国立小学校のお受験とは?私立との違いは?メリットとデメリットを徹底解説
小学校受験というと名門私立小学校へ入学するためのお受験というイメージが強いでしょう。
しかし、公立でも私立でもない国立小学校のお受験も注目を集めており高い倍率です。
国立小学校の受験内容はどのようなものなのか、私立小学校のお受験との違いは何か、受験対策は何をしたらよいか、抽選はあるのかなど、主に都内の国立小学校のお受験を例に解説します。
目次
- 国立小学校、受験の条件とは?
- 国立小学校、試験日程は?抽選はいつ?
- 国立小学校の受験で行われている抽選とは?
- 国立小学校の試験は、どのような内容?
- ペーパーテスト
- 行動観察
- 製作
- 運動
- 個別面談・口頭試問
- お受験対策、国立だけでも塾には通ったほうがいい?
- 国立小学校の特徴とは?私立小学校、公立小学校との違い
- 私立小学校との違い
- 公立小学校との違い
- 国立小学校のデメリットは「内部進学」が確実ではないこと
- 国立小学校のメリット「費用」。受験費用や授業料について
- 受験料
- 入学後の費用
- まとめ
国立小学校、受験の条件とは?
国立小学校は、地域ごとに設置されており、東京都内には6校の国立小学校があります。※1※2※3※4※5※6
首都圏のその他の県では、神奈川県内は2校、埼玉・千葉は各1校です。※7※8※9
その他の県も、県内にある国立小学校は1校~2校です。
私立小学校と比べ国立小学校の数は少ないですが、通学範囲が決められています。
自宅から通える範囲の学校しか受験できません。
決められた通学範囲内に住んでいることが、国立小学校の受験の第一条件と言えます。
通学範囲は、学校ごとに規定が異なります。
東京都内の国立小学校では、居住区で指定している学校もあれば、「学校から40分以内に通える場所に居住している」というように指定している学校もあります。※1※3※4※5※6
「国立小学校をお受験しようかな?」と考えたら、まずは学校の通学範囲の規定内に自宅が入っているかどうかを確認しましょう。
私立小学校の場合も、通学範囲の規定はありますが、国立小学校の方が厳しい規定です。
募集要項などを確認して、出願する前によく確認が必要です。
※1 筑波大学附属小学校 |令和2年度 入学児童募集/2020年2月29日現在 http://www.elementary-s.tsukuba.ac.jp/files/pdf/r2exam.pdf
※2 お茶の水女子大学附属小学校/2020年2月29日現在 http://www.fz.ocha.ac.jp/fs/
※3 東京学芸大学附属世田谷小学校/2020年2月29日現在 http://www.setagaya-es.u-gakugei.ac.jp/04nyugaku/
※4 東京学芸大学付属竹早小学校/2020年2月29日現在 https://www.u-gakugei.ac.jp/~takesyo/tyousa2020.html
※5 東京学芸大学付属小金井小学校/2020年2月29日現在 http://www.u-gakugei.ac.jp/~kanesyo/05nyugaku/
※6 東京学芸大学付属大泉小学校/2020年2月29日現在 http://www.es.oizumi.u-gakugei.ac.jp/entry/#new_student
※7 横浜国立大学教育学部附属横浜小学校/2020年2月29日現在 http://yokosyo.sakura.ne.jp/
※8 埼玉大学教育学部附属小学校(埼玉県さいたま市)/2020年2月29日現在 http://www.fusho.saitama-u.ac.jp/
※9 千葉大学教育学部附属小学校/2020年2月29日現在 http://www.el.chiba-u.jp/
国立小学校、試験日程は?抽選はいつ?
