DHAの摂取は魚の缶詰でもOK!DHAの気になる特徴をご紹介!
最近、よく耳にするようになった「DHA」。
青魚に多く含まれており、頭の働きを活発にする成分として知られています。
しかし、DHAのメリットはそれだけではありません。
最近の研究で、ほかにも効果があることがわかってきました。
DHAは体内ではほとんど作られず、食品から取り入れるしかありません。
日本人の魚離れが進む中、必要な量を摂取するのは難しいことです。
今回は、DHAの気になる特徴と手軽に補う方法についてお伝えします。
目次
- DHAとは?ドコサヘキサエン酸の特徴について
- 最近よく聞くDHAって何?
- DHAとEPA
- DHAは脂肪酸の1種
- 脂肪酸は種類によって性質が違う
- 脂肪酸の分類
- 必須脂肪酸の「オメガ3脂肪酸」とは
- 1日の目標摂取量
- DHAの気になる効果は?
- 脳の発達促進
- 認知症予防
- 視力低下予防
- 動脈硬化の予防・改善
- 抗がん作用
- DHAを食品から摂取するには?青魚に多く含まれる!
- 食品でのDHAの摂取方法
- 食品で摂る場合の注意点
- まとめ
DHAとは?ドコサヘキサエン酸の特徴について
最近よく聞くDHAって何?
テレビの健康番組や雑誌の特集などで、たびたび取り上げられているDHA。
なんとなく「体に良い」とは知っていても、詳しいことはわからないという人も多いのではないでしょうか。
DHA(Docosahexaenoic Acid)とは、ドコサヘキサエン酸の略称です。
不飽和脂肪酸の1種で、イワシやサバなどのいわゆる青魚に多く含まれています。
脂肪酸とは、わかりやすく説明すると、脂肪(油)を作っている成分です。
「脂肪=体に悪い」というイメージがあるかもしれませんが、脂質はたんぱく質や糖質と並んで三大栄養素のひとつです。体内でエネルギー源となるほか、細胞膜の構成成分や、生体にとって良い影響を及ぼす生理活性物質として働きます。 ※1 ※2
DHAとEPA
DHAと似たような成分にEPA(エイコサペンタエン酸)があります。
EPAはDHAと同じく、オメガ3系の不飽和脂肪酸に属し、脂の乗った魚の油に豊富に含まれている栄養素です。
化学構造式も似ているので、同じような効果・効能を示しますが、異なる点があるのも事実です。
たとえばDHAは、脳や神経組織の健康維持への効果が期待されています。
しかし、EPAにはそのような効果はありません。
一方、EPAには血栓を作りにくくして、血液の粘度を低下させる、俗にいう「血液サラサラ」作用があるとされています。
DHAの場合、EPAを完全にカバーするほどの効力はないと考えられています。 ※3 ※4
※1 マルハニチロ DHAのチカラ『DHAって何?』/2019年1月26日現在
https://www.maruha-nichiro.co.jp/dha/dha20000.html
※2 厚生労働省 e-ヘルスネット『脂肪脂質』/2019年1月26日現在
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-014.html
※3 マルハニチロ DHAのチカラ『DHA FAQ 〜DHAのここが知りたい〜』/2019年1月26日現在
https://www.maruha-nichiro.co.jp/dha/dha70000.html
※4 ニッスイ サラサラ生活向上委員会『EPAとDHAの違いとは?』/2019年1月26日現在
http://sara2.jp/epa/difference.html
DHAは脂肪酸の1種
脂肪酸は種類によって性質が違う
脂肪酸は、炭素・水素・酸素の3種類の原子が組み合わさってできています。
そのつながり方の違いによって、種類や性質が決まってくるのです。
脂肪酸は、分子構造の違いから「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2種類に大別されます。
炭素と炭素の間に二重結合がない脂肪酸を飽和脂肪酸、二重結合のある脂肪酸を不飽和脂肪酸と呼びます。
不飽和脂肪酸のうち、二重構造がひとつしかないものが「一価不飽和脂肪酸」、二つ以上あるものが「多価不飽和脂肪酸」です。
さらに、多価不飽和脂肪酸の中で、3個目の炭素に二重構造のあるものを「オメガ3脂肪酸」、6番目の炭素に二重構造があるものを「オメガ6脂肪酸」といいます。
飽和脂肪酸を過剰に摂取すると、悪玉コレステロールや中性脂肪を増やして、心疾患や動脈硬化のリスクを高めることが報告されています。
飽和脂肪酸は、バターやラード、牛肉、羊肉などの動物性食品のほか、天然のココナッツオイルにも多く含まれており、常温で固まるのが特徴です。
一方、不飽和脂肪酸は、マグロやイワシ、サバなどの魚類やオリーブオイル、ゴマ油、コーン油、グレープシードオイルなどの植物油に豊富に含まれています。
