ビタミンB12の働きは栄養素の運搬役を元気にすること。しっかり摂取して元気な毎日を送りましょう

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ビタミンというと、体には大切な栄養素とわかっていても、どのような種類や働きがあるのか、そこまでは分からないという人も多いのではないでしょうか。
ビタミンの中でも、体に欠かすことのできない大切な栄養素であるビタミンB12には、私たちの体を元気にしてくれるすてきなパワーが秘められているのです。
毎日の健康は、きちんとした食事管理が支えています。
ビタミン12を美味しく摂って、楽しく元気な毎日を送れる力を身につけましょう。

目次

  1. ビタミンB12とは
    • ビタミンとは
    • ビタミンB12の特徴
    • ビタミンB12とビタミンB群の関係
  2. ビタミンB12の発見と健康パワー
    • ビタミンB12はコバラミン?
    • ビタミンB12の働き
    • ビタミンB12が体内で不足してしまうと
  3. ビタミンB12を多く含む食品
    • ビタミンB12は野菜には含まれていない
    • ビタミンB12を美味しく摂取しよう
  4. ビタミンB12を上手に摂取しよう
    • ビタミンB12の1日の摂取量
    • ビタミンB12を摂取する時の注意
  5. まとめ

ビタミンB12とは

ビタミンとは

ビタミンB12を含むビタミンは、5大栄養素の1つです。※1、2

【5大栄養素】※1、2
・炭水化物
・脂質
・たんぱく質
・ビタミン
・ミネラル

5大栄養素のうち、炭水化物・脂質・たんぱく質の3つは3大栄養素と呼ばれ、3大栄養素がスムーズに体内で働くためには、ビタミンやミネラルが必要となります。※1、2
炭水化物だけ摂取しても、ビタミンが不足していると体内では上手に炭水化物の栄養を活用することができないのです。※1、2

ビタミンは有機化合物で、体内で必要とされる量はごく少量であり、微量栄養素とも呼ばれています。
しかし、その働きは極めて重要な役割を担っているのです。※1、2
ビタミンの種類によっては、体内で欠乏することで、大きく体調を崩してしまう可能性があります。
ビタミンについてきちんと理解し、体内で不足しないように日頃から食生活には気を配るようにしましょう。
それでは、ビタミンB12の特徴を見てみましょう。※1、2

ビタミンB12の特徴

ビタミンは水に溶けやすい水溶性ビタミンと、油に溶けやすい脂溶性ビタミンに分けることができます。
ビタミンB12は水溶性ビタミンに分類されるため、水に溶けやすいです。
その他にも、赤色の結晶であることや、光によって分解されるなどの特徴があります。※1、2、3
このような性質を知っておくと、ビタミンB12を保存する時には光を避ける、調理をする時には水に溶けるのでスープごと食べられる料理にするなど工夫を凝らすことができます。

またビタミンの中には体内で合成できないため、必ず食事から摂取しなければならないものがありますが、ビタミンB12は体内の細菌が合成できる栄養素の1つです。※1、2、3
では、ビタミンB12は食事などから積極的に摂取しなくても大丈夫なのでしょうか。
答えはNOです。

体内の細菌は、敵から体を守ったり、環境を整えたりといった大きな役割も兼ねています。
体内の細菌が元気に毎日活躍をしてくれれば良いのですが、忙しくストレスフルな現代社会では、体内の細菌が元気とは言い切れません。※1、2、3
本来の役割を忙しく果たしているため、ビタミンB12の合成までカバーできるとは限らないのです。
暴飲暴食や不規則な生活が続けば、体内でのビタミンB12の合成もうまくいきません。
ビタミンB12は、体内で合成できるからと安心せず、しっかりと毎日の食事から補ってあげるようにしましょう。※1、2

