疲れにくい体を作る!疲労回復におすすめの方法

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しっかり休んだつもりなのに、なかなか疲れが抜けない…。
そんな悩みを持っている人は意外と多いものです。
知らず知らずのうちに疲労が蓄積されてしまうのはなぜでしょうか。
疲労の原因を理解して、対策することで疲れにくい体を手に入れましょう。

身体的疲労を解消するには?

日々の生活の中で疲労を感じることは誰にでもあります。
たとえば仕事が忙し過ぎたり、慣れない運動をしたりすると疲れを感じるはずです。
体が健康であれば、疲れを感じたとしても、しっかりと栄養を摂り、十分に休養すれば翌日には回復するでしょう。

しかし、休養をとっているのに、どういうわけか、なかなか疲れが抜けないことはありませんか?このように、どれだけ休んでも回復しない疲れのことを「慢性疲労」と呼びます。※1
たかが疲れだと思って、侮れないのが慢性疲労です。
この状態が続くと、自分でも気づかないうちに自律神経失調症やうつ病などを引き起こす恐れがあります。
最悪の場合は、過労死にいたることもあるのです。※2
そのため、ただの疲れと軽く見ずに、できるだけ翌日に持ち越さないように日々疲労回復を心がけることが大切です。

疲労を生む大きな原因の一つは、肉体的な疲労です。
肉体的な疲労は、筋肉を動かすためのエネルギーの不足や疲労物質である乳酸の蓄積などで起こると考えられていました。

乳酸とは、糖質が分解されてエネルギーになるとき、同時に生成される酸性の物質です。乳酸が蓄積されると普段は中性の筋肉が酸性に傾き、それが疲労やだるさにつながると考えられていたのです。※3

しかし、近年では乳酸はいつまでも筋肉に留まるものではないことから、疲れの直接的な原因ではないと考えられています。
むしろ、乳酸は筋肉の細胞のエネルギーとして、利用されることが、最近の研究から明らかになっています。

また、活性酸素も疲れの大きな原因と言われています。
運動のような負荷が体にかかると活性酸素が大量に発生します。
すると、活性酸素が筋肉や細胞を傷つけるため、それが疲労としてあらわれるというのです。
睡眠不足も活性酸素を発生させますので、疲れにつながることが分かるでしょう。

十分な休養が大切

肉体的な疲労を解消するためには十分な休養をとることが大切です

ここで言う休養とは、ただ体を動かさずにいることではなく、心と体をしっかりとリフレッシュさせることです。寝室の照明や寝具などを工夫して、良質な睡眠がとれるように心がけましょう。いつもはシャワーで済ませる人も、湯船にゆっくり浸かるのも効果的です。

また、普段の仕事や家事の際にも、正しい姿勢を心がけることが疲労蓄積の予防になります。※3

食事を大切にしよう

疲労回復のために、切っても切り離せないのが食事です。
疲れているときにはスタミナのある肉を食べるとよいと思われるせいかつませんが、肉類などのタンパク質だけではエネルギーを作り出す回路は働きません。
そのため、ビタミンB1やB2、カルシウムなどバランス良く取り入れる必要があります。
また、ビタミンCやクエン酸は体内の抗酸化力を高めることにより、疲労の緩和が期待できます。
これらを多く含む果物などを日々の食事に摂り入れると良いでしょう。※4

※1:東京医科大学 公衆衛生学分野 疲労回復のヒント 「慢性的に疲れているあなたへ」/2019年1月24日現在
http://www.tmu-ph.ac/recovery/index.php
※2:ニプロ すこやかネット 「『疲労』を考える」/2019年1月24日現在
https://www.nipro.co.jp/sukoyakanet/14/
※3:世田谷区保健センター 健康情報 「疲労回復のコツ」/2019年1月24日現在
http://www.setagayaku-hokencenter.or.jp/rest_body/method018.html
※4:グリコPOWER PRODUCTION MAGAZINE 「疲れたときに現れる症状はカラダからのSOS!?原因とと多処方を解説します」/2019年1月24日現在
http://cp.glico.jp/powerpro/citric-acid/entry113/

身体的疲労だけでない!精神疲労の原因のストレスを解消する方法は?

