部屋の湿度、理想は?上げる方法と下げる方法を徹底解説

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毎日の暮らしの中で、部屋で過ごす時間は長いものです。
ご飯を食べたり、睡眠をとったりと、快適に過ごすには湿度も大切。
部屋が夏にジメジメしたり、冬に乾燥したりすると、不快なものです。
季節に合わせた理想の湿度を知り、快適に過ごせる工夫をご紹介します!

部屋の湿度、快適なのは?70%は高い?

皆さんは、自分の部屋の湿度がどれくらいか知っていますか?
時計に温度や湿度が表示される機能がついていたり、加湿器を使用していたりすると知る機会もありますが、あまり考えたこともないという方も多いと思います。
暑いときや寒いときには、無意識にエアコンをつけますよね。
エアコンの温度を調整することで、快適に感じる部屋の温度はこれくらいだな、という予想はつきますが、その快適さには湿度も大きく関わっています。
まず湿度とは、空気中に含まれている水蒸気の度合いを表しており、相対湿度と絶対湿度に分けられます。
一般的に湿度と呼ばれているのは、相対湿度です。
相対湿度とは、ある温度の空気が含むことができる水蒸気量の限界に対して、どの程度、水蒸気が含まれているのかという割合のことです。
単位は%で表され、天気予報でも「明日の東京の湿度は○%です」と言うように、広く認知されていますね。
一方で、絶対湿度とは、空気1kg中に含んでいる水蒸気の質量のことです。※1
温度が高くなればなるほど、たくさんの水蒸気を含むことができるため、夏は水蒸気量が多く、ジメジメと、冬は水蒸気量が少なく、からっとしやすくなります。
夏のジメジメした感じも、冬のからっとした感じも、あまりに酷いと快適とは言えません。
湿度は、一年を通して40%~60%を目安に、必要時は加湿や除湿を行うと、非常に健康的かつ過ごしやすくなるとされています。※2
主に夏は除湿を、冬は加湿を行うことが多いですが、湿度が高すぎたり低すぎたりすると、私たちにどのような影響があるのでしょうか。

湿度が高すぎる時

まず、湿度が高すぎる時には、カビやダニが発生しやすくなります。
カビやダニは、衣類や寝具といった身に付けるものにも発生し、気管支喘息やアレルギー性鼻炎など、アレルギー疾患の原因となるため注意が必要です。
夏場は寝ている間に汗をかきやすく、衣類や寝具に吸収されるとカビやダニのエサになります。
適切な湿度管理とともに、衣類や寝具をこまめに変え清潔を保ちましょう。
夏の部屋は高温多湿で風通しも悪く、熱中症になりやすい環境です。
実は、熱中症の約40%は室内で発生しています。※3
屋外でよく発生しているイメージが強いため、かなり意外ですよね。
電気代節約のためにエアコンを付けなかったり、普段から飲物をあまり飲まなかったりするのはとても危険です。

湿度が低すぎる時

次に、湿度が低すぎる時には、喉や気管支の粘膜が乾燥し、ウイルスが体内に侵入しやすくなります。
インフルエンザウイルスは湿度が低い環境で生存しやすいという性質があるため、適切な湿度まで加湿して予防に努めましょう。
ですが、冬場に暖房器具で加温・加湿を行うと、外気との差で結露が生じ、カビやダニが発生する高温多湿状況となってしまうため、適切な湿度管理とこまめな結露の除去が大切です。
結露は、トイレや浴室、押し入れ、窓などで起きやすいため、特に注意して確認してみましょう!

※1 気象データ公開WEB「用語」/農業環境技術研究所/2020年9月16日現在
http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/niaesaws/words.htm
※2 健康・快適居住環境の指針―健康を支える快適な住まいを目指して―/東京都福祉保健局/2020年9月16日現在
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/kankyo_eisei/jukankyo/indoor/kenko/index.files/web_zenbun1.pdf
※3 熱中症が発生する原理と有効な対策/厚生労働省/2020年9月16日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000564000.pdf

部屋の湿度を上げる方法は?冬の乾燥対策

冬には、気温が低下し、それに伴って部屋の湿度も低くなることで、乾燥を感じやすくなります。
ある研究では、自宅やオフィスにおいて、乾燥による不快感を感じたことがある方の割合は、総数の50%以上にのぼることがわかりました。※4
自宅では、寝室で乾燥を感じる人が最も多く、朝起きると喉が痛かったり、唇が渇いたりしていた経験がある方も多いのではないのでしょうか。
そこで、冬の乾燥する時期に、湿度を上げる方法をご紹介します!

