勉強部屋の作り方!集中力と成績が上がる部屋を目指そう

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勉強は集中できてこそ、成績アップにつながります。
その集中力を高めるためには、学校だけではなく、家でも勉強の環境を整える必要があります。
しかし、現実には「子供1人に一つの勉強部屋」を与えるのは難しいというご家庭もあるかもしれません。
それでも、環境を整えるための方法を知っていれば、家でも勉強部屋の環境を整えることができます。
子供の集中力をアップできる勉強部屋について、考えてみましょう。

目次

  1. 勉強の集中力アップは環境づくりから
    • なぜ環境作りが大切なのか
  2. 勉強の環境としてのリビング
    • リビングで勉強?
    • リビング学習はいいことがいっぱい
    • リビング学習での工夫
  3. 勉強に集中できる部屋の作り方
    • 子供部屋を勉強部屋にする場合
    • 勉強部屋が用意できない場合
  4. 勉強部屋をさらに集中できる環境にするためのアイデア
    • 部屋にプラスするとよいアイデア
    • 良い環境ができたら、さらに集中力を高めていこう
  5. まとめ

勉強の集中力アップは環境づくりから

なぜ環境作りが大切なのか

学習能力が高いとしても、良い教材や文房具を揃えるだけでは、勉強ができる環境が整っているとはいえず、集中して勉学に取り組むことはできません
例えば、名の知れたアスリートが良いスポーツ用具を持っていても、走る場所としてふさわしくない凸凹の砂利道や、走るコースに他人が勝手に入り込んでしまうような環境では、トレーニングに集中できません。

それと同じなのです。
逆に効率が良く集中力が高まる環境であれば、勉強があまり得意でない子供でも集中して学習に取り組むことができます。


先ほどのアスリートの例なら、今はまだ無名で目ぼしい記録を残していなくても、トレーニングに集中できる環境があれば、着実にその実力を伸ばすことができるでしょう。
環境次第でやる気や集中力が変わってしまうのですから、勉強に適した環境づくりはとても大切なのです。 ※1
子供が勉強を始めるのは、一般的には小学生からです。
その初めの時期である小学生の低学年は、学んだことが身につきやすいですから、この時期に勉強の環境をきちんと整えてあげることも重要です。

 

人の脳は個人差がありますが、9歳~11歳頃に発達の大きな節目を迎えるといわれています。※2
それは脳の発達の仕組みが関係しています。
脳が働くときに必要なエネルギーは、毛細血管から脳の神経細胞に取り込まれますが、活動を始めた脳はより多くのエネルギーを取り入れようとします。
9~11歳以前の脳は、多くのエネルギーを効率良く取り入れることができるという発達段階にあります。
そして、低学年の頃は比較的、素直に他者の意見を聞き入れるという特徴もプラスされるので、効率よく知識を吸収していくようにできています。
ですので、小学生のうちに勉強がはかどる部屋を用意して、学習の土台作りをすることが重要なのです。 ※2、3

 

高めた集中力を維持するためには、音の環境を整えることも大切です。
テレビや音楽、会話などの音が耳に入ると、脳が会話や歌詞などを理解しようと働いてしまいます。
そうなると勉強のために働いていた脳のあらゆる部分が、雑音を理解するために使われてしまうので、集中力が途切れてしまいます。
子供が学習に集中できるように気を配り、我が子のためと割り切って親もテレビや音楽は消すように心がけましょう。 ※2

※1 小山龍介(著) 2008年2月28 日発行 STADY HACKS! 東洋経済新報社
※2 川島隆太 川島英子 (著) 2003年5月30日初版発行 音読と計算で子供の脳は育つ 株式会社二見書房
※3 矢代伸一(編) 2010年3月26日第1刷発行 学研ムック 賢い子が育つ部屋作り 株式会社学研マーケティング

勉強の環境としてのリビング

リビングで勉強?

