大卒 初任給、平均いくら?
大卒の初任給は、およそ22万5000円です。
高卒や専門卒、大学院卒といくら違うのか、手取りではいくらになるのか、地方別や企業規模別の月収について、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに解説します。
※本記事は2022年4月28日時点の情報を元に作成されています。
そのため、記事を閲覧いただく時期によっては、記載内容が実際の内容と異なる場合がございます。
あらかじめご了承いただけますようお願いいたします。
目次
- 初任給とは?大卒は平均いくら?
- 初任給とは
- 大卒・院卒・高卒、専門卒、初任給の平均
- 手取りはいくら?給料の仕組みや引かれるもの
- 手取りの目安
- 初任給から引かれるもの
- 【業界別】大卒1年目の平均給与、最大3.6万円の差
- 【地方別】東京の初任給は高い?地方との差は?
- 新卒3年のお給料は?20代でいくら増える?
- 高卒の20代のお給料
- 大卒の20代のお給料
- 大学院卒の20代のお給料
- まとめ
初任給とは?大卒は平均いくら?
初任給とは
初任給は、新卒で採用されて初めて支給されるお給料のことです。
学校を卒業し4月から働き始めた場合、4月のお給料を指します。
初任給は、一般的に会社から支給される金額を指し、口座に振込まれる手取りの額ではありません。
また初任給には、基本給に通勤手当などが含まれます。
厚生労働省が実施している「賃金構造基本統計調査」の初任給の定義では、通勤手当は含みますが、残業手当などの超過労働の手当は含みません。※1
大卒・院卒・高卒、専門卒、初任給の平均
令和3年の「賃金構造基本統計調査」によると、大卒、大学院卒、高卒、専門卒、それぞれの初任給は以下の通りです。
【新卒者の学歴別初任給】
大学… 22万5400円※2
大学院… 25万3500円※2
高専・短大… 19万9800円※2
専門学校 …20万6900円※2
高校 …17万9700円※2
大卒は22万5400円、大学院卒は25万3500円、高卒は17万9700円です。
大卒の平均的な初任給は、高卒よりも約5万円高く、大学院卒よりも約3万円低いことが分かります。
※1 厚生労働省│令和2年「賃金構造基本統計調査」結果の概況:利用上の注意/2022年4月28日現在
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/chuui.html
※2 厚生労働省│令和3年「賃金構造基本統計調査」新規学卒者/2022年4月28日現在
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/dl/09.pdf
手取りはいくら?給料の仕組みや引かれるもの
初任給に限りませんが、お給料は月収と手取りの額面が異なります。
手取りは、支給される月収から税金や社会保険料を引いた金額です。
手取りの目安
口座に振込まれる手取りの額は、初任給のおよそ8割程度が目安です。
平均的な初任給22万5000円であれば、手取りの目安は18万円です。
実際に手取りがいくらになるかは、生命保険の有無や扶養家族の人数の影響を受けるため、8割はあくまで目安と考えて下さい。
初任給から引かれるもの
初任給から差し引かれるのは、税金だけではありません。
下記の保険料も徴収されます。
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 所得税
【健康保険料】
健康保険料は、健康保険のための保険料です。
社会保険に加入している企業で働く限り、必ずお給料から差し引かれます。
健康保険料の負担は会社と折半で、自己負担約5%、会社負担約5%です。
健康保険料は、お給料の5%が目安ではあるものの、会社のお給料の締め支払い日次第では、4月の初任給での支払いはないこともあり得ます。
その場合は、翌月2か月目のお給料から差し引かれます。
【厚生年金保険料】
厚生年金保険料も健康保険料と同様に、社会保険に加入している企業で働く限り支払わなければならない保険料です。
厚生年金の保険料の目安は、お給料の約9%です。
こちらも、会社のお給料の締め支払い日によっては、入社初月の支払いがない場合もあるでしょう。
【雇用保険料】
雇用保険は、企業が従業員に対して、法律で加入が義務付けられている保険です。
雇用保険に加入していると、失業したときや、育児や介護で働けないときに給付金が受け取れます。
保険料はお給料の0.3%と高くはありません。
【所得税】
所得税は、毎月支払われるお給料に対してかかる税金です。
お給料の額面により税率や控除額が異なります。
お給料が高くなるほど、所得税率も高くなります。
【住民税は入社2年目から】
働き始めの入社1年目は、住民税は課せられません。
住民税は前年の収入をもとに税額が算出されるため、住民税がお給料から差し引かれるのは2年目以降です。
【業界別】大卒1年目の平均給与、最大3.6万円の差
「賃金構造基本統計調査」によると、大卒の業種別のお給料は、業界により3万以上の差があります。
最も高い学術研究、専門・技術サービス業で23万4000円、最も低い複合サービス事業でおよそ19万8000円です。※3
