子育ては確かに大変!でも本当は、一体何が大変なんだろう?
世間では一般的に「子育ては大変だ!」といわれています。
でも実際のところ、何がどのくらい大変なのか、具体的なものが浮かばないかもしれません。
子供との関わりは人によってさまざまですので、自分にとって何が「大変!」なのか、はっきりとは分かりにくいのです。
まずは子育ての実態を把握し、母親・父親の心理も受け止めながら、さまざまな視点から子育ての大変さについて考えてみましょう。
目次
- 子育ての現状を知っておこう
- 子育て環境はどうか
- 子育ては予期せぬことがいっぱい
- 大変さをわかってもらえない
- 子育てのどんなところに、みんなは困っているの?
- 子育て中の困ったあるあるを共有しよう
- 母・父の悩みあるある
- 日本と諸外国の子育て事情とは?
- 諸外国との意識の比較
- 諸外国との行動の比較
- 子育てが大変だと思うかは、自分次第
- 子育てに正解はない
- 子育てを楽しもう
- まとめ
子育ての現状を知っておこう
子育て環境はどうか
日本の少子化は深刻です。
政府は現在、子育てを取り巻く環境、支援制度の整備に、さまざまな方面から力を入れています。
しかし、実際のところ、子育ての実態はどうなのでしょうか。
そもそも子育ては、無給かつ無休といえます。
共働きであれば日中は子供と離れる時間もありますが、専業主婦は24時間365日、子供と接しているかもしれません。
特に子供が小さい頃は、夜泣きや授乳などで夜中でも起きますし、ぐっすり眠れない状況がしばらく続きます。
自分の体調が悪い時でも、子供を放っておくことはできません。
ご飯の用意、身支度やその準備など、休みたいけど休めない現状があります。
また昔は、子育てのやり方、アドバイス、しつけなどを、自分の母親や近所の人との関わりの中で教わってきましたし、サポートもありました。
二世代、三世代家族で過ごしてきた昔と違って、核家族であることが当たり前の現代。
近くに頼れる人も少なく、母親中心の子育てとなっています。※1、2
子育ては予期せぬことがいっぱい
子育てには、誰にでも当てはまる明確な方法はありません。
子供それぞれ性格も違いますし、捉え方、感じ方も違います。
その子に合った子育て法を、日々の子育ての中から学んで積み重ねていくものです。
兄弟であっても、同じ対応の仕方ではうまくいかないことも多々あります。
また、その子供の機嫌や調子によって、昨日はうまくいったことも今日はうまくいかないこともあります。
子育てをしているとイレギュラーなことばかりで、それに対応していくのはとても大変で、疲れます。
さらに、子育ての大変さは、ミルクをあげたり、オムツを替えたり、寝かしつけたりと、子育ての作業の量だけではありません。
ほとんどの親は、子育てへの不安や悩みを何かしら抱えているのではないでしょうか。※3、4
大変さをわかってもらえない
子育ての大変さをなかなかわかってもらえない、これは、子育てをする上でとても悲しいことです。
子育ては誰でもやっていること、母親なら当然、という言葉を発せられたものなら、とてもつらい気持ちになります。
一方、子育ての大変さを共感し、「子育てって大変だよね」と周りから声をかけられたら、どうでしょう。
日々、仕事に家事、育児と休まる時間がないとしても、前向きに進んでいけるかもしれません。
子育ての大変さをわかってもらえているかどうかで、子育てへの姿勢も違ってきます。
一緒に分かち合える人がいることは、大きな支えとなります。一人で抱え込むこともなくなり、周りに相談できるようになります。
「専業主婦だからゆっくりできるでしょう」などという言葉に負けないために、何ができるのかを考えてみましょう。※3、4
※1 藤田結子(著) ワンオペ育児 わかってほしい休めない日常 2017年6月発行 毎日新聞出版
※2 大豆生田啓友(著) 支え合い、育ち合いの子育て支援 保育所・幼稚園・ひろば型支援施設における子育て支援実践論 2006年4月発行 関東学院大学出版会
※3 田熊喜代巳(著) もうだめ・・・私、子育てでつぶれそう! 2007年10月発行 ルネッサンス・アイ
※4 NHK「すくすく子育て」制作斑(編) 親って大変!私たちの子育て手帖 NHK Eテレ番組「すくすく子育て」公式 2019年8月発行 株式会社マイナビ出版
子育てのどんなところに、みんなは困っているの?
子育て中の困ったあるあるを共有しよう
子育て中の母親は、どんなところに困っているのでしょう。
まずは、日常的な「子育てあるある」をいくつか挙げてみます。
ミルクもあげたし、オムツも替えたのに、なぜ泣いているの?
お腹空いたのかな?ウンチが出たのかな?など、推測できることを一通りやってみても赤ちゃんが泣き止まないことはよくあります。
外出先で子供が泣き止まなかったら、周りの視線が気になります。
「お願い、泣き止んで!」と心の中で叫ぶかもしれません。
抱っこだと寝てくれるのに、なぜ布団に寝かせると泣くの?