学習に関する研究によると、80%以上の子供が自分の部屋をもっているようですが、その約半分の子供がリビングやダイニングを勉強場所として選んでいるようです。※4
また、家族を身近に感じながら学習することは、子供が自ら進んで勉強をする傾向が高くなります。
つまり、個室が持てない子供にもリビングを勉強する場所として活用することは有効な方法だといえるのではないでしょうか。 ※4

 

リビング学習はいいことがいっぱい

リビングでの学習にはさまざまなメリットがあります。
まず、学習している子供の様子が把握でき、コミュニケーションがとりやすい環境なので、子供が困っているときに臨機応変に手助けをすることができます。
また、「○○ができるようになったね」と子供を褒めたり、一生懸命に取り組んでいる姿に対し「頑張っているね」と褒めたりすることもできます。※3、5
コミュニケーションがとりやすいリビング学習は、親が自分を見てくれていると安心感と自己肯定感につながり、自信とやる気が出てきます。 
そして、小学生の低学年では、1人になると集中力が続かず、途中で放棄してしまうこともあります。
誰かがいるリビングで勉強することで緊張感を保てるようになり、効果的な学習の習慣が身に付くようになります。※3、4


また、リビングに本棚を用意してあげると、勉強以外の時間でも気になったことやふと疑問に思ったことを、家族と一緒に、すぐに調べることができます。
知りたいという意欲が消えてしまう前に、子供の知的好奇心を満たすような環境ができるのです。
知的好奇心が旺盛な子どもに、すぐに調べて知るという環境があればそれが習慣となり、学力の土台作りにもなります。 ※3
ただし、勉強の様子を誰にも見られたくない、コツコツと学習に取り組むことが得意など、子供のタイプによってはリビング学習が不向きな場合もありますので、我が子のタイプを把握しておきましょう。※5

 

リビング学習での工夫

では、リビング学習のメリットを活かすためのポイントをあげてみます。
勉強机はできるだけ奥行き浅めの横長のものを用意して、窓際や壁面に配置しましょう。
親や家族と向き合った状態になると、子供は見張られているように感じて息が詰まってしまいます。 ※3
本棚に用意しておく本は、図鑑や辞書、地図などの他に多種多様の本があると良いです。
パパやママが読むような本も一緒に置いておくのもいいでしょう。
さまざまなジャンルの本に触れられる機会をつくり知的好奇心を伸ばしていくのです。 ※3
また、砂時計や温度計、壁や柱に貼るウォールステッカータイプの身長計などを置いて、数字が身近に感じられるような工夫も大切です。
家族全員が見る時計も数字と分刻みがあるアナログ時計にして、読み方を教えておけば時間の管理も身につきやすく、時計の学習でつまずきにくくなるでしょう。 ※3

※4 J-STAGE 学習場所と家族の存在が子どもの学習動機づけに及ぼす効果 / 2020年2月28日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/70/5/70_266/_article/-char/ja/
※3 矢代伸一(編) 2010年3月26日第1刷発行 学研ムック 賢い子が育つ部屋作り 株式会社学研マーケティング
※5 齋藤孝(著) 2016年11月24日第1刷発行 賢い子に育てる最高の勉強法 株式会社KADOKAWA 

