小学生に塾や習い事は必要?子供の個性と環境に合わせた選び方を
子供の同級生や友達の子供が塾や習い事をしているのを見て、「うちも通わせた方がいいのかしら」と悩む保護者の方も多いでしょう。
しかし、習い事といっても種類はたくさんあるし、塾もそれぞれ特色があるので、実際に何かさせようと思ってもすぐには決められないのではないでしょうか。
この記事では、子供の個性や家庭環境に合わせた塾や習い事選びについてご紹介します。
目次
- 塾や習い事は必須ではない
- 子供の個性を大事に
- 「役に立つ」≠「やるべき」
- 費用面も事前に確認
- まだ小学生なのに塾が必要?
- 塾に通うべきかケースバイケース
- 「塾に通わせたら安心」は幻想
- 習い事の定番、スポーツと音楽
- 心身を鍛えるスポーツの習い事
- 音楽を通して感性を磨く
- 塾との両立や複数の習い事の並行は可能?
- 塾や習い事は共働き家庭の強い味方
- 放課後の時間の有効活用としての塾や習い事
- 子供の社会性を育む助けにも
- まとめ
塾や習い事は必須ではない
子供の個性を大事に
塾や習い事をさせていない親御さんの中には罪悪感を覚える方もいらっしゃいます。
しかし中には、放課後塾や習い事などで拘束されることに過剰なストレスを抱えてしまうお子さんもいますので、一概に塾や習い事をさせることが子供のためになるとは言い切れません。
中高生ならばもう自分で将来を見据え始めますが、小学生低学年などのまだ幼い子供には「将来のためになるから」などの理由を説明しても、なかなか納得してもらえないことが多いでしょう。
しぶしぶ塾や習い事に通っても身が入りませんし、子供自身が親に不信感を覚えることにも繋がりかねません。
「みんなが通っているから」などの周囲からの影響ではなく、子供にきちんと向き合って「何が子供にとってベストか」を判断基準に、塾や習い事に通わせるかどうか決めましょう。
「役に立つ」≠「やるべき」
塾や習い事は将来に役立つことが多いので、通わせたいと思う親御さんは多いです。
2016年の調査によると、身につけさせたいスキルとして42.4%の親が英語/英会話を挙げていて※1、文部科学省の調査では平日に塾や習い事のうち外国語教室に通う子供の割合は15.8%を占めています。※2
また、最近では子供向けのプログラミング教室なども人気を集めており、社会で即戦力となるスキルに人気が集まる傾向があります。
しかし、子供に習い事をさせ、塾に行かせたいと思う理由を冷静になって考えてみると、それは間違いなく「子供の将来のため」でしょう。
確かに仕事などですぐに使える英会話などのスキルは、あったら便利なことは間違いありませんが、そういったすぐに役立つスキルはしっかり自分で思考する習慣のある子供であれば、実は大人になってからでも学ぶことができるものです。
小学生は、とても多感な時期です。
自身の小学生時代のことを思い出してみてください。
大人になってどんなに旅行に行ったとしても、友達と近所の公園で追いかけっこをしたり、雪が降った日に雪合戦をしたりした時の、何の憂いもなくただただ輝くような楽しさには敵わないと感じる人は決して少なくはないと思います。
実際、社会的に成功を収めた方には、小学生の頃に出会った感動や衝撃がその後の人生の方向性を定めたと述懐するケースも多いものです。
子供自身が関心を持って「やりたい」と思える習い事や勉強であれば、そういった将来に繋がる感動を得るいい機会になるかもしれません。
もし、子供の関心や個性を無視して「役に立つから」という理由だけで塾や習い事を考えている場合には、一度立ち止まって考えてみましょう。
知識だけはあるけれど、その使い方がわからない「ミニ大人」を作ることは、将来的な子供の幸福に繋がるでしょうか。
費用面も事前に確認
子供の個性や希望などをじっくり考えた上で、やはり塾や習い事をさせたいと思う場合にも、気持ちだけではどうにもならないお金の問題があります。
可愛い子供のためならばできるだけ教育費は惜しみたくないというのが親心ですが、それで家計が立ち行かなくなったり、将来の教育資金が圧迫されたりするようでは本末転倒です。
特に、複数の習い事や塾との両立を考えている場合には、事前にしっかり出費を確認しておくことが大切です。
また、塾の夏期講習や習い事の遠征試合など、塾や習い事には当初の予定以上の出費がつきものであることも覚えておきましょう。
今はインターネットで色々と情報収集できますので、実際に習い事や塾を始める前にどのくらい費用がかかりそうか把握しておきましょう。
事前の教室見学などでパンフレットやホームページに記載されている以外の出費があるか、あるならば何にどのくらいかかるのか直接聞けると安心です。
考えている塾や習い事にすでに通わせている人が身近にいる場合は、話を聞いてみると良いでしょう。
※1:博報堂広報室NEWS こそだて家族研究所 「小学生ママの「子供の習い事・身につけさせたいスキル」レポート」/2019年2月11日現在
https://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2016/12/20161222.pdf※2:文部科学省「生涯学習分科会 家庭地域の教育力の向上」/2019年2月11日現在
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo2/003/siryou/06021701/002/007.htm
まだ小学生なのに塾が必要?
