子育て費用、実際にかかる費用は?無理のない貯め方は?

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子供が産まれてうれしい反面、気になることの一つが子育て費用ではないでしょうか。
一部では、1人あたり2000万円とも3000万円ともいわれており、その金額の大きさに不安になるのも無理はありません。

しかし、その内訳を知り、計画的に準備をすることで、現実的な金額だということがわかります。

今回は、毎月の子育て費用から、大学までの教育費についてご紹介します。

目次

  1. 増加傾向にある子育て費用、実際はどれくらい?
  2. 子育て費用は何にいくら?年齢別の特長
    • 乳児期
    • 保育園・幼稚園児期
    • 小学生
    • 中学生
    • 高校生
  3. 子育て費用の不安を解消!教育費を計画的に準備する3つの方法
    • 1日でも早く貯めはじめ、臨時収入も貯めておく
    • 教育費に「いくらかけるか」予算を決め見通しを立てておく
    • 最低限必要な教育費を把握する
  4. いつまでにいくら必要?貯金の目安と貯め方
    • 貯めどきを逃さず貯める
    • いくら貯めればよい?
  5. まとめ

増加傾向にある子育て費用、実際はどれくらい?

報道で、子供一人当たりの子育て費用が2000万円や3000万円が必要だと耳にした方も多いのではないでしょうか。
その額の大きさに、子育てができるのか不安になるほどです。

 

子育て費用の大規模な調査として、内閣府が平成22年に実施したものがあります。

全国の0歳~15歳の子供をもつ親を対象に、子育てに関する費用を費目ごとに回答をする形で実施されました。

この調査の費目は、「衣類・服飾雑貨費、食費、生活用品費、医療費、保育費、学校教育費、学校外教育費、学校外活動費、子供の携帯電話料金、おこづかい、お祝い行事関係費、子供のための預貯金・保険、レジャー・旅行費」の13項目となっています。

一般的には「子育て費用」というと保育費や教育費を指すイメージが強いのですが、調査では食費やおこづかい、子供のための保険や旅行費まで含まれたものになっています。
子育て費用として示される金額は、教育費だけではないのです。

 

この調査では、保育費や教育費の占める割合は、どの年代でもおよそ25%~30%となっています。
その他の項目で大きな支出としては、食費や子供のための預貯金・保険、レジャー旅行費です。
食費・生活用品費もおよそ25%~30%、子供のための預貯金や保険とレジャー旅行費の合計もおよそ25%~30%前後となっています。

食費や生活用品費は毎日の生活費なので、子育ての費用として個別の管理は難しいかもしれません。
しかし、子供のための預貯金や保険・レジャー旅行費は、前もって準備が可能ですし、収入に合わせて増減可能な選択できる項目です。
預貯金や保険、レジャー旅行費は、本当に必要な最低限の「子育て費用」には含まれないと考えると、総額の70~75%くらいが最低限の子育てに必要な費用だといえそうです。※1

 

※1 インターネットによる子育て費用に関する調査報告書 平成22年3月/内閣府政策統括官(共生社会政策担当)/内閣府
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_hiyo/pdf/gaiyou.pdf

子育て費用は何にいくら?年齢別の特長

教育費をはじめ、子供の年齢ごとに必要な費用は異なります。
また、教育費は、公立か私立か、また学習塾に通うのかどうかでその費用は大きな差がでています。
年齢ごとに子育て費用の平均をみてみましょう。

 

乳児期

0歳~3歳の乳児期、幼稚園の場合の入園前にあたるこの時期は、先述の内閣府の調査によると、平均843,225円/年の子育て費用が掛かっています。
そのうち約300,000円は、子供のための預貯金・保険と、レジャー旅行費となっています。※2
他の年代と比較して、この子供のための預貯金・保険の金額が高く、将来の支出に備えている家庭が多いようです。

 

保育園・幼稚園児期

3歳以降は、子育て費用は平均1,216,547円/年とあがります。
保育園や幼稚園に入園する子供が増えるため乳児期よりも保育費が増加、食費も増え、年間の子育て費用増につながっています。
この時期は、小学校の時期よりも子育て費用の年額は高くなっています。※2

 

小学生

小学生になると、子育て費用は平均1,153,541円/年となります、
この時期はそれまでの保育費や、その後の中学校の費用と比較しても教育費が抑えられるため、子育て費用は低くなっています。