勉強に集中できる部屋の作り方

子供部屋を勉強部屋にする場合

一方、個室を勉強部屋にする場合、まずは机を置く位置は、リビングのときとは逆に考えます。
壁面ではなく、部屋のドアなどに向け、目の前に大きな空間ができるように設置します。
すると、ふと顔を上げたときに空間やその先のドアを見るようになりますので、想像力が豊かになり学習の理解が増し、勉強が楽しくなり集中力もアップしていきます。  
また、落ち着いた精神状態にするためには、直射日光の当たらない場所がベストです。
配置的に難しい場合は、机を窓に向けた上でカーテンなどを利用しましょう。
その際、縦のストライプや幾何学模様のデザインを選ぶと、気持ちを引き締める効果があるので、やる気がアップします。
そして机の上や周辺は整理整頓を心がけましょう。
勉強と関係のない物が散らばっていると、脳は余計な物の情報をどうにか処理しようと、ムダに働いてしまいます。 ※1、6
兄弟で部屋を一緒に使うときは、お互いが干渉しないよう工夫します。
仮に6畳ほどの部屋の場合、狭さは感じてしまいますが、机はドアに向け、学校のように前後か左右に並べます。
顔が向き合うこともなく前には大きな空間ができるので、息苦しさも感じることなく集中できます。
ベッドを間仕切り代わりにして一部屋を二つに分ける場合は、二段ベッドを部屋の中心に置き、その両側にそれぞれの机を置きます。
机の位置は、壁に背を向けるか、ドアや窓に向けた形で設置するのが理想的です。
この方法は、性別の違う兄弟にも有効です。 ※6
部屋全体の色味は淡いカラーで統一感を出し、安定した精神状態を保てるようにします。
そして、カーテンやクッションカバーなどに、前途したような模様をポイントとして使い、勉強効率と集中力を上げていくようにしましょう。
また、スマートフォンやタブレットなどは部屋に持ち込まないルールを設けることも大切です。 ※1、7

勉強部屋が用意できない場合

勉強部屋の用意やリビング学習が難しければ、家の中のデッドスペースやリビングの一角を活用してみましょう。
折りたたみの机と学習用具をまとめて持ち運べるようにすれば、どこにでも勉強空間を作ることができます。
常識にとらわれず、子供が勉強しやすい場所を一緒に探してあげましょう。
廊下や、食事以外の時間帯はダイニングやキッチンなど、家中を探してみると、使えるスペースが見つかるかもしれません。
移動式で勉強するスタイルなので、家族の気配を感じながら安心して勉強をしたい子供には特に向いているでしょう。 ※3、6
また、図書館を利用することもできます。
多数の人がいる場所で勉強すると集中できないと思うかもしれませんが、実はそうでもありません。
図書館には、もくもくと学習に励んでいる人たちも大勢います。
そんな中で一緒に勉強していると、周りの雰囲気に感化され、緊張感を持ちながら集中できるようになります
家とは違った環境が緊張感を生み出し、周囲にはそれぞれ学習に励んでいる人がいることで、自分も鼓舞され、学習に打ち込めるようになります。 ※1
住んでいる地域によっては、ボランティアの方々が、コミュニティセンターなどで勉強を教えるという、地方自治体が行っている学習支援システムなどもあります。
これからの進路や将来、学習のやり方など、子供の不安や悩みも経験者から聞けるので、良いアドバスや刺激を受けることができます。
地域のホームページなどに詳細が載っていますので、調べて活用してみるのも良いかもしれません。 ※8

※7 《晴れの国おかやま》教育資料 家庭学習のスタンダード家庭用配布資料 「子どもが伸びる家庭学習」/ 2020年2月28日閲覧
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/616896_5208237_misc.pdf
江戸川区 2016年(平成28年)11月21日 1655勉強Cafeに「がち勉コーナー」開設
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e004/kuseijoho/kohokocho/press/h28/11/h281121.html
※1 小山龍介(著) 2008年2月28日発行 STADY HACKS! 東洋経済新報社
※3 矢代伸一(編) 2010年3月26日第1刷発行 学研ムック 賢い子が育つ部屋作り 株式会社学研マーケティング
※6 直居由美里(監) 2007年7月4日第1版第2刷発行 子どもを伸ばす!リフォームいらずの模様替え 配置・色柄の工夫から自立・勉強を促す部屋作りまで PHP研究所

勉強部屋をさらに集中できる環境にするためのアイデア

部屋にプラスするとよいアイデア

学習環境にプラスすると良いアイデアをご紹介します。
・スポットライト
明る過ぎない部屋で、スポットライトで机を照らすと集中力が高まります。
劇場などでスポットライトが当たっている所に意識が集中するのと同じ理由で、スポットライトをテキストなどに当て意識を向けさせ、集中力のアップを図ります。 ※1