大卒1年目の平均月給で、およそ3.6万円の差があるようです。
ただこのデータは、月給のみの比較です。
ボーナスは含まれていません。
ボーナスの額は業界や企業規模により異なり、初任給が多い業界=年収が高いということではありません。
【業界別初任給(大卒)】(単位:千円)
業界 | 初任給(円) |
---|---|
学術研究,専門・技術サービス業 | 234.2 |
鉱業,採石業,砂利採取業 | 231.4 |
情報通信業 | 230.0 |
医療,福祉 | 226.3 | 不動産業,物品賃貸業 | 225.1 | 建設業 | 222.3 | 宿泊業,飲食サービス業 | 222.2 | 製造業 | 221.2 | 生活関連サービス業,娯楽業 | 220.9 | サービス業(他に分類されないもの) | 219.6 | 教育,学習支援業 | 217.6 | 卸売業,小売業 | 217.2 | 金融業,保険業 | 216.8 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 214.2 | 運輸業,郵便業 | 214.0 | 複合サービス事業 | 197.8 |
※3 厚生労働省│令和3年「賃金構造基本統計調査」より作成
【23万円以上の業種】
- 学術研究,専門・技術サービス業
- 鉱業,採石業,砂利採取業
- 情報通信業
【20万未満の業種】
- 複合サービス事業
業界ごとに差があるだけでなく、地域ごとにも初任給に差があります。
東京の初任給は、他の地域よりも高いのでしょうか。
次章では地方別に初任給を確認します。
※3 厚生労働省│令和3年「賃金構造基本統計調査」標準労働者の学歴、年齢各歳別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額/2022年4月28日現在
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001164106&tclass2=000001164107&tclass3=000001164112&stat_infid=000032182974&tclass4val=0
【地方別】東京の初任給は高い?地方との差は?
東京で働くか地元に就職するかで、初任給はいくら違うのでしょうか。
東京は、家賃や物価が高くお給料も高いイメージはありませんか?
しかし他の地方と東京を比較すると、初任給では大きな差はないようです。
「賃金構造基本統計調査」より、日本国内の主要な県の初任給を下記表にまとめました。
【新卒の地域別初任給】(単位千円)
高校 | 専門学校 | 高専・短大 | 大学 | 大学院 | |
---|---|---|---|---|---|
全国 | 179.7 | 206.9 | 199.8 | 225.4 | 253.5 |
宮城 | 171.7 | 195.8 | 202.0 | 224.1 | 281.8 |
東京 | 198.6 | 211.9 | 203.6 | 230.6 | 256.3 |
愛知 | 179.6 | 210.4 | 200.9 | 222.3 | 239.7 |
大阪 | 187.9 | 221.9 | 208.7 | 227.6 | 261.2 |
広島 | 173.6 | 188.3 | 209.1 | 228.4 | 229.9 |
福岡 | 181.2 | 196.8 | 200.6 | 218.7 | 232.8 |
※4 厚生労働省│令和3年「賃金構造基本統計調査」より作成
・大卒
大卒では、東京の初任給が最も高く、およそ23万1000円です。
最も低い福岡との差は1万円超、他の地域との差は1万円未満となっており、東京と地方の差は大きくはありません。
・高卒
高卒の初任給を比較すると、東京の初任給が最も高くおよそ20万円です。
最も低い宮城県の約17万2000円よりも、2万8000円高い金額です。
東京に次いで高い大阪と比較しても、およそ1万円の違いがあります。
・専門学校・高専・短大
専門学校卒や高専・短大卒の初任給は、東京よりも大阪の方が高いようです。
・大学院卒
さらに、大学院卒では、東京よりも宮城や大阪の初任給の方が高く、東京が最も高いわけではありません。
大学院卒に関しては、最も高い宮城の初任給は東京よりも2万5000円高く、次いで多い大阪は東京より5000円高い額です。
高卒および大卒は東京の初任給が平均的に高いものの、専門や短大、院卒は地方の方が高いケースがあることが分かります。
※4 厚生労働省│令和3年「賃金構造基本統計調査」都道府県別/2022年4月28日現在
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toouukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001164106&tclass2=000001164107&tclass3=000001164117&stat_infid=000032183054&tclass4val=0
新卒3年のお給料は?20代でいくら増える?
