクト(育児放棄という虐待)が増加してきています。

親のスマホ依存がネグレクトを引き起こしてしまうのです。

具体的には

  • SNSやメールの着信があると、赤ちゃんが泣いていたり授乳の最中であっても、親はすかさずスマホを手に取り、子供の様子はお構いなしにスマホを操作して画面から目を離さない。
  • 子供が一人で遊んでいるときや公園で遊んでいるときにも、親の目線は子供ではなく、手元のスマホであり、子供から「ママ(パパ)」と声をかけられても、気づかないあるいはスマホを見たまま「なぁに?」と生返事をする。
    などの例が挙げられます。


このままでは、幼少期に獲得すべき愛着形成がきちんと確立されないどころか、子供に対して「無関心」になってしまう可能性があります。
親子間の言葉や遊びを通して行われる、人と人との交流が失われてしまうと、自己肯定感が持てない、言葉の発達が遅いなど、子供の発達に大きな悪影響をもたらしてしまうでしょう。※4、5

そして、暴言・暴力による育児も虐待です。
親の考えや価値観を感情的に怒り散らし、常に子供を罵倒し暴力をふるう行為は「しつけ」とはいえず、むしろ子供にとって良いことなんて一つもありません。
頑張って勉強をしても褒められることはなく、テストでミスをしたら「こんな問題もわからないの?」と叱られてしまう
このように育てられた子供は自尊感情が低く、物事を常にネガティブに捉えてしまう傾向になります。
すると、引きこもりや薬物・アルコール依存、鬱、非行などの問題行動へとつながっていきます。
最悪の場合、家庭を持ち子供が生まれたときに、同じように暴言・暴力での子育てをする負の連鎖が続いてしまうでしょう。
暴言・暴力による育児も子供の健やかな自立のためには、決してやってはいけない育児なのです。※2、3、4、5

※1 熊野英一 アドラー子育て・親育て 育児の教科書 2016年4月発行 株式会社アルテ 
※2 石田勝紀 子供の叱り続ける人が知らない「5つの原則」 2017年9月発行 株式会社ディスカバリー・トゥエンティワン
※3 藤木美奈子 親に壊された心の治し方「育ちの傷」を癒す方法がわかる本 2017年1月発行 株式会社講談社 
※4 「児童心理」編集委員 児童心理2019年2月号 電子版発売日2019年1月 金子書房
※5 公益社団法人日本小児科学会 スマホに子守をさせないで!
https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/smh_leaflet.pdf
2019年7月29日閲覧

子育てに失敗はない、あるのは「してはいけない子育て」

「子供のため」が裏目に

前述の「子育の失敗」に陥る3つの行動には、私たち親が子供のために「良かれと思って」とっていた行動もあったのではないでしょうか。
親が「良かれと思って」していた子育てが、実は子供の自立を塞いでしまう壁となることがあるのです。
例えば、男の子だから強くたくましく育って欲しいと願った場合、子供が泣いていても「男の子なんだから、メソメソしない」などと叱咤するでしょう。
また、我が家の家系は○○でなければいけないからと、塾や習い事を熱心に通わせることもするでしょうし、子供の失敗を過剰に心配するあまり、「小さなミスが大きな失敗につながる」と小さなミスも徹底的に叱ってしまうでしょう。

もちろん、親の方は我が子が「親が描く立派な大人」になれるように一生懸命ですから、自分の子育て法が間違った方向であることに気づかずに過ごしてしまうのです。
このように親の価値観を教え込む一方的な思いやりは、子供を一人の人格者として認識できていない可能性があります。
つまり、子供に対して信頼・尊重ができていないのです。
子供一人ひとりの個性を大切に、その子にあったやり方で自立を促していくことが、大切なのではないでしょうか。

そして近年、褒めて育てるという考え方が広く浸透してきていますが、この方法も少し間違うと、思わぬ結果を招いてしまいます。
例えば、子供がとった行動(片づけを自主的にしたなど)を褒めてばかりいると、「褒められるからやる」という考え方になり、褒めてくれる人が居ないと判断したときは何もしない子になってしまうでしょう。
褒めてくれそうな人がいるからゴミ拾いをする。
そんな子になってほしいと思いますか?
また、結果重視での「褒める」を多用していると、失敗して叱られることを避けようという考えになり、やがて自信を失い、失敗を恐れる人になってしまうこともあります。

愛する子供の将来を考える一方で、「良かれ」と思ってしていた躾や教えが間違っていたなんて、ショックを受けた方もいたのではないでしょうか。
しかし、だからといって今までの子育てが失敗だったと嘆かないで下さい。

子育てに失敗はないのです。

失敗ではなく、間違った子育て、してはいけない子育てを実践してしまっていたのです。
ではその負の連鎖から脱却するには、どのようにすればよいのかを考えていきましょう。

※1 熊野英一  アドラー子育て・親育て 育児の教科書 2016年4月発行 株式会社アルテ 
※2 石田勝紀 子供の叱り続ける人が知らない「5つの原則」 2017年9月発行 株式会社ディスカバリー・トゥエンティワン
※3 藤木美奈子 親に壊された心の治し方「育ちの傷」を癒す方法がわかる本 2017年1月発行 株式会社講談社 

してはいけない子育てからの脱却

もしかして、子育て失敗?どこで感じる?