 

・暖房器具を使用する
石油ストーブやガスストーブなど開放型のストーブは、加温する際に水蒸気を発生させます。
それによって、部屋全体の水蒸気量が増加し、寒さも乾燥感も緩和させることができます。
ですが、エアコンや電気ストーブは、加温する際に水蒸気を発生しないため、加湿効果はありません。
そのため、エアコンや電気ストーブを使用する際には他の加湿方法を併用することをおすすめします。
また、石油ストーブやガスストーブは、正しく使用しなければ火災や怪我、事故につながる可能性もあります。
加湿をしっかりしようと思って、ストーブの近くに洗濯物を置いていたりしませんか?
もしくは、窓や扉を長時間締めきった状態にしていませんか?
可燃物がストーブに近いと火災の原因になりますし、換気が不十分だと室内の酸素が減少し、不完全燃焼による一酸化炭素中毒を起こすことで、死亡事故にいたる危険もあるため、暖房器具は正しく使用しましょう。※5

 

・加湿器を使用する
エアコンや電気ストーブを使用する際に、加湿器を併用することで部屋の湿度を重点的に上げることができます。
加湿器は、機械によってどれくらいの広さの部屋に使用することがおすすめか決まっていますので、自分の部屋がどれくらいの広さかを調べてから購入すると、過剰に加湿したり、逆に加湿が全然足りていなかったりということが起きにくくなります。
また、加湿器内は高温多湿になりやすいため、定期的に加湿器のお手入れを行わないと、細菌やカビを部屋じゅうに広げてしまう原因にもなってしまいます。
できる限り、こまめにフィルターやタンクなどの掃除を行いましょう!

 

・普段の生活を行う
暖房器具や加湿器を使用しなくても、普段の生活の中で自然と加湿が行われる場面はいくつかあります。
例えば、入浴や調理、洗濯物の室内干しなどです。
入浴や調理の際には、水が温められることで、水蒸気が発生しますよね。
その水蒸気を利用して加湿を行います。
一時的に、浴室への扉を開けておいたり、部屋の中で鍋を食べたりすると乾燥感も和らいできますよ。
また、エアコンや電気ストーブを使用している部屋で洗濯物を干すと、洗濯物の水分が蒸発することで加湿され、洗濯物も寒い部屋に干すより比較的早く乾くので一石二鳥ですね。
ですが、これらは一時的に部屋を加湿する方法ですので、長時間安定して湿度を保つことは難しく、また、加湿しすぎる可能性もあるため湿度計での湿度チェックを習慣づけましょう。※6

※4 乾燥感と室内温熱環境条件に関する基礎的研究/高田暁/日本建築学会環境系論文集/2013年11月30日発行/2020年9月16日現在
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aije/78/693/78_835/_pdf
※5 ガスファンヒーター・ガスストーブの安全な使い方/一般社団法人 日本ガス石油機器工業会/2020年9月16日現在
https://www.jgka.or.jp/gasusekiyu_riyou/anzen/gasu_stove/index.html
※6健康・快適居住環境の指針 冬の住まい方/東京都福祉保健局/2020年9月16日現在
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/kankyo_eisei/jukankyo/indoor/kenko/sisin_bunsatuban.files/web_fuyu_sumaikata_kenkai_sisin.pdf

部屋の湿度を下げるには?湿度の高い夏の対策

夏は高い気温に加えて、急な雨などで湿度が高くなってくると、ジメジメ感が増して息苦しく感じやすいですよね。
特に、学校や仕事で家をしばらく留守にしていて、帰ってきた時のジメジメ感はかなり不快です。
そこで、次は、夏のジメジメしやすい時期に、湿度を下げる方法をご紹介します。

換気を行う

夏に、部屋の高くなった湿度を適切な数値まで調節する最も簡単な方法は換気です。
換気によって、新鮮な空気を取り入れ、古い空気を外に出すことで、部屋の湿気も外に逃がすことができます。
先ほど、入浴や調理、洗濯物の室内干しによって加湿されることが、冬の乾燥対策には効果的とお話しましたが、夏は湿度が高くなりすぎてしまい逆効果です。
湿度が高いな、と感じた時にはまず換気を行いましょう。
効果的に換気を行うためには、部屋の空気の流れをスムーズにすることが大切です。
できるだけ、対角線上にある窓や扉を開けるなど、空気の出入り口を2か所以上作ってあげましょう。
それが難しい場合は、扇風機やサーキュレーターを使用することで、部屋の空気を効率的に循環させることができます。
また、家具や家電の置き方を工夫することで、湿気がこもりにくくなり、換気した際もまんべんなく湿度を調節できるようになります。
家具や家電同士を隙間なく並べて置いていたり、部屋に備え付けの換気口を塞いでいたりしていませんか?
一部分だけ高温多湿の状態になっていると、カビが発生してしまうこともありますので、是非一度、確認してみてくださいね。※7

エアコンや除湿器を使用する

暑い日にエアコンを使用すると、ボタン一つで簡単に温度調節と除湿ができます。
夜間はルームライトの光に虫が寄ってきやすくなりますし、窓を開けて換気するより、エアコンを使用して快適な室内環境を整えましょう。
また、部屋の温度はそこまで高くはないが、湿度は高く感じるという時には除湿器が効果的です。
エアコンだと、温度も一緒に下げてしまうため、場合によっては冷やしすぎになってしまい体調を崩す原因にもなりかねません。
エアコンや除湿器などフィルターが付いているものは、空気中の汚れやカビが付着し、放置すると増殖して部屋じゅうに広がってしまったり、除湿や温度調節の効率が下がってしまったりするため、こまめな清掃も大切です。※7
最近エアコンや除湿器の効きが悪くなってきたな…と思った時は、フィルターの掃除をするべきタイミングなのかもしれませんね。
フィルターの掃除は一見難しそうに感じますが、意外と簡単にできてしまいます。
まず、フィルターを本体から取り外してから、掃除機で余分なほこりを吸い取ります。
次に汚れている部分は中性洗剤で洗ってあげると簡単にキレイに汚れをとることができます。
毎日使用する時期には約2週間に1回、フィルター掃除を行うと理想的です。

