子供の喧嘩、決して悪い事ばかりでは無い?!

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子供がお友達と喧嘩をしていると、ついつい子供を叱ってしまいますよね。
でも、喧嘩をするということは、本当に悪いことなのでしょうか。
喧嘩はお互いの気持ちのぶつかり合いです。
これは、子供が成長し、社会生活を送っていく上でとても大切なステップであり、喧嘩をしないことよりも、上手に喧嘩をしていくことの方が、子供の成長にはずっと大切なのです。
子供が上手な喧嘩をするために、親がすべきサポートについて、考えてみましょう。

目次

  1. 子供の喧嘩はなぜ起こる?
    • 友達から嫌われてしまう子ってどんな子?
    • どんな子ならお友達がいっぱいできる?
    • 子供の喧嘩の原因は?
    • 子供の喧嘩、親はどうやって止める?
  2. 上手に喧嘩をするコツとは
    • やってはいけないことを分からせよう
    • 喧嘩をした後は仲直りが大事!
    • きちんとできた時は、いっぱい褒めてあげよう
  3. ママは上手な喧嘩のために何ができる?
    • 子供の喧嘩に対する、ママの心得
    • ほったらかしと見守りは別のもの
    • 幼児期の多少のトラブルは学びの種
  4. まとめ

子供の喧嘩はなぜ起こる?

子供が親以外の人に興味を持ち、自ら関わりを求めるのは、おおよそ1歳以降です。
上手に歩けるようになる2歳ごろでは、子供同士にも関係ができてきます。
子供同士で一緒に手をつないで歩いたり、追いかけっこをしたりして積極的にかかわるようになってきますが、まだお互いの立場や状況などは理解していません。

 

3歳になると子供は、周りを意識し始めると共に、誰に対しても自己主張してしまう傾向が強くなり、ついつい、お友達とぶつかり合ってしまうことがあります。

 

4歳になると、お友達との衝動的なぶつかり合いが少なくなっていきます。
お友達との結びつきは深まり、その関係性の中での自己主張が少しずつできるようになったり、喧嘩の仲裁やルール違反に対しての批判、さらには衝動的な感情を抑えるなどの自己調整も、少しずつできるようになります。

 

5、6歳では、感情を自覚してコントロールすることを覚えます。
仲間との結束を強め、その中の一人としての自覚も生まれてくるため、お友達との喧嘩も話し合いで解決することができるようなっていきます。
しかし、子供の喧嘩は話し合いで平和に解決しないことも、多々あります。
喧嘩をしてお友達から嫌われてしまう子、喧嘩をしてもお友達と楽しく遊べるようになる子の差はどこにあるのでしょう。※1、※2、※3

 

友達から嫌われてしまう子ってどんな子?

大人でも団体の中で馴染み、平穏に楽しく生きていくのは難しいものです。
ましてや社会経験の少ない子供では、おもちゃは譲りあい、時には我慢をして「誰とでも仲良く遊びましょう」というのは、無理なときがあります。
子供がお友達と仲良く遊べるようになるには、実はたくさんの練習が必要なのです。

子供がお友達と遊ぶとき、幼稚園や保育園を見学するとき、子供たちの遊ぶ様子をじっくりと観察してみると、お友達から嫌われてしまう行動がよくわかります。

 

例えば、力加減のわからない子は嫌われます
戦いごっこが、いつの間にか本気の戦いになっていたり、最悪なケースではお友達にケガを負わせてしまうことさえもあります。
さらに、我慢ができない子もお友達から嫌われます
滑り台やブランコの順番、勝敗の受け入れなど、子供の遊びには我慢も必要です。
自分を抑えられず、お友達にケガを負わせる、ルールを守れない、色々なことに我慢ができないという子供は、お友達から嫌われてしまうことになります。※1、※2、※3

どんな子ならお友達がいっぱいできる?

では、反対にどんな子ならお友達がいっぱいできるのでしょうか。
お友達と楽しく遊べる子供の特徴を見ていきましょう。

まず、お友達の多い子供の特徴に挙げられるのが「優しい子」です。
優しい子は、周りのお友達に自然と気遣いができ、困っているお友達には当たり前のように手を貸すことができるため、皆から慕われます。
また、誰とでも遊ぼうとする子、自分から友達を作ろうと自発的に動ける子にもお友達がいっぱいできます。
さらにこのタイプは分け隔てがないため、異性のお友達も多いという特徴があります。※1、※2、※3

 

子供の喧嘩の原因は?

