育休復帰、仕事や育児に不安はない?育休後の働き方について
保育園が決まり育休から職場復帰をする時、ママは不安な気持ちで一杯ではないでしょうか。
育休明けの職場復帰にあたり、少しでも不安を解消するためには早めのアクションが大切です。
職場復帰への事前準備や職場での心がけ、さらに育休から復帰せずに退職・転職する場合についてご紹介します。
目次
- 育休復帰の不安を解消するには?事前準備は早めに始めて
- 仕事と家事・育児の両立の鍵はパパとの役割分担
- 復帰後の人間関係や業務は、事前面談でしっかりチェック
- 家事を効率化して子供との時間を確保する
- スキルの不安解消は情報収集から
- キャリアの不安、まずはできることから
- 育休復帰後、「迷惑…」「仕事できない」と思われないための基本姿勢
- 感謝を常に伝える
- 早めの共有で万が一に備える
- 短い時間でパフォーマンスを上げるには?
- 「育休復帰しない」は認められる?キャリアや収入面も考慮を
- 育休明けの退職、制度的にはNG
- 退職はよく考えて!再就職は難しく、生涯年収にも影響
- まとめ
育休復帰の不安を解消するには?事前準備は早めに始めて
保育園や幼稚園への入園が決まると、晴れて職場復帰することでしょう。
しかし仕事や職場のこと、子供のこと、育児と仕事の両立など、不安に思うことも多いものです。
ある調査でも、育休から復帰した女性の約8割は復帰後に不安を感じたと回答しています。※1
多くのママが感じる復帰後の不安ポイントとしては、
- 仕事と家事や育児の両立
- 職場の理解、人間関係や労働環境
- 子供と離れること
- 仕事のスキル・能力
- これからのキャリア
このようなものが挙げられます。
これらの不安を解消するために、事前に取り組みたい準備についてご紹介します。
仕事と家事・育児の両立の鍵はパパとの役割分担
復帰後に仕事と家事・育児を両立させるには、周り特にパパの協力が不可欠です。
パパとは育児と家事の役割分担を事前に決めておき、復帰前から分担しておくとスムーズです。
【役割分担、オススメの方法】
まず、復帰後に想定される育児と家事の作業をすべて洗い出します。
この際、家事も育児も思いつく限り細かく書き出しましょう。
例えば「洗濯」には、洗濯物をかごに入れる・分別する・洗濯機にかける・洗濯物を干す・畳む・収納する・洗剤の補充・洗濯機の掃除などのいろいろな作業があります。
これらをくまなく洗い出し可視化しておくことで、パパも作業量を理解できますし、何をすればよいのか分かりやすくなります。
分担はそれぞれ得意なことから振り分けていくのがオススメ。
早めに分担して、職場復帰前にパパも慣れておくと復帰後バタバタせずにすみます。
復帰後の人間関係や業務は、事前面談でしっかりチェック
職場復帰にあたり、仕事や職場の状況が分からず不安になるものです。
職場やメンバーが変わり、慣れない環境で働くことになるかもしれません。
復帰後にどの部署で何をするのか分からないという場合もあるかもしれません。
復帰する1~2ヶ月前には上司と面談し、復帰後の業務についてのヒアリングや働き方の相談をしましょう。
復帰の意向は早めに会社に伝えます。
復帰の意向や希望の働き方を早めに伝えておくと、会社側も働く環境を整備してくれる可能性もあります。
厚生労働省が発表している「育休復帰支援プラン」では、会社側の受け入れ準備などについて解説されています。
一度確認しておくと、会社との話し合いに役立つでしょう。※2
面談時に確認しておきたいことと伝えたいことをまとめました。
【面談時の確認ポイント】
- 配属される部署とメンバー
- 業務内容
- 就業条件(給与や労働時間など)
- 急な休みや早退などへのサポート体制(リモートOKかなど)
【面談時に伝えておきたいこと】
- 復帰の意欲と復帰希望時期
- 希望の勤務時間と働き方(ワークライフバランス)
- 希望するキャリア
- 家族のサポート体制
- 子供の状況(病気がち等があれば)
- 職場復帰に対しての不安
家事を効率化して子供との時間を確保する
生まれてからずっと一緒に過ごしていた赤ちゃんを、保育園に預けることに抵抗がある方もいるでしょう。
子育てのイライラをチェック!原因と今すぐできる解消法。一人で悩まないことが大切。
こちらの記事でも紹介している通り、日本では3歳児神話の考え方が根強く、3歳前の子供を預けて働くことに罪悪感を持つママもいるかもしれません。
しかし、厚生労働省による厚生白書(平成10年版)で3歳児神話に「合理的根拠はない」と明示されています。
加えて「子供への愛情は量より質が重要である」ことも記載されています。
また、ママからの愛情だけでなく、家族や保育園など多くの人から愛情を受けて育つことも子供にとっては望ましい環境です。※3
登園を嫌がり、泣いている顔を見ると子供に申し訳ない気持ちにもなるでしょう。
しかし子供は、自分以外の多くの人からも愛情を受けて育つものです。
一緒にいられる時にたっぷり愛情を伝えることに目を向ける方が建設的。
子供との時間を確保するためには、家事は手早く済ませられるよう工夫することをおすすめします。
家事の効率化の仕方については、
こちらの記事で詳しくご紹介しています。
スキルの不安解消は情報収集から
育休期間が長ければ長いほど「仕事についていけるのか」と自分の仕事のスキルに不安を感じるものです。
重要なのは「業務に関する知識」がアップデートできているかどうかです。