ビタミンB12とビタミンB群の関係

ビタミンB群という言葉、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
しかし、ビタミンA群やビタミンC群といったものは存在していません。
このビタミンB群は全部で8種類のビタミンがセットになっているのですが、1つの種類だけではうまく役割を果たすことができません。※1、2、3、4
そのため、ビタミンB12だけを摂取しても、大きな健康パワーは期待できません。
そして、ビタミンB12が不足してしまっても、他の栄養素が十分に活躍することができないのです。
ビタミンB群はセットで摂取するようにし、毎日の元気の種にしていきましょう。※1、2、3、4

※1 中村丁次監修 2020年3月発行 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版 
http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415327433/ 
※2 中嶋洋子・蒲原聖可(監修) 2017年10月発行 これは効く!食べて治す 最新栄養成分事典 
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784074258406
※3 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 (2)水溶性ビタミン
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586563.pdf
2021年4月30日閲覧
※4 牧野直子監修 2016年9月発行 世界一やさしい!栄養素図鑑 新星出版社 
http://www.shin-sei.co.jp/np/isbn/978-4-405-09325-6/#:~:text=%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%80%E3%82%84%E3%81%95%E3%81%97%E3%81%84%EF%BC%81,%E9%BA%BB%E5%B8%8C%20%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%88%20%7C%20%E6%96%B0%E6%98%9F%E5%87%BA%E7%89%88%E7%A4%BE

ビタミンB12の発見と健康パワー

ビタミンB12はコバラミン?

ビタミンB12の科学名はコバラミンです。
ではなぜビタミンB12とよばれているのでしょうか。
それはビタミンの発見が大きく関係しています。
ビタミンの発見は1910年にまで遡ります。
東京帝国大学の教授である鈴木梅太郎により米糠から発見され、オリザニンと名付けられました。※3
そして、1911年には生化学者のカシミール・フンクが、米を精米したものから、その物質だけを抽出することに成功し、その結晶物質をビタミンと命名しました。※3
ビタミンは「生命」を意味するラテン語の「VITA」が語源なのですが、その後同じような働きを持つ成分が次々と発見されました。※1
そのため、ビタミンは、発見されたものから順番にアルファベットをつけて呼ぶこととなりました。
ビタミンBでは、成分内に複数の物質が含まれていることもわかり、発見された順番に数字を付けて呼ばれるようになります。
1948年に、ビタミンB群に12番目の成分が発見されました。
これがビタミンB12です。※3
しかし、研究を重ねていくなかで、ビタミンではないものも含まれている物質も発見されてしまいました。
このような物質はビタミンからは除外されたため、ビタミンBの数字は飛び飛びになっています。※3

ビタミンB12の働き

ビタミンB12は、その他の栄養素と協力して巨赤芽球という所から、赤血球を作り出す働きにかかわっています。※1
赤血球は血液を構成する成分で、体内に酸素を運搬するという大きな役割があります。
そのためビタミンB12が上手に働くと、赤血球も元気になるため、体の隅々まで酸素を届けてくれるようになります。
またビタミンB12は、たんぱく質や核酸などの合成にも関わっています。※3、5、6
たんぱく質といえば、生命活動の維持に欠かせない栄養素ですので、このことからもビタミンB12は体内ではとても大切な栄養素であることが分かります。※1、2
さらにビタミンB12には、神経の働きを助ける役割や、バイオリズムを整える働きにも役立つため、しっかりと摂取して、シャキッとした毎日を過ごしましょう。※2、5

ビタミンB12が体内で不足してしまうと

ビタミンB12が体内で不足してしまうと、赤血球が上手に作れなくなってしまいます。
そのため、赤血球が異常に巨大になってしまったり、赤血球の数そのものが減少したりします。
これらは、ビタミンB12を補給していくことで、改善することが分かっています。※1、2、3
ビタミンB12は、体内で不足すると元気がなくなってくる可能性があるため、きちんと摂取することが大切です。
私たちの体と気持ちはつながっていますから、体の不調はやがて気持ちの不調にもつながりかねません。
日頃からビタミンB12が不足しないよう、しっかりと体内へ補ってあげるようにしましょう。※1、2、5、6

