子供の箸はいつからが正解?箸の選び方やおもちゃや遊びで練習する方法とは
子供が箸に興味を持つと、練習用の箸を買ってあげる時期なのかと悩むものです。
最近では2歳前から使える補助箸も販売されているので気になる方も多いでしょう。
しかし、箸を使うには鉛筆が使える程度の力が必要です。
練習用の箸で正しく使えるようになるとは限りません。
まずは、おもちゃや遊びの中で手先の力をつけていくのがよいようです。
今回は、箸の選び方や練習方法について詳しく解説していきます。
目次
- 子供の箸はいつから練習する?早すぎると癖がつく?
- 箸はいつ頃からはじめる?
- 箸を始める目安
- 早くすぎるとデメリットも
- 子供の箸の練習は、トレーニング箸や矯正箸を使うべき?
- 子供の箸の長さと形、年齢別(3歳~5歳、6歳以上)の選び方
- 子供の箸の選び方
- 3歳・4歳・5歳の箸の選び方
- 6歳以上(小学生)の箸の選び方
- 子供の箸はおもちゃ遊びで練習を!おすすめのおもちゃと遊び
- 鉛筆を持ってお絵かき
- ハサミを使った切り紙などの工作
- 100均おもちゃや粘土でおままごと・お弁当ごっこ
- 箸の練習用おもちゃも
- 箸の持ち方を教えるには、親子で楽しんで練習を
子供の箸はいつから練習する?早すぎると癖がつく?
箸はいつ頃からはじめる?
大人と食事をし、兄弟が箸を使っている所を見ると、子供はまだ使えないうちから「自分も!」と箸を使いたがりますよね。
最近では、子供用の補助箸も様々な年齢向けに販売されており、いつから始めるべきか悩む方も多いのではないでしょうか。
2歳前から使える矯正箸で練習をはじめる子や、3歳前後から食事中に箸を使いたがる子、5歳になり箸を持ち始める子など様々です。※1※2
様々な調査から、5歳頃になると箸を使える子が増えはじめ、6歳頃になると9割以上の子が箸の開閉ができることが分かっています。※3※4※5
保育園や幼稚園でも、年長になってから箸の練習を始めるところもあります。
急がず、十分に手指の機能が発達してからの方が子供もストレスなく移行できると考えられています。※6
箸を始める目安
年齢も一つの目安ではありますが、箸を使うためには、手指が発達しているかどうかが大切なポイントです。
箸を持たせ始めるには、スプーンやフォークを下から持って使いこなし、食事ができていることが1つの目安です。
また、鉛筆を正しく持ち、線が書けるかどうかもポイントです。※3※6
子供が興味を示したから始めるのではなく、箸を使いこなせるまで手指が発達してから始める方が、箸の正しい持ち方が身につきやすく、食事を食べやすいと言われています。
早くすぎるとデメリットも
最近では、2歳前から使える矯正箸も販売されており、その頃から練習したほうがよいのでは?と思う方も多いかと思います。
しかし、手指の機能が発達する前から箸を使うと、子供も上手に使いこなせずイヤになってしまい、握り箸になりやすいと指摘されています。
子供が使いこなせずイライラしているようであれば、無理して箸の練習を進めるのではなく、一旦スプーンに戻してもよいでしょう。※6
食卓にスプーンと箸の両方を出し、いつでもスプーンが使えるようにしておくと、子供もストレスなく食事が出来るかもしれません。
※1 保育所保育指針解説書/平成20年4月/厚生労働省/2019年7月26日現在
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/hoiku04/pdf/hoiku04b.pdf
※2 エジソンのお箸 商品一覧/2019年7月26日現在
https://www.edisonmama.com/item/?category=1
※3 小学校前の3年間にできること、してあげたいこと/祖川泰治/すばる舎/2015年11月出版
※4 子どもの手指の発達が箸の使い方に及ぼす影響/中野ひとみ,鈴木啓子/平成29年度大会(一社)日本調理科学会/2019年7月26日現在
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajscs/29/0/29_188/_article/-char/ja/
※5 幼児期における箸の操作方法および捕捉機能の発達変化について/大岡貴史 黒石 純子 向井美惠/小児歯科学雑誌 44(5):713-719 2006/2019年7月26日現在
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspd1963/44/5/44_713/_pdf/-char/ja
※6 発達がわかれば子どもが見える/田中真介監修/ぎょうせい/2018年3月出版
子供の箸の練習は、トレーニング箸や矯正箸を使うべき?