復帰が決まったら、業務に関する最新の情報を収集することを習慣づけ、少しずつ頭を仕事モードにしておくとスムーズです。
復帰明けに周りの話に取り残されることなく、仕事が進めやすくなるでしょう。
業務のスキルに不安を感じている場合には、会社の研修制度を利用して学習できないか、上司や人事に相談してみるのもオススメです。
研修制度が充実している企業では、育休中にスキルアップ支援が受けられるところもあるでしょう。
中小企業の場合でも厚生労働省が発表している「育休復帰支援プラン」が使える場合もあります。
オンライン講座を受講できる場合もありますので確認してみてください。※2
キャリアの不安、まずはできることから
仕事のキャリアへの不安は、育休を取得した方なら誰しも感じるものです。
育休明けは「キャリアダウンからの再出発」「別の部署へ異動」などを経験するママも多いものです。
- 復帰後は自分が思っているほど働けないこともある
ブランクがあり働く時間の制約もあるので、ある程度は仕方のないことです。
産休に入る前は責任ある立場で仕事をしていたのに、育休明けに誰にでも出来そうな作業しか担当させてもらえずに、落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
ただ、その作業でさえ、復帰後は産休に入る前と同じようにはこなせないことも多いものです。
ブランクのため、頭が思ったように働かなかったり、時間の制約のため仕事量が限られてしまったりすることもあります。
- 会社も復帰後の様子を見ている可能性も
会社としてもどれくらい任せられるか見守っているかもしれません。
育休からの復帰後、仕事が物足りなかったとしても、まずは与えられた仕事を限られた時間の中できちんとこなすのが得策です。
与えられた業務がこなせていれば、「任せても大丈夫」と職場の評価に繋がり、仕事の幅も広がる可能性もあります。
働く側としても任せられた仕事をやり切ることで、自分が出来ることと出来ないこと、やりたいことややりたくないこと、育児と仕事の優先順位が、よりはっきり認識できるはずです。
次章では、育休明けの職場復帰後に不要なトラブルを招かないために、気を付けたいポイントをご紹介します。
※1 【プレスリリース】首都圏・近畿圏で働く 30・40 代男女 1,037 名に聞いた『女性の継続就業に関するアンケート調査』/2014年10月2日/第一生命保険/2019年10月10日現在
https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2014_064.pdf
※2 ~円滑な育休取得から職場復帰に向けて~ 中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル(改定版)|厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 | 2015年11月/2019年10月10日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000344772.pdf
※3 厚生白書(平成10年版)| 厚生労働省 |/2019年10月10日現在
https://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/kousei/1998/dl/04.pdf
育休復帰後、「迷惑…」「仕事できない」と思われないための基本姿勢
職場復帰後は、どうしても時間的な制約があります。
同僚に全く迷惑をかけずに仕事をすることは難しいものです。
しかし、同僚や上司と日ごろからコミュニケーションがとれているのといないのでは、迷惑をかけてしまった時の評価が変わります。
復帰後に、「迷惑」「仕事ができない人」と思われないために、注意したい3つのコミュニケーションをご紹介します。
感謝を常に伝える
復帰後は少なからず同僚に迷惑をかけますし、助けてもらうことも多いものです。
職場復帰を受け入れてくれた同僚や上司には、日ごろから感謝の気持ちを伝えるよう心掛けましょう。
子供がいるから「時短は当たり前」、「急に休むのも仕方のないこと」、「受け入れられない職場に問題がある」という意識は禁物です。
職場のメンバーが不公平感を覚え、いざという時に助けてもらえないかもしれません。
時短勤務は制度として認められている権利ではありますが、職場の受け入れ態勢ができているからこそ可能になります。
仕事を円滑に進めるためにも、日ごろから感謝の気持ちを表すよう意識していきましょう。
早めの共有で万が一に備える
子供が小さいうちは、多かれ少なかれ同僚にはサポートをしてもらうことになります。
共働きのワーママは辛い!
子育てと家事の両立、その実態と対策
でも紹介されている通り、子供の体調が崩れそうな気配を感じたら、早めに共有しておきましょう。
周りも準備ができ自分自身のリスクヘッジにもなります。
急に休みを取らなくてはならない場合も、細かく子供の状況を共有しておいたほうが周りのためにも自分のためにもなります。
翌日以降の業務の調整などがしやすいでしょう。
行事ごとや健診での遅刻早退は、日程が決まったら早めに共有すれば、仕事の調整もスムーズです。
日ごろから自分のスケジュールや業務をまとめて共有しておくと、万が一のときに引き継ぎやすいのでオススメです。
短い時間でパフォーマンスを上げるには?