疲労は運動のし過ぎや同じ姿勢を続けるなどの身体的なストレスだけではなく、精神的なストレスによっても生じます。

心配事や悩みがある、人間関係の問題、生活環境の変化などによって、無気力や無関心、神経過敏、不安感などの症状が現れることを精神疲労と言います。※4,※5

精神的な疲労は、脳の中にある情報伝達を行う細胞(ニューロン)の重要なエネルギー源であるグリコーゲンの量が不足することと関係しています。グリコーゲンは運動すると減少するのですが、最近の研究では、運動後に超回復し、運動前よりも量脳内のグリコーゲン貯蔵量が増加するということが分かってきました。※6

この結果は、適度な運動を続けることが運動能力だけでなく、脳の機能の向上につながるということを強く示唆しています。

また、散歩などで外を出歩いたりスポーツを通して人と交流することは、精神のリフレッシュにも適しています。
無理はせず自分のペースでできる運動から始めてみると良いでしょう。※3

精神疲労の場合も肉体疲労と同様に、三食きちんとビタミンやミネラルのバランスのとれた食事と、しっかり休養をとることも大切です。

疲労感が続くときは、病気が原因のことも

適度な運動をして、食事や休養をしっかりとっても疲労感が続き、生活に支障をきたしている場合は、何らかの病気が原因となっている可能性があります。
たとえば強い疲労感の裏には、うつ病が潜んでいる場合もあるのです。
しかし、仮面うつ病などでは精神的な症状は乏しく、疲れなどの症状が前面に出てきますので、精神科を受診せずに悪化させてしまうケースも少なくはありません。
まずは内科を受診し、身体面での異常が認められない場合には精神科や心療内科を受診すると良いでしょう。※7

※3:世田谷区保健センター 健康情報 「疲労回復のコツ」/2019年1月24日現在
http://www.setagayaku-hokencenter.or.jp/rest_body/method018.html
※4:グリコPOWER PRODUCTION MAGAZINE 「疲れたときに現れる症状はカラダからのSOS!?原因とと多処方を解説します」/2019年1月24日現在
http://cp.glico.jp/powerpro/citric-acid/entry113/
※5:グリコPOWER PRODUCTION MAGAZINE 「疲労回復にオススメの方法を、毎日の疲れが取れないあなたに」/2019年1月24日現在
http://cp.glico.jp/powerpro/citric-acid/entry19/
※6:筑波大学プレスリリース 「スタミナをアップする脳グリコゲンローディング-脳神経の活動に不可欠なグリコゲンを運動で超回復できる−」/2019年1月24日現在
https://www.tsukuba.ac.jp/public/press/120131.pdf
※7:厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス 「疲労、全身倦怠感」/2019年1月24日現在
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/symptom1_1.html

長時間のデスクワーク注意!神経疲労におすすめの解消法は?

筋肉は、常に伸び縮みを繰り返しているのが普通ですが、長時間のデスクワークなどで同じ姿勢が続くと筋肉が収縮したまま固まった状態になってしまいます。

特に肩や首、腰など上半身の筋肉は硬くなりやすく、柔軟性がなくなることによって血行も悪くなります。
すると乳酸が溜まって、こりや痛みといった症状が現れることがあります。※2

加えて、長時間パソコンで作業をしていると、交感神経が優位な状態が続き、自律神経のバランスが崩れることもあります。
それが、疲労を引き起こす原因となります。
※8
そのため、デスクワークの方は休憩時間などに意識して体を動かして筋肉をほぐすことが大切です。
職場の周りを軽く散歩する、オフィスまでエレベーターでなく階段で上がる、職場の自販機ではなく近所のコンビニなどに飲み物を買いに行くなど、日々の生活の中に取り入れられる軽い運動から取り入れていきましょう。

