コロナ禍の保育園事情。登園や日常生活で起きた変化とは?

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新型コロナウイルスにより、大人だけでなく子供たちの日常も大きく変化しました。
中でも複数の子供が集団生活を送る保育園は、感染防止の観点から例年とは異なる対応が増えています。
今回は、コロナ禍の保育園における登園基準や日常生活、行事などの変化について解説します。

目次

  1. コロナ禍の登園基準とは?
  2. 園内に感染者が出たら?休園は?
  3. コロナ禍の登園の流れは?マスクの着用は必須?
    • 玄関での受け渡しで感染防止
    • マスク着用は必須でない園が多い!
  4. 園での生活の変化は?消毒や換気の頻度は?
    • 手指の消毒
    • 園内の消毒
    • 換気の頻度
    • 飛沫対策
  5. 運動会・遠足・お遊戯会…コロナで全て中止?行事の変化
  6. 2020年の入園や園の見学はどうだった?21年はどうなる?
    • 2020年の入園式、開催した園も
    • 2021年の入園式はどうなる?
    • 園見学は電話対応のところも
  7. まとめ

コロナ禍の登園基準とは?

コロナ禍の保育園において、多くの保護者が気になるのが「子供を預けられる基準に変化はあったのか?」ではないでしょうか。
厚生労働省は感染拡大防止の留意点として、以下の内容を発表しています。

 

”保育所等の登園に当たっては、登園前に、子供本人・家族又は職員が必要に応じて本人の体温を計測し、発熱等が認められる場合には、利用を断る取扱いとする。
過去に発熱等が認められた場合にあっては、解熱後 24 時間以上が経過し、 呼吸器症状が改善傾向となるまでは同様の取扱いとする。
なお、このような状況が解消した場合であっても、引き続き当該子供の健康状態に留意すること。
上記にかかわらず、病児保育事業の利用について妨げるものではないが、当該子供の保育所等が新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための臨時休園を実施している場合等については、感染の状況や受診した医師の診断を参考に、利用の可否について、慎重に判断すること。”
※1 保育所等における感染拡大防止のための留意点について(第二報)/厚生労働省より引用


基本的にこれまでの登園基準と変わらない印象ですが、多くの市区町村が登園前の検温と、その結果を記録するよう呼びかけており、以前よりも明日の検温を徹底する姿勢が見られます。
また、子供が濃厚接触者だった場合は登園を避けるよう市区町村が要請をしています。※2
お休みする期間は、感染者と最後に濃厚接触をした日から2週間です。※2
万が一、家庭内でコロナウイルスの感染者が出た場合は、混乱を避けるためにも速やかに園への連絡が必要です。

 

※1 保育所等における感染拡大防止のための留意点について(第二報)/厚生労働省/2020年12月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000630630.pdf
※2  保育所等における新型コロナウイルスへの対応にかかるQ&Aについて(第七報)/厚生労働省/2020年12月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000672483.pdf

園内に感染者が出たら?休園は?

それでは、もし保育園で感染者が出た場合はどうなるのでしょうか?
厚生労働省は、園内に感染者が出た場合は、都道府県の保険衛生局等と連携し、感染者の状況把握や濃厚接触者の範囲を確認したうえで、園側が休園の判断を行うこととしています。※2
ただし感染した子供に発熱や咳などの症状がある状態で登園していた場合は、保育園の一部、または全ての臨時休園を市区町村が速やかに判断することが求められています。※3
実際に保育園に通う子供が陽性者となった場合は、臨時休園をとっている園がほとんどのようです。
子供が保育園に通っている場合は、今のうちから感染者が出た場合を想定して、休園期間の子供の預け先や仕事について、家族で話し合っておくことが大切かもしれません。
また、コロナウイルスの感染による差別や偏見を防ぐためにも、園は陽性者の個人情報に十分な配慮が求められています。※2
陽性者の個人が特定できるような公表は、基本的にはありません。

※2  保育所等における新型コロナウイルスへの対応にかかるQ&Aについて(第七報)/厚生労働省/2020年12月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000672483.pdf
※3  保育所等において子供等に新型コロナウイルス感染症が発生した場合の対応について(第二報)/厚生労働省/2020年12月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000600008.pdf

コロナ禍の登園の流れは?マスクの着用は必須?