※1 中村丁次監修 2020年3月発行 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版 
http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415327433/ 
※2 中嶋洋子・蒲原聖可(監修) 2017年10月発行 これは効く!食べて治す 最新栄養成分事典 
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784074258406
※3 厚生労働省 (2)水溶性ビタミン
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000067134.pdf
2021年1月29日閲覧
※5 厚生労働省 eJIM 医療関係者の方へ 海外の情報 ビタミンB12
https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/14.html
2021年1月29日閲覧
※6 日本内科学会雑誌 104 巻 7 号 特集 貧血:基礎知識から治療の最前線まで 赤血球の生理機能と産生調整
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/7/104_1367/_pdf
2021年1月29日閲覧

ビタミンB12を多く含む食品

ビタミンB12は野菜には含まれていない

ビタミンB12を多く含んでいる食品をご存知でしょうか。
コバルトを含み、赤いビタミンとも呼ばれているこの栄養素は、他のビタミンとは少し違い、肉や魚に多く含まれています。※1、2
ビタミンB12を多く含んだ食品を知り、日ごろからしっかりと摂取するように心がけましょう。
それでは、ビタミンB12を多く含む食品をご紹介します。※1、2

【ビタミンB12を多く含む食品(1食当たりの目安量)/μg】※1、2
(肉)
・牛レバー50g/26.4
・鶏レバー50g/22.2
・豚レバー50g/12.6

(魚介)※1、2
・牡蠣小2個(70g)/19.7
・アサリ30g/15.7
・サンマ150g(1尾)/15.0
・イワシ丸干し40g(1尾)/11.7
・サバ80g(1切れ)/10.3

ビタミンB12はこの他にも、ホタテ貝やチーズ、卵などに多く含まれています。
そのため、日頃からきちんとした食事を摂取していれば不足することのない栄養素ではあります。
しかし、厳格なベジタリアンの方は上記のような動物性の食品を食べないため、ビタミンB12が欠乏しやすい状況があります。
ベジタリアンにはいくつかのタイプがあり、食べることのできる食品が大きく異なります。
卵を食べられるタイプや、中には肉も種類によっては食べることができるタイプもあります。※1、2

ベジタリアンの多いアメリカでは、ベジタリアン用食事ガイドラインがあります。
ガイドに従えば、肉や魚を摂取しなくても栄養不足は起こさないようになっています。
しかし、ビーガンのように卵や乳なども摂取しないといった菜食主義では、いろいろな食品を組み合わせてもビタミンB12が不足しがちになります。※1
このような場合では、ビタミンB12をきちんと補えるものを摂取し、欠乏を防ぐ必要があります。
また、ベジタリアンではない人でも、近年では手軽に口にできる食品が増えており、栄養バランスが傾きやすい傾向にあるため、ビタミンB12も不足しがちです。
自分の食生活を振り返り、ビタミンB12についてきちんと摂取できているかを確認しましょう。※1、2

ビタミンB12を美味しく摂取しよう

あさりは旨味が強く、ビタミンB12などの栄養素もたっぷりと含んだ素晴らしい食材です。
あさりはごはんのおかずはもちろん、お酒のつまみにもなります。
それでは、アサリを使ったレシピをご紹介します。※2

【アサリの酒蒸し/2人前】※2
アサリ 200g(砂抜きしたもの)
万能ねぎ 6g
☆おろししょうが・おろしにんにく 各6g
サラダ油 小匙1
酒 300㎖

作り方
1.万能ねぎを小口切りにする
2.フライパンにサラダ油と☆を加え火にかける
3.香りが出たらアサリと酒を加えフライパンに蓋をする
4.アサリの口が開いたら器にもり、万能ねぎを散らす

※1 中村丁次監修 2020年3月発行 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版 
http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415327433/ 
※2 中嶋洋子・蒲原聖可(監修) 2017年10月発行 これは効く!食べて治す 最新栄養成分事典 
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784074258406