自分の子供にはお友達がいっぱいいて仲良く遊べると安心ですよね。
しかし、子供はお友達と喧嘩をします。
つい数分前まで楽しそうに遊んでいた子供でも、口喧嘩からはじまり、ついには手や足が出てしまうようになります。
一体子供たちの間で何が起こっているのでしょうか。

 

子供の喧嘩は遊びの中で、気持ちのぶつかり合いから起こります。
相手に自分の気持ちを伝えようとし、そのうちに折り合いがつかなくなってしまい壮大な喧嘩へと発展してしまうのです。
その原因は、大人から見ると些細なことが多くても、子供の視点でみるととても重大なことです。
特に、子供がお友達と関わり合いをもち、一緒に遊べるようになるこの時期(おおよそ3歳以降)は、ちょうど競争意識が芽生え始める頃でもあります。
誰が一番に滑り台を滑るのか、ブランコでは誰が高くこげるのか、握りしめた玩具は誰が使うのか、これらは子供からするとプライドをかけた大事件なのです。
2人以上の子供が「自分が一番先!」と考えれば、おのずと順番争いが起こります。
また、誰かが持っているおもちゃで遊びたい子供は、それを「貸して」という前に手を出してしまい、おもちゃの奪い合いが起こります。
子供が「じゃあ、お先にどうぞ」と言えなければ話し合いは平行線ですから、やがて言葉があらくなり、喧嘩へと発展していきます。※2、※3、※4

 

子供の喧嘩、親はどうやって止める?

そして、始まってしまった喧嘩では、やられたらやり返す子もいれば、ちょっとやられただけですぐに泣きだしてしまう子もいます。


さらには、大人に言いつけにくる子、石を投げて優位に立とうとする子など、喧嘩にもそれぞれの個性が出てきます

子供の喧嘩に親が介入する時は、どちらか一方を悪者にするのではなく、お互いの言い分を聞き、共感する言葉をかけましょう。


そして、子供同士があやまり、どうすれば良かったかを考えられるよう、必要ならば少しだけフォローします。
もし、殴り合いやつかみ合いに発展しそうなとき、複数人が一人を一方的に攻撃している時、相手の存在を否定するような言葉を言ったときは、すぐに喧嘩を止めましょう。
詳細は後述しますが、これらは「してはいけない喧嘩」に該当します。※4、※5

 

子供の言葉遣いについては、こちらの記事もご紹介しています。

・子供の言葉遣いが悪いのはなぜ?それは友達?それとも親?

 

※1 川原佐公 2015年11月発行 発達が分かれば保育ができる! ひかりのくに
※2 監修:西坂 小百合  2016年10月17日発刊 0~6歳 わかりやすい 子どもの発達と保育のコツ ナツメ社
※3 板倉弘幸 編著 2009年3月発行 ベテラン教師のアドバイス:親がする小学校入学までの準備ポイント 明治図書出版
※4 佐藤眞子 著 2013年11月10日発行 新編 2才児イヤイヤ期の育て方 主婦の友社
※5 J-STAGE対人葛藤における多目標 :個人資源への関心、評価的観衆、及び丁寧さが解決方略の言語反応に及ぼす効果 
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssp/22/2/22_KJ00004412244/_article/-char/ja/

上手に喧嘩をするコツとは

やってはいけないことを分からせよう

「喧嘩」には、ちょっとしたコツのようなものがあります。
一言で言うなら「やってはいけないことを理解し、喧嘩の後には自分のしてしまったことを謝る」です。
しかし、これはそんなに簡単なことではありません。

単なる口喧嘩から始まったはずの喧嘩は、その後の意見が合わなければどんどんエスカレートしていきます。
こうなってくると、ダメだとわかっていてもどうしても手や足が出てきます。
もちろん手や足を出すのはいけない事ですが、その中でも絶対にダメな場所があります。
それは相手の首から上、ここは絶対に狙ってはいけない場所です。
首より上は目や鼻、口、頭といったデリケートな部分であり、子供の弱い力でも大怪我をする可能性があります。
万が一、子供が首から上に対して暴力をふるった時は、二度としてはいけないものであることをしっかりと分かるまで言い聞かせる必要があります。※1、※3

 

喧嘩をした後は仲直りが大事!

