産後のイライラの原因は?その解消法は?

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産後は、愛おしい赤ちゃんとの生活がはじまるのにも関わらず、自分ではどうしようもないくらいイライラしたり、感情のコントロールができなくなる経験をした方も多いのではないでしょうか。

産後のイライラを放置して長引かせると、産後うつの危険もあると言われます。

イライラの原因を知り、自分なりの解消法を探しましょう。

目次

  1. 産後のイライラとは?
    • マタニティブルー
    • 産後うつ
  2. 産後のイライラ4つの原因
    • ホルモンバランスの変化
    • 育児疲れ
    • 孤独
    • 睡眠不足
  3. 産後のイライラはいつまで続く?
  4. イライラを解消するためには、自分の体を整える
    • 寝られる時に寝る
    • 体を温める
    • 一人の時間を作る
  5. パパへのイライラにはどう対処する?!
    • 言葉で伝える
    • 分担する
    • パパ以外の人を頼ることも
    • 上の子にイライラしてしまう時は
  6. まとめ

産後のイライラとは?

産後は、今まで何とも思わなかったことでも、妙にイライラしてしまったり、悲しくなったりということがあります。
実は、産後のイライラは、その時期により2つに分けられます。

 

マタニティブルー

1つ目は、マタニティーブルーと呼ばれるものです。
マタニティブルーは、産後数日後からあらわれて、10日前後で自然に治るものを指します。
なんでもないのに泣けてしまったり、イライラしたり、神経質になったりと情緒不安定になりますが、時期が過ぎれば治るのが特徴です。
マタニティーブルーは、急激な産後のホルモンバランスの変化が主な原因だとされています。※1※2

 

産後うつ

2つ目は、産後うつと呼ばれるものです。
産後うつは、産後2~3週間から3か月の間に起こりやすいと言われています。
通常のうつ病と同じように、不安感が強くイライラしたり眠れなかったりという症状が出てきます。
産後うつは、長引くと1年くらい治らないこともあるようです。
産後うつの原因は、ホルモンバランスだけでなく慣れない育児のストレスや、母親としてのプレッシャーなどの影響もあると考えられています。※2

※1 産後のメンタルヘルス/三重大学母子精神保健研究グループ監修
http://pmh.jp/information/leaflet_mother.pdf
※2 やさしくわかる 月齢別育児のきほん事典/鈴木洋 鈴木みゆき監修/西東社/2015年

産後のイライラ4つの原因

産後すぐは、特にホルモンバランスの急激な変化のために気持ちも不安定になりがちだと言われています。
さらに、その後も慣れない育児の疲れや、授乳などによる睡眠不足、周囲の協力体制などに対してイライラが募ってしまうものです。
イライラの原因を見てみましょう。

 

ホルモンバランスの変化

産後のホルモンバランスは、出産とともに急激に変化すると言われています。
妊娠中は「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれるホルモンや「エストロゲン(卵胞ホルモン)」、「プロラクチン」といったホルモンが分泌されますが、出産と同時にそれらが減少すると言われています。
その後、授乳に合わせて「プロラクチン」の分泌が増えると言われており、短期間で急激にホルモンバランスが変化していくのです。
この変化により、気持ちが安定しないとされています。※3

 

育児疲れ

はじめての育児の場合は赤ちゃんとの接し方やお世話の勝手がわからず疲れてしまったり、2人目以降の場合は二人の相手をしなければならず体力的にも疲れてしまったりします。
新生児のうちはまだ産褥期で体が回復しきっていない中、24時間体制で抱っこや授乳、おむつ替えをするため、肩こりや冷えなどの体の不調が出る人も多いようです。※4
産後に無理をして、疲れをためてしまうと、回復が遅れるばかりか、慢性的な不調につながったり、心の不調につながる原因になります。※5
産後は、周りを頼りながら、無理をしないことが大切です。

 

