なかなか取れないその疲れ「脳疲労」?脳疲労の原因と解消法は

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休日にしっかり休んだのに、なかなか疲れが取れない…そんなことを感じたことはありませんか?
疲労といっても仕事・人間関係・運動・育児など、いろいろな疲れがありますが、もしかしたら脳の疲れが原因かもしれません。
脳疲労の原因と解消法をご紹介します。

目次

  1. 脳が疲れる「脳疲労」とはどのような状態?
    • 脳疲労の状態とは?
    • 脳疲労の原因となる「自律神経」の働き
  2. 脳の疲労度をチェックするための2つのサイン
  3. 脳疲労の原因とは?
  4. 脳の疲労を回復させる5つの方法
    • 睡眠の質をあげる
    • 食事でも脳疲労は回復する
    • 「瞑想」で脳の疲労を解消する
    • 小まめに小休憩をとる
    • 背筋を伸ばして、ゆっくり呼吸をする習慣づけを
  5. まとめ

脳が疲れる「脳疲労」とはどのような状態?

脳疲労の状態とは?

「脳疲労」は “脳が疲れて、正常に機能しなくなっている状態”です。※1
イメージしやすいのは筋肉痛です。
筋肉を脳に置き換えて考えてみましょう。
過度な運動をして筋肉を動かしすぎると、筋肉に炎症が起きて筋肉痛になりますよね。
筋肉痛の程度にもよりますが、起きたり寝たり、階段を登ったり降りたり、日常的に動作をすることも辛い!なんて、経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。

「脳疲労」も考え方としては筋肉痛と同じです。
脳を使いすぎることで、脳に炎症(活性酸素)を蓄積させてしまう状態です。
活性酸素が溜まり「酸化ストレス」の状態になると、有害な作用が引き起こされます。※2
脳疲労は、脳が操っている自律神経に有害な作用が加わり、自律神経が正常な機能を果たせなくなってしまっている状態ということができます。

脳疲労の原因となる「自律神経」の働き

脳疲労は自律神経が正常に機能していない状態ですが、この自律神経とは一体どんな働きをする神経なのでしょうか。
自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」の2つの反する神経で成り立っています。

交感神経・・・日中に身体を活動的に動かしたり、興奮させたりする神経。
副交感神経・・・交感神経とは逆に、夜など休息を摂る時に身体をリラックスさせる神経。

呼吸器・循環器・消化器の臓器は、この自律神経のスイッチで、活動的に動かしたり、リラックスさせて休息を摂ったりと、バランスをとりながら身体の状態を保っています。
全てのからだの機能を司る自律神経が「酸化ストレス」にさらされることで、身体の不調を起こす引き金となってしまいます。
脳を整え、脳疲労を回復させることによって、身体的な症状の改善が見られる可能性があるとも言えます。※3

参照
※1 「脳疲労とは」/脳疲労概念 BOOCS公式サイト/2019年6月3日現在
https://boocs.jp/about/nouhirou
※2 「全ての疲労は脳が原因」/梶本修身/集英社/2016年4月第1刷発行/2019年6月4日現在
※3 「脳から身体を治す」/久賀谷亮/朝日新聞/2018年2月第1刷発行/2019年6月4日現在

脳の疲労度をチェックするための2つのサイン

「飽きる」「眠くなる」は疲労の2大サインです。
これらのサインが出ているときは、疲れているのかもしれません。

長時間のデスクワーク、パソコン作業で、脳を使い続けると、頭がぼんやりする、首や肩が凝るといった症状を「飽きた」という感覚を感じたことはありませんか?
この「飽きた」という感覚が、脳疲労のサインの1つです。
「これ以上、この神経細胞を使わないで!」というアラームが、「飽きる」という感情になり現れると言われています。※4

疲労アラームを早期に感じ取り改善することで、判断ミスの回避や作業の効率を向上させることができます。
作業をしていて「飽きたな」と感じたら、まずは休息を摂る、違う作業に切り替えるなど、脳の疲労を溜める前に、早め早めに解消するよう心掛けましょう。

脳の疲労が溜まり、脳が身体の生体アラームとして効かなくなると、疲れが溜まっていることすら感じなくなってしまいます。
疲労感を感じなくなると、人体としてもっとも危険な状態で、過重労働で重篤な病気、または過労死につながることがあります。
日本の一般成人の60%、人口の3分の1が慢性疲労を抱えているようです。※2
働き過ぎによる「過労死」にならないよう、早めに自分自身の身体のSOSサインに気付き、こまめに解消していくことが大切です。

参照
※4「疲れない脳を作る生活習慣」/石川善樹/プレジデント社/2016年2月発行/2019年6月1日現在

脳疲労の原因とは?