また、職種によっては勤務時間中はオフィスから出られない場合もあります。
そういった場合には、椅子に座ったままできるストレッチをするだけでも筋肉の疲労がだいぶ違ってきます。
ストレッチは無理をせず、伸ばしている部分に痛みを感じる場合は程々に、自分が「気持ちいい」と感じる程度で留めておくようにしましょう。※8

疲れ目も全身の疲労感につながりますので、蒸しタオルなどで目の周りを温めることも有効です。
それが難しい場合は、気付いたときに意識して遠くに視線を合わせることで、目の水晶体を支えている毛様体筋の緊張が和らぎます。
また、姿勢が目や全身の疲労に影響を与えている場合もありますので、背筋を伸ばし、ディスプレイは目線のやや下に配置しましょう。※9
また、肉体疲労と同様に夜はシャワーで済まさず、熱すぎな38〜40度程度のお湯にゆっくり入浴することで全身をリラックスさせることができます。
また、デスクワークをされる方の多くが、足のむくみに悩んでいます。
湯船に浸かることで水圧によるマッサージ効果もありますので、足のむくみ解消にも入浴は有効な手段です。※8

※2:ニプロ すこやかネット 「『疲労』を考える」/2019年1月24日現在
https://www.nipro.co.jp/sukoyakanet/14/
※8:花王ヘルスケアナビ 体の悩み 「デスクワークになって、体調が悪く疲れが抜けない」/2019年1月24日現在
https://healthcare.kao.com/body/fatigue/fatigue3/
※9:花王ヘルスケアナビ 体の悩み 「パソコン仕事で夕方の疲れ目がひどい。目の奥も重い【原因と対策】」/2019年1月24日現在
https://healthcare.kao.com/body/tired-eyes/tired-eyes6/

毎日の習慣で疲労を予防!疲れにくい体を作る方法は?

これまで述べてきたように、なかなか抜けない疲れは、長時間のデスクワークや運動不足などの生活習慣から来ているものも多くあります。
慢性的な疲労を解消するためには、一時的な疲労回復手段ではなく、生活全体を見直した方がよいといえるでしょう。
以下に、疲れにくい体を作る生活習慣を具体的にご紹介いたしますので、日々の生活習慣改善にお役立てください。

①バランスの良い食事をとる(疲労回復になる食材がおすすめ)
疲労回復に重要な役割を果たすのが食事です。
日々の生活が忙しく、朝食や昼食は軽く済ませることが習慣になっている方も多いですが、まずは3食きっちりと食べることが大切です。
朝・昼食を少なくすると、どうしてもミネラルやビタミンなどの微量栄養素が不足しがちになります。
すると、夕食をたくさん食べることにつながり、睡眠中に胃腸が休まらず、体に負担をかけて慢性的な疲労につながります。※3

もちろん、食事のバランスも大切です。
疲労感は、体内に摂取した炭水化物や脂肪などを効率的にエネルギーに変換できない場合に出てくるとされています。
このエネルギー代謝をスムーズに行うためには、ビタミンが必要です。
種類によってビタミンの働きは違いますが、どれもそれぞれに重要な役割を果たしますので、偏食や忙しさなどの原因で同じようなものばかり摂取する方は要注意です。※10
また、アルコールの飲みすぎは肝臓を酷使し、タバコは体内のビタミンやミネラル類を壊すため、控えるようにしましょう。※3

②スタミナをつける(ビタミンB)
ビタミンはそれぞれに違う働きを持っていますが、その中でもスタミナ維持に大きな役割を果たすのがビタミンB群です。
ビタミンB1は糖質からのエネルギー生産、ビタミンB2は糖質や脂質の代謝、そしてビタミンB6はタンパク質からのエネルギー産生に関わり、いずれも皮膚や粘膜の健康維持という役割も担っています。
そのため、ビタミンB群を多く含む食品を積極的に摂取する必要があります。
ビタミンB1は豚肉やレバー、ブリ、カツオ、豆類などに、ビタミンB2はレバーやブリ、イワシ、サンマ、牛乳、納豆などに、B6はカツオやマグロ、鳥ささみやレバーなどに多く含まれますので、日々の食事に意識してこれらの食材を使ったメニューを作ってみると良いでしょう。※10

