ごっこ遊びはたくさんのメリットが!その効果と種類

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2歳頃からはじまるとされる、子どもたちの大好きな「ごっこ遊び」。
想像力を育むのに効果的だと言われたり、子どもの成長に欠かせない遊びだと言われますが、どのような影響があるのでしょうか?
その効果から、ごっこ遊びの種類などをご紹介します。

目次

  1. ごっこ遊びとは?いつから始まる?
    • ごっこ遊びは2歳頃から学童期まで
    • なぜよい?ごっこ遊び
  2. こんなに多くの効果が!ごっこ遊びで身につくもの
    • 記憶力
    • 観察力
    • 表現力
    • 想像力
    • 創造力
    • 言語力
    • コミュニケーション力
    • ルールを守る社会性
    • 心の発達
  3. ごっこ遊びの種類
    • おままごと
    • 先生ごっこ
    • お店ごっこ
    • 乗り物ごっこ
    • 劇遊び
  4. ごっこ遊びのために親ができる5つのこと
    • 親も一緒に楽しむ
    • コミュニケーションに答える
    • ごっこ遊びの世界を壊さない
    • ごっこ遊びに使えるものや環境を準備する
    • 社会で様々な体験をさせてあげる
  5. まとめ

ごっこ遊びとは?いつから始まる?

ごっこ遊びとは、子どもが空想の中で1つの活動をしたり、自分が空想の中の登場人物になりきったりして遊ぶことです。
お店屋さんごっこや、おままごと、鬼ごっこ、戦いごっこ、恐竜ごっこなどのように、様々なシチュエーションの空想の世界が登場します。
子どもの成長には、なくてはならない遊びとして注目され、様々な研究が進められています。

 

ごっこ遊びは2歳頃から学童期まで

ごっこ遊びは、2歳ごろからはじまり、4~5歳ごろにピークを迎え、学童期には急速に減少すると言われています。※1※2
この「ごっこ遊び」に至るまでにはいくつかの段階があります。
1歳頃から、ごっこ遊びの土台となる「再現遊び」や「世話遊び」をするようになり、2歳頃になると「みたて・つもり遊び」をはじめるようになります。
再現遊びは、「もしもしー」と電話のまねごとをしたりといったように、身近な大人の生活をよく観察して再現する段階です。
その後、ママやパパ、保育園の先生などに自分がしてもらっているようなことを人形を相手にするような世話遊びに発展し、さらに想像力が豊かになると、何かになったつもりで遊ぶ「みたて・つもり遊び」へとつながっていきます。
さらにそのイメージを友達など周りの人間と共有し一緒に遊べるようになると「ごっこ遊び」となるとされています。※3

 

なぜよい?ごっこ遊び

子どもが大好きなごっこ遊びですが、実は多くの能力が必要な遊びで、楽しみながら脳を鍛えられるとして保育の観点からも注目されています。
ある調査によると、「演劇」を取り入れた早期教育プログラムを受けた子どもは、目標を立て計画して継続して実行する「実行機能力」のテストで、プログラムを受けていない子どもよりも高得点だと報告されています。
創造的で言葉が上手、問題解決力が高く、社交的という特徴がみられたとされており、ごっこ遊びの延長にあたる「劇」が子どもの脳に効果的な役割を果たしていることが証明されています。※4

※1 ごっこ遊びの研究―1・2歳児のごっこ遊びと援助のあり方―/田口鉄久/家政学部家政学科家政学専攻
https://gijodai.jp/library/file/kiyo2004/P75-82.pdf
※2 保育用語辞典第4版/森上史朗・柏女霊峰編/ミネルヴァ書房/2008年
※3 みたて・つもり遊びからごっこ遊びへ/枚方市
https://www.city.hirakata.osaka.jp/cmsfiles/contents/0000015/15908/mitate.pdf
※4いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55/トレーシー・カチロー 著/鹿田 昌美 訳/ダイヤモンド社/2016年

こんなに多くの効果が!ごっこ遊びで身につくもの

ごっこ遊びを通じて子どもは多くの能力を身につけることができると言われています。
子どもの発達には欠かせない遊びなのです。
では、どのような能力が身につくのか、具体的にご紹介します。

 

記憶力

ごっこ遊びをするには、遊びの対象となるものや出来事を記憶しておき、再現できなければなりません。※5
おままごとであれば、家でのママの様子やものの状態をよく観察して記憶し、遊びの際に思い出しているということになります。
ごっこ遊びの前段階の「再現遊び」の段階から、記憶力は必要なのです。

 

観察力

記憶するためには、観察力も必要です。
小さいうちは、よくパパやママなど身の回りの大人のマネをしたりしますが、マネができるということは、よく観察をしているという証拠です。
ごっこ遊びの土台としてなくてはならない能力です。※5

 

表現力

ごっこ遊びは、自分で作り上げた世界の中で、自分の役を演じ表現しなければなりません。
言葉での表現はもちろんのこと、行動やしぐさなども含めて、ごっこ遊びの世界を表現します。※5
恐竜ごっこでは、実際には見たこともないはずの恐竜を想像し、全身で表現しなりきっていたりします。