では、なぜそんなに脳が疲れるのでしょうか?
それは、高度に発達した情報社会の中で、インターネットやスマートフォンの普及により、
情報が光の速さで飛び交い、現代人が1日に触れる情報量が増加しているからです。
総務省が2009年度に、日本で流通している情報量を推定した結果、1日DVD約2.9億枚分にも達するという調査結果を報告しています。※4
簡単にコミュニケーションが取れ、情報の溢れた便利な時代になりました。
しかし、一つ一つの問題に対する速い判断が求められたり、情報の処理が追いつかなかったりすると、大容量の情報処理を一気に行うことになり、脳が処理しきれない状態となってしまいます。

参照
※4「疲れない脳を作る生活習慣」/石川善樹/プレジデント社/2016年2月発行/2019年6月1日現在

脳の疲労を回復させる5つの方法

脳が疲労を感じることで「痛み」「疲れ」「気持ちの沈み」など、身体へ様々な影響を及ぼしています。
こうした症状を改善するためには「脳を整える」意識を持ちましょう。
日常生活に簡単に取り入れられる脳の疲労の解消法をご紹介します。

睡眠の質をあげる

睡眠は昔から「バランスの良い食事」・「程度な運動」と並んで、健康的な生活を送る上での基本の一つです。
そして、脳を疲労回復する上でも、最も簡単にでき、重要な疲労解消法は、良質な睡眠をとることです。

・ノンレム睡眠が脳の疲労を回復させる
睡眠には、大きく分けてレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があり、交互に現れます。
レム睡眠では、脳が活発に動いて起きた状態で、身体は弛緩され、休んだ状態になります。
一方、ノンレム睡眠は大脳も身体も寝ている状態で、頭の疲労を芯から回復している状態です。
ノンレム睡眠では体と大脳の疲労を回復しているだけでなく、入眠3時間後には成長ホルモンの分泌が活発になります。
成長ホルモンは、年齢と共に分泌量は減りますが、肌や筋肉の疲労回復など、細胞の修復に役立っています。※5

・睡眠の質をあげることが大切
厚生労働省のガイドラインによると、適切な睡眠時間は25歳〜45歳までは約7時間、45〜65歳までは6.5時間、65歳以上は6時間ぐらいと提唱されています。※6
しかし、脳疲労の回復には睡眠時間の長さだけではなく質の良い睡眠をとるのがポイントです。
質の良い睡眠をとるためには、仕事から帰宅した夜の時間の過ごし方が大切になってきます。

・睡眠の質をあげるには、入眠前の環境を整える
音楽やテレビをつけたまま寝ると、脳が休まらないので、なるべく静かな環境が理想です。光を浴びると脳は活性化されてしまいます。
寝室は、遮光のカーテンを使用する、雨戸を閉めるなど、光を遮断して明るすぎない照明を使用するようにしましょう。
入眠前にはブルーライトを発する、パソコン・テレビ・スマートフォンの使用はなるべく避け、目から刺激が入らないように意識してみましょう。※2※4

・入浴は寝る1~2時間前にぬるま湯で
人は体の深部体温が下がるタイミングで、脳が眠気を強く感じます
入眠する1〜2時間前に入浴すると入眠しやすくなります。
38〜40度程度の、ぬるめのお湯にみぞおちくらいまで入る半身浴で、時間は10〜15分程度がおすすめです。
熱めのお湯に肩まで浸かってしまうと交感神経が優位になり、自律神経の疲れを誘発してしまいます。
ぬるま湯は副交感神経が優位になるので、リラックスして就寝に適した環境へ導いてくれます。※2