※7 健康・快適居住環境の指針 夏の住まい方/東京都福祉保健局/2020年9月16日現在
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/kankyo_eisei/jukankyo/indoor/kenko/sisin_bunsatuban.files/web_natu_sumaikata_kenkai_sisin.pdf

湿度管理が大切な理由

日本では、四季に合わせて気温や湿度など生活環境が変化しています。
そこで、適切な湿度から大きく外れてしまっている時の問題点として、熱中症やウイルスへの感染、アレルギー反応などが挙げられましたね。
乳幼児や高齢者の場合は、体温調節機能や免疫機能が不十分であるため、このような症状が大きく出てしまう可能性があります。
一方で、働き盛りの年代の場合は、そういった身体の機能はある程度維持されていることが多く、あまり影響を受けないように思えますが、もちろん何かのきっかけで症状が悪化してしまう可能性もありますし、自分が気付いていないだけで、意外と身体には細かい影響を及ぼしていることもあります。

また、意外に皆さんが気付きにくいマイナートラブルとして、不眠や睡眠不足による健康障害が挙げられます。
多くの方が、自宅は休息を図る場所だと考えていると思います。
人間が休息を図る方法として、最も重要とされるのが「睡眠」ですが、睡眠に影響を及ぼす物理的な三大要因は、温度・湿度、音、光と言われています。※8
「健康づくりのための睡眠指針2014」では、寝室や寝床の中の温度や湿度は、体温調節の仕組みを通して、寝つきや睡眠の深さに影響していると示されています。※9
あなたの寝室の温度や湿度はいつも快適でしょうか?
湿度が高すぎると、体温調節がうまくいかず、寝苦しくて途中で起きてしまいます。
また、湿度が低すぎると、喉や鼻の乾燥で寝つきが悪かったり、朝起きた時に不快感が残ったりしますね。
質のいい睡眠をとることができず、なんとなく疲れが残っていると感じる状態で日々過ごしていると、次第に体調不良ややる気の低下、生活習慣病など様々な不利益につながってしまいます。
そうならないためにも、ぐっすり眠れるよう湿度はこまめに気にしてみましょう。

※8 環境温湿度と睡眠/水野一枝/睡眠口腔医学/2016年5月24日発行/2020年9月16日現在
https://www.jstage.jst.go.jp/article/josm/2/2/2_89/_pdf/-char/ja
※9 健康づくりのための睡眠指針 2014/厚生労働省/2020年9月16日現在
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

まとめ

最初の章でもご紹介しましたが、一年を通しての湿度の目安は40%~60%、必要時は加湿や除湿を行うと非常に健康的かつ過ごしやすくなります。
なぜ湿度は変化するのか、温度とはどういった関係があるのかなどをきちんと理解していると、季節による湿度変化の要因や改善方法もなんとなく検討がつくようになりますね。
湿度が低くなってしまっている場合は、喉や気管支の粘膜が乾燥し、ウイルスが体内に侵入しやすくなります。
体調不良や不快感の増強にもつながるため、暖房器具や加湿器を使用してできる限り速やかに改善しましょう。
また、食事や入浴、洗濯などの日常生活でこまめな加湿に努めていると、暖房器具や加湿器で加湿する負担が軽くなります。
環境にも優しく、電気代や時間も短縮できるため一石二鳥ですね。

また、湿度が高くなってしまっている場合は、カビやダニの発生、熱中症などに注意して除湿を行っていきましょう。
換気やエアコンの使用、除湿器の使用などを除湿方法として挙げましたが、部屋のジメジメ度合や外の天気によって使いわけることがおすすめです。
外も暑く湿度が高い場合は、換気しても湿度が改善されるまでに時間がかかってしまうため、その間に熱中症のリスクも段々高くなってしまいます。
まずは、エアコンを使用して、温度も湿度も同時に下げてあげることで、安全に除湿を行うことができますよ。
ぜひ実践して、快適な湿度を維持してみてくださいね。

監修者
栗原
看護師、保健師、アロマリンパオイルテラピスト
大学病院の総合外科で、消化器・呼吸器・乳腺・血管専⾨病棟で 3年勤務。
過労にて⼼身ともに体調を崩すも⾃身の健康を守るため予防医学と美容に特化したクリニックに転職し、クリニックの広報の他、健康メディアのライターも務める。 美容健康セミナーなどのイベントも開催し、SNSでは予防医学・ 健康的なダイエット法・自⾝身の経験から看護師の働き⽅方について発信。
プロダンサーとしても、都内・海外で活動を行い、看護師の新たな働き方のモデルケースになるべくマルチに活動を行っている。
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