【ダイエットと睡眠】ベストな睡眠時間は?空腹の方がいい?

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目次

  1. ダイエットと睡眠の関係は?
    • グレリンとレプチンの役割
    • 成長ホルモンと基礎代謝量の関係
  2. ダイエット中に必要な睡眠時間
    • 適切な睡眠時間をとるためにできること
  3. 空腹で寝るといい!?効果はある?ない?
    • 空腹のためにも夕食は寝る2~3時間前には済ませる
    • アルコール摂取にも注意を
  4. まとめ

ダイエットと睡眠の関係は?

ファーストフードやピザ、甘いお菓子など、無性に食べたいと衝動的な食欲がみられることはあると思いますが、その時のあなたの睡眠時間はどうでしょうか?
十分な睡眠は取れていると言えますか?
その無性に襲われる食欲は、睡眠不足が原因でホルモンが関係している可能性もあります。
ダイエットと睡眠に関係しているホルモンが「グレリン」と「レプチン」です。

 

グレリンとレプチンの役割

「グレリン」と「レプチン」の役割は下記の通りです。

 

●グレリン:食欲中枢に作用して食欲を亢進させます。※1
体内のエネルギーが不足している空腹な時に分泌され、食欲を沸かせます。※1

 

●レプチン:視床下部の満腹中枢に作用して食欲を抑えます。※1
交感神経を活発にさせ、脂肪を燃やしたり、エネルギーの消費を促したりすることで肥満を防ぐ働きがあります。※1

 

通常であれば、空腹時にグレリンが分泌されることで食欲が促され、栄養が摂れたらレプチンの食欲を抑える作用が働いて、バランスが保たれています。※1

しかし睡眠不足に陥ると、食欲を抑えるレプチンの分泌が減少してしまい、グレリンの分泌が増えてしまいます。

その結果、暴飲暴食を起こすなど、食欲が増大してしまうのです。

 

また寝不足の状態は、食欲を増進するだけではなく 甘いものを欲することにもつながります。
睡眠不足の状態にあるとき、糖質や脂質などを多く含む不健康な食べ物への欲求を高める脳のメカニズムも近年明らかにされているのです。※2

つまり、睡眠不足になると自動的に食欲スイッチがONになり、もうお腹いっぱいだから食べなくてもいいよ!というスイッチがOFFになります。
その結果、甘いものや高カロリーのものを欲求してしまい、ダイエットがうまく行かない!なんてことになってしまうのです。

レプチンとグレリンについては、
食欲の鍵を握る「レプチン」とは?ホルモンを知って食欲をコントロールしよう
の記事で詳しくご紹介しています。

 

成長ホルモンと基礎代謝量の関係

ダイエットでは成長ホルモンも重要なカギを握っています。
成長ホルモンは、子供の場合は筋肉や骨格など成長を促し、大人の場合は日中の心身の疲れやストレスをとります。
組織を修復し、老化の進行をゆるやかにするなど、人間が生きていくうえで重要なホルモンです。
基礎代謝量はこの成長ホルモンが大きく関与しています。

 

・加齢とともに成長ホルモンの分泌が減ると…
成長ホルモンは加齢とともに分泌量も減っていくというのは、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
成長ホルモンが著しく低下すると、体脂肪の増加、筋肉の低下、ウエストやヒップ比が標準より大きくなる、疲れやすい、皮膚が乾燥するなどのからだの所見があらわれることもあります。※3

せっかくお菓子を我慢したり運動をしたりしても、深い睡眠がとれていないと慢性的な睡眠不足となり、自律神経やホルモン分泌にも影響を及ぼしかねません
痩せづらく、体重減少のスピードが遅くなるなどの影響も考えられます。
太りやすさには日々の運動量や基礎代謝量だけでなく、成長ホルモンの分泌量の関係もしているのです。※3

 

※1睡眠と生活習慣病との深い関係/e-helthネット/2021年3月6日現在
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html
※2寝不足はダイエットの敵-睡眠時間が足りないと甘いものがほしくなる理由/国立大学法人 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構/2021年3月6日現在
https://wpi-iiis.tsukuba.ac.jp/uploads/sites/2/2018/01/20170110_LazPR.pdf
※3 成長ホルモンが出なくなるとどうなる?/pfizer/2021年3月6日現在
https://ghw.pfizer.co.jp/adult/adult/hormone.html

ダイエット中に必要な睡眠時間

前章からお話ししてきた通り、ダイエットには睡眠がとても重要です。
では、一番太りづらいとされる睡眠時間はいったい何時間なのでしょうか?

残念ながら未だはっきりとした「定説」はありません。


なぜなら、個々それぞれに活動量や摂取する食事、疲労度などバラバラなため、一概に「適切な睡眠時間は何時間」と断言することはできません
ただ、今のところ研究者たちの大方の見方で「7~8時間」がダイエットに効果的なベストな睡眠時間といわれているそうです。※4

 

適切な睡眠時間をとるためにできること

寝すぎてもダメ、寝な過ぎてもダメということであれば、あとはご自身でベストな睡眠時間を探してみるのが良いでしょう。
適切な眠りを誘うために、今日から取り組めることを5つご紹介します。

最適な睡眠時間を確保するために、できることから取り組みはじめてみてください。

 

