「子どもの野菜嫌いを克服するには?簡単メニューやレシピの工夫」

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日々の食生活の中で、子どもの好き嫌いに悩む方も多いのではないでしょうか?
「なるべく好き嫌いなく食べてほしい」「好き嫌いがあることで栄養面が気になる」などの悩みについて、野菜嫌いを克服するための工夫や簡単メニューをご紹介します。
ぜひ、毎日の食事作りも取り入れてみてくださいね。

目次

  1. なぜ野菜が嫌い?野菜嫌いは克服すべき?
    • 嫌いな野菜がある子どもは多い
    • 子どもが野菜を嫌いな理由
    • 子どものうちに克服すべき?
    • 子どもに必要な野菜の摂取量は?
  2. 野菜嫌いを克服するためにできる工夫
    • メニューや調理の工夫
    • 旬の野菜を取り入れる
    • 親の意識改善
    • 子どもの食に対する経験を増やす
    • 栄養素の摂りやすい調理法を知る
  3. 幼児~小学生向け(3歳頃~12歳頃) 野菜嫌い克服メニュー(レシピ付き)
    • なす嫌いを克服!「なすの一口ピンチョス」
    • 作り方
  4. 野菜嫌いの子に試してほしいお弁当メニュー
    • 弁当向けの野菜克服メニュー「ピーマンとじゃがいものきんぴら風」
    • 作り方
  5. まとめ

なぜ野菜が嫌い?野菜嫌いは克服すべき?

「決まった野菜を残す…」「せっかく作った料理を食べてくれない…」など、食べ残しが増えると親としてもストレスに感じてしまいますよね。

 

嫌いな野菜がある子どもは多い

自分が子どもの頃、嫌いな野菜はありませんでしたか?
1つや2つは、嫌いな野菜があったのではないでしょうか。
最近の子どもも、野菜が好きでも「嫌いな野菜もある」という子が多いようです。
ある民間企業が行った野菜に対する意識調査によると、6割以上の子どもが「野菜が好き」と回答しています。※1
一方「とくに嫌いな野菜はない」と回答した子どもは2割以下。※1
何かしらの嫌いな野菜がある子が8割以上ということになります。※1
嫌いな野菜は、「ピーマン」「ゴーヤ」「とうがらし」「春菊」「セロリ」が上位。※1
日常的に食べる野菜では、「なす」(8位)「トマト」(10位)が10位以内です。※1

 

子どもが野菜を嫌いな理由

子どもが野菜を嫌いな理由として考えられるのは、「苦みや渋みなど野菜の特性」と、「食経験の少なさ」の2つです。
野菜には独特の色合いや食感、香りなどがありますよね。
先の調査で子どもが嫌いな野菜あげたものも、苦味や渋みが強い野菜が多いですね。
子どもは、野菜特有の苦みや渋み、酸味など、見た目や味・香りなどに苦手意識を持つようです。※2
とくに子どもたちの味覚は敏感なため、大人に比べてより苦みなどを感じやすい傾向があります。※3
さらに、子どもは食の経験が少ないことで「食べず嫌い」になっていることもあるようです。※4
「食べ慣れたもの以外は嫌い」という場合はこの理由にあてはまります。
子どもの偏食とは

の記事にもある通り、人間は本能的に食べたことがない食材は警戒します。
子どもは、初めて食べるものは「嫌い」と思い込んでいる可能性もあるのです。

 

子どものうちに克服すべき?

嫌いな野菜があると、「栄養バランスが悪くなってしまうのでは?」と心配ですよね。
できれば食べられる野菜は多い方が、栄養面でも献立面でも親にとっては安心できます。
しかし子どものうちに、あまり無理に食べさせるのは、逆効果になってしまうかもしれません。
子どもに野菜嫌いがあるのは、当たり前のことです。
嫌いな野菜を無理に食べさせることで、野菜を余計に嫌いになってしまう食事自体が楽しめなくなってしまうというマイナスの影響も考えられます。※2
私たち大人にも食の好みや好き嫌いがあるように、子どもたちにもその日の気分や体調によっても好みがあるものです。
嫌いな野菜を克服するのも大事なことではあるものの、嫌いな野菜を食べさせることに固執しすぎる必要はありません。
苦手な野菜に含まれる栄養素は、他の食べ物で補えばいいというくらいの気持ちで、子どもと楽しく食事をとることも大切です。※5
仮にピーマンが苦手でも、他の緑黄色野菜などから同等の栄養素を補うこともできます。※5
ピーマンに豊富に含まれるビタミンCは、ブロッコリーやカリフラワーにも豊富に含まれています。※6
シュンギクに含まれるβカロテンは、人参やほうれん草にも豊富に含まれています。※7
大人になり味覚が変わることで、野菜嫌いを克服できるとも言われています。※2
小さいうちから「克服させなければ」と焦る必要はないかもしれません。

 

子どもに必要な野菜の摂取量は?