教育費には、学校教育費と学校外教育費、学校外活動費が含まれます。
学校教育費は学校にかかる費用、学校外教育費は学習塾の費用、学校外活動費は習い事の月謝等になります。
小学生全学年の平均でいわゆる教育費は306,316円となっています。
そのうち、学校教育費は105,242円に対し、学校外教育費もほぼ同額の106,089円、学校外活動費は94,985円となっており、最低限の学校教育費以外の選択可能な費用の負担のほうが大きくなっているようです。※2

 

さらに、学校教育費も私立か公立かで大きく異なります
文部科学省による平成26年度の調査では、公立小学校の学習費の年間総額は321,708円、私立の学習費の年間総額は1,535,789円と約5倍になるとされています。※3
小学校は6年間と長いため、6年間を通しての子育て費用は学校の選択に大きく左右されるといえます。
また、中学受験を考える場合は塾代もかさみます。

 

中学生

中学生になると、子育て費用の平均は1,555,567円/年となっています。
学校教育費が274,109円、学校外教育費が248,556円と、併せて522,665円と教育費の負担が増えるほか、食費も小学生の278,294円から356,663円と増えています。※2

中学生での公立・私立の教育費の差は、公立の場合の年間総額が481,841円なのに対して、私立の場合の年間総額は1,338,623円となっています、※3

高校進学のために塾通いをする場合、ここでも塾代がかさみます
2年間通う場合の塾代は、100万円程になると言われています。※4

 

高校生

高校生では、公立の学習費の総額が409,979円に対して、私立では995,295円となっています。※3
さらに、大学受験を控え塾や予備校に通う場合は、高校2年生から通い始めた場合少なくとも総額60万円以上かかると言われています。
また、高校3年生時には受験費用も必要になります。※4

 

※2 インターネットによる子育て費用に関する調査報告書 平成22年3月/内閣府政策統括官(共生社会政策担当)/内閣府
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_hiyo/pdf/gaiyou.pdf
※3 平成26年度子供の学習費調査の公表について(報道発表資料)平成27年12月24日/文部科学省
https://goo.gl/2pLFvs
※4 年収300万円時代、子どもの教育費はこうしなさい!/大竹のり子/ダイヤモンド社2010年発行

子育て費用の不安を解消!教育費を計画的に準備する3つの方法

子育てに、2,000万円や3,000万円近くの費用がかかると言われると不安になるのも無理はありません。
しかし、ここまででご紹介した通り、これらの費用は必ずかかる最低限の費用を算出したものではなく、選択可能な費用を含めての子育て費用と改めて知っておきましょう。
さらに、子育て費用の中でも特に大きな割合を占める教育費は、事前準備の可能な支出です。
計画的に準備ができれば必要以上に不安になる必要もありません。
どのように計画的に準備をすればよいか、3つの方法をご紹介します。

 

1日でも早く貯めはじめ、臨時収入も貯めておく

教育費は、事前に準備ができる支出です。
1日でも早く積み立てを始めるとよいです。
早く始めれば、月額の積み立て額が低くなりますし、多くの費用を積み立てられます。
さらに、親に貯金があるならば、そこから子供の教育費を分けてあらかじめ教育費として貯金へまわすのもおすすめです。
可能な金額でよいので、教育費として準備しておけば、住宅ローンにあててしまったり、うっかり生活費に使ってしまうということは防げるでしょう。

 

また、お祝いやお年玉でいただいたお金や児童手当は、教育費として貯金にまわすようにしましょう。
児童手当は、中学3年生までためておくと200万円近くになり、お祝いやお年玉も生まれた時から貯めておけば大きな金額になります。
このように、子供が生まれたらなるべく早く教育費を意識し、計画的に準備をすれば、毎月の負担を軽くできるでしょう。※5

 

教育費に「いくらかけるか」予算を決め見通しを立てておく

教育費に関しては、学校の選択により大きく差があります。
「子育て費用は何にいくら?年齢別の特長」でもご紹介した通り、小学校以上の学校選びのときに、公立に進学するか私立に進学するかで教育費は大きく異なります。
小学校から高校まで、全て私立を選択する場合、公立の約3倍の教育費がかかるとされています。※6
しかし、家庭ごとの収入に合わせた選択をすると心づもりをしておけば、必要以上に不安になる必要はありません。

事前に家庭のお財布事情から教育費はここまでと暫定でもよいので決めてしまいましょう
「いくらかけるか」を具体的に考えることでその範囲内で計画するようになり、漠然と足らないかもという心配は減るはずです。
子供が塾に行きたいといったから、私立中学に行きたいといったから、とその時々でお金をかけてしまうと教育費は膨れ上がってしまいます。

しかし、事前に教育費にいくらかけるか決め、見通しを立てておけば、大学への進学さらに就職までを見据えて効率よく教育費を使うことができると言えます。※7

 

