「幼稚園と保育園の違いは?教育と保育で育ちに影響はあるの?」
幼稚園と保育園はそれぞれ、子供が幼少期の大半を過ごすことになる施設です。
どちらに入れればよいかは多くの親が悩むところではないでしょうか。
また、以前は幼稚園=教育、保育園=保育というイメージが強く、子供の学力差を気にする方もいらっしゃるかと思います。
今回は、幼稚園と保育園の違いを中心に、気になる子供への影響を詳しくご紹介します。
目次
- 幼稚園と保育園、制度上の違いとは?時間や保育内容の違いは?
- 幼稚園の制度
- 保育園の制度
- 幼稚園育ちと保育園育ちには、差が出る?
- 小学校に入ると学力差がでる?
- できることの違い
- 共働きなら保育園・幼稚園、どちらを選ぶ?
- 幼稚園は延長保育がある
- 保育園の延長保育の違い
- 延長保育中に習い事がある幼稚園も
- 延長保育の選び方
- 共働き家庭は「親の負担」も判断材料の1つ
- こども園は、保育園と幼稚園のいいところどりなの?
- こども園とは?
- こども園でかかる費用
- 保育園・幼稚園それぞれとの違い
- まとめ
幼稚園と保育園、制度上の違いとは?時間や保育内容の違いは?
幼稚園と保育園の違いは何となく知っていても、詳しいことはよくわからない…という方は多いかもしれませんね。
どちらも同じ子供が通う場所ですが、管轄や目的など意外と違う点は多くあります。
まずは、それぞれの制度や行っている内容などを改めて比べてみましょう。
幼稚園の制度
幼稚園は文部科学省の管轄にある教育施設で、学校教育法に基づいて運営されています。
入園対象は3歳から小学校入学前までの子供です。
幼稚園で働く先生は教員という扱いになり、幼稚園教諭免許状が必要になります。
幼稚園の目的は「義務教育及びその後の基礎を養うもの」として、学校教育法第22条に記載されています。※1
このため、幼稚園では生活面だけでなく、学習面でも小学校以降の義務教育の基盤となる学習面も重視されています。
・幼稚園の種類
幼稚園は大きく分けて2種類あり、自治体が運営する「公立幼稚園」と、学校法人や社会福祉法人などが運営する「私立幼稚園」があります。
私立園は独自の教育やカリキュラムを行っていることが多く、保育時間が終わった後にスイミングや数の勉強などの「習い事」をオプションで行っている園もあります。
・幼稚園で行われる内容
幼稚園では集団生活を通じて、協調性や日常生活のルールを学ぶだけでなく、学習要素のあるカリキュラムも多く取り入れられています。
独自の教材を使って数や言語を学んだり、音楽や絵画といった芸術分野の教育を受けられたりと、園によってさまざまです。
なかにはキリスト教の考えを取り入れた指導をする園もあり、幼稚園で行われる内容は園ごとの特色が出やすい部分でもあります。
・幼稚園の預かり時間
幼稚園の預かり時間は、標準で4時間以上と定められています。※2
このため、標準の預かり時間は、午前中〜午後14時までとしている園が多いようです。
ただし、最近は共働き家庭が増えているため、「預かり保育」と呼ばれる延長保育を行っている園も多いようです。
・幼稚園でかかる費用
幼稚園でかかる費用は園ごとによって異なります。
月々にかかる保育料の金額は公立なら地方自治体が、私立ならその園によって設定されています。
なお、2019年10月から実施された「幼児教育無償化」により、子供・子育て支援制度の対象となる園は無償化、それ以外の園も月額25,700円を上限に月々の保育料が免除されています。※3
このため利用者が支払うのは、保育料がこの金額を超えた場合の差額のみです。
ただし、幼稚園でかかるのは月々の保育料だけではありません。
給食費や制服代、送迎バスの利用料をはじめ、園によっては学習カリキュラムにかかるオプション料金や教材費などがかかる場合もあります。
費用の項目や金額は園ごとに異なりますが、公立よりも私立幼稚園の方が高くなるようです。
文部科学省の調査で以下のような結果が出ています。
【幼稚園にかかる費用/年】※4
公立幼稚園 | 私立幼稚園 | |
教育費 | 120,738円 | 331,378円 |
給食費 | 19,014円 | 30,880円 |
課外活動費 | 83,895円 | 165,658円 |
金額を比較すると私立の方が金銭的な負担は大きいでしょう。
しかし、私立幼稚園では独自の教育や活動を行っていたり、施設が充実していたりする園が多数あります。
このため、公立よりも費用がかかるのもいたしかたないのかもしれません。
金額面だけでなく、その幼稚園で行われている内容や設備などを踏まえて、適切な金額であるかどうかを判断するのも1つのポイントです。
・幼稚園の入園方法
幼稚園へ入園するには、希望する園に直接申し込むのが一般的です。
申し込み後に面接が実施され、申し込み時に提出した願書をもとに質疑応答が行われます。
一般的な幼稚園の面接は、子供の状況を把握することを目的としていますが、私立大学附属などのいわゆる「お受験幼稚園」では面接が合否の判断材料にされます。
このような幼稚園を受験する場合は合格するために、服装や受け答えなどの対策をして臨む保護者がほとんどです。
また、一般的な幼稚園でも入園希望者が多い場合は抽選や先着順などの園もあります。
早めにリサーチしておくと安心でしょう。
保育園の制度
保育園は厚生労働省の管轄にある施設で、児童福祉法に基づいて運営されています。
