こんにゃくは元気な体の救世主?!美味しく食べて健康になろう!

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プニプニした食感のこんにゃくが好き、という方は多いのではないでしょうか。
板状、糸状、球状などいくつかの形状があり、手頃な価格で販売されているものの、調理には手間がかかってしまう食品かもしれません。
しかし、こんにゃくには体をスッキリさせる大きな働きがあります。
毎日の食生活にこんにゃくを取り入れ、毎日を元気に過ごしましょう。

目次

  1. こんにゃくとは
    • こんにゃくはイモからできている
    • 日本にはこんにゃくイモは存在しなかった
    • こんにゃくイモの品種
  2. こんにゃくの加工と種類
    • こんにゃくの加工
    • こんにゃくの種類
  3. こんにゃくの健康パワー
    • こんにゃくの成分
    • こんにゃくを加工することで栄養素がアップする?
  4. こんにゃくを美味しく食べるには
    • こんにゃくの1日の摂取量
    • いろいろな料理でこんにゃくを利用しよう
  5. まとめ

こんにゃくとは

こんにゃくはイモからできている

こんにゃくがイモからできていることは、多くの方がご存知ではないでしょうか。
こんにゃくの原料となるのは、サトイモ科のコンニャク属に分類されるイモで、こんにゃくイモと呼ばれています。
同じサトイモ科の植物には、国内ではテンナンショウマムシグサ・ザゼンソウなどがあります。※1
一方、こんにゃく以外のコンニャク属の植物には、日本国内(四国と九州)に分布している自生種のヤマコンニャクがあります。
ヤマコンニャクは、葉はこんにゃくイモによく似ているのですが、花は白く、イモにはコンニャクマンナンが含まれていないため、こんにゃくを作ることはできません。※1

日本でこんにゃくイモは、9割以上が群馬県で作られています。
多年生植物のこんにゃくイモは東南アジアが原産といわれ、2~3年もの年月をかけ肥大した球状の地下茎を作りますが、これがこんにゃくの原料となります。※2
こんにゃくイモは、中山間地域の畑作物の中では収益性が高いため、群馬県では基幹作物として重要な役割を担っています。
しかし、こんにゃくイモ農家の抱える課題として高齢化と担い手不足があり、生産量は減少傾向にあります。※2 

一方、世界には、コンニャク属のイモが100種以上あり、東南アジアや中国、アフリカなどに広く分布しています。※1
しかし、コンニャク属でイモの中にコンニャクマンナンを含んでいる種は、日本で作られるこんにゃくイモと、東南アジアに分布しているイロガワリコンニャクジャワムカゴコンニャクなどの数種のみとなっています。
つまり、世界規模で見ても、こんにゃくに加工できる種は、多いとは言えません。※1
現在の日本では、こんにゃく製品の輸入元として中国が大半を占めております。
国内の生産量減少が、こんにゃく経営の安定化に向けた重要な課題となっています。※1

日本にはこんにゃくイモは存在しなかった

こんにゃくイモはかつて、日本の野山には自生していませんでした。
古い時代に大陸から持ち込まれたと考えられているこんにゃくイモの伝来は明確にされていません。
縄文時代に里芋などと一緒に持ち込まれたという説と、仏教渡来とともに入ってきたという説に分かれています。※1 
江戸時代の書物では、百姓伝記や農業要書にこんにゃくイモの栽培法が書かれています。
絵入りの倭漢三才図解では、産地におけるこんにゃくイモの良し悪しまでもが記されていました。
このことからも、日本には古くからこんにゃくイモを栽培していたことが伺い知れますが、1776年に産業革命ともいえる出来事が起こりました。※1 

かつて、こんにゃくイモは重量があることから、遠くまでの運送には適していませんでした。
しかし、イモを粉にする加工法が水戸藩(茨城県久慈地方)により発明され、江戸などにも出荷することができるようになりました。※1
その後、寒村が富郷になるとまで言われたこんにゃくイモ栽培は藩の財政難を救うとされ、水戸藩はこんにゃくイモ栽培を奨励しました。
明治時代には、こんにゃくイモの栽培書が発行され、技術が向上し、貯蔵法も新しく開発されるようになりました。※1

