リトミック、その多様な効果とは?教室だけでなく玩具や遊びで取り入れて

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乳幼児の頃から始められる習い事として注目されているリトミック。
実は音楽教室とは全く異なる習い事で、音楽以外の能力の発達にも効果的だとされています。
ではリトミックはいつから始められ、どのような内容なのでしょうか。
今回は、教室で習う場合のレッスン内容や教室の選び方、家でおもちゃや遊びに取り入れて親子で楽しむリトミックのやり方をご紹介します。

目次

  1. リトミックとは?その効果は?いつから始める?
    • リトミックとは?
    • その効果は?
    • いつからはじめるもの?
  2. リトミック教室のやり方や内容・教材と、教室選びのポイント
    • リトミック教室で行われるレッスン内容
    • リトミックの教材とは
    • リトミック教室の選び方
  3. おもちゃや遊びの中で、家でもできるリトミックのやり方
    • リトミック遊びの方法
    • リトミックのおもちゃ
  4. 年齢別リトミックの目的、やり方、遊び方
    • 0歳のリトミック
    • 1歳のリトミック
    • 2歳のリトミック
    • 3歳のリトミック
  5. まとめ

リトミックとは?その効果は?いつから始める?

リトミックとは?

リトミックはスイスの作曲家、エミール・ジャック=ダルクローズによって提唱された音楽教育で、日本では大正初期に幼児教育に導入されました。
楽譜を読んだり、楽器を演奏したりといった音楽的才能を高めることを目的としておらず、音楽を通じて体を動かし、子どもが楽しみながら表現力を育むことが大きなテーマになっています。
リトミックは主に3つの要素で構成されています。
1つ目は自然な動きを通じて、音の知覚能力を高める「リズム運動」
2つ目はリズム運動で得た感覚を、歌などで実際に体を動かしながら音と関連付ける能力を付ける「ソルフェージュ」
そして3つ目がリズム運動とソルフェージュで得た体験を元に自分で音楽表現を創作する「即興演奏」です。
リトミックというと音楽教室の乳幼児向けを連想する方もいらっしゃいますが、楽器などの演奏を目的とする音楽教室とリトミックでは、目的と内容が異なります。
リトミックでは子どもが見て、聞いて、心で感じたものを五感をフル活用して表現することが求められるため、人間が生きて行く上で大切な「自己表現力」を自然と育むことができます
リトミックは成長が著しい幼児期に適した教育といえるでしょう。※1※2

 

その効果は?

リトミックで得られる効果は音楽だけではないことが分かっています。

  • 運動による身体的な能力
  • リズム感などの音楽的な能力
  • 日常生活で欠かせない「集中力」
  • 「コミュニケーション能力」や「協調性」

など、複数の能力が高められるといわれています。


音楽の変化に合わせて体を動かすには、集中して音や先生の指示を聞く必要があります。
そのため自ずと物事に対する集中力が養われるのです。
また周囲と同じ動きする場面も多いため、コミュニケーション能力や協調性も自然と高められます。
音楽的な能力への効果が注目されがちなリトミックですが、成長過程で必要な「集中力」や「協調性」といった基礎能力を育てる効果も期待できるのです。※1※2※4

 

いつからはじめるもの?

リトミックは0歳からでもはじめることができます。
ただし、ある程度は体を動かすことが要されるため、首がすわっていることが条件です。
実際に0歳から通える「ベビーリトミック」というクラスを設けているリトミック教室もあります。
赤ちゃんはママの声が大好きです。
教室に通う前から、ママの歌声で一緒にリトミックをはじめてみるのもよいのではないでしょうか。
赤ちゃんの聴覚について、
「赤ちゃんと英語」赤ちゃんにはいつからどう教えていくのがベスト?

でもご紹介しています。
もちろん1歳以降でもリトミックをはじめるのは遅くありません。
1~5歳くらいまで年齢に応じたレッスンが用意されている教室が多いので、お子さんの発達や興味に合わせて通うタイミングを決めると良いでしょう。※4※5※6

 

※1 1~5歳の楽しいリトミック/神原雅之/ナツメ社/2019年1月発行/2019年4月12日現在
※2 リトミックってなあに?/岩崎光弘/ドレミ楽譜出版社/2012年3月発行/2019年4月12日現在
※3 特定非営利活動法人 リトミック研究センター/2019年4月12日現在
https://www.eurhythmics.or.jp/
※4 子どものリトミック実践の現状と課題に関する研究/善本桂子/2010/03/15/2019年4月12日現在
http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/h-bunkyo/file/6610/20140519120913/bunkyokyoiku24(yoshimoto).pdf
※5 親子をはぐくむ乳幼児教育 リトピュア/2019年4月12日現在
http://rito-pure.com/
※6 ポコアポコ音楽教室 リトミックコース/2019年4月12日現在
https://www.poco-a-poco.jp/rythmique/
※7 ミナト・リトミック/2019年4月12日現在
https://xn--cckza0dta7a8a0e6dr946aythz8wfy5c.com/