塾に通うべきかケースバイケース
文部科学省の調査では、学校がある日に塾や習い事をしている子供が7割強で、そのうち塾に通っている割合は45.4%となっています。※2
実際、塾かかる教育費は小学4年生くらいから増え始めています。※3
また特に首都圏では、小学低学年でも、中学入試を見据えて塾に通わせるというご家庭も多いです。
しかし、小学校低学年のうちの勉強は、四則計算など基本的には親でも十分教えられる内容ですので、子供の勉強をしっかりとみる時間を取れる場合などは必ずしも塾は必要ではありません。
保護者が高学年の勉強内容にも十分対応できる場合も同様です。
しかしお子さんの中には、親相手だと甘えが出てしまい、家庭学習がなかなかはかどらない場合もありますので、お子さんの個性を見極め、柔軟に塾も使っていくと良いでしょう。
このように、塾に通わせるべきか否かはお子さんの能力や家庭環境などによって、ケースバイケースです。
経済的負担も含め、お子さんの力を無理なく伸ばすためにどうすべきか総合的に考えると良いでしょう。
「塾に通わせたら安心」は幻想
塾に行くことと学力アップはもちろん相関はありますが、イコールではありません。
中には塾に過剰な期待をかけて、教育全般を丸投げ状態になってしまうご家庭もあります。
しかし、塾に通う時間は1週間のうちのほんの数時間です。
そんな限られた時間でお子さんが成果をあげられるようになるためには、塾よりもずっと多くの時間を過ごすご家庭での教育が必要不可欠です。
教育とは、何も教科書の勉強だけを指すわけではありません。
博物館や美術館に行って科学や芸術に触れること、身の回りの自然観察を通じて感性を磨くこと、そして読書を通じて広い世界を知ることなど、すべてが子供にとっての教育です。
テストの点数を取ることに直接繋がらないこういった活動は、一見遠回りに思えますが、自分自身で考える力を伸ばし、「勉強をした先に何があるのか」を子供自身が肌で感じることで、学ぶモチベーションを上げることができます。
テストの点数など表面的な教育にばかりこだわるのではなく、通塾を通してどういう人間に育って欲しいのかをしっかり考えましょう。
※2:文部科学省「生涯学習分科会 家庭地域の教育力の向上」/2019年2月11日現在
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo2/003/siryou/06021701/002/007.htm※3:文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」/2019年2月11日現在
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/12/22/1399308_3.pdf
習い事の定番、スポーツと音楽
心身を鍛えるスポーツの習い事
小学生の子供を持つ母親を対象とした調査から、小学校4年生からはスポーツより勉強に軸足を移すことが多いということが明らかになっていますが、依然としてスポーツは人気の習い事です。※1
特に人気が高いのが水泳教室です。
2018年の調査では、調査対象となった小学生の約3人に1人が水泳教室に通っていました。※1
特に水泳が人気な理由としては、大人にも言えることですが、水中は浮力が働くので、関節や骨にあまり負担をかけずにバランス良い筋力をつけることができることが第一に挙げられます。
また、海や川、プールなどでもしもの事故があった時に対応できるというのも、大きなメリットです。
水泳教室についで人気のスポーツは野球やサッカーなどの運動クラブで、全体の20%程度でした。
野球やサッカーなどのスポーツクラブに通わせる親御さんがあげるメリットとしては、スポーツを通して身体的な成長だけでなく、精神的な成長も実感できるということです。
実際、運動やスポーツを通して子供が成長していると感じる親御さんは、個人スポーツよりも集団スポーツの方が多いようです。
音楽を通して感性を磨く
小学生の習い事でスポーツと並んで人気なのは、何といっても音楽です。
音楽は、単に楽器の演奏技術だけではなく、聴覚を発達させるとともに脳の働きも活性化し、豊かな感性を育てるとして人気を集めています。
特に人気なのはピアノです。
指を動かしながら楽譜を見て演奏するという一連の動作が、知能全般に良い影響があると考えられていることが人気の秘訣です。
また、メジャーな習い事なのできょうだいや友達などを通じて触れることが多いこともあり、子供自身が興味を持ちやすい楽器でもあります。
ピアノ以外には、バイオリンやギターなどの弦楽器も人気です。
ただし、音楽の場合は、楽器によっては非常に高額なものもあるので、事前に相場を調べてから検討するかどうかを決める方が良いでしょう。
塾との両立や複数の習い事の並行は可能?