実際に子どもに必要な一日の野菜の摂取量とはどのくらいか、ご存じですか?
子どもは成長とともに必要とされる摂取量が増えていきます。
必要な野菜の摂取量を年齢ごとにまとめました。
【理想的な野菜摂取量】

  • 3~5歳240g※8
  • 6~7歳270g※8
  • 8~9歳300g※8
  • 10歳以上350g※8

性別や成長度合いにもよりますが、上記の数字が1つの目安です。
お昼ごはんが給食であれば、給食で摂れる野菜の量を差し引いた量が家庭で必要な量ということになります。
献立や摂取量のグラム数では、メニューごとの野菜の量が分かりにくいですよね。
そんな時は、厚生労働省が出している「食事バランスガイド」が参考になります。
「食事バランスガイド」は野菜不足も含めた健康的な食生活の指針として、平成17年に策定されました。※9
1日の食事を「何を」「どのように」食べたらよいか、料理区分ごとに分かりやすく書かれているので、子どもでも理解できるでしょう。※10
さらに農林水産省では、子ども向けに献立ごとの栄養の種類や量の早見表を公開しています。※11
野菜摂取量の目安として、子どもと一緒にチェックしてみてください。

 

※1 「2020年度 野菜と家庭菜園に関する調査」を発表|タキイ種苗/2020年10月20日現在
https://www.takii.co.jp/info/news_200821.html
※2 野菜嫌いの子ども…その原因と理由とは?|農薬工業会/2020年10月20日現在
https://www.jcpa.or.jp/column/vegetable/child-reason.html
※3 第10回子どもの味覚を鍛える(子どもと一緒に育む食事シリーズ)|サン・クロレラ健康BOOK/2020年10月20日現在
https://www.health-sunchlorella.jp/shokuiku/shokuiku10/
※4 公益社団法人 日本心理学会/食べ物を嫌いになる理由/乾 賢/「イヤとキライ」の心理学/2020年10月20日現在
https://psych.or.jp/wp-content/uploads/2017/10/74-9-12.pdf
※5 「大人が知らない子どもの体の不思議」著 榊原 洋一/2020年10月20日現在
※6 栄養成分別野菜ランキング|農畜産業振興機構/2020年10月20日現在
https://www.alic.go.jp/y-kanri/yagyomu03_000001_00040.html
※7  主な野菜の栄養成分|農畜産業振興機構/2020年10月20日現在
https://www.alic.go.jp/y-kanri/yagyomu03_000001_00039.html
※8 教育図書 平成27年度 家庭科最新情報/2020年10月20日現在
https://www.kyoiku-tosho.co.jp/support/h27_kateika_jyoho.pdf
※9 「食事バランスガイド」について|厚生労働省/2020年10月20日現在
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html
※10 食事バランスガイド|厚生労働省/2020年10月20日現在
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/pdf/gaido-kihon.pdf
※11 SV早見表:農林水産省/2020年10月20日現在
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/letstry/chart.html

野菜嫌いを克服するためにできる工夫

野菜嫌いを無理やり克服させる必要はないとは言うものの、子どもが野菜に興味を持てるよう親から働きかけることは有意義です。
パパママが余裕のあるときに、試してほしい5つの工夫をご紹介します。


【野菜嫌い克服のためにできる工夫】

  • メニューや調理の工夫
  • 旬の野菜を取り入れる
  • 親の意識改善
  • 子どもの食に対する経験を増やす
  • 栄養素の摂りやすい調理法を知る

 

メニューや調理の工夫

子どもによって、苦手な理由は様々です。
なぜその野菜が嫌いなのか、子どもの意見に耳を傾けることで苦手な要素をうまく取り除けるかもしれません。
見た目が苦手なら細かく刻む食感が苦手なら調理法を変えてみるなど、試してみてはいかがでしょうか。
野菜嫌いを克服するには時間がかかります。
長い目で少しずつ克服する気持ちで取り組みましょう。