・室温
部屋の温度を快適にすると眠気を誘ってしまいます
特に受験シーズンの冬場は、暖かい部屋は心地よくなり眠気を誘います。
夏場ならちょっと暑い、冬場なら少し寒い程度が良いでしょう。
そして、暑かったら頭や首元を冷やす、寒かったら上着を着るなど、自分で工夫することで、眠気やだらけてしまう気持ちを上手に取り除けます。 ※1

 

・黄色の小物を置く
黄色は、道路標識などでも注意を呼び掛けるために使用される色です。
その応用を学習に取り入れます。
途切れた集中力を取り戻すために、付箋やマーカーなど文房具を黄色にしてみましょう。 ※1、6、9

 

・渦巻き模様の効果を利用する
渦巻き模様は頭を効率良く働かせるといわれており、脳の処理能力向上につながります。
部屋の模様替えを行う際、カーテンやクッションカバーなどであれば比較的簡単に変えることができます。※6

 

良い環境ができたら、さらに集中力を高めていこう

次に学習する本人に実践してほしい、集中力をさらにアップするアイデアです。
・呼吸法で集中力を上げる
鼻から深く息を吸い、口から10秒かけて息を吐きだします。
そして、吐きだす時間を15秒20秒と伸ばしていきます。
息をはくときに、細く長い糸が口から出ていくイメージをすると、呼吸法のコツが掴めます。
これは丹田呼吸法といい、ヨガや禅でも用いられる呼吸法で、精神を落ち着かせる効果があります。
繰り返し吸って吐くことに意識を向けて心を落ち着かせると、雑念や不安が消え、やるべき事に集中できるようになります。
学習を始める前や、集中力が散漫になってきたときに、取り入れたい呼吸法です。 ※5


・音楽を流す
集中力を高める音楽をBGMとして流すことも効果的です。
但し、選曲するときはクラシックなどできるだけ歌詞のないものを選びましょう
歌詞があると、歌ってしまったり、言葉に気を取られたりします。
静かな環境も集中力には大切ですが、脳の働きを邪魔しない程度の音楽であれば、少しの物音には動じない集中力が身に付きます。
静かすぎる環境に慣れると、大事な試験のときにちょっとした物音が気になり本領が発揮できない可能性があります。 ※1

 

・アロマなどを利用する
柑橘系の香りは気分を高めてくれるので、集中力維持にはアロマも効果的です。
アロマポットが無くても、コップに水を張りオイルを垂らすだけでも香りは漂います。 ※1
子供が心地よいと感じる香り、集中して勉強できる香りを、一緒に探してみましょう。

 

・状況に合わせてハーブティーを飲む
学習前や勉強中の一息に、ハーブティーを活用してみましょう。
レモングラスやペパーミントは集中力を高める効果期待できますので、勉強中の休憩タイムに勉強部屋へ運んで上げるのも良いでしょう。
ほっと一息つきながら、ハーブティーの香りで集中力もアップします。 ※1

 

※1 小山龍介(著) 2008年2月28日 STADY HACKS! 東洋経済新報社
※5 齋藤孝(著) 2016年11月24日第1刷発行 賢い子に育てる最高の勉強法 株式会社KADOKAWA 
※6 直居由美里(監)  2007年7月4日第1版第2刷発行 子どもを伸ばす!リフォームいらずの模様替え 配置・色柄の工夫から自立・勉強を促す部屋作りまで PHP研究所

まとめ

勉強部屋と一言でいっても、さまざまなスタイルがあります。
子供部屋だけが勉強部屋ではありません。
リビングの一角を、子供にとっての勉強スペースにする方法もあります。
また、子供の特徴や性格によって勉強方法も違ってきますし、ご家庭の生活スタイルによっても違いがあります。
我が子にはどのスタイルがあっているのか、自分の家の生活スタイルと併せて考え、子供の学習環境を整えてあげましょう。

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