子育て中のママが一番休める時間は、子供が寝ている時間です。
しかし、親の思うように寝てくれないのが子供です。
多くの場合、比較的スムーズに寝てくれる抱っこやおんぶで寝かしつけ、寝たのを見てベッドや布団に寝かせようと試みます。
しかし、置いたとたんに泣き出すのはよくあります。結果的に、ずっと子供に付きっ切りになります。
仕事が忙しくて休めない日に限って、子供が発熱!子供を預けることができなくなる
子供の体調は当日になってみないと分からないことも、よくあります。
昨日は元気だったのに、朝起きたら機嫌が悪く、変だなと思って体温を測ると熱があった、ということもしばしば。
子供は体調の見通しが立ちにくく、子供の心配だけではなく、職場への申し訳なさで悩んでしまいます。
パパが休日でも平日となんら変わらない
パパはお休みなのに、意外にも平日と変わらない日々。なぜでしょう?
それは、子供の世話に夫の世話がプラスされるからです。
パパが自分のことは自分でやってくれるなら良いのですが、子育て中の休日は、夫の生活力が問われる日でもあります。
「自分のことぐらい、自分でやってほしい」と思う妻は多いことでしょう。
上記の例に共通しているのは、子育て中は自分の思い通りにはできないことばかり、だということです。※3
母・父の悩みあるある
今度は、母・父の悩みあるあるを見てみましょう。
専業主婦は暇だと思われている
仕事をしていないというだけで、時間が自由に使えると思われていることがあります。
子供が小さいうちは、なおさら目が離せませんし、子供も親の思い通りに動いてはくれません。
やりたかったこともなかなかスムーズに進められません。
このような状況にもかかわらず、家にいるのだからきちんと家事ができて当たり前、という意見はつらいですよね。
家事が思うように進まずイライラする
子供といると、予期せぬことがいっぱいあります。
家事も毎日同じ時間帯にできるとは限りません。
思い通りに進まない時って、イライラしますよね。
完璧にやらなければいけないと思う人ほど、イライラする傾向にあります。
子育と家事を精一杯やっているのに、その頑張りをわかってくれない
子育てや家事を頑張っても、みんなやっていること、母親だったら当たり前と言われたら、悲しいですよね。
子育ては夫婦で行うものですし、子育てや家事にかける労力も、各家庭で違って当たり前です。
それなのに、他の家庭や自分の母親よりも頑張りが足りない、もっと頑張れなどと言われてしまうのは、本当に辛いです。
パパも育児に関わりたいけど、何したらよいかわからない
意外と、子供は遊んだ内容よりも、パパと遊んだということの方が記憶に残っています。
しかし、普段から子供と過ごす時間が少なければ、子供の相手をしてよ!と急に言われても、何をしてあげたらよいのかわからない父親もいます。
子供のパパ嫌い
子供のパパ嫌いは、父親だったら誰もが通る道かもしれません。
生まれて間もない時は、ママといる時間が圧倒的に長いので、それ以外の人を受け入れるのは子供だって難しいのです。
小さいころからオムツを替えたり、お風呂に入れたりしていると、パパをママ以外の人で安心できる人と認識すると考えられます。
ただし、こうした関わりが少ない人ほど、パパ嫌いと言われてしまうのかもしれません。※3、4
※3 田熊喜代巳(著) もうだめ・・・私、子育てでつぶれそう! 2007年10月発行 ルネッサンス・アイ
※4 NHK「すくすく子育て」制作斑(編) 親って大変!私たちの子育て手帖 NHK Eテレ番組「すくすく子育て」公式 2019年8月発行 株式会社マイナビ出版
日本と諸外国の子育て事情とは?