 

想像力

自分の中で世界を作り上げていく想像力もなくてはなりません。※5
ごっこ遊びを続けるには、ストーリーを編み出していかなければなりませんし、その想像したイメージをお友達と共有するという力も必要になります。
目の前にある世界とは別の世界を作り出すほどの、想像力を働かせているのです。

 

創造力

ごっこ遊びでは、身近なものを何かに見立てて活用していきます。※5
おままごと中には、目の前のブロックが「人参」になったり、ティッシュの空き箱がお鍋になったりと、創造力を働かせて見立てていきます

 

言語力

成長してくると、ごっこ遊びもお友達や大人と一緒に楽しむようになります。
他の人を巻き込んでごっこ遊びをする場合には、言葉のやりとりが発生します。
お友達とごっこ遊びを楽しむためには、自分の世界ややりたいことを言葉にして伝えられる力が必要になり、言語力が発達します。※5

 

コミュニケーション力

言葉で伝えられるだけでなく、ごっこ遊びの役をを通じてお友達とのやりとりができるようになったり、相手の考えていることや気持ちを理解したりといった力も身につけることができます。※5
また、どんなごっこ遊びにするかや、やりたい役決めにあたり、相手と折り合いをつける力なども必要になります。※6

 

ルールを守る社会性

お友達とごっこ遊びをしていると、それぞれの役割にルールが発生します。
例えばおうちごっこのでは、これをするのはママ、これをするのは子どもというように共通のルールの上で成り立ちます。
ごっこ遊びを通じて、ルールに従い進めるという社会性を学んでいくと言われています。※7

 

心の発達

ごっこ遊びを通じて、他人と気持ちを共有することができるようになったり、自分と他人の心の動きに違いがあるということを理解することができているという調査報告があります。
これらは、人への思いやりという心の発達に繋がるとされています。

※8

※5 ママのためのぷち心理学38 | 阪大教育コミュニケーション学(三宮)研究室

http://edcom.hus.osaka-u.ac.jp/lj_everyday_petit_038.html
※6 人権学習シリーズ ありのままのわたし 大切なあなた ―子どもと保護者のエンパワメント―ごっこ遊び/大阪府
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/1418/00148376/26-29.pdf
※7いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55/トレーシー・カチロー 著/鹿田 昌美 訳/ダイヤモンド社/2016年
※8 お世話⼈形を使った「ごっこ遊び」は⼦どもの⼼の発達に貢献します/パイロットインキ株式会社/2018年6月
http://www.pilot-toy.com/topics/docs/20180605.pdf

ごっこ遊びの種類

このように、多くの能力を育てるごっこ遊びですが、実は様々な種類があります。
ここでは、子どもの成長段階に沿ってその種類をご紹介します。

 

おままごと

ごっこ遊びの初期におこなわれる代表的なものが、おままごとです。※9
ママになりきってお料理などをするだけでなく、パパ役の子も入り家族になりきるおうちごっこなどもあります。
昔は女の子の遊びというイメージがありましたが、男の子も楽しめます。
「料理は女の子がするもの」などの男女の固定概念を、おままごとを通じて崩していくのもよいでしょう。※10
男の子が料理をしたり、女の子がお仕事をするということが当たり前という、これからの時代に合った価値観を教えていけるとよいですね。

 

先生ごっこ

先生になりきって幼稚園や保育園ごっこをすることもあります。

先生役の子が生徒役の子に教えてあげたりお世話をしたり、生徒役の子は質問したり勉強したりする姿も見られるでしょう。

先生と生徒という組織化された関わりを遊びの題材にして成り立つ遊びです。※9

 

お店ごっこ

お店屋さんごっこやレストランごっこは、先生ごっこよりも人の関わりだけでなく物や場所も重要なテーマとなります。※9
遊びの中で気軽に物を使えるように、子どもが自分で取り出したり使いやすいようにしておくとよいです。
雑誌やチラシなどを切り抜いて取っておくのもおすすめです。※10

 

乗り物ごっこ

お店ごっこがさらに複雑化したものの一例が乗り物ごっこです。
電車ごっこでいろいろな駅に到着したり、登場人物も多くなります。
運転士さんとお客さんだけでなく、車掌さんや売店の人、ホームで待っている人、踏切で待っている人などたくさんの役が登場したり、駅ごとや走行中など場面も様々です。
お店ごっこよりも役割が複雑化し、イメージ力も必要とされます※9

 

劇遊び

乗り物ごっこがさらに発展すると劇遊びとなります。
劇遊びは、絵本の世界や日常生活を再現する段階です。
物語の中のお姫様になりきるお姫様ごっこや、ヒーローになりきるヒーローごっこ、物語の魔法の世界を再現する魔法ごっこなどがあります。
劇遊びでは、テーマはもちろん、イメージ力や社会性、役割分担など多くの項目を理解することができるようになります。※9

