ノコギリヤシって何?期待できる効果は?

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男性の健康維持におすすめの成分として挙げられるのが、ノコギリヤシです。ノコギリヤシは、身の回りに存在する植物ではないため、どういうものかピンとこないかもしれませんが、サプリメントなどではよく知られているので、名前は聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。

日本ではまだ、どういう成分のものなのか詳しく知っている人は少ないかもしれませんが、アメリカやヨーロッパ諸国では、中高年男性の健康に役立つ成分として人気があり、広く知られているものなのです。
では、ノコギリヤシがどういう成分なのか、詳しく説明していきましょう。

目次

  1. ノコギリヤシとは?
    • 南アメリカ原産のヤシ科の植物
    • ノコギリヤシは昔から重宝されていた
    • 中高年の男性を悩ませる前立腺肥大とは?
    • ノコギリヤシの魅力
  2. 男性におすすめの成分
    • マカ
    • 亜鉛
    • ギャバ
    • アルギニン
    • シトルリン
  3. まとめ

ノコギリヤシとは?

南アメリカ原産のヤシ科の植物

ノコギリヤシは、別名ソーパルメット(saw palmetto)と呼ばれています。
北アメリカから中南米にかけて自生する高さ2〜3mほどのヤシ科の植物で、ノコギリ状の尖った葉を持つことにちなんで名前がつけられました。
夏にクリーム色の花を咲かせ、秋の終わりから冬にかけてオリーブの実ほどの大きさの赤い実をつけます。
その果実は油分をたっぷり含み、先住民の伝統食や植物油、ランプの燃料として利用されていました。 ※1 ※2 ※3

 

ノコギリヤシは昔から重宝されていた

ノコギリヤシの果実を初めて使うようになったのは、現地の先住民たちです。
一説によると、その実を食べた馬の毛並みがあまりにも美しかったことから、民間療法薬として伝承されるようになったといいます。

19世紀に入り、アメリカに渡ってきたヨーロッパからの移民がその話を聞きつけ、母国へ持ち帰ったことで、ノコギリヤシの本格的な研究が始まります。

ノコギリヤシには、脂肪酸ステロール類、オレイン酸が多く含まれ、そのさまざまな効果が注目されています。その中でも、悪玉男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の抑制作用は知られています。

すでにドイツ、イギリス、フランス、イタリア、スウェーデン、ベルギー、ハンガリーでは、医薬品として承認されていますが、日本ではノコギリヤシの果実エキスをサプリメントにして市販されています。

日本のお隣、中国では「棕櫚子(しゅろし)」と呼ばれています。
棕櫚子とはヤシの木の実という意味で、木の実をつぶして乾燥させたものを煎じて摂取します。
最近では、日本でもノコギリヤシの効果が注目され始め、健康食品として使用する人も増えてきました。 ※1 ※2 ※3

ノコギリヤシは亜鉛と相性がよく、一緒に摂ることがすすめられていますが、この二つを併用すると、より効果が得られるというような医療的な根拠は未だ証明されていません。
ヨーロッパ諸国では、医薬品として取り扱われていることや飲み合わせ、過剰摂取・副作用も考えられるということを理解して、正しく使用していくのが良いでしょう。

 

中高年の男性を悩ませる前立腺肥大とは?

前立腺とは男性だけにある器官で、膀胱の下にあり、尿道の周りを取り囲んでいる栗の実のような形の臓器です。
前立腺には、精液の一部に含まれる前立腺液を作り、精子に栄養を与えたり、保護したりする重要な役割を担っています。
しかし、年齢を重ねると肥大していく傾向があり、膀胱や尿道を圧迫して「尿が出にくい」「尿の勢いがない」「トイレの回数が増える」といった、排尿障害が起こりやすくなります
夜中にトイレの回数が増えると、眠りが浅くなり、睡眠不足に陥りがちに。
結果的に、日常の生活にも支障をきたしてしまいます。