玄関での受け渡しで感染防止

コロナ禍では、朝の登園風景も以前とは違います。
これまで多くの園では朝の登園は、保護者が教室内で登園時の荷物の支度を行っていましたよね。
しかしコロナ禍の今は、接触感染を避けるため、保護者は園内に入らない対策をしている園もあります。
その場合は、玄関で園児や荷物の受け渡しが行われています。
不特定多数との接触を減らせるため、この流れで受け渡しを実施している園も多いようです。
ただ園児の荷物の支度や布団カバーの掛け替えなどを園の職員が行うため、園側の負担が重いという課題があります。
園児数が多い、職員の人数に余裕がない園などは、こうした対策をとるのは難しいのが現状のようです。
このため、教室内のみ保護者の立ち入りをなくしたり、布団カバーの掛け替えは保護者が行ったりと、園や職員の状況とのバランスを取りながら、接触対策をしている園も見受けられます。

 

マスク着用は必須でない園が多い!

屋外や公共施設では子供もマスクをしている子が多いですよね。
保育園で子供のマスク着用は必須なのでしょうか?
厚生労働省は、保育園でのコロナ対策として「一律に子供がマスク着用することを求めないこと、また、持続的にマスクの着用が難しい場合は無理せずに外すように」としています。※2
WHOの発表でも「5歳未満の子供のマスク着用は必ずしも必要ない」とされていることや、2歳未満の場合はマスクによる窒息や体調不良などのリスクが大きいことから、このような対応が推奨されているのでしょう。※2
このことから、日中は常にマスクの着用を義務付ける園はほとんどないようです。
近隣への配慮のために戸外活動のみマスクを着用する園や、食事や運動以外はマスクの着用をお願いする園などもあるようです。

 

園での生活の変化は?消毒や換気の頻度は?

手指の消毒

複数の子供が集団で過ごす保育園は、どのような対策がなされているのでしょうか?
厚生労働省は保育園内で感染を予防する方法として、手指を清潔に保つことを挙げています。※2
保育園でもこれに沿った感染対策として、玄関などの出入り口に手指用の消毒液を設置している園が多いようです。
職員に限らず保護者や来客者にも手指の消毒をしてもらうことで、園内にウイルスを持ち込まないように注意しているのですね。

 

園内の消毒

また厚生労働省は、園内設備の消毒も推奨しています。※4
園によって管理方法や消毒の頻度は異なります。
たくさんの子供が同じものに触れる機会は避けられないため、手が触れるドアノブや照明のスイッチなどをはじめ、園児が使う遊具やおもちゃなどは、こまめに消毒するよう心がけている園が多いようです。

 

換気の頻度

また、コロナの感染を防ぐには、室内の換気も大切なポイントになります。
保育園は1つの部屋に複数の子供が集まるため、どうしても密な環境になりがちです。
厚生労働省では、園の感染対策として1時間に2回、数分程度の換気を推奨しています。※2
このため、定期的に窓を開けたり、換気扇を使って常時換気したりと、保育園ではそれぞれの環境や設備に合わせて、こまめな換気が行われています。

 

飛沫対策

消毒や換気以外にも、飛沫による感染対策を行なっている園もあります。
愛知県の刈谷市では、園児は6人掛けの椅子を4人で使う、対面で座らないなどの対策を講じていると発表しています。※5
多くの子供たちが同じ空間で過ごす保育園。
限られた人員で感染対策を行うことは難しいこともあるでしょう。
ただ多くの園でこまめな消毒や換気など、感染を防ぐための配慮がされています。

 