 

旬の野菜を取り入れる

今では多くの野菜が一年中スーパーで売っています。
しかし野菜の旬を知ってうまく活用すると、野菜嫌いの克服にも繋がるかもしれません。
旬の野菜は安価に手に入るだけでなく、栄養価が高く、野菜本来の甘みが増し美味しくなります。
普段は苦手な野菜も、旬の時期に食べることで野菜本来の美味しさに気づくかもしれません。
親子で野菜の旬を学ぶことで、食育にも繋がります。
食育とは

の記事でも解説の通り、家庭でできる食育は他にもあります。
「家族で楽しく食べる」「食事の挨拶をきちんとする」なども食育の一環です。
あまり無理強いせず実践できれば、子どもも食に対する興味がわいてくるかもしれませんね。

 

親の意識改善

親が野菜嫌いだと、子どもも野菜が嫌いという研究結果があります。※11
子どもが食べてくれないことばかりに目がいきがちですが、親自身が食生活を少し見直してみるよい機会かもしれません。
同研究では、好き嫌いを注意したり苦手なものを食卓に出したりするよりも、家族が美味しそうに食べる姿を見せながら、子どもが食べられるようになるのを待つ方が重要だとされています。※11
長い目で見ると、親も食事を楽しむことの方が、野菜嫌い克服のためには効果的と言えるのかもしれません。

 

子どもの食に対する経験を増やす

食に対する経験を増やすことも野菜嫌いを克服する方法のひとつです。
先の研究でも、食事作りを手伝った経験の有無は、嫌いな食べ物を食べられるかどうかに関係していたと報告されています。※11
一緒に調理をしたり、苦手な野菜を栽培・収穫したりすることで、子どもの野菜への興味が深まり、苦手だった野菜が食べられるようになることもあるでしょう。※12
「調理や栽培なんて大変」という場合は、一緒に買い物をしたり調理しているところを見せたりするだけでも子どもの関心を引くはずです。※2
苦手な野菜に関わる回数を増やしてあげると、子供も自然と興味を持ち始めます。

 

栄養素の摂りやすい調理法を知る

嫌いな野菜が多いと、量を食べるのは大変ですよね。
少しの野菜でも、効率的に栄養が摂れるよう、素材に合った調理法を取り入れる工夫も大切です。
例えば、野菜に含まれるビタミンCは水に良く溶ける性質があります。※13
サラダや酢の物など、加熱しない方がビタミンCは損なわれにくいと考えられます。
「生野菜だと量がたくさん食べづらい」という場合は、汁ものにすることで溶けだしたビタミンCも摂取でき、野菜のかさが減るので量も食べられます。※14
一方、炒めものは加熱しすぎるとビタミンやミネラルが失われるので、加熱時間に注意しなければなりません。※14
効率的な調理法を実践するには、親の野菜に対する知識が必要です。
ただ知っておくと、大人の野菜不足解消にも役立ちます。
時間がある時に、家庭でよく使う野菜の栄養素と効果的な調理法を調べてみてください。
今までの調理法では、「実はあまり栄養が摂れていなかった…」ということもあるかもしれませんよ。
ここまでは、野菜嫌いの理由や克服する方法を解説いたしました。
次章からは、野菜嫌いの子供でもチャレンジしやすいメニューをご紹介します。

 

※2 野菜嫌いの子ども…その原因と理由とは?|農薬工業会/2020年10月20日現在
https://www.jcpa.or.jp/column/vegetable/child-reason.html
※11 幼児の母親における幼少期の食生活と現在の偏食との関係/木田春代・武田文・朴峠周子/2020年10月20日現在
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/59/2/59_112/_pdf/-char/ja
※12 子どもの野菜嫌いを克服する方法 |ハウス食品グループ/2020年10月20日現在
https://housefoods-group.com/activity/e-mag/magazine/64.html
※13 「健康食品」の安全性・有効性情報「ビタミンC解説」|国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所/2020年10月20日現在
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail179.html
※14 野菜を食べる自炊のすすめ:農林水産省/2020年10月20日現在
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics2_06.html

幼児~小学生向け(3歳頃~12歳頃) 野菜嫌い克服メニュー(レシピ付き)