喧嘩は子供にとって、ごく自然なことです。
しかし、喧嘩はした後がとても大切です。
喧嘩の最中は気持ちも高ぶりなかなか冷静ではいられませんが、喧嘩が終わり、少し冷静になってからの行動で、今後のお友達との関係が大きく変わります。
子供同士の今後の付き合い方は、喧嘩の後に決まってくるのです。
大切なのは、喧嘩の後に自分の行動を振り返り、相手に自分の行動を謝ることです。
これは自分の行動に責任を持つことにつながります。
子供の頃からこの経験を積み重ねることで、自立した人間へと成長していきます。
「ごめんね」だけではなく「〇〇ちゃん、叩いてごめんね」と、喧嘩をした相手に、自分がした行動に対しての謝罪できるよう、導いていきましょう。※3

 

きちんとできた時は、いっぱい褒めてあげよう

謝るとは、自分の行動は間違っていたと認め、それを相手に伝えて許しを請うものです。
大人でも、謝るという行為は嫌なものです。
自分の間違いを認めて反省をするということは、そう簡単ではないでしょう。
もちろん、子供も同じように謝るのは嫌いです。
喧嘩をした子供に、自分がしたことを反省するように促しても、喧嘩相手のしたことを持ち出すでしょう。

 

しかし喧嘩の後は、相手の言動よりも、自分の言動に意識を持たせるようにしましょう。
この経験を繰り返すことで、子供は「喧嘩をした相手に謝って仲直り」という流れが自然に身に付き、次の喧嘩でも自分のしたことを素直に認め、謝って仲直りしようとするでしょう。

 

親は子供に、謝ることは恥ずかしいことではなく、むしろ胸を張って良いものであると伝え、子供が自分の行動を反省してきちんと相手に謝ることができた時には、しっかりと褒めてあげましょう。
喧嘩をした相手より先に子供が謝れたのなら尚更です。
きちんと反省し、謝ったタイミングを逃さず、いっぱい褒めてあげましょう。
この一連の行動に親が気付かなければ、子供は喧嘩の後に謝ることを「良いことだ」と理解できず、喧嘩をしても謝れない子供になってしまいます。
大事なタイミングを逃さないよう子供としっかり向き合い、「叱ること」と「褒めること」を、セットにしていきましょう。
せっかく子供が良い行動をしても、大人が気づかなければ、褒めることができません。
子供を叱ることよりも、褒めることに力を入れると、子供の良い行いは定着し、悪い行いは消えていきます
子供へのサポートが心に届けば、必然的に子供の行動は変わっていきます。※3

※1 川原佐公 2015年11月発行 発達が分かれば保育ができる! ひかりのくに
※3 板倉弘幸 編著 2009年3月発行 ベテラン教師のアドバイス:親がする小学校入学までの準備ポイント 明治図書出版

ママは上手な喧嘩のために何ができる?

子供の喧嘩に対する、ママの心得

まず、子供にとっての喧嘩は、成長のために必要なステップであると考えましょう。
例えば、いつも仲良く遊んでいるお友達と、ふとしたことで喧嘩になることがあります。もしもその場に自分がいたら、お互いにケガをしないよう、しばらくの間、注意深く見守ってみましょう。
手や足が出てきそうなところや、お互いが傷つくようなことを言ってしまいそうなところで止め、お互いの主張をじっくりと聞いてみましょう。

 

また、自分の子供だけではなく、お友達の性格や普段の言動をじっくり観察していると、喧嘩に発展しやすい関係性なども見えてくることがあります。
特定のお友達と喧嘩になりやすいということが分かるならば、子供にとってイヤなことを言われたり、イヤなことをされた時にどう行動すべきなのか、普段から子供と話し合っておくと良いでしょう。
子供はいざという時に上手く対処し、無用な喧嘩にならずに済むこともあります。

 

さらに、子供のお友達関係を把握し、そのママと知り合いになっておくことも大切です。
子供がお友達とぶつかり合った時も、相手のママとの関係ができていれば、喧嘩の原因は何か、どう解決したのかを知ることができます。※4

 

ほったらかしと見守りは別のもの

ほったらかしと見守りの境界線、きちんと見えていますか?