最低限必要な教育費を把握する

教育費に「いくらかけるか」を考えたら、次は最低限必要な費用を考えておきます。
最低限必要な費用は、「最低ライン」で考えましょう。

 

もしかしたら、塾や習い事の費用は「最低限必要な」教育費にはならないかもしれません。
「私立に行くかも?」や、「浪人するかも?」といった不確定要素を考慮してしまうと、「最低ライン」が明確でなくなってしまうので、まずは「最低限必要な費用」を考えたうえで、不確定要素をプラスして考えるほうがよいです。

最低限これだけはという教育費を見積ると、数千万円という金額にはならないとわかります。
最低ラインを把握しておけば、子育て費用に対する漠然とした不安も少なくなり、生活費など他へまわせる費用もおのずと見えてくるはずです。

また、子供も親も年齢が上がると、進路や就職への選択肢が次第に固まってきます。
その都度、最低限必要な教育費を見直していくとよいでしょう。※7

 

※5 やさしくわかる月齢別育児のきほん事典/鈴木洋・鈴木みゆき/2015年発行 西東社
※6 子どもの学習調査「学校種別の学習費総額」/平成28年文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/1399308.htm
※7 年収300万円時代、子どもの教育費はこうしなさい!/大竹のり子/ダイヤモンド社2010年発行

いつまでにいくら必要?貯金の目安と貯め方

具体的に、子育て費用としてどれくらいの貯金が必要なのでしょうか?

事前に準備がしやすい教育費を目的として貯金の仕方や目安をご紹介します。

 

貯めどきを逃さず貯める

一番の貯めどきは、小学生の時期だと言われています。

赤ちゃんが生まれてすぐ、共働きの場合は特に一時的に家計が悪化する場合が多いです。
おむつ代など生活費がかかる上に保育料が高額なためです。

 

さらに、多くの家庭ではママかパパどちらかは就業時間を制限するため家計収入が減ります。
幼児期になっても、保育園の場合は乳児期より保育料が安くはなりますが、まだまだお金がかかります。
幼稚園の場合は、新たに保育料がかかりますが、私立幼稚園に通う場合には保育料以外にも制服代や行事の費用などが掛かり出費がかさみがちです。
子育て費用は何にいくら?年齢別の特長の章でもご紹介しましたが、小学生の時期よりもこの時期のほうが子育て費用がかかっています。

 

小学生になると、保育料がなくなり親の収入が上がるパターンが多く、一番の貯め時だと言われています。
公立の小学校へ通えば、学校にかかる教育費は年間100,000円程度と、他の時期に比べて毎月の子育て費用がかかりません

その後、中学高校と進むにつれて、公立でも学校教育費は上がり、塾の費用も掛かります。
さらに、食費などの負担も増加します。

小学校低学年を中心とした貯め時に、少しでも多く貯金するのが理想です。※8

 

※8年収300万円時代、子どもの教育費はこうしなさい!/大竹のり子/ダイヤモンド社2010年発行

いくら貯めればよい?

一つの目安として、大学の進学費用として、18歳までに300万円~500万円といわれています。
中学・高校と私立か公立かどのルートを進んだとしても、最もお金がかかるのは大学です。大学の進学費用として300万円~500万円を目安にしましょう。

子育て費用の不安を解消!教育費を計画的に準備する3つの方法の章でご紹介した通り、児童手当を生まれた時から貯金に回せば、それだけで200万円近くになるので、残りは100万円~300万円ということになります。
例えば、貯め時とされる小学校6年間で200万円を貯める場合、月々28,000円となります。
小学校入学前の、保育園や幼稚園の保育料と同じくらいの金額ではないでしょうか?
小学校に入り、かからなくなった保育料をそのまま貯蓄へと回せば、大学の進学費用400万円の貯蓄が現実的で無理のない金額になります。※9

 

※9教育資金づくりのポイントは、早いスタート&長く貯め続けること | SODATTE-子育てとお金の情報サイト-
http://www.daiwa.jp/sodatte/article/s0006.html

まとめ

子育て費用が2000万円や3000万円と聞くと、本当に子供を育てていけるのか不安になるのも無理ありません。
しかし、この金額には選択可能な費用も含まれています。
絶対に必要となる子育て費用は、この7割程度とも考えられます。
さらに、教育費は事前に準備が可能な支出です。
夫婦間で計画的に準備を行えれば、無理なく大学進学への費用も貯められます。
家庭ごとのライフプランに沿った子育て費用を考え、最低限必要な費用を把握しておきましょう。
そして、1日でも早く、子供の将来のための積立を始めることがポイントです。

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