③良質な睡眠
睡眠は明日の活力を得るために、非常に大切な時間です。
そのため、睡眠時間をしっかり確保すると同時に睡眠の質も高めることによって、毎日の疲れを癒すことができるでしょう。※3
具体的には、毎朝同じ時間に起床して日光を浴びるようにして、生活リズムを整えましょう。
また、21時以降に夕食をとることが多い人は睡眠の質が低くなる傾向にあります。
特に朝食を抜いていたり、タンパク質をあまり摂らない人は、睡眠の質が低くなる傾向にあるので注意した方がよいでしょう。

トリプトファンという必須アミノ酸は、睡眠の質をコントロールするセレトニンやメラトニンという脳内物質と大きく関わっていることが分かっていますが、そのトリプトファンは、肉類や乳製品、大豆などのタンパク質に多く含まれています。
良質な睡眠のためには、タンパク質を含め、バランスの良い食事をきちんととること大切なのです。

また、カフェインやアルコール、タバコなど、睡眠に悪影響を与える嗜好品は特に夕方以降控えるようにしましょう。

40歳未満の若い方では、仕事以外の時間にテレビの視聴やコンピュータ、スマホなどの使用時間の長いほど入眠障害に陥りやすいというデータもあります。
そのため、特に夜間はスマホなどの使用を控えることで、睡眠の質を上げやすくなるでしょう。※11

④適度な運動
疲労の回復には良質な睡眠や適正な食習慣を気にすることが重要といえますが、適度な運動も有効です。
適度な運動は血行を良くし、筋肉や内臓の働きを活発にしますので、疲労回復に役立ちます(※3)。
運動といっても、ジョギングや水泳といった激しいものでなく、軽いストレッチやウォーキング程度で十分です。
軽い運動をすることで血流が良くなると、体に溜まった疲労物質が代謝されやすくなります。
摂取した栄養素や酸素が体内に十分に行き渡ることも疲労回復のポイントです。

また、運動を通じた社会的な交流が生まれることも、精神的な健康状態の向上につながります。※12

※3:世田谷区保健センター 健康情報 「疲労回復のコツ」/2019年3月15日現在
http://www.setagayaku-hokencenter.or.jp/rest_body/method018.html
※10:東京医科大学 公衆衛生分野 疲労回復のヒント 「疲労回復のための栄養素の効果的な摂取」/2019年3月15日現在
http://www.tmu-ph.ac/recovery/02.php
※11東京医科大学 公衆衛生分野 疲労回復のヒント 「睡眠時間の確保と睡眠の質の向上」/2019年3月15日現在
http://www.tmu-ph.ac/recovery/01.php
※12:東京医科大学 公衆衛生分野 疲労回復のヒント 「適度な運動」/2019年3月15日現在
http://www.tmu-ph.ac/recovery/03.php

まとめ

この記事では、運動などの身体的な要因だけではなくて精神的な要因や、長時間のデスクワーク、偏った食生活など、疲労には様々な要因が関わっていることをご紹介いたしました。

疲れを感じる場合、その原因は一つではありません。
様々な生活習慣が知らず知らずのうちに慢性的な疲労を招いています。
疲労回復のためには、まずは疲労を引き起こしていると考えられる生活の中の原因を見つけて、それらに応じた対策をとっていくことが大切です。

生活の習慣をすぐに見直すことは簡単なことではありません。
まずは、日々の暮らしに無理なく取り入れられることから始めましょう。
気づいたときには、以前より疲れにくい体になっているかもしれません。

 

監修者
大島
看護師免許、メンタル心理カウンセラー
美容外科・皮膚科にて勤務し、美容医療に5年ほど携わる。
AGAクリニックの立ち上げで、師長就任。
自身の美容経験から、医療機器に劣らないほど肌質改善が感じられた、ハーブピーリングでプライベートサロンを始める。
現在は美容医療に関わるコンサルタントや、美容メディアの運用、化粧品開発などを担当している。
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