孤独

出産すると、始めのうちは周りも祝福ムードでママも産後の高揚感に満たされハイになっています。
しかし、退院後は周囲のサポートも減り、里帰りをしない方ではママと赤ちゃん二人でほぼ1日を過ごすというケースもあり、急に孤独を感じることになります。
ある調査では、子育てで孤独を感じている人は約7割ともいわれています※6
ホルモンバランスの変化による影響もあり、産後は特に孤独を感じやすい脳になっており、産後うつにもつながる原因だとされています。※7
孤独を感じたら、そのことを認め、周りに助けを求めましょう
自治体の相談窓口や、日本保育協会の運営する子育てホットラインなどの電話相談も無料で開設されています。※8

 

睡眠不足

生まれて間もない赤ちゃんは、1日のほとんどを寝て過ごすと言われますが、まとまって寝てくれるわけではありません。
寝て起きて、おっぱいやミルクを飲んで、うんちやおしっこをして、また寝るというサイクルの繰り返しです。
昼夜の区別がないので、夜中も対応しなければならず、睡眠不足になりがちです。
3~4か月ごろになると、1度に眠る時間も長くなってきて、1日の生活リズムが出てきますが、夜中の授乳はまだ続きます。
睡眠不足が続くと、脳の機能が低下してしまい、イライラや集中力の低下につながると言われています。
7時間を目安に睡眠時間を確保するとよいそうです。※9
赤ちゃんとの生活は、慢性的に睡眠不足になりがちです。
細切れになってしまいますが、少しでも寝られる時に寝るようにしましょう

 

このように、産後の体や心の変化に加え環境の変化が重なり、ママはイライラして当たり前の状況です。
自分一人で抱え込まずに、周りに協力してもらいましょう。
パートナーはもちろん両親に協力を依頼したり、地域の育児支援を活用する方法もあります。
自分がつらいということを、まずは伝えてみてください。

※3 やさしくわかる 月齢別育児のきほん事典/鈴木洋 鈴木みゆき監修/西東社/2015年
※4 子育てママの“疲れ”に関する調査/養命酒製造株式会社/2014年5月
https://www.yomeishu.co.jp/health/survey/pdf/20140521_mama_tukare.pdf
※5 出産した女性が本当にしておきたい 産後ママの心と体をケアする本/池下育子・宗田聡・原田優子・吉岡マコ監修/日東書院/平成24年
※6 平成18年度 子育てに関する意識調査報告書/財団法人こども未来財団
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1029-11c_0002.pdf
※7 ママたちが非常!?最新科学で読み解くニッポンの子育て/NHKスペシャル取材班/ポプラ社/2016年
※8 社会福祉法人 日本保育協会
http://www.nippo.or.jp/
※9  睡眠不足症候群 | 睡眠健康大学
http://sleep-col.com/%E3%80%80%E7%9D%A1%E7%9C%A0%E4%B8%8D%E8%B6%B3%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4/

産後のイライラはいつまで続く?

出産直後のイライラや落ち込みは、マタニティーブルーと呼ばれるもので、産後10日前後で自然に治まると言われています。
その後にもイライラや気分の浮き沈みが激しく、継続する場合は「産後うつ」と呼ばれるものの場合もあります。
産後のメンタルは、産後3か月くらいまでを気に掛ける必要があるとされていますが、その後、慢性的にイライラをかかえてしまうと、産後1年ほど続くこともあるようです。※10※11

赤ちゃんが4ヶ月頃になると、昼夜の区別がついてきて生活リズムができてくる上に、少しずつ外出もできるようになるため、ママの気分転換もしやすくなります。
赤ちゃんとお出かけをしたり、家族や友達と話をしたりして、長期間イライラをため込まないよう、解消していきましょう。

※10 やさしくわかる 月齢別育児のきほん事典/鈴木洋 鈴木みゆき監修/西東社/2015年
※11 産後のメンタルヘルス/三重大学母子精神保健研究グループ監修
http://pmh.jp/information/leaflet_mother.pdf

イライラを解消するためには、自分の体を整える

このような産後のイライラを解消するにはどうしたらよいのでしょうか。

赤ちゃんのお世話で自分のことは後回しになりがちですが、イライラを解消するためには少し自分の体にも目を向けてみましょう。

 