これまでは児童福祉施設という立ち位置でしたが、2018年に保育所方針が改定され、幼稚園と同じく「教育施設」に変更されました。
保育園の入園対象は、家庭で保育できない環境にある0歳から小学校入学前までの子供です。
保育園で働く先生は保育士という扱いになり、保育士資格証明書が必要になります。
保育園の目的は「保育に欠ける乳児、または用事を保育すること」として、児童福祉法第39条に記載されています。※5
保育園では集団のなかでの生活や遊びを通じて、幼少期における心身の健全な発達を促す教育や指導が行われています。
・保育園の種類
保育園の種類は大きく分けて2つあり、国の基準(施設の規模や職員数など)を満たした「認可保育園」と、基準を満たしていない「認可外保育園」があります。
また、認可外保育園のなかには、国の基準ではなく、地方独自の基準を満たした「認証保育園」も存在します。
・保育園で行われる内容
保育園は働いている親の代わりに保育する施設のため、トイレトレーニングや服の着替えなど日常生活で必要なしつけを積極的に行ってくれます。
また最近では、保育園でも英語や運動などの教育カリキュラムを取り入れている園もあり、教育面でも幼稚園と遜色ない指導をしている園も増えています。
・保育園の預かり時間
保育園の預かり時間は園によって異なりますが、原則で標準8時間以上と定められています。※6
幼稚園と違い、親が働いている前提のために預かり時間が長いのが特徴です。
認可保育園の場合は、親の就労時間によって最長の預かり時間が異なります。
フルタイム勤務なら「保育標準時間」認定で最長11時間、パートタイム勤務なら「保育短時間」認定で最長8時間となっています。※6
一方、認可外保育園には預かり時間の規定がなく、園によって異なります。
認可保育園と同じくらいの預かり時間の園もありますが、認可よりも延長時間が長くとれたり、夜間保育をしていたりと預かり時間の幅が広いことが特徴です。
・保育園でかかる費用
保育園でかかる月々の保育料は、認可保育園か、認証保育園かによって違います。
認可保育園の保育料は、自治体ごとに定められており、親の収入によって金額が変動します。
一方で認可外保育園の保育料は、園ごとに定められるため、金額は様々です。
認可外保育園は国から補助金を受けていないため、認可保育園よりも保育料が高くなります。
なお保育園でも、2019年10月から実施された「幼児教育無償化」により月々の保育料が免除されています。※3
認可保育園の場合は3〜5歳児クラスは無料、0~2歳児クラスの場合は住民税非課税世帯であれば無料です。※3
認可外保育園は無償化の対象外ではあるものの、3〜5歳児クラスは月額37,000円まで免除され、0〜2歳児クラスは住民税非課税世帯に限り、月額42,000円まで免除されます。※3
このような月々の保育料のほかにも、延長保育を利用する場合は別途料金がかかります。
金額は月額の保育料と同じく、認可なら親の収入によって変動し、認可外なら園によって異なります。
・保育園の入園方法
保育園の入園方法は、認可か認可外かによって異なります。
認可保育園の場合は、各自治体に入園の申し込みを行い、入園希望者が園の定員数をオーバーすると抽選をします。
各自治体が定めた条件のもとで、親の就労状態などが点数化され、総合点数が多い家庭の子供から入園が内定されるという仕組みです。
しかし、近年はニュースでもみかけるように、保育園の入園が厳しい地域が多い状態が続いています。
一方で、認可外保育園の場合は、各園に直接入園の申し込みを行います。
抽選の場合、選考基準は園ごとに異なるので、認可保育園では点数で不利な自営業や親と同居している家庭でも影響が少ないことがあります。
空きがあれば随時入園を受け付けている園もあり、入園の受付期間も園によってバラバラです。
※1 幼稚園及び小学校の教育の目的・目標について/文部科学省/2020年9月10日現在
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/070/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2010/10/14/1297962_1_3.pdf
※2 令和元年度 幼児教育実態調査/文部科学省/2020年9月10日現在
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2020/01/30/1278591_06.pdf
※3 幼児教育・保育の無償化について(日本語)/内閣府/2020年9月10日現在
https://www.youhomushouka.go.jp/about/
※4 平成30年度 子供の学習費調査の結果について/文部科学省/2020年9月10日現在
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_01.pdf
※5 保育所利用の仕組み/厚生労働省/2020年9月10日現在
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/05/dl/s0520-6c_0008.pdf
※6 よくわかる「子供・子育て支援新制度」/内閣府/2020年9月10日現在
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/sukusuku.html
幼稚園育ちと保育園育ちには、差が出る?