例えば、お店に行って売り物のお肉をラップの上から押したり、パン屋さんのパンを触ったりするのは、元気な子ではなく、迷惑な子です。
このような行動を見ているだけなのは「ほったらかし」であり、親の責任を放棄したことになります。

一方の見守りは、なかなか高度な技です。
子供の状況をしっかりと見極め、その上でサポートは必要か、どうサポートすれば良いか、瞬時に判断していくことが必要とされます。

 

中でも「いじめ」は絶対にほったらかしにしてはいけないものです。
最初は小さな仲間外れから始まったいじめも、徐々に卑怯で陰湿なものに変わっていきます。
「いじめはしてはいけないもの」と、人としてのルールだと小さい頃から教えていく必要があるのです。
どのような行動がいじめになるか、子供の年齢や発達段階によって、わかりやすいレベルで繰り返し教えていくことが、親の責任でもあります。

喧嘩についても、「ふーん、喧嘩したんだ」で終わらせるのは、ほったらかしです。
そこからさらに「喧嘩した後でどうすれば良いか」や、「次に喧嘩しそうになったらどうすれば良いか」など、お友達との付き合い方を教え、子供の成長を見守っていきましょう。※3、※7

 

幼児期の多少のトラブルは学びの種

子供が楽しく砂場で遊んでいても、すぐにお友達とおもちゃの取り合いが始まります。
大人がいくら「順番に使おうね」と言ったところで、子供たちは抱えこんで「イヤ」の一点張り……。
やっと手放すのかと思ったら、渡した途端に泣きながら走ってどこかへ逃げる、おもちゃを相手に投げつける、ということもあります。
特に後者は、喧嘩の始まりを意味します。

子供が自分の欲求を大勢の中でコントロールできるようになるには、時間と経験が必要です。
子供は知らぬ間に、親や友達と多くの対立を繰り返しています。
対立には建設的な対立と、破壊的な対立があります。
建設的な対立とは、物事をより良くしていこうという思いからの対立で、破壊的な対立はまさに壊してしまえという対立です。
同じ対立でも、この2つでは大きな差があります。

親は、子供がお友達との関わりをもつ上で対立や衝突が起こることを当然のこととして受け止め、「破壊的な対立」ではなく「建設的な対立」となるよう、導いていきましょう。
そして、対立を解決する方法について「正解は自分たちで創る」と教えましょう。
あえて対立することで、考える力や話し合う力が身に付けば、子供は大きく成長し、お友達との関係性もより深まっていきます。


大人が喧嘩の内容から解決への近道を示すのではなく、子供たちが考え、話し合い、解決していけるよう、時には見守り、時に手助けをしていくようにしましょう。※3、※8

※3 板倉弘幸 編著 2009年3月発行 ベテラン教師のアドバイス:親がする小学校入学までの準備ポイント 明治図書出版
※4 佐藤眞子 著 2013年11月10日発行 新編 2才児イヤイヤ期の育て方 主婦の友社
※7 無藤隆ら 著 2018年4月6日発刊 心理学 新版 (New Liberal Arts Selection)
※8 小樽商科大学 紀要論文 コンクリフト・マネジメント ―トマス・モデルの研究―
https://ci.nii.ac.jp/els/contents110006556101.pdf?id=ART0008537464

まとめ

子供の喧嘩って、大人が見ると「なぜそんなことで?」と思うことも、たくさんあります。

ほんの少し相手を思いやる気持ちがあれば避けられた喧嘩かもしれませんし、場合によっては子供たちの友情に大きなヒビが入ることもあります。

しかし子供の成長にとって、少しの喧嘩は、むしろ必要なこと。

大切なのは、意見を対立させないことではなく、意見が対立した時にどうするかを学ぶことなのです。

 

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