寝られる時に寝る

睡眠不足を解消するために、寝られる時に睡眠を取るように心がけましょう。
産後のイライラ4つの原因の章でもご紹介しましたが、7時間くらいは睡眠を確保したいところです。
産後間もないうちは特に、まとまった睡眠時間を確保することは難しいかと思いますが、赤ちゃんが寝ているときに一緒に寝るようにして、睡眠時間を確保するように心がけましょう。

 

体を温める

産後は、体の冷えや肩こりなどが体の不調として出てくる方も多いです。※12

体の冷えは、肩こりや腰痛などの原因になるばかりでなく、眠りの質が下がってしまったり、胃腸の不調にもつながります。

イライラを解消するためにも、体を温めて体の不調を解消していきましょう。※13

 

・お腹周りを温める

腹巻やカイロ、湯たんぽなどを使ってお腹周りをあたためます。

おしりの上にある仙骨付近は、副交感神経を整えるのに大切なポイントです。※13

夏でも冷房で冷えてしまいますし、授乳時に体を出してしまうと冷えに繋がります。

カイロや湯たんぽを赤ちゃんといる場所で使うのは不安という場合には、腹巻を活用しましょう。

 

・全身浴で温める

冷えには、半身浴ではなく全身浴の方が良いとされています。

半身浴で、上半身がお湯から出てしまっていることで冷えてしまうためです。

38度~40度くらいの少しぬるめのお湯に肩までつかることで、血流もよくなり体がぽかぽか温まると言われています。※14

赤ちゃんと一緒のお風呂では、全身浴でリラックスする時間はとれないかもしれませんが、週に何度かだけでも、一人でゆっくりお風呂に入れる時間をとれるといいですね。

 

・意識的に体を動かす

適度に体を動かすことでも、イライラは解消されます。

有酸素運動を行うとイライラを抑えるセロトニンが活性化すると言われますが、赤ちゃんがいるとまとまった時間有酸素運動をするのは難しいですよね。

その場合は、家事のついで、家事をしながら、運動をすることも有意義だと言われています。

掃除をしながら、動作を大きくしてみたり、赤ちゃんを抱っこしながらスクワットをしてみたりという程度の運動からはじめてみましょう。※15

 

・食事で温める

食事に気を付けるのも体を温めるためには効果的です。

温かいものを食べるようにするだけでなく、体を温める食材を知り積極的に取り入れましょう。

赤ちゃんがいると、料理にかけられる時間も限られてしまいますが、体を温める生薬とされているショウガやシナモンなどをプラスするだけなら手軽に取り入れられおすすめです。※13

 

一人の時間を作る

24時間体制で赤ちゃんのお世話をしていると、一人の時間は全くありませんよね。
たまには、赤ちゃんを預けて、自分一人の時間をつくるようにしてみることも、イライラ解消には効果的です。
離れていても赤ちゃんのことが気になり、あまりリラックスできないという方もいらっしゃるかもしれませんが、たまにの息抜きは必要です。
離れてリフレッシュする時間を取ることで、その後、赤ちゃんへの愛おしさが増すこともよくあることです。
赤ちゃんと笑顔で接するためにも、一人の時間は大切です。

※12 子育てママの“疲れ”に関する調査/養命酒製造株式会社/2014年5月
https://www.yomeishu.co.jp/health/survey/pdf/20140521_mama_tukare.pdf
※13 冷えは病気のサイン 温育ライフで家族すこやかに/川嶋 朗監修/養命酒製造株式会社
https://www.yomeishu.co.jp/health/mibyou_prevention/hie_sign/assets/pdf/booklet.pdf
※14 ほんとうに効く!レベル別・悩み別 冷え退治バイブル/川嶋朗 /2014年/扶桑社
※15 もう振り回されない! イライラの9割が消える本/船見敏子/2016年/日本文芸社

パパへのイライラにはどう対処する?!