諸外国との意識の比較
前述の通り、日本の子育てでは「基本的に、子育ては母親の役目」という考えが根強く残っています。
ではこうした考えは日本だけなのでしょうか。
諸外国の子育てに関する意識についてみていきましょう。
2006年3月に公表された、内閣府の「少子化社会に関する国際意識調査報告書」によると、国によって子育てにおける夫婦の意識に違いがみられることがわかります。
この報告書では、日本を含めた5ヶ国(日本・韓国・アメリカ・フランス・スウェーデン)間で比較しています。
前提として、5ヶ国の合計特殊出生率を比較してみると、スウェーデンやアメリカ、フランスは、日本や韓国よりも合計特殊出生率が高い国です。
就学時前の子供の育児における夫婦の役割の調査では、日本と韓国は、「育児は主に妻が行う」という意見が多い一方で、「妻も夫と同じように育児を行う」という意見が多かったのは、スウェーデンが92.4%と非常に高く、アメリカ60.4%、フランス53.3%と続きます。
また、3歳までは家庭で育てることについては、韓国、日本、アメリカは、「3歳ぐらいまでは保育所を利用せずに家庭で育てるべき」という肯定的な意見が多いのに対し、スウェーデン、フランスは否定的な意見が多い傾向にあります。※5
諸外国との行動の比較
では、夫がどのような育児参加をしているのかを見ていきましょう。
前出の報告書では、夫が育児に参加する項目についてのデータがあります。
これによると、日本では「子供を入浴させる」がもっとも多い(62.8%、複数回答あり)のですが、韓国、アメリカ、フランス、スウェーデンでは「家の中で話や遊び相手をする」が最も多くなっています。
日本以外の国では、子供とのふれあいや、コミュニケーションを取ろうとする夫が多いのですが、日本ではまだまだ少ないようです。
意識の上でも「育児は妻」という傾向が高い日本では、実際の行動でも妻より夫が行うことが少ない、という傾向があるといえます。※5
※5 内閣府 わが国における子育て意識の特徴 / 2019年11月29日閲覧
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2006/18webhonpen/html/i1512000.html
子育てが大変だと思うかは、自分次第
子育てに正解はない
子育て法は、どの家庭も同じということはあり得ません。
それぞれの家庭のルールや子育て法は当然違います。
子育てに正解はなく、その家庭の子供にあわせて子育てをしていくことが必要なのです。
ママ友の情報は、参考にするけど真似はしない
ママ友とのおしゃべりの中で、各家庭の様子を窺い知ることができます。
そこで知り得た子育て法に共感し、自分の家庭に取り込んでみようと思うこともあるでしょう。
しかし単に真似しただけでは、上手く行かないことだってあります。
だからといって、自分はダメな母親だと悲観することはありません。
自分の家庭とママ友の家庭は、家族構成、生活スタイル、子供のタイプも当然違うので、上手くできなくて当たり前です。
周りの意見に左右されず、我が家で決めたルールや子育て法で子育てをしていけば良いのです。
- 完璧さを求めない
家事も育児も適度に力を抜いて、頑張り過ぎないことです。
いっぱいいっぱいの時は、家事をサボってもいいのです。
いい子に育てなくてはならない、完璧な子育てを追い求めると、母親も子供も苦しくなります。
肩の力を抜いて子供と向き合っていきましょう。
時には自分の時間を持つ
体がしんどい時は、無理をせず、子供にも「今日はママ疲れているから、少し休ませてね」と伝え、体を休めましょう。
母親だって人間です。
やりたいことはあります。
たまには、子供を実家に預けて、自分の時間を持つのも良いでしょう。
きっと、家族にも優しくできるはずです。
夫婦で悩みを共有する
悩みは自分だけで抱え込まず、一人で解決しようとするのではなく、夫婦で共有しましょう。
話をすれば、気持ちも楽になります。※4、6、7
子育てを楽しもう
子供が生まれてからは、心配事、悩み事も尽きません。
親がいくら頑張ってもどうしようもできないことも多く、できない自分を責める必要はありません。
大事なのは、子供と一緒に子育てを楽しもうという気持ちを持つことです。
楽しいことを共有しよう
子育てを楽しもうと思ったら、自分の気持ちにも余裕が必要です。
子供が生まれた時は、子供との生活を楽しむという気持ちがあったとしても、子育てしていくうちに、大変だなと思うことが増えてきて、子育てを楽しもうという気持ちがだんだん薄れてくることもあります。
そんな時こそ、子供が楽しいと思えることを、親と共有してみてはいかがでしょうか。
公園で思いっきり遊ぶ、子供の好きな絵本を読む、子供と一緒におやつを作るなど、何でも良いのです。
子供が笑顔になれることを、親も楽しむという気持ちを持つことです。
ママのイライラを子供に感じさせない
母親だって心に余裕がない状態は当然疲れますし、イライラなどのマイナスの感情が行動や表情に現れることも多くなるでしょう。
しかし、子供はイライラしている母親を見ると、「今はやめておこう」とか「話は後にしよう」とか、子供なりに気を遣っています。
子供は、母親が機嫌よく過ごしていることが嬉しいのです。
親の表情は子供の表情にも影響します。
子供と一緒に楽しもうという気持ちがあれば、心に余裕を持って子育てができるでしょう。
また、親は子供を育て、子供と関わることで親も子供に育てられていると感じることがあります。
確かに、子育ては大変かもしれません。
でも子育てを大変と捉えるかどうかは、自分がどう考えるかによって変わってくるということです。
自分を追い込まず、時には力を抜いて、子育てを楽しむという気持ちが大切なのです。
ぜひ子供との時間を大切に、一緒に成長していきましょう。※4、6
※4 NHK「すくすく子育て」制作斑(編) 親って大変!私たちの子育て手帖 NHK Eテレ番組「すくすく子育て」公式 2019年8月発行 株式会社マイナビ出版
※6 立石美津子(著) 1人でできる子になる「テキトー母さん」流子育てのコツ 2016年6月発行 株式会社日本実業出版社
※7 山本ユキコ(著) 出産・育児ママのトリセツ 2016年3月発行 忘羊社
まとめ
子育ての大変さは、やってみないと分かりませんし、大変だと思うポイントも人それぞれです。
時間に追われて、いっぱいいっぱいだから大変!というだけではなく、予期せぬことが起こり自分の思うように子育てが進まないことは、多々あります。
ご家庭によって子育て方法は違って当たり前であり、子育てに正解はありません。
他人と比べることなく、我が家で決めたやり方で、子育てを楽しみましょう。