融点が低く、常温では固まりにくい性質で、体内では液体の状態です。
飽和脂肪酸の一部を不飽和脂肪酸に置き換えると、善玉コレステロールを増やし、心疾患のリスクを低減できることがわかっています。※5 ※6
脂肪酸の分類
必須脂肪酸の「オメガ3脂肪酸」とは
オメガ3の代表的な脂肪酸は、「α-リノリン酸」「DHA」「EPA」の3つです。
α-リノレン酸は、アマニ油やエゴマ油などの植物油に含まれており、体内で一部がDHAやEPAに変換される性質があります。
多価不飽和脂肪酸のうち、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸は「必須脂肪酸」と呼ばれており、体内で作ることができないため、外から取り入れる必要があります。
しかし、現代の日本では食生活の欧米化に伴い、意識しなくてもオメガ6脂肪酸を過剰に摂取する傾向があるのに対して、オメガ3脂肪酸は不足しがちです。
その原因のひとつとして、昔ほど魚が食べられなくなったことが挙げられます。
オメガ6脂肪酸の代表が、オリーブオイルに多いリノイン酸です。
過剰摂取すると、肥満や生活習慣病、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー性炎症疾患を引き起こす可能性があります。
リノール酸の摂りすぎに気をつけて、オメガ3と6をバランス良く取り入れることが大切です。 ※1 ※6
1日の目標摂取量
日本では、DHAの目標摂取量は具体的に示されていませんが、厚生労働省が制定した『日本人の食事摂取基準(2015 年版)』によると、オメガ3脂肪酸の1日あたりの摂取目安量として、成人男性の場合2.0g~2.4g、成人女性の場合1.6g~2.0gが推奨されています。
DHAは体にとってなくてはならない栄養素なので、毎日1.0g〜1.5gほど摂取するのが理想です。
DHAを1日1g摂ろうと思ったら、刺身ならマグロ4〜5切、ブリ6〜7切。
焼き魚では、サンマ約半尾、小イワシ約2尾。魚を毎日食べるのが難しければ、脂の乗った魚200g〜300gを週3回くらいに分けて摂ってもいいでしょう。 ※3 ※7
※1 マルハニチロ DHAのチカラ『DHAって何?』/2019年1月26日現在
https://www.maruha-nichiro.co.jp/dha/dha20000.html
※3 マルハニチロ DHAのチカラ『DHA FAQ 〜DHAのここが知りたい〜』/2019年1月26日現在
https://www.maruha-nichiro.co.jp/dha/dha70000.html
※5 消費者庁 『脂質と脂肪酸のはなし』/2019年1月26日現在
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/trans_fatty_acid/pdf/100910_3.pdf
※6 J-オイルミルズ 『脂肪酸の種類について』/2019年1月26日現在
https://www.j-oil.com/oil/type/fa/
※7 厚生労働省 『日本人の食事摂取基準(2015 年版)』/2019年1月26日現在
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
DHAの気になる効果は?
DHAを摂ると「頭が良くなる」という話をどこかで聞いたことがあるかもしれません。
その背景となるのが、イギリスのマイケル・クロフォード教授が1989年に発表した「日本人の子供の知能指数が高いのは、他国に比べて魚をたくさん食べていたから」という説です。
この推論が話題となり、DHAの研究が盛んに進められるようになりました。
これまでの研究で、次のような効果が期待できることがわかっています。※8 ※9
脳の発達促進
大脳皮質に存在する神経細胞は約140億個ともいわれています。
その中で、情報の受け渡しをするのが「シナプス」と呼ばれる神経細胞の末端にある場所です。
DHAには、シナプスを活性化させ、子供の学習能力を発達させる効果が期待できます。
子供にDHAを強化した調整乳を与えたところ、標準の人工乳を与えた子供に比べて問題解決能力が向上したことが報告されました。 ※8 ※10
認知症予防
認知症のタイプの中で最も多いとされるのが、アルツハイマー型です。
アルツハイマー型認知症は、脳の「海馬」と呼ばれる部分を中心に脳が萎縮することで起こります。
アルツハイマー病で亡くなった高齢者の海馬周辺を調べた結果、リン酸脂質中に含まれるDHA含有量の割合が、それ以外の病気で死亡した老人のものに比べて低いことがわかりました。
このことから、DHAにアルツハイマー病の発症を抑える作用があるのではないかと考えられています。 ※8 ※10
視力低下予防