食事でも脳疲労は回復する

食べ物によって身体ができていると言っても過言ではないほど、健康的な身体を作るためには栄養素が必要です。
タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルの五大栄養素の他にも、疲労回復につながる食材を上手に選んで、バランスよくプラスしてみましょう。

 

・鶏肉やマグロに含まれる「イミダゾールペプチド(以下、イミダペプチド)」
疲労を引き起こす原因となるのは、活性酸素による酸化ストレスです。
酸化ストレスには「イミダペプチド」を意識してみてはいかがでしょうか。

イミダペプチドは、人や動物の骨格筋や脳にある、2種のアミノ酸結合体の総称です。
骨格筋や脳は、日頃の活動で、活性酸素が発生しやすく疲労も蓄積しやすい部位ですが、イミダペプチドは、その骨格筋や脳で再合成されて、抗酸化作用を発揮します。
渡り鳥が、長時間疲れずに羽を動かし続けることができるのは、羽を動かす筋肉である胸肉に、抗疲労成分のイミダペプチドが大量に含まれているからです。※7
イミダペプチドは、1日あたり200mg、最低2週間ほど摂取し続けることで抗疲労効果を発揮するようです。
200mgのイミダペプチドは、鶏の胸肉であれば100g食べることで摂取できます
鶏肉以外には、マグロやカツオなどの大型魚にもイミダペプチドは多く含まれています


・柑橘系に含まれる「クエン酸」
クエン酸も抗疲労に作用する成分としてあげられます。
クエン酸は、レモンやグレーププルーツなどの柑橘系・梅干し・酢などの「酸っぱさ」の酸味を持つ食品に豊富に含まれています
クエン酸の抗疲労効果は、イミダペプチドとは違ったメカニズムで作用します。
通常、細胞が酸化ストレスによりエネルギー不足になると、疲労が蓄積していきます。
しかし、この時にクエン酸を摂取すると、クエン酸がエネルギーを産出して疲労感を軽減します。※4
クエン酸で疲労の軽減には繋がりますが、疲労の元の活性酸素の発生は防げません。
活性酸素を放置しておくと酸化ストレスにより疲労が蓄積してしまいますので、酸化ストレスに影響のあるイミダペプチドと、疲労感を軽減するクエン酸と、異なるタイプの栄養素を組み合わせて摂取することがポイントになります。
なおかつ「疲れを感じる前から、日常的に摂取して予防する」ということがとても重要だと言えるでしょう。※2
疲労回復を軽減できる栄養素を理解して、食生活に上手に取り入れ、ストレスなく脳の疲労を解消していけたらいいですね。

 

「瞑想」で脳の疲労を解消する

瞑想と聞くと少し怪しげなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、瞑想の歴史は古く、身体のリラックス感を増大させ、精神的なバランスの改善や病気の治療などにも利用されてきました。※9
瞑想を行うことで、脳の「前頭前皮質」という部分が活性化されます。
前頭前皮質は、前頭前野とも呼ばれ、集中力・記憶力・意思決定といった認知能力に関係する領域です。
認知能力は「脳の実行機能」とも呼ばれ、高いパフォーマンスを出すために最も大切な能力で、瞑想にはこの認知機能を向上させる働きがあります。
瞑想をする上で、大切なポイントは「調身」「調息」「調心」の3つです。

 

・「調身」=姿勢を整える
背筋を伸ばしたら、肩の力を抜いてリラックスしてみましょう。
ふだん、猫背の人が背筋を伸ばそうとすると、緊張して肩が上がりがちになります。
一度肩をすくめるように力を入れてから、脱力してストンと肩を落とすと、適切な姿勢を作ることができます。
椅子に座って行う場合は、両足は床につけて、両手は太ももの上に置いて軽く握りましょう。
目は閉じてもいいですし、瞼を少し開く半眼にして、1mくらい先をぼんやりみても良いでしょう。

 

・「調息」=呼吸を整える
5秒くらいかけて鼻から息を吸い、10秒から15秒かけてゆっくりと、鼻か口から、息を吐きましょう。

 