一度の試験で合否が決まるものではありませんので、何度も学校に足を運ぶことになります。
お受験が終了するまでの具体的な流れは下記の通りです。
【小学校受験の流れ】
- 説明会(8月~9月)
- 願書配布(9月~10月)
- 一次願書受付(10月)
- 一次選考/結果発表(10月~11月)
- 二次願書受付(11月~12月)
- 二次選考(11月~12月)
- 二次結果発表/三次試験/結果発表(12月)
東京都内に国立小学校は6校ありますが、学校ごとに試験の時期も受付方法も異なります。
願書の配布や提出日も指定されており、1日しか受付ていない学校もありますので、注意が必要です。
詳しくは、9月初旬頃に、受験に関する募集要項がホームページ上に掲載されますので確認しておきましょう。※1※2※3※4※5※6
※1 筑波大学附属小学校 http://www.elementary-s.tsukuba.ac.jp/
※2 お茶の水女子大学附属小学校 http://www.fz.ocha.ac.jp/fs/
※3 東京学芸大学附属世田谷小学校 http://www.setagaya-es.u-gakugei.ac.jp/04nyugaku/
※4 東京学芸大学付属竹早小学校 https://www.u-gakugei.ac.jp/~takesyo/tyousa2020.html
※5 東京学芸大学付属小金井小学校 http://www.u-gakugei.ac.jp/~kanesyo/05nyugaku/
※6 東京学芸大学付属大泉小学校 http://www.es.oizumi.u-gakugei.ac.jp/entry/#new_student
国立小学校の受験で行われている抽選とは?
国立小学校のお受験では、考査だけでなく抽選が行われます。
考査に進む前の段階で1度目の抽選を行い、考査が可能な適正人数まで絞られる学校もあれば、考査後に抽選を行う学校もあります。
考査は、いわゆる「試験」です。
ペーパーテストや行動観察、運動、面接などを行いますが、内容は学校により異なります。
ペーパーテストがない学校、親子面接がない学校など様々です。
この考査を通過すると、さらに抽選が行われます。
つまり、学校によっては2度の抽選が行われているのです。
考査は、募集定員よりも多い人数が通過し、2度目の抽選で合格か補欠合格かが決まります。
1度目の抽選がなく2度目の抽選のみの学校、応募人数が少ない年度は一度目の抽選を実施しない学校、1度目の抽選で半数まで絞られる学校など様々です。
2度の抽選を実施している学校は、一次選考(抽選)→二次選考(考査)→三次選考(抽選)という順番です。
抽選が一度の学校は、一次選考(考査)→二次選考(抽選)の順番に行われます。
このように、考査の結果だけで合否が決まるわけではなく、抽選を通過する運も試されるのが、国立小学校のお受験の特徴です。
国立小学校の試験は、どのような内容?
実際にどのような試験が行われているか、気になるところではないでしょうか?
学校ごとに試験内容は異なりますが、決まった項目の組み合わせです。
学校ごとに例年決まった項目から出題されますので、お受験する小学校に合わせた対策が必要になります。
【国立小学校の試験内容】
- ペーパーテスト※12
- 行動観察※12
- 製作※12
- 運動※12
- 個別面談※12
ペーパーテスト
ペーパーテストは、学力を問うような内容というよりは常識や考える力が試される内容のところが多いです。
お話を聞いて当てはまるものに〇をつける問題や、図形問題、仲間探し、常識や季節に関する問題、鏡に映った状態を探す問題などが出題されます。※12
読み書きや足し算引き算のような問題ではありません。
ペーパーテストを実施しない学校もあります。
行動観察
行動観察は、受験者でグループになって1つの課題に取り組む、自由遊びなどの試験です。
知らない子とコミュニケーションをとり協力しながら課題に取り組む場合や、じゃんけんなどのゲームをする場合、先生の体操を見て真似をする場合などがあります。※12
自由遊びは、おもちゃなどが置かれた部屋の中で自由に遊ぶ試験です。
行動観察という項目がない学校もあります。
製作
製作は、工作や絵画といったテストです。
工作では、与えられたお題の工作を指示されたとおりに製作します。
紙を手で千切る・蝶々結び・糊付け・テープ貼り・ハサミで切る・紙を折るなどの過程が含まれる課題をこなします。※12
絵画は、与えられたテーマに沿って絵を描きます。
人物の絵や物の絵、運動会の絵など様々です。
運動
運動は、ケンケンパやフープ、ボール、平均台歩き、くま歩きなどの課題が出されます。※12