こんにゃくイモの品種

日本で古くから栽培されてきたこんにゃくイモの品種は在来種です。 
この品種は品質が良いといった特徴を持つ一方で、細菌などの病害に弱いという短所があります。※1
そのため、在来種の栽培面積は全体ではごくわずかとなり、現在では病害に比較的強いあかぎおおだまが栽培面積の約5割を占めています。
また、あかぎおおだまと同程度で病害に強いみやままさりの栽培面積が拡大し、約4割を占めるようになりました。※2
このほかにも、こんにゃくの品種にははるなくろ・みょうぎゆたか・志那種などがありますが、どれも栽培面積はごくわずかとなっています。※2

※1 群馬県特作技術研究会(編) 2006年2月発行 新特産シリーズ コンニャク 栽培から加工・販売まで- 農文協
http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_4540041770/
※2 農林水産省 こんにゃくをめぐる事情 / 2021年1月25日閲覧
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/attach/pdf/konnyaku-15.pdf

こんにゃくの加工と種類

こんにゃくの加工

こんにゃくは、どのように作られているかご存じでしょうか?
こんにゃくの原料となる生イモをそのまますりおろしてこんにゃくを製造する方法や、生イモを乾燥させたものを利用する方法があります。
生イモを乾燥させ、千切り加工されたものは荒粉と呼ばれます。
さらに粉砕しイモの皮やでんぷんなどを取り除いたものは精粉と呼ばれ、これがこんにゃくの原料となります。※1、2

こんにゃくといえば、臭みが強いというイメージがありませんか?
こんにゃくの臭みは、こんにゃくに含まれているトリメチルアミンという物質が原因で、魚臭ともいわれる特有の臭みです。
キク科の植物に含まれることの多いこの物質は、魚介類が腐敗した際に生じるもので刺激性のある臭いを発します。
この臭みの成分は水やアルコールに可溶なため、近年ではアルコール精製を行うことで臭いの成分をかなり取り除くことができるようになりました。※3
こんにゃくは一般的に、生のこんにゃくイモを乾燥させて粉末にし(こんにゃく精粉といいます)、これに水や凝固剤を加えて作ります。
この過程の中でアルコール精製を行うことで、臭みの成分を少なくしているため、それほど臭いが気にならないこんにゃくが出来上がります。
一方、生イモをすりおろして作るこんにゃくはアルコール精製が行われないため、トリメチルアミンは取り除かれず、製品になっても臭みを感じるでしょう。※3 
トリメチルアミンは揮発性の物質ですので、加熱により分解され無臭物へと変化します
こんにゃくを調理するときには、しっかりとあく抜きを行うことで、美味しく食べることができます。※1、3

こんにゃくの種類

こんにゃくは、用途に応じて使い分けができるよう、いろいろな種類の製品が製造されています。
それでは、こんにゃくの種類にはどのようなものがあるのか見てみましょう。

【生イモこんにゃく】※2
生のこんにゃくイモや、こんにゃくイモを蒸し煮した後に、摩り下ろしやつき砕きで製造されたものです。
イモの皮などが入っているため、精粉から作られるこんにゃくとは一味違った独特の歯応えがあります。
用途は煮物やおでんが適しています。

【板こんにゃく】※2
型枠の中で凝固させたもので、厚い板状に切られています。
中には包装容器に詰めてから凝固されるものもあり、厚い板状に形成されています。
用途は生イモこんにゃくと同様、煮物などに適しています。

【玉こんにゃく】※2
玉状に固められたこんにゃくで、出店などでは串に数個が刺さった状態で目にすることもあります。
こちらも煮物やおでんなどに適しています。

【しらたき(糸こんにゃく)】※2
こんにゃくを紐状に固めたものです。
短時間で味が馴染むといった特徴から、すき焼きなどの鍋ものに適しています。
また、和えものに加えても美味しく食べることができます。