リトミック教室のやり方や内容・教材と、教室選びのポイント

リトミック教室で行われるレッスン内容

多くのリトミック教室では年齢ごとにクラスが分けられており、レッスンもそれぞれの成長過程に合わせたものが行われます。
0~1歳クラスは親子参加でスキンシップをとりながら音楽に親しんでいき、2歳以降のクラスは子ども自身が音楽に合わせて様々な動きをする実践的なレッスンへと進んでいくものが多くみられます。
教室によっては英会話とリトミックを合わせたり、音楽で感じたことを絵や工作で表現するなど、特色のあるレッスンを行う所もあるようです。※1※2※3※4※5※6※7

 

リトミックの教材とは

一般的なリトミック教室ではマラカスや鈴といった簡単な楽器や、ボールやロープといった身近な物を教材として使うことが多いようです。
例えば音楽に合わせてボールをリズミカルに隣の人に回したり、ロープを音楽に合わせて揺らしたりといった内容です。
ただし、リトミックは自分の体を使って表現することが主体のため、ピアノなどの楽器演奏自体が目的の音楽教室と異なり、必ずこれを使うといった教材はありません

 

リトミック教室の選び方

ひとえにリトミック教室といっても、教室によってレッスン内容や進め方は大きく異なります。
お子さんに合った教室を選ぶために以下のポイントをチェックしてみてください。

 

1.自宅から通いやすい場所にあるか
どの習い事でも共通することですが、まずは続けて通える場所にあるかで絞込みましょう。
どんなにレッスンが優れていてもアクセスが不便だと継続は難しいもの。
お子さんが低年齢であるほど、この点は重要視しましょう。
どうしても近くに教室がない場合は、自宅に出張して個別レッスンをしてくれる教室もあります。
費用は割高になりますが選択肢のひとつとして考えてみるのもいいでしょう。※7

 

2.音楽は生演奏かどうか
リトミックは音楽に合わせて即興的に体を動かすことが大きなポイントです。
生演奏であればその時の子どもの反応に合わせることができます。
CD音源ではこのように柔軟なレッスンを行うことが難しいため、やはり生演奏の方が好ましいでしょう。

 

3.レッスン内容が子どもの成長に合っているか
多くの教室では年齢ごとにクラスが分けられていますが、そうでない教室もあります。
お子様の年齢・月齢に合ったレッスン内容か、体験教室などで確認しましょう。
年上の子をみて良い刺激を受けるケースもありますが、レッスン内容が年齢に合ったものでない可能性もあり、子どもにとっては難しすぎてしまうこともあります。
また早生まれのお子さんの場合も注意が必要です。
年齢が低いほど月齢によって差が開きやすいため、レッスン内容が難しい場合もあります。
発達に合わせたクラスに入れる教室もあれば、年齢で入るクラスが限定されている教室もあります。
まずはレッスン内容を確認したうえで、必要であればお子さんに合わせた対応をしてくれるかをチェックしましょう。

 

4.月謝などの費用が適切か
継続して通うにはやはり費用面も重要です。
月謝だけでなく、入会金や施設利用料、教材費が発生するのかを忘れずに確認しましょう。
またクラスが進級すると月謝が変わる教室もあります。
継続して通うことを想定して、リトミック教室に掛かる総額を予め確認しておきましょう。

 

5.休んだ場合の振替制度はあるか
子どもの急な発熱など突発的なお休みは避けられないもの。
感染症などで一ヶ月殆ど通えなかったというトラブルもあるかもしれません。
やむを得ず休んだ場合、別な日にレッスンを振替できる制度があるかも教室選びでは大切なポイントです。

 

6.先生やクラスの雰囲気が子どもに合っているか
教室のサイトやパンフレットだけではわからないことも多くあるため、入会前には必ず体験レッスンを受けてお子さんに合った教室であるかをチェックしましょう。
淡々とカリキュラムを行うだけでなく、子どもの様子に合わせてレッスンを進めてくれるか?
うまく合わせられない子にもフォローをしてくれるか?
など実際のレッスンを見なければわからないことが沢山あります。
リトミックはお子さんが楽しんで音楽と触れ合うことでその効果が発揮されます。
子どもが無理なく楽しく通うためにも、先生やクラスとの相性をみて通うべきかを判断しましょう。