出題は、「靴を雑巾で拭いてから、平均台を歩く」のように細かい指示がある場合もあります。
一人ずつ順番に課題をこなします。
個別面談・口頭試問
何名かのグループで先生からの質問に数問答えます。※12
名前や誕生日のような基本的な質問や、状況判断を問われる質問などです。
また、面談の際に「みんなで歌を歌う」という課題が課せられる場合もあるようです。
個別の口頭試問は実施しない学校もありますし、親子で面談をする学校もあります。※12
親子活動のある学校をお受験する場合には、親への質問もあり、対策しておくと安心です。
これら全ての項目を試験内容に採用している学校はありません。
これらのうちのいくつかを組み合わせて試験が実施されます。
受験対策用の参考書籍を買ったり、小学校受験塾のホームページを参考にしたりして、志望する学校の試験内容を把握しておきましょう。
塾に通い、受験対策をする家庭もあります。
小学校受験の塾通いについては、次章でご紹介いたします。
※12 国立小学校合格バイブル/神山 眞 /WAVE出版/2018年7月発行
お受験対策、国立だけでも塾には通ったほうがいい?
国立小学校の試験では、ペーパー試験の難易度は私立ほど高くはなく、塾に通うべきか悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。
私立小学校もお受験する場合は、塾に通う方が多いでしょう。
しかし国立小学校のみであれば、家庭でも受験対策はできるかもしれません。
しかし、情報が豊富な塾に通うメリットはいくつか考えられます。
【小学校受験の塾に通うメリット】
- 学校ごとの試験内容や合格者の傾向を把握している
- 家庭では難しい集団行動や面接の練習ができる
- 当日の練習になる
- 不足している点を指摘してもらえる
小学校受験対策を実施している塾で、直前講座を受講するという方法もあります。
一次選考が抽選の小学校を志望する場合には、一次選考の結果が発表された後からスタートする直前講座もあります。
直前講座から受講する子供向けのクラスを設けている塾もありますので、気になる塾には問合せをしてみてはいかがでしょうか。
国立小学校の特徴とは?私立小学校、公立小学校との違い
国立小学校は、私立とも公立とも違う独自の校風があります。
私立小学校よりも学費がかからず、質の高い教育が受けられると人気です。
具体的に何が違うのでしょうか?
私立小学校との違い
私立小学校と国立小学校の違いは、費用と教育カリキュラムではないでしょうか。
まず大きいのは費用の違いです。
私立小学校は学費やその他の費用を負担しなければなりませんが、国立小学校の学費は無料です。
費用については、次章で詳しく解説します。
また、教育カリキュラムも異なります。
私立小学校は、学校ごとに独自のカリキュラムがあります。
つまり、文部科学省の教育カリキュラムとは異なる授業の進め方の場合もあります。
一方、国立小学校は、基本的には文部科学省の教育カリキュラムを元に授業が進められます。
その上で、学校ごとに独自の教育方針があり、学校生活や授業に取り入れられています。
文武両道を方針とする学校や、行事や体験を通じて学ぶという方針の学校もあります。
国立小学校は、小学校教育の実験・研究の場としての側面もあり、実験的な授業が行われることもあります。
公立小学校との違い
国立小学校でも公立小学校でも、文部科学省の教育カリキュラムに則った授業ですので、基本的には学習内容に違いはありません。
国立小学校では基本的な授業にプラスして独自性のあるカリキュラムが組まれていたり、授業内容が実験的なものであったりと、授業の進め方が公立小学校とは異なる場合もあります。
下校時間が遅めというのも、公立との違いの1つです。
下校時間は16時前後で、公立小学校より放課後の時間が少ないでしょう。
公立小学校よりも通学時間がかかる子も多いので、家に帰ると17時ごろという場合も多いのではないでしょうか。
また、国立小学校では、毎年多くの教育実習生を受け入れています。
実習生の受け入れ期間は子供たちも楽しんでにぎやかになるようですが、授業に集中できない時もあるかもしれません。
家庭学習でフォローが必要になることもあるようです。
学校生活の面でも、国立小学校の場合は、親の負担も公立よりも多いかもしれません。
入学からしばらくは送り迎えも必要ですし、親の行事への参加頻度が高いところもあります。
また、週に1回お弁当が必要な学校もあり、共働き家庭には負担が大きいかもしれません。
学校説明会で詳しく説明があるかと思いますので、説明会に参加をして確認をしておきましょう。
学校ごとの違いについては、中学・高校の公立と私立の違いについて解説している
【私立・公立】中学と高校の勉強!違いと塾選びに注目!