【刺身こんにゃく】※2
薄い板状に成形されたもの、または切られたもので、そのまま食べたり、簡単な水洗いで食べたりできます。
わさび醤油で食べるほか、サラダとして活用することもできます。

【こんにゃく米】※2
米粒状に凝固させたもので、お米と一緒に炊くこともできるこんにゃくです。
お米に混ぜると、主食のカロリーを抑えることができるため、健康志向の方や低糖質を好む方、あるいは糖質制限が必要な人から注目を集めています。

※1 群馬県特作技術研究会(編) 2006年2月発行 新特産シリーズ コンニャク 栽培から加工・販売まで- 農文協
http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_4540041770/
※2 農林水産省 こんにゃくをめぐる事情 / 2021年1月25日閲覧
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/attach/pdf/konnyaku-15.pdf
※3 永田勝也(著) 2006年9月発行 絶品 手づくりこんにゃく 秘伝わら灰こんにゃく、糸こんにゃくから、精粉こんにゃくまで 農文協
http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_4540060953/

こんにゃくの健康パワー

こんにゃくの成分

こんにゃくにはどのような栄養素が含まれているかご存知でしょうか。
原料はイモであるにも関わらず、こんにゃくの大半は水分が占めています。
そのため、カロリーはほとんど含まれておらず、精粉の板こんにゃくでは100gあたりでは5kcal、生イモこんにゃくでも7kcalとなっています。※4
これは、同じイモである里芋の10分の1、サツマイモなら20分の1以下のカロリーとなっています。
毎日の食生活にこんにゃくを取り入れれば、カロリーを気にすることなく満足感を得ることのできる食事を楽しむことができるでしょう。※1、4、5
また、カロリーを抑えるだけではなく、こんにゃくには体に溜まった不要なものを外へ出そうとする働きもあります。
「こんにゃくは砂をおろす」といった言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
これは、こんにゃくに含まれている体を元気にする働きに関係したものです。
こんにゃくの成分の中には、体内で消化することのできないものが含まれています。
この物質は、最終的に体外へと排出されるのですが、その際に体の中に残っているものを絡めとりながら出口へと押し進んでいきます。※5 
数十年前までは、この成分はエネルギー源や体の構成成分にもならないため役に立たないものとされていました。
しかし、近年では健康な体には必要な成分として、注目を集める栄養素となりました。
こんにゃくを意識して摂取し、スッキリとした毎日を送りましょう。※5 

こんにゃくを加工することで栄養素がアップする?

こんにゃくはカロリーが少なく、体内の調整もしてくれる優れた食品なのですが、ほかにも期待のできる健康パワーをたくさん含んでいます。
その一つは、こんにゃくを加工するうえで使用される消石灰です。
加工された食品というと、どこか体に悪いイメージがあるかもしれませんが、この成分を使用することにより、こんにゃくはアルカリ性の食品となります。※1、4
人間の体内は、食事を摂取すると「発酵」や「腐敗」という反応が起こります。
発酵は体に良い影響を与えるのに対し、腐敗は体内で毒性の物質を作り出してしまいます。
腐敗は体内が酸性に傾くと起こりやすくなります。
こんにゃくを美味しく食べて、元気を整えていきましょう。※5 

※1 群馬県特作技術研究会(編) 2006年2月発行 新特産シリーズ コンニャク 栽培から加工・販売まで- 農文協
http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_4540041770/
※4 文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)全体版
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
文部科学省 食品成分データベース / 2021年1月25日閲覧
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl
※5 中村丁次監修 2020年3月発行 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版
http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415327433/