仕事で認められるためには、まずは与えられた仕事をしっかりとこなすことが重要です。
時間に制約があるなかでも仕事をしっかりとこなしていれば、自信にもつながります。
復帰直後は求められる水準の仕事ができなくても焦りは禁物。
コツコツと仕事に前向きに取り組むことが周りからの評価に繋がります。
作業を見直し効率化する、余裕があるときには率先して仕事を受ける、業務に関する知識を増やすというような行動は前向きに評価されます。
育児を優先したい気持ちがあったとしても、仕事の時間はこのような前向きな姿勢で仕事に臨みましょう。
子育てと仕事を両立するためのポイント
でも書かれている通り、育児をしながらパフォーマンスをあげるためには、スケジュール管理も重要なポイントです。
仕事と家族の両方のスケジュールを管理するツールを使うのもオススメです。
ここまでにご紹介したような育休明けの不安や職場復帰のポイントを確認すると、「そこまでできる自信がない」「復帰後の仕事のイメージが持てない」「モチベーションが保てない」と不安になることもありますよね。
「育休復帰しない」という選択肢を考えることもあるでしょう。
しかし、復帰せずに退職するのは、よく考えてからにしたほうがよさそうです。
次章で詳しくご紹介します。
「育休復帰しない」は認められる?キャリアや収入面も考慮を
通勤や子供の送り迎えを考えると復帰が難しい、子供と一緒にいたい、仕事へのモチベーションを高められないなど、育休明けに「職場復帰しない」方向に気持ちが向かうこともあるかもしれません。
しかし育休から復帰せず退職すると、周りからも厳しい評価を受けてしまい再就職も難しいかもしれません。
育休明けの退職、制度的にはNG
育児休業の制度は同じ職場へ復帰することを前提として給付金が支給される制度です。
基本的には、退職することを決めている場合、育休は取得できません。
とはいえ様々な事情で復帰できず退職するケースもあるでしょう。
その場合、退職後に育児休業期間が残っていても退職以降の給付金は支払われません。
しかし退職以前に受け取った給付金を、返金しなければならないものではありません。※4
育休明けに復帰の意志がない場合には、早めに職場に伝えましょう。
退職はよく考えて!再就職は難しく、生涯年収にも影響
育休明けに復帰するかしないかは、誰でも一度は悩みますよね。
そのまま退職してしまった方が、職場にも迷惑をかけずにすむと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし育休明けに一度退職してしまうと、キャリアと収入の両面のマイナスに繋がります。
キャリア面のマイナスは、再就職の壁を意味します。
一度退職をしてしまうと、正社員としての再就職はなかなか難しいのが現実です。
育休から復帰しないと決める前に、中長期的な視点で一度キャリアを考え直してみてはいかがでしょうか。
場合によっては、キャリアカウンセラーや先輩ママに相談してもよいでしょう。
子供が成長し、手が離れたときに何をしたいのか、どのような暮らしをしたいのかを考えてみるのもよいかもしれません。
収入面でのマイナスは、世帯年収・生涯年収がダウンすることです。
働けない期間は、その期間の世帯収入が減ります。
また、働き続けた場合と比較して生涯年収に大きな差が生まれます。
30歳で出産した場合、その後専業主婦を続ける場合と年収400万円で65歳まで働き続ける場合を比較すると、出産後の生涯年収は1億4,000万円もの差になります。
10年専業主婦を続け、その後再就職して年収300万円で25年間働くと7,500万円の収入になります。
仕事を続けていれば、厚生年金にも加入できます。
専業主婦よりも、老後の年金受取額も多くなり生涯年収では大きな差になるのです。
子育て費用、実際にかかる費用は?無理のない貯め方は?
の記事でも解説していますが、子供が成長するにつれて教育費などがかかります。
家族で収入面についても話し合い、退職するかどうか決めることをオススメします。
※4 Q&A~育児休業給付~ | 厚生労働省 /2019年10月10日現在
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158500.html
まとめ
育休明けの職場復帰は、誰でも不安なものです。
小さな子供を他人に預けて働くことへの不安、仕事のスキルへの不安、育児と仕事を両立できるかどうかの不安など、いくつもの不安が頭をよぎるでしょう。
一人で抱え込まず、パパや周りと協力し、家事や育児は分担してこなしましょう。
また、職場では多少なりとも迷惑をかけることになります。
感謝の気持ちはその都度伝え、仕事しやすい環境づくりを心掛けることでトラブル回避にもつながります。
仕事に対する自分のスタンスは正直に会社に伝えておいた方が、会社としてもフォローしやすいものです。
働く意志があるのか、育児を優先したいのかなど、復帰時の考えは面談などの機会に伝えておきましょう。
職場復帰が難しく、退職を考える方もいるかもしれません。
育休制度は復帰を前提として給付金を受け取れる制度です。
そのまま退職することは制度的には認められていません。
また一度退職をしてしまうと、育児中の就職活動は想像以上に労力がかかります。
将来の子育て費用などもふまえ、退職するかどうかはよく検討してみてください。