 

※1 カワイ音楽教室/2019年4月12日現在
https://music.kawai.jp/course/
※2 ヤマハ音楽教室 ぷっぷるくらぶ/2019年4月12日現在
https://www.yamaha-ongaku.com/music-school/puppleclub/
※3 ポコアポコ音楽教室 リトミックコース/2019年4月12日現在
https://www.poco-a-poco.jp/rythmique/
※4 リトミック研究センター/2019年4月12日現在
https://www.eurhythmics.or.jp/
※5 EYA-Kidsこども藝術かれっじ リトミックコース/2019年4月12日現在
https://eys-kids.com/rythmique/
※6 リトミック ドレミクラブ/2019年4月12日現在
https://www.doremi-club.jp/
※7 ミナト・リトミック/2019年4月12日現在
https://xn--cckza0dta7a8a0e6dr946aythz8wfy5c.com/

おもちゃや遊びの中で、家でもできるリトミックのやり方

リトミック遊びの方法

普段のちょっとした遊びの中でもリトミックの要素を取り入れることができます。
教室で行うような本格的なものではありませんが、お子さんが音楽に興味を持つきっかけになるかもしれません。
ここでは広い場所でなくてもできる簡単なリトミック遊びを紹介します。


いっぽんばしのうた
「いっぽんばし」の歌に合わせて手のひらをくすぐったり、軽く叩いたりして遊びましょう。
最後は歌詞に合わせて子どもの体を思い切りくすぐります。
まだお座りができない0歳からでも遊ぶことができ、親子でスキンシップしながら、わらべうたのリズムを楽しめます。

 

お舟でゆらゆら
親は膝をのばして座り、子どもも同じ向きで膝に座らせます。
「お船がゆれるよ。ゆ~ら、ゆ~ら」などと声をかけながら、膝を波に見立てて上下にゆっくり動かします。
子どもが慣れてきたらゆっくりしたテンポの歌や音楽に合わせてて、体を左右に動かしましょう。
「お船が早く進むよ」などと声をかけながら、動く方向や早さに変化をつけましょう。
子どもと一緒に揺れる動きをすることで、音の拍やテンポを感じる遊びです。※1

 

リズムにのって名前の呼びかけ
子どもへの呼びかけをリズムにのせて行います。
親がトントンと膝を2回たたいたら「○○ちゃん」と呼びかけます。
子どもも同じようにトントンと膝を2回たたき「はーい」と返事をします。
呼びかける声の大きさや叩く場所を変えてバリエーションを徐々に増やしていきます。
リズムに対する感覚を身につけられる遊びです。※2
慣れてきたら「音楽を聞きながら動きを真似してね」と声を掛けて、子どもの好きな音楽や歌に合わせて体を動かしたり、手をひらさせながら上下に動かすなど動きのバリエーションを広げてみましょう。
音楽のビートを感じながら、相手の動きを真似することで注意力を育てることが出来ます。

 

リトミックのおもちゃ

市販されているリトミックのおもちゃには、特定の場所を踏むと音楽や効果音が流れるマットなどがありますが、以下のようなものでもリトミック遊びに取り入れることができます。


フラフープ
二人一組でフラフープを音楽に合わせて交互に引っ張り合ったり、床に置いて音楽に合わせてケンケンパをしたり、フラフープの中に入って音楽に合わせて電車ごっこをしたりとお友達と一緒にできる様々な遊びが楽しめます。
一緒の動きをすることでコミュニケーション能力を自然と育むことができます。

 

ボール
やわらかいビニールボールを使いましょう。
音楽に合わせてテンポよく親子でボールを回しあったり、ボールを転がしてみたりと遊びを通じてリズムの変化を楽しめます。

 

丸く切ったボール紙
ダンボールなど厚めの紙を丸く切ります。
(紙の端でお子さんが手を切らないよう注意してください)
ボードを車のハンドルに見立てて音楽に合わせてドライブごっこをしたり、太鼓に見立てて音楽に合わせてトントン叩いたりと想像力を使った遊びができます。
子どもと他にどんなものに見立てられるかアイデアを出し合うのも楽しいですよ。※1

 

※1 1~5歳の楽しいリトミック/神原雅之/ナツメ社/2019年1月発行/2019年4月12日現在
※2 簡単! 楽しい! おうちでできる音楽&リズムあそび/鈴木 豊乃/ヤマハミュージックメディア/2016年1月発行/2019年4月12日現在