最近は、子供の箸も種類が多く、練習用の箸でも形状の異なるものがいくつも販売されています。
箸を始めるにあたり、どの箸を買うべきなのか悩む方も多いのではないでしょうか。
3歳から5歳を対象としたある調査では、指の位置を固定した練習用の矯正箸が使えるようになっても、通常の箸で正しい持ち方をマスターするには時間がかかることが報告されています。※12
つまり、トレーニング箸や矯正箸を使い箸の練習をしても、通常の箸を使えるようになるとは限らないと言えるでしょう。
トレーニング箸や矯正箸を使うことで、
- 通常箸とは異なる力のかけ具合の癖がついてしまう
- 指が固定され食べづらく嫌になってしまう
などのデメリットもあることが分かっています。※13
保育園では、これらの箸を使うことを推奨しないところもあり、トレーニング箸・矯正箸は控えるように保護者に申し送りがある園もあります。
箸の練習は、トレーニング箸や矯正箸を使い練習せずとも、遊びの中で手指や手首の発達を促すことができます。※14
さらに、鉛筆が上達すると箸の正しい持ち方もできるようになる可能性も示唆されています。※15
トレーニング箸や矯正箸を使う前に、まずは鉛筆やハサミなど、手先を使う遊びの時間を作りましょう。
おすすめの遊びは、後ほどご紹介します。
※12 幼児期の箸の操作方法に関する臨床的検討一第二報 支援方法の効果について一/大岡貴史 板子絵美 飯田光雄 山下泰子 石丸あき 向井美恵/小児保健研究28(28一34)/2019年7月26日現在
https://www.jschild.med-all.net/Contents/private/cx3child/2013/007201/005/0028-0034.pdf
※13 箸と手指の発達の関連性について~箸を使用し始める適切なタイミングを考える~| 埼玉福祉保育専門学校 - 大宮/2019年7月26日現在
https://www.scw.ac.jp/archives/sotuken/20723/
※14 年代別お箸事情 - お箸ライブラリー/2019年7月26日現在
http://www.nonoji.jp/library/age/
※15 幼児期における箸を用いた食べ方の発達過程/大岡貴史 井上純子 飯田光雄 石川 光 向井美恵/第65巻 第4号2006(569~576)/2019年7月26日現在
https://www.jschild.med-all.net/Contents/private/cx3child/2006/006504/008/0569-0576.pdf
子供の箸の長さと形、年齢別(3歳~5歳、6歳以上)の選び方
子供の箸の選び方
はじめての子供の箸を選ぶときには、いくつかのポイントがあります。
使いづらい箸では、子供は上手に食べられずに、食べることが嫌になってしまうこともあります。
箸を選ぶ際の注意点は5つです。
・箸の長さ
箸の長さはとても重要です。
箸の長さは、一般的に、手を広げ、親指と人差し指を90度にしたときの親指の先から人差し指の先までの長さの1.5倍が理想だと言われています。
親指の先から人差し指の先までの長さは身長の1/10が目安です。※16
この長さを目安に、子供の箸を選びます。
子供用の箸は、箸専門の販売店などでは1センチ刻みでサイズ展開しているところもありますので、目安の長さのものと少し長いもの2つ購入しておくとよいかもしれません。※17
・箸の素材
多くの矯正箸はプラスチック製ですが、通常の箸は木製のものが多いです。
木製の箸には、漆が塗られ表面がつるつるの塗り箸と、木の素材そのままの木箸があります。
素材を生かした木箸はすべりにくいのがメリットです。
しかし、汚れがしみ込んだり、使ううちに木が弱くなってしまうというデメリットがあります。※18
汚れがつきやすいデメリットを解消できるのが木製の塗り箸ですが、漆が剥がれるなどして消耗しやすい箸です。
衛生面を考えるとプラスチック製の箸の方が汚れは落ちやすく扱いやすいですが、子供が食事しやすい箸を選んであげましょう。
・箸の形
箸の持ち手も箸先も、いろいろな形のものがあります。
一般的な丸い箸は、滑りやすいので、箸を始める段階の子供には難しいかもしれません。