劇ごっこが、お遊戯会、演劇にもつながっていきます。

※9 ごっこ遊びの探究 生活保育の創造をめざして/八木紘一郎/新読書社/1992年
※10 人権学習シリーズ ありのままのわたし 大切なあなた ―子どもと保護者のエンパワメント―ごっこ遊び/大阪府
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/1418/00148376/26-29.pdf

ごっこ遊びのために親ができる5つのこと

子どものごっこ遊びをより豊かなものにするために、親はどのように関わりを持てばよいのでしょうか?
周りの大人がしてあげたいことを5つご紹介します。

 

親も一緒に楽しむ

子どものごっこ遊びに付き合うのは、正直「苦痛…」という方もいらっしゃるかもしれません。
ごっこ遊びは子どもの発育になくてはならない遊びです。
小さいうちは、子どもだけで遊ぶのは難しいところもあるので、上手に誘って一緒に遊んであげた方がよいとされています。※11
1~3歳では、一緒にごっこ遊びをしてやり方を教えてあげます。
3~5歳頃になっても、ごっこ遊びのお手伝いが必要だと言われています。
ごっこ遊びの世界に一緒に入り、子どもの役の相手をして、ストーリーを膨らませていく手伝いをしてあげます。
5歳以上になれば、子どもだけで遊べるようになると言われています。※12

 

コミュニケーションに答える

ごっこ遊びは、言葉の習得にもつながります。
遊びを通じて場面に応じた言葉を理解し、子どもも自分で使ってみるようになるとされています。

子どもからのコミュニケーションに答え、言葉のやりとりの楽しさも伝えていきます。

 

ごっこ遊びの世界を壊さない

ごっこ遊びは、みんなでイメージを共有して行われたり、一人でも子どもはイメージを膨らませて遊びます。
大人は、そのイメージを壊さないように参加することが大切だとされています。※14
子どもの気持ちに寄り添い、子どものイメージを、遊びはもちろん生活の中でも生かしていくようにすることで、想像力を育むとされています。※13

 

ごっこ遊びに使えるものや環境を準備する

子どもは、身近なものに触れ、自分なりに考えながらその仕組みを理解しようとしています。
その物への興味が遊びに繋がり、友達と一緒にいろいろなものに見立てごっこ遊びをしたりしながらコミュニケーションを深めたりしているのです。
親は、子どもが豊かに遊べるよう、その素材となる用具や環境などを揃えてあげましょう。※13
市販のおもちゃを購入しなくても、生活用品で十分です。
段ボールや空き箱、チラシなど、日常生活の中にあるものを上手に活用しましょう。
子どもが興味を示した物に気づき、親が使い方や遊びの工夫を教えてあげるのも大切です。
また、子どもが自分で遊べるように、おもちゃなどを自分でとりやすいよう配置したり、遊びに集中できるような環境づくりも配慮してあげるとよいようです。※15

 

社会で様々な体験をさせてあげる

子どものごっこ遊びを広げるために、社会の中でいろいろな体験をさせてあげることも有効です。
子どもは、大人の仕事や生活などの様子をよく見て真似をしたりして、お店屋さんごっこやおままごとなどのごっこ遊びに取り入れていくため、家庭や保育園・幼稚園以外の場所でいろいろな経験をさせてあげることも大切です。※13

※11 みたて・つもり遊びからごっこ遊びへ/枚方市
https://www.city.hirakata.osaka.jp/cmsfiles/contents/0000015/15908/mitate.pdf
※12 いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55/トレーシー・カチロー 著/鹿田 昌美 訳/ダイヤモンド社/2016年
※13 保育所保育指針解説書/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/hoiku04/pdf/hoiku04b_0002.pdf
※14 保育用語辞典/谷田貝公昭監修・林邦雄 編集/一藝社/2006年
※15 「ごっこ遊び」は子どもの世界を広げる | 子育てに役立つ情報満載【すくコム】 | NHKエデュケーショナル
https://www.sukusuku.com/contents/218344

まとめ

ごっこ遊びの効果や種類、親がしてあげられることまでをご紹介いたしました。
ここでは、ごっこ遊びの効果として代表的な9つの能力をあげましたが、子どもの成長にとって必要ないろいろなことを学べる遊びです。
大人は、ずっと付き合わされるとうんざりしてしまうかもしれませんが、子どもの成長のためと割り切り、子どもの世界を一緒に楽しんでみるのがよさそうです。
子どもが積極的にごっこ遊びができるように、環境を整えてあげることも親がしてあげられることの1つです。
ごっこ遊びには、特別なおもちゃは必要ありません。
身近なものを使って親子で作成してみたり、作成しなくても見立てて使ったりすることもできます。
ごっこ遊びに使えるような工作の本も販売されていますので、ご家庭でのごっこ遊びの参考にしてみてはいかがでしょうか?
ごっこ遊びは、発達段階に応じて遊び方が異なります。
子どもの発達にあった環境や物を用意し、必要とされる手助けをしてあげられるとよいですね。

 

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