こちらの記事も参考になります。
国立小学校のデメリットは「内部進学」が確実ではないこと
私立小学校や公立小学校との違いを見ると、国立小学校では通学の負担などデメリットもあることがわかります。
国立小学校のデメリットとして、忘れてならないのが「内部進学」が保障されているわけではないという点です。
国立小学校は、大学付属ではありますが、エスカレーター式に内部進学できる制度ではありません。
小学校から同中学校へ内部進学できるのは半数という国立小学校もあります。
小学校受験をしたから中学受験はしなくて済むということではないのが現状です。
学校ごとに内部進学率も異なりますので、説明会の資料などでよく確認した上で、志望したほうがよさそうです。
国立小学校のメリット「費用」。受験費用や授業料について
最後に、受験費用や学費など国立小学校にかかる費用についてご紹介します。
国立小学校は、公立小学校と同じく学費はかかりません。
受験費用も、私立ほど高くはありません。
しかし学費以外の費用が必要で、公立小学校よりはお金がかかります。
受験料
国立小学校の受験費用は1,000~2,000円前後と高くはありません。
募集要項の受け取り時に必要な学校や、一次選考・二次選考それぞれの願書提出時に必要な学校など様々です。
入学後の費用
【国立小学校にかかる費用】
- 入学時の費用
- 後援会費やPTA会費など
- 制服やランドセルなど
国立小学校では、入学時に少しまとまったお金が必要になります。
入学金はかかりませんが、学校とは別団体の後援会の入会金や寄付金が必要になります。
また、制服や体操服など指定の物を一式購入することになり費用がかかります。
ランドセルが指定される学校もありますので注意しましょう。
入学後は、毎年後援会の年会費や寄付金の負担が数万円あります。
そのほかは、公立小学校と変わりありません。
給食費や文房具などの学用品費といった日常の費用、PTA会費や遠足などの積立金が必要になります。
また、子供の成長は早いので制服などの買い替えにはお金がかかります。
公立小学校と比べると入学時に多く費用がかかりますが、私立小学校の入学金ほどの費用ではありません。
学校ごとに異なりますので、説明会の資料などで確認をしてください。
教育費は、子供が成長するとともに必要となる費用です。
1人あたり2000万円とも3000万円とも言われていますが、国公立を選ぶか私立を選ぶかで教育費の差は大きなものになります。
具体的な教育費については、
子育て費用、実際にかかる費用は?無理のない貯め方は?こちらで詳しく解説しています。
まとめ
国立小学校のお受験についてご紹介いたしました。
国立小学校は学校数が少ないにも関わらず、学校ごとに受験の制度が異なり、分かりづらいと言えるかもしれません。
私立小学校のお受験とも、試験内容や抽選の有無、通学範囲の規定など異なる面も多いものです。
国立小学校の受験を考えたら、まずは自宅が通学範囲内に入る学校があるかどうかを確認し、説明会などを通じて学校の教育方針や雰囲気などを確認していきましょう。
お受験を決めたら、志望校の試験内容を把握して、対策を進めます。
学力よりも、常識や「しつけ」が重要だと言われています。
日ごろから、自宅でお受験を意識して遊びや生活に取り入れていくとよいでしょう。
ただ、「子供が全然言うことを聞かない」「やる気がない」ということもあるかと思います。
楽しんでお受験対策ができるよう家庭で工夫できるとよいですね。