排尿トラブルに悩まされる男性は実に多く、早い人では30代で症状が出始めて、50代で30%、60代で60%、70代では80%と右肩上がりに増えていくのが特徴です。
ただし、治療を必要とする、いわゆる「前立腺肥大症」を患っているのは、そのうちの25%程度といわれています。
前立腺が肥大する原因ははっきりしていませんが、男性ホルモンが関与していることは確かです。
加齢とともに男性ホルモンが減少し、ホルモンバランスが崩れることによって、ジヒドロテストステロンという酵素がつくられ、前立腺の肥大が進むと考えられています。 ※4

 

ノコギリヤシの魅力

ノコギリヤシは、オレイン酸・ラウリン酸などの脂肪酸や、植物ステロール(フィトステロール)を豊富に含んでいます。
植物ステロールとは、野菜や果物に含まれる成分で、コレステロール(動物ステロール)とよく似た構造を持つ化合物です。
コレステロールの場合、摂りすぎると健康へのリスクがありますが、植物ステロールは体内にほとんど吸収されません。

また、ノコギリヤシたっぷり含まれる脂肪酸には、男性ホルモンに関係する酵素を阻害する働きがあり、前立腺肥大による排尿障害を改善する可能性も示唆されています。

ノコギリヤシの効果・効能はまだ全てが解明されているわけではありませんが、今後、急速な高齢化社会を迎えるにあたり、ますます市場ニーズが高まると考えられます。 ※1 ※3 ※5

※1食品機能性の科学編集委員会 編集 『植物機能性の科学』 (産業技術サービスセンター) P 676 /2019年1月28現在
※2 日本食品機能研究会 『ノコギリヤシエキス、シルバー世代の対応素材でニーズ~ifiaJAPAN2016セミナー』/2019年1月28現在
http://www.jafra.gr.jp/f309.html
※3 吉田荘人 著 『漢方読みの漢方知らず: 西洋医が見た中国の伝統薬』(科学同人) P84〜85 /2019年1月28現在
※4 旭化成ファーマ株式会社 後藤百万 監修 『前立腺肥大症の原因と症状』/2019年1月28現在
https://www.asahikasei-pharma.co.jp/health/prostate/symptom.html
※5 オレゴン州立大学ライナスポーリング研究所  『植物ステロール』/2019年1月28現在
https://lpi.oregonstate.edu/jp/mic/%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E6%80%A7%E5%9B%A0%E5%AD%90/%E6%A4%8D%E7%89%A9%E6%80%A7%E5%8C%96%E5%90%88%E7%89%A9/%E6%A4%8D%E7%89%A9%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB
※2 日本食品機能研究会 『ノコギリヤシエキス、シルバー世代の対応素材でニーズ~ifiaJAPAN2016セミナー』/2019年1月28現在
http://www.jafra.gr.jp/f309.html
※6 サントリーウェルネスOnline 『最大限に活用したい!サプリメントの飲み方とは?』/2019年1月28現在
https://www.suntory-kenko.com/supplement/about/002/

男性におすすめの成分

ノコギリヤシは男性に人気がありますが、ほかにも、おすすめの成分がありますので、いくつかご紹介します。

 

マカ

マカは、南米ペルーの海抜4000メートルの高地で植生しているアブラナ科の球根で100種類以上あります。
マカの歴史は古く、約2000年前からアンデス地方で栽培されていました。
円錐形の根の部分に、炭水化物、食物繊維、脂肪、プロテイン、必須アミノ酸、鉄分、リノレン酸、カルシウム、パルミチン酸、オレイン酸、植物ステロールなどのさまざまな栄養素が含まれ、男性の健康維持に役立ちます。※8※9

 