自分の子育てがこのままでよいのか、果たして本当に子供の将来のためになっているのか、と不安で迷ったときは、子供のとる行動に目を向けてみましょう。
例として以下に問題がある子供の行動をあげてみます。

  • ビクビクした様子で親の顔色を伺う (厳しすぎ、暴言・暴力の可能性)
  • 親に何でもやってもらおうとする (甘やかし・過保護の可能性)
  • 最初から「できない」と決めつけ挑戦しようとしない (結果重視の褒めの可能性)
  • 「これ、やってもいい?」と事あるごとに確認し、親の顔色を伺う (褒めすぎの可能性)
  • かんしゃくを起こす、感情的に泣きわめく (感情的に怒っている可能性)

などの問題行動が見られたら、注意が必要です。

 

しかし、このような行動が我が子に見られたからと悲観したり、落ち込んだりしないでください。
親も一人の人間です。
間違いだってあります。
ここで大切なのは、子供の問題行動に気づき、今までの子育ての何が間違っていたのかを見直し、そして改善していくことなのです。※1、2、3

 

まずは親の自立から

では、どのように改善していけばよいのでしょうか。ポイントは親(大人)自身の自立です。
アドラー心理学には、幸せの3か条というものがあります。

1. 不完全な自分、完璧でない自分もひっくるめた、ありのままの自分を受け入れる (自己受容
2. 周囲の人や自分に関わる人を信頼する (他者信頼
3. 自己犠牲を感じることなく、人に貢献できる (他者貢献
これらは、人の自立に大切な3か条であると考えられています。

自己受容では、ありのままの自分を受け入れることで「自分は自分」「他者は他者」と思えるようになり、他者と比較することがなくなります。
すると、周囲の人との争いが減り、敵対心がなくなるので信頼することができるようになる(他者信頼)のです。
人を信頼するようになると、やがて人の役に立ちたいと思うようになります(他者貢献)。
この感情は、自然に現れてくるものなので、無理に(自己を犠牲にして)人に貢献していることとは違います

間違った子育てをしてしまう多くの親は、この3か条のどこかが欠けている状態にあるようです。
ですから、今までの自分自身をよく見つめ直し、何が欠けているのかを考え修復していくことが重要だと思います。


それから親自身の自立とセットでするべきことがあります。
それは、考え方の軌道修正です。
人は、その人独自の価値観やものの見方をしてしまう傾向にあります。
他人に対し「なんでこんな簡単なことができないのだろう」と感じたり、同じ条件・状況、例えば、少し散らかった部屋をすごく汚いと感じるか感じないかなど、意見の食い違いが発生したりします。
しかし、それは個性や育つ環境がそれぞれ違うので仕方のないことなのです。
だからといって、「理解し合えないのは仕方がない」と開き直ってしまうのも、社会生活に支障がでてしまいます。
まずは、子供の意見や考え方に共感を示すように心がけてみましょう。
それから、少しずつ自分の思考のクセや価値観などを、修正していけばよいのです。
自分の考えを無理やり変えるのでもなく、相手の意見を真っ向から拒否するのでもなく、共感しながら、修正(考え直し)をしていくのです。
共感ができるようになってくると、子供を尊重することができるようになり、一人の人格者として対等な関係を築くことができてくるでしょう。
子供をコントロールしようという感情を持たずに、子供の意見に共感を示しながら、親の要望を伝えることで、親の声は子供の心に届くのではないでしょうか。

間違っていた自分自身も全て受入れ、間違いに気づけた自分自身を褒めてあげましょう。
それから、自分自身の自立を目指し、考え方の軌道修正をはかりながら、少しずつ前に進んでみてください。※1

 

※1 熊野英一  アドラー子育て・親育て 育児の教科書 2016年4月発行 株式会社アルテ 
※2 石田勝紀 子供の叱り続ける人が知らない「5つの原則」 2017年9月発行 株式会社ディスカバリー・トゥエンティワン
※3 藤木美奈子 親に壊された心の治し方「育ちの傷」を癒す方法がわかる本 2017年1月発行 株式会社講談社 

まとめ

「子育てに正解はない」の対義語は「子育てに不正解はない」ではないでしょうか。
子供が自分の思惑通りの成長をしないと、自分の育児は間違っていたのか、何がいけなかったのかと悩む人もいるでしょう。
でも、子供にも人格はあります。
全てが親の思い通りにならないのが子供なのです。
周りの家庭やマニュアル本と比較するのではなく、「1ヶ月前と今」「昨日と今日」など、親と子供の成長に気付くことができれば、健やかな未来に向かっていけるのではないでしょうか。

公開日:2020.08.11
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