三角箸、五角箸、六角箸のような子供用に考えられた様々な多角の箸が販売されています。
箸先も、丸いものや四角いものがあります。
箸先が丸い箸は、すべりやすくつまみづらいでしょう。
個人差があるので、子供が持ちやすいものを用意してあげられるとよいですね。
・箸の太さと重さ
子供の箸は、太すぎてしまうと子供の手で2本の箸を持ちづらく使いづらいです。
また、箸のはじめのころは、重すぎる箸も上手に使えないかもしれません。※19
はじめての箸は、店頭で実際に持ってみて、お子様にピッタリの選べるとよいですね。
3歳・4歳・5歳の箸の選び方
3歳ではまだ食事では正しく使えない子も多いですが、興味があれば箸の準備を。
「子供の箸の選び方」でご紹介した長さの目安を参考に、手のサイズに合った箸の長さを選びましょう。
【箸の長さのおよその目安】
3歳~4歳:14.5cm
5歳~6歳:16 cm
※あくまで目安です。お子様の手のサイズにちょうどよい長さの箸を使いましょう。
この頃は、箸を使い始める時期ですので、子供が食べやすい箸を選んであげましょう。
箸や箸先の形、素材など、いくつか試してみるとよいかもしれません。
6歳以上(小学生)の箸の選び方
小学生になると、給食で箸を使います。
給食で困らないためにも、正しい箸の使い方を身につけてあげたいものです。
まずは適切な長さの箸を選びましょう。
親指と人差し指を90度にしたときの親指の先から人差し指の先までの長さの1.5倍が目安です。※16
箸を上手に使えない場合には、指の部分にくぼみのある箸や、三角箸を選んでもよいでしょう。
これらの箸は大人用のサイズまで販売されています。
成長してからでも、箸の持ち方が気になればこのような箸を使うと正しい持ち方を身につけやすいかもしれません。
※16 使い易い箸の選び方|古澤漆器店/2019年7月26日現在
http://www.f-shikki.com/hasinonagasa.htm
※17 【お子様発育支援企画】子供箸 天然木削り 13~16cm (一膳) | 箸専門店 箸久(はしきゅう) オンラインショップ/2019年7月26日現在
https://www.hashikyu.com/products/detail/203.html
※18 お箸の選び方 - お箸を知る|箸・こども和食器専門オンラインショップ「銀座夏野・小夏」/2019年7月27日現在
https://www.e-ohashi.com/natsuno/hashi/choice.php
※19 マツコの知らない世界で紹介!六角知能箸 商品詳細 |夫婦箸や名入れ箸・六角知能箸・若狭塗箸の通販 若狭塗箸専門店【箸匠せいわ】/2019年7月27日現在
https://www.e-hashiseiwa.com/item/001/
子供の箸はおもちゃ遊びで練習を!おすすめのおもちゃと遊び
いきなり食卓で箸の練習をするのではなく、おもちゃなどの遊びを通じて、箸を使うために必要な手指の能力を鍛えましょう。
手指の力を鍛える4種類のおもちゃや遊びをご紹介します。
鉛筆を持ってお絵かき
子供の箸はいつから練習する?早すぎると癖がつく?の章で、箸を始める目安の1つに鉛筆で線が書けるかどうかということをご紹介しました。
箸を持つ前に、まずは鉛筆を正しく持てるよう教えてあげましょう。
箸は2本ですが鉛筆は1本で使うので、鉛筆の方が難易度も低いです。
字や絵が描ける必要はないので、線や円で好きなものを書くだけでも練習になります。
小さい頃のお絵かきはクレヨンを使いますが、箸の練習は鉛筆やペンで進めます。
鉛筆は、鉛筆を初めて使う子向けの、濃くて太い三角鉛筆の方が持ちやすいでしょう。
それでもクレヨンよりは細いので、子供には初めは難しいかもしれません。※7※8
正しく下から持てるように、お絵かきの遊びの中で少しずつ教えていけるといいですね。
ハサミを使った切り紙などの工作
ハサミで紙を切るのも、箸の練習につながります。
利き手でハサミを、反対の手で紙を持ち、連続して切れるようになると、両手を使った作業ができるようになっているということです。※7
安全に気を付けて、ハサミにもチャレンジさせてあげましょう。