年齢別リトミックの目的、やり方、遊び方

0歳のリトミック

0歳のリトミックは何よりも音楽に慣れ親しむことが目的です。

音に合わせて動くことはまだ難しいので、親子でスキンシップをしながら進めていくレッスンが主体になります。

具体的には音楽に合わせて親が子どもをくすぐったり、抱っこした状態で親が音楽に合わせて動いたりといったものです。

子どもは親の動きや声から伝わるリズムを感じることで五感に刺激を受けます。

また、音楽に合わせて子どもの体をさするなど、ベビーマッサージの要素も取り入れた教室もあるようです。

この時期の習い事について、

赤ちゃんとママで楽しむ習い事、ポイントは親子の触れ合い

で詳しくご紹介しています。

 

1歳のリトミック

1歳は真似をすることで様々なことを吸収していく時期です。
レッスンでは手遊び歌をしたり、先生と同じテンポで体を動かしたりして、音楽のリズムや音の変化を全身で感じていきます。


レッスンの例

  • 音楽に合わせて先生や親と手や顔を順番にくっつける触れ合い遊び
  • 音楽に合わせて床にゴロゴロ転がる全身運動

また、マラカスやタンバリンなどの簡単な楽器を使って、音楽に合わせて鳴らす遊びも加わるのもこの時期です。
こうしたレッスンを通じて五感で感じたものを表現する力や、先生やお友達の動きを見て真似をするための集中力や瞬発力のベースを育んでいきます

 

2歳のリトミック

2歳は身体能力や言語能力がめざましく発達する時期です。
また、この頃の子どもは自発的に表現をすることが増えはじめます
2歳のリトミックでは動きを真似するだけでなく、創造力や瞬発力(即時に反応できる力)を育むレッスンが増えていきます。


レッスンの例

  • 電車になりきりながら音楽に合わせて動くごっこ遊び
  • 一定のビートに合わせて手を叩く、ストップするを繰り返す遊び

さらに子ども同士のグループで行うカリキュラムも増えるため、リズムに合わせてお友達とボールを回しあったり、手を繋いで踊ったりとお友達と関わることがより多くなります。
2歳のリトミックは創造力だけでなく、お友達との触れ合いを通じてコミュニケーション能力や協調性も育むことができるのです。

 

3歳のリトミック

3歳のリトミックは、個性を表現するための創造力や表現力を養うことが目的になります。
この時期は感じるだけでなく、自分で考えて表現することが次第に出来るようになっていきます。
レッスンも動きを真似するだけでなく、音楽に合わせて自分で考えながらイメージを広げて表現していきます。


レッスンの例

  • 床に置いたフラフープを池に見立てて、音楽に合わせてジャンプして飛び越える遊び
  • 風船を持ったつもりで音楽に合わせて動き回る遊び

また、この時期から音符や音階などの音楽的要素を盛り込むリトミック教室も多くあります。
中には簡単な鍵盤演奏でリズムを表現するレッスンを行う教室もあるようです。※1※2※3※4※5※6※7
幼児の習い事については、
幼児の習い事はいつから?学習・知育系の幼児教室、通信教育は?

こちらの記事でも詳しくご紹介しています。

 

※1 カワイ音楽教室/2019年4月12日現在
https://music.kawai.jp/course/
※2 ヤマハ音楽教室 ぷっぷるくらぶ/2019年4月12日現在
https://www.yamaha-ongaku.com/music-school/puppleclub/
※3 ポコアポコ音楽教室 リトミックコース/2019年4月12日現在
https://www.poco-a-poco.jp/rythmique/
※4 リトミック研究センター/2019年4月12日現在
https://www.eurhythmics.or.jp/
※5 EYA-Kidsこども藝術かれっじ リトミックコース/2019年4月12日現在
https://eys-kids.com/rythmique/
※6 リトミック ドレミクラブ/2019年4月12日現在
https://www.doremi-club.jp/
※7 ミナト・リトミック/2019年4月12日現在
https://xn--cckza0dta7a8a0e6dr946aythz8wfy5c.com/
※8 1~5歳の楽しいリトミック/神原雅之/ナツメ社/2019年1月発行/2019年4月12日現在

まとめ

音楽を通じて子どもの様々な能力を育むことができるリトミック。
0歳から通える教室もあるので、お子さんのはじめての習い事として考えられている方も多いのではないでしょうか。
リトミックで得られる効果を十分に受けるには、何よりもお子さんが楽しんで参加できるかどうかが一番重要です。
お子さんがのびのびと表現できる環境であるかを念頭に置いて、ぜひ今回紹介したチェックポイントを教室選びの参考にしてみてくださいね。

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