※2  保育所等における新型コロナウイルスへの対応にかかるQ&Aについて(第七報)/厚生労働省/2020年12月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000672483.pdf
※4 保育所における感染症対策ガイドライン/厚生労働省/2020年12月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf
※5 保育園・幼児園の新型コロナウイルス感染症の対応について/刈谷市役所/2020年12月15日現在
https://www.city.kariya.lg.jp/kurashi/syussankosodate/kodomooazukeru/koronakannsenntaiou.html

運動会・遠足・お遊戯会…コロナで全て中止?行事の変化

コロナ禍において最も避けなければいけないのは、人が密集した環境です。
このため、コロナが発生した2020年の運動会や遠足、お遊戯会は開催が難しい状況になりました。


最年長のクラスでは最後の行事になるため、中止になってしまうのは子供たちにとってショックが大きいですよね。
政府からも、園の行事については、感染拡大の防止という観点から開催の必要性を改めて検討するよう提言されているものの、一律の自粛要請を行うものではないという考えが示されています。※6
しかし、コロナ禍で行事を行う際は開催方法の工夫や感染拡大の防止処置が必要であるとも厚生労働省は提言しています。※2

 

一部の園では、行事の規模を縮小して開催した所もあったようです。
例えばある園では、幼児クラスの運動会やお遊戯会はクラスごとの入れ替え制にした上で保護者の人数を制限したり、遠足は近場の公園にお弁当を持っていったりなど、感染防止に配慮した形で開催されています。
その一方で乳児クラスに関しては、運動会やお遊戯会は感染リスクを考えて中止という処置が取られていました。

※2  保育所等における新型コロナウイルスへの対応にかかるQ&Aについて(第七報)/厚生労働省/2020年12月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000672483.pdf
※6 保育所等の卒園式・入園式等の開催に関する考え方について(2月26日時点)/厚生労働省/2020年12月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000600283.pdf

2020年の入園や園の見学はどうだった?21年はどうなる?

2020年の入園式、開催した園も

新型コロナウイルス感染拡大の真っ只中だった2020年春。
保育園の入園式はどのように行われたのでしょうか?
先に触れたように、保育園の行事に関して政府は一律の自粛要請は行っていません。※6
また、入学式などはかけがえのない行事であるとも表現しています。※6
このため、参加人数の制限や時間の短縮、保護者が座る椅子の間隔を広く開けるなどの対策をとって入園式を開催した園や、入園式を6月に延期して開催した園もあったようです。
一方で2020年度の入園式は中止となり、そのまま登園初日を迎えた園もありました。

 

2021年の入園式はどうなる?

2021年度についても、入学式は感染拡大の状況によって実施か中止かは大きく変わることが予想されます。
実施された場合も、人数を制限するなどの感染対策をした状態で行われる可能性が高いでしょう。
2021年に入園が決まった場合、兄弟児がいるご家庭は入学式当日の子供の預け先を確保しておくと安心できるのではないでしょうか。

 

園見学は電話対応のところも

また、入学式と同じく、2020年は保育園の見学についても、園により対応は様々です。
入学式と同じく中止する園もあれば、人数を制限して実施する園、電話で質問事項に答える形をとる園などが見られました。
2021年もコロナによって、園の見学は中止もしくは縮小傾向になることが予想されます。
見学を希望する園には早めに問い合わせをし、開催する予定であるなら予約方法を確認しておくとスムーズでしょう。

 

※6 保育所等の卒園式・入園式等の開催に関する考え方について(2月26日時点)/厚生労働省/2020年12月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000600283.pdf

まとめ

緊急事態宣言が解除された後も、一向に収まることのないコロナ禍。
親にとって、子供たちが感染しないか不安な日々は続きますが、保育園ではさまざまな感染対策がなされています。
以前から保育園は、職員数の不足やハードな仕事内容が課題でした。
今回のコロナ禍で、保育園の負担はさらに増加しています。
子供たちが保育園に通えるのは、毎日懸命に働く職員の皆さんのお陰であることを忘れないようにしたいものですね。
また、私たち保護者も感染防止を意識して過ごすこともとても重要です。
保育園に通う子供たちが安全に過ごせるよう、家庭でも感染防止策を見直す時期かもしれません。

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