幼稚園と保育園では預かり時間のほかに、管轄や目的など異なる点は多くあります。
そこで気になってくるのが、幼稚園育ちと保育園育ちで差があるのか?という点ではないでしょうか?
子供にとって幼少期の大半を過ごすことになるため、親としては実際子供にどのような違いが出てくるのか不安になりますよね。
ここからは幼稚園育ちと保育園育ちの違いについて、探っていきたいと思います。
小学校に入ると学力差がでる?
2017年に文部科学省から、「保育園育ちの子供よりも幼稚園育ちの子供の方が成績は高い」という発表がありました。※7
しかしこの発表に疑問を持った研究者によって、日本、韓国、中国の3〜5歳を対象に再度調査を行ったところ、意外な結果が明らかになったのです。
なんと子供の語彙力は幼稚園か保育園に関わらず「子供中心の保育」をしている園出身の子供が優れているそうなのです。※7
なお、ここで言う「子供中心の保育」とは、子供が自主的に遊ぶことを重視した自由保育のこと。
語彙力が育った背景には、自由保育の遊びを通じて、子供が自ら必要な言葉を進んで習得したからではないかと言われています。※7
さらに、別の調査では、幼稚園か保育園出身かによる学力などの差は「年齢とともに無くなる」という結果もあるのです。※8
幼稚園か保育園出身かだけで優劣を付けることは難しいことがわかります。
単に幼稚園か保育園かだけで子供にとっての良し悪しを判断するのではなく、子供にどのような関わり方や指導をしている園かを重視する必要がありそうですね。
できることの違い
これまでは幼稚園は教育、保育園は保育というイメージが一般的でしたが、2018年の「保育所保育方針」の改訂により、保育園も「幼児教育施設」として位置付けられました。※9
つまり、幼稚園と保育園のどちらでも「学習の基礎を育むこと」が重視されるようになったのです。
これは保育園と幼稚園が目標としている「幼児期の終わりまでに育ってほしい子供の姿」が同じことからもわかります。※9※10
その中でも特に「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」という項目は、保育園でも就学に備えた学力の基盤作りを意識していることが伝わります。※9
こうした点から幼稚園と保育園が目指す姿は同じであり、学習面についても違いが無くなりつつあるといえるでしょう。
ただし、幼稚園でも保育園でも、カリキュラムや指導方針は園によって異なるものです。
幼稚園か保育園かではなく、園で行われている保育内容や教育方針を確認するのがよさそうですね。
※7 子供の貧困と学力格差/内田伸子/2020年9月17日現在
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/22/10/22_10_24/_pdf
※8 幼児教育が学力に与える影響/中山真緒、水野康文/2020年9月17日現在
https://www.seiunkai.net/images/library/ronbun/2014/2014_2.pdf
※9 保育所保育指針解説/厚生労働省/2020年9月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000202211.pdf
※10 幼稚園教育要項/文部科学省/2020年9月15日現在
https://www.mext.go.jp/content/1384661_3_2.pdf
共働きなら保育園・幼稚園、どちらを選ぶ?