ハサミは、刃の部分がプラスチックでおおわれていて、刃先が丸く安全に作られている幼児用のものを選びます。※9
安全とは言え、目を離すのは危険ですので、ハサミを使う時は必ず親と使うことを伝えておきましょう。
親子で、切り紙や貼り絵などの工作をしてみてはいかがでしょうか。
100均おもちゃや粘土でおままごと・お弁当ごっこ
鉛筆が持てるようになったら、ごっこ遊びの中で箸の持ち方を教えてしまうのもよいでしょう。
おままごとに使う料理や食材を、あらかじめ箸で持てるような素材のもので準備します。
フエルトや紙を丸めた状態のものを作ることや、チェーンリングなどの100均で購入できるおもちゃを代用することもできます。
一番のおすすめは、子供と一緒に粘土で作ることです。
家にある粘土の余りでも作れますが、箸の練習用に、粘土と型と箸がセットになったおもちゃも販売されています。※10
粘土であれば、自分で好きなものを作れる上に、滑りにくく箸で持ち上げやすいので、子供も「できた!」と達成感を味わいやすいでしょう。
遊びですので、正しく持てていなくても口うるさく指摘せず、少しずつ教えていけばよいのではないでしょうか。
箸の練習用おもちゃも
粘土のおもちゃだけでなく、箸の練習用のおもちゃもあります。
キャラクターのついたおもちゃで、お椀とお箸、豆つぶ型のキャラクターがセットになっています。
豆つぶ型のキャラクターを箸でつまんでお椀に入れるのですが、くぼみのある豆つぶや、楕円の豆つぶ、三角型などがあり、難易度が工夫されています。※11
お箸の練習だけでなく、おままごとや数やかたちの遊びにも使えます。
子供が好きなキャラクターのものであれば、楽しく練習できるはずです。
このように、おもちゃや遊びでも子供の手先は鍛えられるものです。
無理強いせず、子供が興味を持った時に遊べるよう、準備をしてみてはいかがでしょうか。
※7 発達がわかれば子どもが見える/田中真介監修/ぎょうせい/2018年3月出版
※8 小学校前の3年間にできること、してあげたいこと/祖川泰治/すばる舎/2015年11月出版
※9 かみきりくん/銀鳥産業株式会社/2019年7月26日現在
http://www.gincho.co.jp/product/gallery.cgi?no=63
※10 お米のねんど おはしのおけいこ/銀鳥産業株式会社/2019年7月26日現在
http://www.gincho.co.jp/product/gallery.cgi?no=61
※11 はじめてのマナー豆おおつぶ ドラえもん | 株式会社アイアップ/2019年7月26日現在
https://www.eyeup.co.jp/product/rt008623.html
箸の持ち方を教えるには、親子で楽しんで練習を
今回は、子供の箸はいつから始めるか、トレーニング箸や矯正箸は使ったほうがよいのか、子供箸の選び方と練習の仕方についてご紹介いたしました。
子供に正しい箸の持ち方を教えるにためには、親が正しい箸の使い方をマスターするのが近道です。
母親が正しい箸の使い方をしている方が、子供も正しい持ち方ができると言われています。※20
子供の箸の練習を機に、親も箸の持ち方を意識してみるとよいかもしれません。
まだ上手に使えないうちから箸を持たせてしまうと、子供が箸を嫌いになってしまうだけでなく、変なクセがついてしまい直すのに苦労してしまうかもしれません。
食卓で箸を使う前に、お絵かきや工作などの遊びを通じて手指の力をつけてあげるとよいでしょう。
スプーンやフォークを下から持ち上手に使える、鉛筆を正しく持ち書ける、というように、箸を使う力がついてきたら、箸の始め時です。
子供の手に合った長さや形の箸を選ぶことで、子供も「できた」という気持ちにもつながります。
子供にとって大切なのは、楽しい食事の時間です。
子供が食事の時間を嫌いになってしまわないよう、親子で少しずつ箸の持ち方をマスターできるといいですね。
※20 幼児の箸の持ち方と母親の箸の持ち方・箸に対する意識との関連性/大瀬良知子・山本千尋・千家梨華・小林美佐子・土江節子・栗原伸公/2019年7月27日現在https://www.jstage.jst.go.jp/article/shokuiku/12/1/12_19/_pdf/-char/ja