網膜のリン酸脂質に含まれるDHAは全体の50〜60%を占めており、DHAが視覚機能にも深く関与していることが示唆されています。
サルに2世代にわたってDHAを含まないエサを与え続けた実験において、DHA欠乏症群のサルは比較対象群に比べて視力が劣っていることが明らかになったことが報告されています。※8
動脈硬化の予防・改善
生活習慣病の代表格である心筋梗塞や脳卒中は、動脈硬化によって引き起こされる病気です。
日本人の4人に1人が動脈硬化由来の心臓や脳の病気で亡くなっているといわれています。
DHAには、血小板を固まりにくくして、血管の詰まりを防ぐ抗血栓作用があるため、動脈硬化の予防や改善効果が期待できると考えられています。 ※8
抗がん作用
最近では、DHAの抗がん作用に注目が集まっています。
国立がん研究センターによる多目的コホート研究において、岩手県、秋田県、長野県、沖縄県、茨城県、新潟県、高知県、長崎県、沖縄県、大阪府に住む5−74歳の男女約9万人を対象に、1995年もしくは1998年から2008年まで11年間にわたって追跡調査し、魚およびオメガ3脂肪酸の摂取量と肝臓がんの発生との関連を調べました。
その結果、オメガ3系の多価不飽和脂肪酸を摂っているグループほど、肝臓がんの発生リスクが低いことがわかりました。
この研究結果は、2012年にアメリカの消化器病学雑誌「Gastroenterology」にも掲載されています。 ※9
※8 マルハニチロ DHAのチカラ『DHAの効果』/2019年1月26日現在
https://www.maruha-nichiro.co.jp/dha/dha10000.html
※9 水産庁『日本人の健康的な食生活を支える水産物』/2019年1月26日現在
http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h24_h/trend/1/t1_1_1_3.html
※10 Health benefits of docosahexaenoic acid(DHA)
Danielle Swanson Robert Block Shaker A. Mousa『Omega-3 Fatty Acids EPA and DHA: Health Benefits Throughout Life』
/2019年1月26日現在
https://academic.oup.com/advances/article/3/1/1/4557081
DHAを食品から摂取するには?青魚に多く含まれる!
食品でのDHAの摂取方法
DHAを食品から摂るには、魚料理を食べるのが基本です。
DHAを多く含む食品として、クロマグロ、ブリ、サバ、サンマ、ハマチなど、いずれも海の幸が挙げられます。
DHAを効率的に摂るには、脂が乗った旬の新鮮な魚を選び、脂を落とさないように料理するのがポイントです。
とはいえ、毎日家庭で魚をさばいて料理するのは大変かもしれません。
刺身や缶詰なら、すぐに食べられるので便利です。
また、スーパーの惣菜コーナーには、焼き魚や煮魚、お寿司など、調理済みの食品もたくさん並んでいます。
忙しいときには思い切って活用するのもひとつの手です。※9
食品で摂る場合の注意点
DHAは光に弱く、壊れやすい成分なので、鮮度のいい魚を生で食べるのがおすすめです。
天日干しで作られる干物の場合、DHA が酸化している可能性があります。
DHAが酸化してしまうと、本来の効果が失われてしまいます。
焼き魚にして食べるときは、抗酸化作用のある大根おろしやレモンを添えて酸化を防ぎましょう。
また、DHAは油に溶ける性質もあります。生食のDHAを100%とすると、焼き魚では約20%、フライや天ぷらでは約50%も減少してしまいます。
蒸したり、煮込んだりする際は、汁ごと一緒に食べてください。
缶詰を利用する場合も同様です。 ※11 ※12
まとめ
海の恵みであるDHAを摂取することで、さまざまな恩恵を受けることが期待できます。
血圧やコレステロールが気になる人は、意識して魚を食べるよう心がけましょう。
- 生出 晴華
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栄養⼠、アロマデトックスリンパトリートメント
栄養専門学校卒業後、フィットネスジム・エステ・健康食品販売が一体化したサロンにて栄養士として勤務。
お客様のダイエットやアンチエイジングのお手伝いをしていたことがきっかけで、さらに美しくなるサポートをするため、美容医療の道に進み、美容クリニックでカウンセラーを務める。
食生活と美容の関係が密接であることをより感じ、カウンセリングの中では、食生活などのアドバイスも取り入れてきた。
この春からは、さらなる医療の知識をつけるため社会人看護学生として、キャリアアップに励んでいる。
趣味は“美しさは一夜にしてならず”をモットーに、日々の生活の中から美容健康法を見出すこと。