共働きのご家庭の場合、お子さんを何時まで預けられるか?は気になるポイントですよね。
これまでは共働き家庭というと保育園のイメージが強かったのですが、最近は一部の幼稚園でも延長保育が行われていますよね。
ここからは共働き世帯から見た、保育園と幼稚園のメリットや注意点をご紹介します。
幼稚園は延長保育がある
近年は共働き家庭が増えていることから、幼稚園でも「預かり保育」と呼ばれる延長保育が行われています。
文部科学省が平成30年度に行った調査では、全体の87.8%もの幼稚園が実施していることがわかっています。※ 11
預かり保育の終了時間は園により異なりますが、17〜18時までの園が多いようです。※ 11
ただし、公立と私立で終了時間を分けて見ると、公立は16〜17時が最も多く、私立は17〜18時までとなっており、私立の方が長く預けられる傾向があるようです。※ 11
気になる預かり保育の利用料ですが、園によって1日数百円〜1,000円と大きく分かれます。
預かり保育の利用を検討する方は、希望する園で料金がいくらかかるかをチェックしておきましょう。
また、幼稚園の預かり保育でも、幼児教育無償化によって料金が一部免除されています。
保育の必要性の認定を受けた家庭であれば、3〜5歳児クラスを対象に最大月額11,300円まで無償化の対象です。※3
保育園の延長保育の違い
幼稚園の預かり保育と保育園の延長保育の違いは、預かり時間の長さにあります。
幼稚園では遅くても17〜18時までの保育が多い一方で、保育園は19時や20時まで延長保育をしている園も多くあります。
また保育園は希望すれば、別料金で夕食が出るのも特徴です。
このため、フルタイム勤務の家庭であれば、保育園の延長保育の方がより利用しやすいでしょう。
しかしながら、最近はお正月や夏休みなどの長期の休業期間や土曜でも、預かり保育を行っている幼稚園が増えています。※12
時短勤務やパート勤務の家庭であれば、幼稚園でも無理なく預けられるのではないでしょうか。
延長保育中に習い事がある幼稚園も
幼稚園の中には、延長保育中に習い事を行っている園もあります。
習い事の内容は英語や数の計算といった学習のほかに、ダンスやスイミングなどの運動を行うなど園によってさまざまな工夫がされています。
習い事にかかる費用は、幼稚園の費用とは別の追加料金です。
延長保育の選び方
保育園・幼稚園の延長保育には、それぞれにメリットもデメリットもあります。
・保育園の延長保育のメリット
保育園の延長保育のメリットの1つは預かってくれる時間の長さをはじめ、捕食や夜食にも対応している園が多いことです。
また園によっては、夜間保育を実施しています。
職場と保育園の距離が多かったり残業が多かったりしても、保育園なら預けやすい環境が整っています。
・保育園の延長保育のデメリット
保育園の延長保育のデメリットは、経済面と精神面です。
夕食を希望する場合は、保育料+給食費の費用がかかり、経済的な負担が増えます。
さらに長く預けられる反面、不安や寂しさを感じやすい子もいます。※13
親子で過ごす時間が少なくなるのも、デメリットの1つです。
・幼稚園の預かり保育のメリット
幼稚園の預かり保育のメリットは、園の中で習い事ができる点でしょう。
共働き家庭の場合、子供に習い事をさせたくても送り迎えをしなければならず、諦めざるを得ない場合もありますよね。
しかし預かり保育で習い事ができれば、園とは別に送り迎えをする必要がありません。
・幼稚園の預かり保育のデメリット
幼稚園の預かり保育のデメリットは保育園と同じく費用がかかることです。
預かり保育では保育園の延長保育よりも預かり時間が短いため、保護者の勤務時間が制限されてしまう可能性もあります。
収入と保育費のバランスで悩むこともあるかもしれません。
共働き家庭は「親の負担」も判断材料の1つ
延長保育の違い以外にも、共働き家庭が知っておくべきポイントは、保護者にかかる負担の違いです。
保育園は一般的に働いている親が対象なので、親に必要以上の負担がかからないように配慮されている園が多くあります。
例えば行事を土日に行ったり、園の持ち物は市販品でもよかったりと、共働きでも対応しやすい仕組みになっています。
一方、幼稚園は親の就労形態に関わらず、全ての子育て家庭が対象です。
このため行事が平日に行われたり、一部の園の持ち物は手作りを推奨されたりと共働き家庭には負担がかかることが園によって考えられます。
最近は共働き家庭に配慮した幼稚園も増えていますが、説明会などであらかじめ尋ねておくと安心でしょう。
※3 幼児教育・保育の無償化はじまります/内閣府/2020年9月10日現在
https://www.youhomushouka.go.jp/about/
※11 令和元年度 幼児教育実態調査/文部科学省/2020年9月10日現在
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2020/01/30/1278591_06.pdf
※12 教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動(いわゆる預かり保育)及び子育ての支援 関係資料/文部科学省/2020年9月10日現在
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/057/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/04/07/1368680_01.pdf
※13 家庭的な保育を目指す支援の現場で支援者が抱える困難とは/安田裕美/2020年9月15日現在
http://soc.meijigakuin.ac.jp/uploads/2013/03/essay2012_s01.pdf
こども園は、保育園と幼稚園のいいところどりなの?