お子さんが好奇心旺盛な場合、スポーツや音楽の習い事に加えて学習塾を始めるなど、塾と習い事の両立を検討するご家庭も多くあります。
高学年になると塾通いを始めるお子さんは多いため、それまでの習い事をどうすべきか悩まれることでしょう。
せっかくこれまで続けた習い事を辞めてしまうのはもったいないけれど、費用や子供の負担を考えた場合、両立は厳しいと判断されることが現状では多いようです。
実際、小学4年生を境に、塾以外の習い事をする子供の比率が下がる一方、塾に通う比率は上がるというデータがあります。※3
しかし、子供自身が習い事に打ち込んでいる場合は、親の判断で辞めさせる前にしっかり子供と話し合うことが大切です。
小学校も高学年になると、将来を見据えて今勉強させなければと考えるのは親としては当然ですが、多くの場合、子供には漠然とした将来よりも今を大切に考えます。
スポーツや音楽など、子供自身が熱中している習い事を無理やり辞めさせると、子供の心には「もっと続けたかったのに」というわだかまりがずっと残ってしまいます。
また、「どうせ自分の話は聞いてもらえない」という親に対する不信感を持つきっかけになってしまう恐れもあります。
塾の中には、習い事のペースに合わせたカリキュラムを組んでくれるところもありますので、一概に両立は無理と諦めることはないかもしれません。
習い事の教室や塾とも相談しながら、子供自身の希望に沿う形で通塾や習い事を決められると良いでしょう。
※1:博報堂広報室NEWS こそだて家族研究所 「小学生ママの「子供の習い事・身につけさせたいスキル」レポート」/2019年2月11日現在
https://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2016/12/20161222.pdf※3:文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」/2019年2月11日現在
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/12/22/1399308_3.pdf
塾や習い事は共働き家庭の強い味方
放課後の時間の有効活用としての塾や習い事
塾や習い事は将来役に立つことを学ぶ場であると同時に、子供が他の友達と一緒に過ごすことができる場でもあります。
特に共働きのご家庭の場合は、放課後子供が一人で過ごしていると思うとつらいものです。
近くに祖父母など頼りになる人がいる場合はいいかもしれませんが、それでも体力も低下した親にあまり負担をかけるのも気が引けるでしょう。
週に1、2回でも、放課後を塾や習い事に行かせることができれば、親としての罪悪感や負担感が大幅に軽減されます。
習い事によってはバスなどでの送り迎えもあるため、そういった場合は精神的な負担だけでなく身体的な負担も軽くなるでしょう。
子供の社会性を育む助けにも
家庭教師や個別指導塾など一対一の授業やレッスンもありますが、塾や習い事の多くは他の子供と一緒に受けるものです。
そのため、他の子供との交流を通じて社会性を育むことも期待されます。
特にチームワークが必要となる球技などのスポーツでは、親もその効果を実感する機会が多いようです。※1
小学生は、その後の人生を貫く価値観を育む大事な期間です。
大人にとって6年間などあっという間なので、親としては中学までに、あるいは高校までにどういうスキルを身につけて欲しいなど、将来から逆算して計画を考えがちですが、子供にとっての小学校時代は特別なものです。
短期的な成果だけでなく、今後長く続く子供の人生全体を考えて、ご自身のお子様にベストな選択肢を選びたいですね。
※1:博報堂広報室NEWS こそだて家族研究所 「小学生ママの「子供の習い事・身につけさせたいスキル」レポート」/2019年2月11日現在
https://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2016/12/20161222.pdf
まとめ
塾や習い事は種類がたくさんあって迷ってしまいますが、お子さんによって向いている習い事は違いますので、一概にこの習い事をすればいいと言えるようなものではありません。
また、習い事や塾は将来役に立つものではありますが、短期的な視点だけでなく、子供の将来全般を見据えた上で良いと判断できるものを、子供の希望にも合わせてうまく選べるといいですね。