ビタミンB12を上手に摂取しよう

ビタミンB12の1日の摂取量

ビタミンB12は、体内で不足しないように厚生労働省で1日の摂取量が定められています。
これはビタミンB12だけではなく、その他のいろいろな栄養成分の適量が示されており、日本人の食事摂取基準と呼ばれています。※1、7
日本人の食事摂取基準は日本人の健康の保持などが目的とされ、健康増進法に基づき定められており、それぞれの栄養素ごとに5つの指標から適切なものが、科学的根拠に基づいて記されています。※1、7

推定平均必要量
・特定の集団を対象として測定された必要量から推定された、性・年齢階級別の日本人の必要量の平均値

推奨量
・性・年齢階級ごとにほとんどの人が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量

目安量
・上記を算定するのに充分な科学的根拠が得られない場合の、性・年齢階級ごとの良好な栄養状態を維持するのに充分な量

目標量
・元気な体を作るために目標とすべき摂取量

耐容上限量
・体に不調を起こすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限で、超えて摂取した場合では潜在的なリスクが高まる摂取量

それでは、ビタミンB12の年齢ごと男女別の推奨量を見てみましょう。

【ビタミンB12の食事摂取基準:推奨量/推定平均必要量】※7

・男性
1~2歳:0.9/0.8
3~5歳:1.1/0.9
6~7歳:1.3/1.1
8~9歳:1.6/1.3
10~11歳:1.9/1.6
12歳以上:2.4/2.0

・女性
1~2歳:0.9/0.8
3~5歳:1.1/0.9
6~7歳:1.3/1.1
8~9歳:1.6/1.3
10~11歳:1.9/1.6
12歳以上:2.4/2.0

1歳以上については、目安量がなく、推奨量・推奨平均必要量が上記のように定められています。
一方、1歳以下では推奨量・推定平均必要量はなく、男女共に目安量として0~5カ月では0.4μg、6~11カ月では0.5μgと定められています。

いろいろな栄養素をより多く必要とする妊娠中や授乳婦では、ビタミンB12もしっかりと摂取していかなければいけません。
そのため、妊娠中の方は+0.4、授乳婦では+0.8のビタミンB12を摂取する必要があります。
大事な時期こそ、しっかりとビタミンB12を意識して、体内で不足しないように気を付けましょう。※1、7、8

ビタミンB12を摂取する時の注意

ビタミンB12は不足してしまうと体に不調を来す可能性があります。
では、ビタミンB12はたくさん摂取してもよいのでしょうか。
ビタミンB12は水溶性ビタミンであり、たくさん摂取しても体外へと排出されてしまうため、過剰摂取による体調不良の心配はないとされています。※1、7
しかし、体によいからとビタミンB12を含む食品を大量に摂取すると、それ以外の栄養素も過剰に摂取してしまう恐れがあります。
何事も適量を心がけ、栄養バランスのとれた食生活を送るように心がけましょう。
また、医師から処方されているお薬を常用している方や持病のある方は、ビタミンB12の摂取について注意が必要なこともあります。※8
このような方は、ビタミンB12を摂取する前に主治医に一度相談を行うようにしましょう。
元気な体を作るためにも、ビタミンB12が不足しないよう、しっかりと健康管理を行っていきましょう。※1、8

※1 中村丁次監修 2020年3月発行 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版
http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415327433/
※7 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
2021年1月29日閲覧
※8 日本医師会/日本歯科医師会/日本薬剤師会監修  2019年7月発行 健康食品・サプリ[成分]のすべて ナチュラルメディシン・データベース 日本対応版<第6版> 同文書院
https://www.dobun.co.jp/shop/tkxcgi/shop/goods_detail.cgi?GoodsID=00000386

まとめ

ビタミンB12は、体内で不足してしまうと、私たちの健康な体を維持しにくくなります。
健康な体というものは、1日で作ることはできません。
ビタミンB12の必要量はごくわずかでも、元気な毎日を送るために必要な栄養素です。
日頃から規則正しい生活リズムを送るとともに、バランスのとれた食事を摂るよう意識することが大切です。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
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