初任給は、学歴や業種や地方により差があることがわかりました。
その後、勤続年数が増えるごとに、お給料の差に変化はあるのでしょうか。
企業規模ごとの20代のお給料を学歴別にまとめました。
※初任給と比較するため、ここではボーナスは含まれておりません。ひと月のお給料の年齢別の推移をまとめています。
高卒の20代のお給料
大卒より働き始めるのが早い高卒では、29歳には勤続12年です。
29歳までの12年間で平均して約7.5万円お給料が増え、初任給18万円が、29歳では25.3万円まで昇給しています。
企業規模別では、入社時点のお給料も大手企業が最も高く、その後も各年齢で中小企業よりも高いお給料を維持しています。
【初任給後の給料額:高卒】(単位:千円)
合計 | 1,000人以上 | 100~999人 | 10~99人 | |
---|---|---|---|---|
18歳 | 178.9 | 181.1 | 178.3 | 176.8 |
19歳 | 186.8 | 191.3 | 183.8 | 184.9 |
20歳 | 191.6 | 198.5 | 187.6 | 188.6 |
21歳 | 196.0 | 204.6 | 191.9 | 189.8 |
22歳 | 204.5 | 213.0 | 198.4 | 203.4 |
23歳 | 207.4 | 217.4 | 200.9 | 203.2 |
24歳 | 212.9 | 217.9 | 208.8 | 212.5 |
25歳 | 223.0 | 234.7 | 214.5 | 223.7 |
26歳 | 228.6 | 245.5 | 217.3 | 221.8 |
27歳 | 239.4 | 259.3 | 226.7 | 227.5 |
28歳 | 246.0 | 259.9 | 235.9 | 240.5 |
29歳 | 253.3 | 265.6 | 241.9 | 248.3 |
※3 厚生労働省│令和3年「賃金構造基本統計調査」より作成
大卒の20代のお給料
大卒のお給料は、22歳~29歳までで平均6万円昇給しています。
初任給22.2万円が、29歳では28.2万円です。
企業規模別にみると、大手企業では平均7万円増で中小よりもお給料が上がっていることが分かります。
中小企業の昇給額は、29歳までに平均5万円前後です。
【初任給後の給料額:大卒】(単位:千円)
合計 | 1,000人以上 | 100~999人 | 10~99人 | |
---|---|---|---|---|
22歳 | 221.7 | 226.9 | 220.0 | 211.2 |
23歳 | 228.2 | 230.7 | 228.0 | 219.4 |
24歳 | 234.6 | 242.2 | 230.1 | 223.3 |
25歳 | 245.0 | 255.0 | 236.9 | 232.8 |
26歳 | 254.4 | 264.1 | 247.3 | 239.3 |
27歳 | 269.2 | 290.8 | 251.5 | 243.9 |
28歳 | 271.9 | 282.5 | 264.0 | 254.9 |
29歳 | 281.8 | 296.8 | 272.8 | 257.5 |
※3 厚生労働省│令和3年「賃金構造基本統計調査」より作成
大学院卒の20代のお給料
大学院の場合、修士か博士かで卒業年齢が異なります。
ここでは主に修士卒を対象とし、24歳からのお給料をまとめました。
29歳までの6年間でおよそ6万円昇給しています。
初任給24.5万円が、29歳では30.3万円です。
大学院卒の場合も、大手企業が最もお給料が増えています。
【初任給後の給料額:大学院卒】(単位:千円)
合計 | 1,000人以上 | 100~999人 | 10~99人 | |
---|---|---|---|---|
24歳 | 245.0 | 251.8 | 238.1 | 231.4 |
25歳 | 257.0 | 265.6 | 243.9 | 243.6 |
26歳 | 262.6 | 265.8 | 260.6 | 240.4 |
27歳 | 275.9 | 282.4 | 264.3 | 254.8 |
28歳 | 287.5 | 292.2 | 279.6 | 279.3 |
29歳 | 302.8 | 310.1 | 290.2 | 275.0 |
※3 厚生労働省│令和3年「賃金構造基本統計調査」より作成
やはりどの学歴でも、大企業ほど初任給も昇給額も高いようです。
※3 厚生労働省│令和3年「賃金構造基本統計調査」標準労働者の学歴、年齢各歳別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額/2022年4月28日現在
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001164106&tclass2=000001164107&tclass3=000001164112&stat_infid=000032182974&tclass4val=0
まとめ
大卒の初任給は、22万5400円、大学院卒は25万3500円、高卒は17万9700円です。
学歴によりお給料は異なるものの、他にも業界ごとや地方ごとによっても差があるようです。
また将来の年収は、初任給で決まるわけではありません。
入社後の昇給状況を見ると、入社時から29歳までにおよそ5~7万円ほどの昇給が見込まれます。
今回は、初任給を比較するため、ボーナスや手当は考慮していません。
実際の年収は、初任給にボーナスや各手当を含めた金額で決まります。
就活や転職の企業選びの際には、初任給はもちろん、年収も参考にしてください。
※本記事は2022年4月28日時点の情報を元に作成されています。
そのため、記事を閲覧いただく時期によっては、記載内容が実際の内容と異なる場合がございます。
あらかじめご了承いただけますようお願いいたします。