家庭で簡単に作れる、試してほしいメニューをご紹介します。
ここでは「なす」を取り上げますが、食材を変更しても応用できるレシピです。

 

なす嫌いを克服!「なすの一口ピンチョス」

「なす」も嫌いな子が多い食材の1つです。※1
独特の食感とエグミがあるので、大人でも苦手な人もいるかもしれませんね。
「なすの一口ピンチョス」は、なすの食感を抑え好きな味付けで食べられる一品です。

作り方

【材料(作りやすい分量)】

  • なす 1本
  • サラダ油 適量
  • みそ、みりん 各大さじ1
  • 砂糖 大さじ1/2
  • とろけるチーズ
  • ごま 適量

【作り方】

  1. なすはヘタを切り落とし、ピーラーでところどころ皮をむき1㎝ほどの輪切りに。さらに、表面に格子状の切れ目をいれる。
  2. 切れ目をいれた面に、スプーンなどで油を回しかけ、魚焼きグリルでしんなりするまで両面じっくりと焼く。
  3. 焼いている間に、みそ、みりん、砂糖を合わせておく。
  4. なすにしっかり火が通ったら、表面に③やチーズをのせ、チーズがとろけるまで焼く。
  5. みそをのせた上にお好みでごまを振りかけ、ピックなどを刺したら出来上がり。

このレシピでは、なすをじっくりと焼くことで独特の食感が抑えられています
さらに子どもも大好きな甘辛い味付けのみそチーズと組み合わせると、食べやすくなるでしょう。
子どもが好きな他の食材を乗せて、味付けしてもよいでしょう。
お洒落でかわいらしい見た目なので、子どもも喜んでくれるかもしれません。

 

野菜嫌いの子に試してほしいお弁当メニュー

冷めてもおいしく、お弁当に入れやすい野菜メニューをご紹介します。
こちらも「ピーマン」を取り上げましたが、他の野菜にも応用できるでしょう。

 

弁当向けの野菜克服メニュー「ピーマンとじゃがいものきんぴら風」

普段のおかずにはもちろん、冷めてもおいしいのでお弁当にぴったりの一品をご紹介します。

作り方

【材料(作りやすい分量)】

  • ピーマン 2個
  • じゃがいも 中1個
  • 魚肉ソーセージ 1本
  • 酒 大さじ1
  • 塩 少々
  • みりん 大さじ1と1/2
  • 砂糖 大さじ1/2
  • しょう油 大さじ1/2~1
  • ごま油 適量

【作り方】

  1. ピーマンは縦に細切り、じゃがいも、魚肉ソーセージも細切りにする。
  2. フライパンに油(分量外)を熱し、ピーマン、じゃがいもを中火で炒める。
  3. 全体に油がまわったら、塩、酒を入れてざっとまぜ、じゃがいもがしんなりするまでフタをして2~3分ほど蒸し焼きにする。
  4. フタをとり魚肉ソーセージを入れて炒め、みりん、砂糖、しょう油を入れて炒め合わせる。
  5. 火をとめ、お好みでごま油を回しかける。

子どもに食べてもらうコツは、ピーマンを縦に切ること。
ビーマンは縦に切ると苦みが出にくい性質があります。
逆に、横に切ると多少苦みは出やすくなりますが、炒めると柔らかくなりやすいのでお好みに合わせて選んでください。
今回は子どもの好きな魚肉ソーセージと合わせましたが、他の食材に替えても美味しいです。
さらに、じゃがいもをもやしに変えたり、味付けをカレー風味にしたりと、アレンジも可能。
子どものお気に入りを見つけて、ピーマンも進んで食べてくれたら嬉しいですね。

 

まとめ

野菜嫌いの理由や克服する方法をご紹介いたしました。
親は子どもの栄養面などを考えると「野菜を食べさせないと…」と思ってしまいますよね。
ただ無理に食べさせても、さらに野菜を嫌いになってしまうかもしれません。
食事が楽しくなくなってしまい、野菜以外のモノまで食べなくなってしまっては本末転倒ですよね。
大人になり味覚が発達すれば、野菜嫌いは克服できるとも言われています。
長い目で見て、子供が食事を楽しめる環境が大切です。
食事の時間だけでなく買い物やお手伝いの時間も使い、子供が食事に興味を持てるよう工夫するとよさそうです。

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