女性は、妊娠期間を経て自分のお腹から赤ちゃんを産むため、体やホルモンバランスが変化したりと母親としての準備が整います。
しかし、男性は体の変化などは特にないまま父親となり、女性に比べて父親になったという実感が湧きづらいと言われています。
実感のないパパに対して、ママはもっと協力してほしい、大変さがわかっていないとイライラしてしまうことが多く、最近では産後クライシスと言われ問題視されています。
パパへの対処法をご紹介します。

 

言葉で伝える

旦那さんにイライラする時、「言わなくても気づくはず」「わかってあたりまえ」と思っていることはありませんか?
女性にとっては「当たり前」であっても男性には理解できないこともあるものです。
はっきりと言葉で伝えることが大切です。※16

 

分担する

一度お願いしたことはその後もやってくれると思っていたら、「都度言わないとやってくれない」というのもよくあるイライラかもしれません。
期待していると、やってもらえない現状にイライラしてしまいます。
都度期待するのではなく、やってほしいことは「パパの仕事」として分担してみてはいかがでしょうか。
「自分がやった方が早い」、「パパがやると中途半端」などと思うことはあるかもしれませんが、それを理由にママがやっているといつまでたっても自分にばかり負担が増えてイライラする一方です。
パパの分担の部分は6割程度を合格ラインと考えて、ほめてあげるとよいようです。※17

 

パパ以外の人を頼ることも

分担してもやってもらえない、中途半端でイライラするなどということもあるかもしれません。
そういう場合は、祖父母に頼ったり、産後ヘルパーさんや一時預かりなどを利用して、家事や育児を手伝ってくれる人を確保することも考えましょう。※17
本来は、夫婦で協力して乗り越えたいところですが、パパが忙しくなかなか時間が取れなかったり疲れているということもあるかもしれません。
身内にお願いしたり育児支援制度を活用することは悪いことではありません。
一人で抱え込み、イライラをため込まないようにしましょう。

※16 産後、ささいなことでパパにイライラしてしまう! | 子育てに役立つ情報満載【すくコム】 | NHKエデュケーショナル
https://www.sukusuku.com/contents/qa/150891
※17 やさしくわかる 月齢別育児のきほん事典/鈴木洋 鈴木みゆき監修/西東社/2015年

上の子にイライラしてしまう時は

産後は、赤ちゃんのお世話だけでも頭がいっぱいになってしまいますが、上の子がいると赤ちゃん返りやイヤイヤ期などで、上の子にもさらに手がかかることもあるのではないでしょうか。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんなんだからしっかりしてほしい」という思いから、イライラしてしまいがちです。
そんな時にも、少しでも一人の時間をつくりリフレッシュをしましょう。

幼児期の子供の性格を決めるものは?何歳くらいまで?

の記事でもご紹介しているように、接し方は子供の性格にも影響してきます。
あまり「こうあるべき、こうしなければならない」という母親像に縛られすぎないことが大切です。
上の子にイライラして当たってしまったときには、素直に謝り、大好きだということを伝えてあげましょう。※18

 

言葉で伝えづらい場合には、子どもにも理解してもらえるように、絵本で伝える方法もあります。
下の子が産まれお兄ちゃんお姉ちゃんになった子の気持ちを題材とした絵本や、ママの子どもへの気持ちを表した絵本などもあります。
絵本を繰り返し読むことで、ママも上の子の気持ちを振り返る機会になったり、上の子もママの気持ちを感じる機会になるはずです。

絵本の読み聞かせについては

絵本の読み聞かせ♪ 赤ちゃんから始める効果と読み聞かせのコツ

の記事でもご紹介しています。

※18 産後、ささいなことでパパにイライラしてしまう! | 子育てに役立つ情報満載【すくコム】 | NHKエデュケーショナル
https://www.sukusuku.com/contents/qa/150891

まとめ

産後は、ホルモンバランスが変化する上に、環境も大きく変化し、イライラして当然です。
イライラしている自分を責めるのではなく、他人に頼ることも大切です。
赤ちゃんのお世話で手一杯で、自分のことは後回しになりがちですが、少しでも自分の時間を作り、自分の体のことも考えましょう。
赤ちゃんにとってもママが元気でいることが一番です。

 

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