こんにゃくを美味しく食べるには

こんにゃくの1日の摂取量

こんにゃくには、体をスッキリさせる元気パワーが詰まっています。
しかし、体に良いからとこんにゃくを大量に摂取し続けてしまうと、反対に体に負担をかけてしまいます。
こんにゃくは、体内に残ってしまう成分が多く含まれているため、一度にたくさん食べてしまうと体の中で詰まってしまう危険があります。※5
これでは、スッキリした体からは遠ざかってしまいます。
こんにゃくの健康パワーをしっかりと得るためには、丁度よい量を摂ることが大切です。
そのため厚生労働省では、年齢や性別ごとに、こんにゃくにも多く含まれる成分、食物繊維の1日当たりの平均目標摂取量を定めています。※5、6、7
2歳までは食物繊維の1日の摂取量は定められていませんが、3歳からの摂取目標量は下記のように表記されています。※7

【男性】
●3~5歳:8g以上
●6~7歳:10g以上
●8~9歳:11g以上
●10~11歳:13g以上
●12~14歳:17g以上
●15~17歳:19g以上
●18~64歳:21g以上
●65歳以上:20g以上

【女性】
●3~5歳:8g以上
●6~7歳:10g以上
●8~9歳:11g以上
●10~11歳:13g以上
●12~14歳:17g以上
●15~64歳:18g以上
●65歳以上:17g以上
●妊婦・授乳婦:18g以上


生イモの板こんにゃく100gでは、スッキリ成分=食物繊維は、約3.0g含まれています。
しかし、そのほかの栄養素もバランスよく摂取するためにも、こんにゃくだけで満腹になってしまうような食生活ではいけません。
野菜や肉、魚といったいろいろな食品をバランスよく摂り入れていきましょう。
スッキリ成分は食生活の欧米化などライフスタイルの変化により、摂取量が減少しています。
こんにゃくを毎日の食生活に上手に取り入れてみましょう。※5、6

いろいろな料理でこんにゃくを利用しよう

こんにゃくは食べ応えがあるため、満足感を感じながらもカロリーを抑えることができます。
また、こんにゃくを凍らせた氷こんにゃくは、解凍すると水分が抜けるため、噛み応えがさらにアップします。※8
しかも、見た目や食感はお肉にそっくりなため、肉の代用として利用することができます。
肉は、たんぱく質を摂取するためには欠かすことのできない食品ですが、過剰摂取によるカロリーオーバーには注意が必要です。
氷こんにゃくを上手に取り入れて、食べたい気持ちを大事にしながら、スッキリとした体を目指しましょう。※8

【氷こんにゃくの作り方】※8
1.使う形に切る
2.保存袋に入れる
3.冷凍する

氷こんにゃくを使う時は、袋のまま流水で解凍します。
解凍された氷こんにゃくは、ペーパータオルなどで水分を絞ります。
こんにゃくの水分がしっかり抜け、スポンジ状態になったこんにゃくは、しこしこの歯応えで、味をたっぷり含んでいます。
味付け次第でいろいろな食材に利用することができます。※8
また、水気を絞った氷こんにゃくが残ってしまった場合は、再び袋に入れ冷蔵保存をすれば3日程度は利用することができます。
氷こんにゃくで美味しく元気な毎日を送りましょう。※8

※5 中村丁次監修 2020年3月発行 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版
http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415327433/
※6 厚生労働省 「食事バランスガイド」で実践 毎日の食生活チェックブック / 2021年1月25日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/pdf/eiyou-syokuji8.pdf
※7 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020版) / 2021年1月25日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
※8 金丸絵里加(著) 2015年6月発行 氷こんにゃくで満腹ダイエットレシピ 学研プラス
https://hon.gakken.jp/book/2380049400

まとめ

私たちは、食べたものを消化し、残ったものを定期的に排泄しています。
食べたら出す、こうした体の中で行われている健康的な営みを助けるこんにゃくは、私たちの体を元気で健康なものへと導いてくれます。
こんにゃくを食生活に上手に取り入れ、快調な体を手に入れましょう。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
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