こども園とは?
こども園は内閣府が管轄する教育と保育を一体的に兼ね備えた施設。
正式には「認定こども園」と呼ばれています。
全ての子育て家庭を対象にした施設のため、親が働いているかどうかに関わらず預けられることが特徴です。
入園対象は保育園と同じく、0歳から小学校入学前までの子供となっています。
こども園には4つのタイプがあり、それぞれ特徴や保育者の資格が異なります。
【こども園4つのタイプ】
- 幼保連携型
幼稚園と保育園、両方の機能を併せ持った施設です。
- 幼稚園型
認可幼稚園をベースに、子供の長時間保育や0歳児からの受け入れを行うなど、保育所的な機能も備わった施設です。
- 保育所型
認可保育園をベースに、就労していない保護者の子供の受け入れも行うなど、幼稚園的な機能も備わった施設です。
- 地方裁量型
幼稚園、保育園どちらの認可もない地域の保育・教育施設をベースに、認定こども園としての機能を果たしていく施設です。
また、こども園で働く保育者の資格は、この施設のタイプによって異なります。
幼保連携型の場合は、幼稚園教諭の免許状と保育士資格の両方を持つ保育教諭となっています。
そのほかのタイプは、満3歳未満のクラスは保育士資格が必要ですが、満3歳以上のクラスでは幼稚園教諭の免許状と保育士資格の両方を持つことが望ましいとされています。※14
こども園でかかる費用
こども園の保育料は認可保育園と同じく、各自治体によって定められており、支払う金額は親の収入などによって異なります。
また、こども園も幼児教育無償化の対象になっています。
このため、保育料は3〜5歳児クラスが無料、0〜2歳児クラスも住民税非課税世帯であれば無料になります。※3
保育園・幼稚園それぞれとの違い
認定こども園は保育園と幼稚園、それぞれの特徴を持っていることが大きなポイントです。
・親の就労状況に関わらず預けられる
こども園は親が働いているかいないかに関わらず、全ての子育て家庭が対象となっています。
このため、両親のどちらかが働いていない家庭でも、保育園のように夕方まで預けることが可能です。
さらに、こども園なら親の雇用形態に変化があっても、そのまま通い続けることができます。
・親がフルタイム勤務でも幼稚園のような教育が受けられる
こども園には幼稚園のような学習要素や生活指導もあります。
つまり、親がフルタイム勤務でも、教育面が充実した環境に子供を預けられるのです。
特に幼稚園型のこども園なら、通常保育後に習い事をしている園もあります。
親が忙しくても、子供に多様な教育を園以外でも受けさせることができます。
こうして見るとまさに幼稚園、保育園のいいところどりといった印象ですが、こども園はまだ全国に普及しておらず、園の数は少数です。※15
こども園は幼稚園の要素もあるため、行事が平日に行われたり、保護者が参加する制度が多かったりということが考えられます。
共働き家庭には負担が多い可能性があります。
行事や保護者が参加する行事の頻度についてもチェックしておくとよいでしょう。
※3 幼児教育・保育の無償化はじまります/内閣府/2020年9月10日現在
https://www.youhomushouka.go.jp/about/
※14 認定こども園概要/内閣府/2020年9月10日現在
https://www8.cao.go.jp/shoushi/kodomoen/gaiyou.html
※15 認定こども園は、本当に「こども園」なのか/藤井嵩士/2020年9月10日現在
https://www.konan-u.ac.jp/hp/econ_keizaigakkai/gakusei-ronsyu/2010nendo/6.hujiitakashi.pdf
まとめ
今回ご紹介したように、幼稚園と保育園はそれぞれ違う点があります。
しかし最近は幼稚園で延長保育が利用できたり、保育園で英語や文字などの学習を取り入れたりと、以前よりも特徴に差がなくなっているのも事実です。
これからは単純に幼稚園か、保育園かで決めるのではなく、園ごとの方針や制度などを調べて判断することが重視すべきポイントになるでしょう。
園の説明会や見学会にできるだけ参加をして、自分の家庭に合う園を見極めてくださいね。