・「調心」=集中・観察・心を整える
基本的な調心は、一つの対象に集中するもので「集中瞑想」と呼ばれています。
集中瞑想は、自分の呼吸や目の前にある対象物など、ひとつの対象に注意を集中させます。
瞑想をしたことがない人は、この「集中瞑想」から始めて、最初は呼吸に集中するのが、良いでしょう。※4

 

小まめに小休憩をとる

仕事の作業中でも、自動車の運転の最中でも「飽きた」と言うサインは脳疲労の最初のサインです。
この最初の疲れの兆候が現れると、脳の情報処理能力が下がります。
疲れた脳が「これ以上使わないで」という信号を送っているので、一旦作業をやめてトイレに立つ、ちがう作業に取り替える、と気分転換をしてみるのが良いでしょう。
時間ごとに15分の休憩を入れるよりも1時間ごとに5分ずつ、休息を入れる方が、脳の情報処理の低下も防ぐことができ、パフォーマンスの低下を未然に防ぐことが可能だと言えるでしょう。※2

背筋を伸ばして、ゆっくり呼吸をする習慣づけを

・ゆっくり呼吸をする効果
パソコンやスマートフォンを使うと、背中が曲がって猫背になりやすくなります。
背中が曲がっていると、横隔膜を使うことができないので、自然と呼吸が浅くなり、脳へ十分な酸素を送ることができません。※2
また、息を吸うときには交感神経が、息を吐くときには副交感神経が優位になっているので、リラックスした状態を生みやすいのです。
ゆっくり息を吐くと、体内に二酸化炭素がたまります。
血液中に二酸化炭素が行きわたると、幸せな気分をもたらす神経物質であるセロトニンの分泌量が増加します。
セロトニンは、気分や感情の高ぶりを抑え、衝動的な行動を抑制する効果があるので、ストレスやイライラが取り除き、心をゆったりした状態に導いてくれます。※4

 

・ゆっくりと深い呼吸をする方法
深い呼吸のポイントはゆっくり呼吸を吐くことです。
5秒くらいかけて鼻から吸い込み、吐く時は口・鼻のどちらからでもいいので10秒から15秒くらいかけてゆっくり吐き出します。

1日に緊張状態や興奮状態の時間が長いほど脳は疲れるので、小休憩を挟みながら姿勢と呼吸を整える時間を作ってみましょう。

参照
※2 「全ての疲労は脳が原因」/梶本修身/集英社/ 2016年4月第1刷発行/2019年6月4日現在
※4「疲れない脳を作る生活習慣」/石川善樹/プレジデント社/2016年2月発行/2019年6月8日現在
※5睡眠が健康に与える影響―睡眠は「時間」も大事だが「質の良さ」が最も重要!』/OMRON All for Healthcare /2019年6月15日 現在
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/141.html
※6「健康づくりのための睡眠指針2014」/厚生労働省健康局/2019年6月14日現在
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
※7「食事で疲れをとる」/大阪市立大学 健康科学イノベーションセンター/2019年6月8日現在
http://www.chsi.osaka-cu.ac.jp/project/tire/meal.html
※9「瞑想とは」/厚生労働省「総合医療」情報発信サイト/2019年6月4日現在
http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c02/07.html

まとめ

脳疲労の原因や解消法をご紹介いたしました。
なかなか疲れが取れず悩んでいる方は、「脳疲労」をチェックしてみても良いかもしれません。

イライラやストレスから解放され「今日も一日疲れたな」そんな口癖の一言から、「充実した一日だった」と思えるように、日常生活の中で「疲れにくい脳」を整えていくのが良いでしょう。
無理のないように生活習慣の改善を心掛け、日常生活の質を上げていけたらいいですね。

監修者
大島
看護師免許、メンタル心理カウンセラー
美容外科・皮膚科にて勤務し、美容医療に5年ほど携わる。
AGAクリニックの立ち上げで、師長就任。
自身の美容経験から、医療機器に劣らないほど肌質改善が感じられた、ハーブピーリングでプライベートサロンを始める。
現在は美容医療に関わるコンサルタントや、美容メディアの運用、化粧品開発などを担当している。
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