亜鉛

亜鉛は100種類以上の酵素を構成する成分で、タンパク質やDNAを合成する大切な働きを持っています。
味の感覚が鈍くなる味覚障害は亜鉛の不足が遠因と言われています。
というのも、味覚は舌の上にある味蕾(みらい)にある味細胞で感じることが知られていますが、亜鉛が不足すると、味細胞の再生が止まってしまうからです。
また、亜鉛が不足すると、皮膚炎や貧血になりやすく、男性の場合、精子が減少しやすくなると言われています。
亜鉛は体内に成人には、約2g程度含まれていると言われています。
皮膚や血液、筋肉や骨、腎臓、肝臓や脳など至るところに存在しており、男性ホルモンのテストステロンの量にも関係しているとも言われています。
亜鉛は肉類、大豆製品、魚介類、海藻などに豊富に含まれ、特にカキに多く含有されています。亜鉛は多くが動物性の食品に含まれているため、ベジタリアンの人は亜鉛が不足しがちになります。
ベジタリアンの人や亜鉛の吸収を妨げる食品添加物が含まれている加工食品を多く食べる人は、サプリメントなどの利用も考えてみるのもよいでしょう。※8※9

亜鉛については、

亜鉛は自然からの贈り物?微量だけど働き者、亜鉛に注目してみよう

の記事で詳しくご紹介しています。

ギャバ

ギャバは、アミノ酸の一種でγ‐アミノ酪酸(gamma-Aminobutyric acid )が正式名称です。
その頭文字をとって、GABAとも呼ばれています。

ギャバは、哺乳動物の脳や脊髄などに多く存在し、ストレスや興奮を抑える役割を果たしています。
また、脳の血流や酸素の供給のサポート、脳細胞の代謝にかかわりがある物質と言われています。

ギャバは玄米にも多く含まれ、100gあたり、約10mg含まれています。
私たちが1日の必要とするギャバの量は10~20㎎程度といわれているため、日々の食事の中で白米を発芽玄米に置き換えれば、十分に補うことができます。
発芽することで、ギャバはさらに増えるので、ギャバロン茶やぬか漬けなどもおすすめです。※8※9

 

アルギニン

アルギニンは非必須アミノ酸で、体内でも作れますが、その量はあまり多くありません。
そのため、不足した分は食事から補わないといけません。
アルギニンは成長ホルモンの分泌にかかわる物質で、健康維持にも大きくかかわっています。

また、アルギニンは体内で一酸化窒素を生成するため、血管の拡張を助けることが分かっています。血管が拡張すると、動脈硬化や脳梗塞などの生活習慣病の予防にもつながると期待されています。

アルギニンを多く含む食品は、ゼラチンや落花生、かつお節など。※8※9

 

シトルリン

シトルリンもアミノ酸の一種で、スイカから発見されました。

野生のスイカやウリ科の植物に多く含まれており、私たちの体内にも存在しています。
シトルリンは、体内でアルギニンに変わって、一酸化窒素の生成を生成することが分かっています。
また、シトルリンは、血管の筋肉をやわらげ、血流の健康を維持する役割が期待されています。

シトルリンは体内でも作れる物質ですが、健康維持のために、不足分はバランスよく補うことがすすめられます。 

シトルリンについては、

シトルリンは健やかな毎日をサポートしてくれるスーパーアミノ酸!!

の記事で詳しくご紹介しています。

※8 『サプリメント健康事典』 一般社団法人日本サプリメント協会 集英社
※9 『本当に効く食とサプリ』 田中平三 ほか2名 同文書院

まとめ

ノコギリヤシの他にも、健康維持・増進のために、特に男性におすすめできる成分についてもご紹介しました。
マカや亜鉛、アルギニン、シトルリン、ギャバはどれも、男性だけでなく女性の健康や美容にもかかわりがある成分です。
毎日の食事から、適切に補っていくことをおすすめします。

監修者
大島
看護師免許、メンタル心理カウンセラー
美容外科・皮膚科にて勤務し、美容医療に5年ほど携わる。
AGAクリニックの立ち上げで、師長就任。
自身の美容経験から、医療機器に劣らないほど肌質改善が感じられた、ハーブピーリングでプライベートサロンを始める。
現在は美容医療に関わるコンサルタントや、美容メディアの運用、化粧品開発などを担当している。
https://www.facebook.com/oshima.em
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