【睡眠時間を確保するために今日からできること】

  • 就寝前4時間のカフェインなどの刺激物の摂取をやめて、安眠できるようなリラックスルーティンを見つける※4
  • 就寝時間や眠れた時間にこだわらない※4
  • 活動的に動ける「自分だけの時間」を作る※4
  • 日光の日差しを取り入れて、体内時計のスイッチをONにする※4
  • 生活に規則正しい食事と規則的に運動習慣を取り入れる※4

なかなか取れないその疲れ「脳疲労」?脳疲労の原因と解消法は
の記事にもある通り、睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2つの種類があります。
レム睡眠は、身体は休んでいるが脳は起きている状態。※4
ノンレム睡眠は深い眠りで、身体も脳も休んでいる状態です。※4
深いノンレム睡眠を徐波睡眠と呼び、ノンレム睡眠の間には成長ホルモンが分泌されています。※4

 

・午後10時に寝るのが難しい時は深夜3時までに寝る

成長ホルモンの分泌は徐波睡眠後30分で最大となり、時間帯では午後10時から午前2時に最大になるそうです。※4
午後10時までに眠ると、成長ホルモンの分泌量は一番増えるようです。※4
不規則な仕事などで難しい場合は、深夜3時までに眠りにつくことでも成長ホルモンの分泌が間に合うとも言われています。※4

 

・入眠後3時間の質がカギ
睡眠の前半3時間は深い眠りが多く、後半になるにつれ浅い眠りのレム睡眠が増加します。※4
現在の研究では、成長ホルモンはこの「眠りについた直後から3時間後まで」にまとめて分泌され、その後はあまり分泌されないというデータも出ています。※4
よって眠り始めの3時間は、睡眠時間の中で一番重要とされているのです。※4

 

一度起きて眠れなくなった場合、無理に寝ようとしてストレスを感じるのは逆効果。
今まで何気なく寝ていて、日中の眠気や疲労感が取れない方は、睡眠の時間よりも睡眠の質を意識してみるといいかもしれません。

 

※4 睡眠障害の対応と治療ガイドライン第2版/著者:内山真/じほう/2012年5月/2021年3月6日現在
https://books.rakuten.co.jp/rb/11682670/

 

空腹で寝るといい!?効果はある?ない?

空腹のためにも夕食は寝る2~3時間前には済ませる

「腹八分目に医者いらず」ということわざがあったり、ファスティングやプチ断食などが流行っているように、空腹は健康的な身体を作るにはとても効果があります。※5
成長ホルモンは空腹時に分泌されやすいものです。
夕食はできれば寝る2~3時間前にとっておくのが理想的です。※5
そして少なくとも、「お腹いっぱいで寝る」ことは避けましょう。
あーお腹すいてきたな、と思って寝るくらいがベストな状態です。
常に何かを口にしていて、3食しっかりと食事を摂っていると、内臓は消化し続けなければならならず、働き続けなければなりません。※5
空腹で寝ることで、16時間はお腹に何も入らず、内臓が休ませられると考えられています。※5
内臓を休ませられれば、働きを復活させ、また活発に動かすことができるのです。※5
この空腹の時間は、「オートファジー」と呼ばれて注目されています。※5
「オートファジー」は、体内の古いタンパク質が排除されて、新しいものに作り変える仕組みです。※5

 

アルコール摂取にも注意を

夜ご飯は食べず、「寝る前にちょっとだけ飲酒を…」というのも注意が必要です。
寝る前に飲酒をしてしまうと、睡眠中も肝機能はフル回転しなければなりません。
内臓は休んでいないため、翌日に身体がだるいこともあるでしょう。
朝からすっきり起きられず、結局その日一日だらだらと過ごしてしまうと、基礎代謝も活動消費量も減ることになってしまいます。
休肝日を設けるなどアルコール摂取もほどほどにして、質のよい睡眠ができるように調整してみてくださいね。

基礎代謝を上げる方法については、
基礎代謝って?基礎代謝量の平均と上げ方をご紹介!
で詳しくご紹介しています。

 

※5「空腹」こそ最強のクスリ/著者:青木厚/アスコム/2019年1月発行/2021年3月6日現在
 https://books.rakuten.co.jp/rb/15771897/

 

まとめ

睡眠不足は、ホルモンバランスを崩し、基礎代謝量にも影響を与えます。
太るだけでなく、集中力や理解力、判断力などの低下の原因にもなるものです。
質の高い睡眠をとるよう心掛けましょう。
また、なるべく空腹で寝るのも健康のためにはおすすめです。
一方で、寝過ぎるのは生活習慣病にかかるリスクが増えるというデータもあります。
睡眠時の身体のしくみを知って、正しい睡眠を実行することでダイエット効果も期待できるはずです。
ダイエットにチャレンジしたけどなかなか結果の出ない方は、睡眠時間や睡眠の質をまずは振り返ってみてくださいね。

 

監修者
栗原
看護師、保健師、アロマリンパオイルテラピスト
大学病院の総合外科で、消化器・呼吸器・乳腺・血管専⾨病棟で 3年勤務。
過労にて⼼身ともに体調を崩すも⾃身の健康を守るため予防医学と美容に特化したクリニックに転職し、クリニックの広報の他、健康メディアのライターも務める。 美容健康セミナーなどのイベントも開催し、SNSでは予防医学・ 健康的なダイエット法・自⾝身の経験から看護師の働き⽅方について発信。
プロダンサーとしても、都内・海外で活動を行い、看護師の新たな働き方のモデルケースになるべくマルチに活動を行っている。
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