【出産費用】実際はいくらかかる?平均と内訳、補助金について解説

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出産費用がいくらかかるかは、地域や出産方法により異なります。
高額な出産費用ではあるものの、一時金や手当金、補助金などの支給もあり、全額が自己負担ではありません。
ここでは、地域ごとの出産費用の平均と内訳、さらに一時金や補助金などについてご紹介します。
出産後、0歳のうちの子育て費用も解説していますので、出産費用の目安にご覧ください。

 

目次

  1. 出産費用はいくらかかる?東京は高い?
  2. 地域別の出産費用、平均と内訳
    • 出産費用の平均額
    • 出産費用の内訳
    • 無痛分娩の費用
    • 帝王切開の費用
  3. 出産の一時金はいくら?高額療養費の限度額は?
    • 出産育児一時金とは
    • 高額療養費とは
    • 会社員の手当「出産手当金」とは
    • 自治体独自の補助金も
  4. 出産準備にもお金がかかる!産後の子育て費用も気になる
    • 出産準備の費用
    • 1歳までにかかる費用
  5. まとめ

出産費用はいくらかかる?東京は高い?

妊娠すると、検診などで予想以上にお金がかかるものです。
これら出産を迎えるにあたり、分娩や入院費、出産準備の費用もかかり、経済的に不安な方も多いかもしれません。
出産にかかる費用の全国平均は、約46万円です。(正常分娩の場合)※1
これは分娩や出産時の入院など、正常分娩のお産にかかる費用の平均です。
地域や分娩方法により費用は異なり、首都圏の場合や無痛分娩の場合は、これより増えることも少なくないでしょう。
出産に、これほどのまとまったお金が必要なのかと心配になりますよね。

 

しかし、この額を全額自分で支払うわけではありません。
このうち自己負担するのは、基本的には出産費用の総額から42万円を差し引いた金額です。
出産育児一時金が42万円支給されるため、自己負担するのはその差額です。

東京都内の出産費用の平均は約54万円。※1
出産育児一時金42万円を受給すると、自己負担は12万円です。
地域ごとの出産費用の違いや正常分娩以外の出産方法にかかる費用は、次章で詳しく解説します。

 

※1 出産育児一時金について│厚生労働省/2022年2月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000700493.pdf

地域別の出産費用、平均と内訳

出産費用は地域により差があり、東京都の中央値は536,000円、沖縄県の中央値は356,000円です。※1
東京の出産費用は、沖縄の1.5倍かかります。
主要都市ごとの出産費用を見てみましょう。

 

出産費用の平均額

厚生労働省の令和元年度の調査によると、出産(通常分娩)にかかる費用は、
・平均値 460,217円※1
・中央値 451,120円※1
です。

 

【主要都市の出産費用(中央値)】

  • 北海道:401,014円※1
  • 宮城県:478,740円※1
  • 東京都:536,196円※1
  • 神奈川県:487,616円※1
  • 千葉県:458,730円※1
  • 埼玉県:460,245円※1
  • 愛知県:449,827円※1
  • 大阪府:434,000円※1
  • 兵庫県:441,100円※1
  • 広島県:448,700円※1
  • 福岡県:425,980円※1
  • 沖縄県:356,000円※1

 

最も高いのは東京都で約54万円です。
東京都以外の首都圏と宮城県は45~50万円、その他は40万円台前半です。
全国をみても40万円前後の県が多く、東京都が突出して高いことがわかります。

 

・中央値とは…
中央値は、データを小さい順に並べた時に、真ん中にあたり値のことです。
突出して高い値や低い値の影響を受けやすい平均値よりも、中央値はデータの中心が反映されるのが特徴です。

 

出産費用の内訳

病院からもらう出産費用の説明を見ると、分娩料や入院費以外にも様々な項目が書かれているかもしれません。
前章でご紹介している出産費用は、何にいくらかかっているのでしょうか。
正常分娩の場合の費用の主な内訳は下記の通りです。

 

【出産費用の内訳】

  • 分娩料:201,458円※1
  • 入院料:180,452円※1
  • 新生児管理保育料:37,480円※1
  • 室料差額:19,688円※1
  • その他:32,202円※1
    など

出産費用のうち、分娩料と入院料が高額だと分かりますね。
ここまででご紹介した金額は、正常分娩の場合の費用です。
無痛分娩や帝王切開では、どれくらいの費用がかかるのかも見ておきましょう。

 

無痛分娩の費用

無痛分娩は、麻酔を使い出産時の痛みを和らげる方法です。※2
無痛分娩の費用は病院により異なるものの、正常分娩の費用プラス10万~20万円。※3※4※5
医療行為ではないため、全額自己負担です。
どの病院・産院でも受け付けているわけではありません。
無痛分娩を実施している病院は、JALA(無痛分娩関係学会・団体連絡協議会)のホームページで確認できます。※6

 

帝王切開の費用

帝王切開は、開腹手術で出産する方法です。
医療行為にあたり、保険が適用されます。
正常分娩や無痛分娩とは異なり保険が適用されるため、出産費用が安いと思われる方もいるかもしれません。
ただ帝王切開の場合は、入院日数が正常分娩よりも長く、入院料がかかります
さらに術後の投薬料などもかかるため、出産にかかる費用の総額は正常分娩の場合とあまり変わりありません

帝王切開の手術費は診療報酬で決められており、どの病院でもおよそ20万円~22万円です。※7

保険が適用されるため、このうち支払うのは3割です。
高額療養費制度も利用できるため、保険が適用される項目の自己負担額は、高額療養費の上限限度額を超えることはありません。
高額療養費の上限限度額は、年収により異なります。


帝王切開の場合も、正常分娩と同じく出産育児一時金が支給され、全額自己負担というわけではありません。
次章では、出産費用の一時金や補助金について詳しく解説します。

 

※1 出産育児一時金について│厚生労働省/2022年2月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000700493.pdf
※2「無痛分娩」を考える妊婦さんとご家族の皆様へ│厚生労働省/2022年2月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000211831.pdf
※3 出産のための入院費用のご案内 | 入院のご案内 | 愛育病院/2022年2月15日現在
https://aiiku.net/inpatient/charge.php
※4 無痛分娩|愛和病院/2022年2月15日現在
http://www.aiwahospital.or.jp/guide/aiwa/littlePainDelivery.php
※5 分娩費用/【東大病院 産婦人科】総合周産期母子医療センター/2022年2月15日現在
https://www.obstetrics-htu.jp/delivery/delivery_fee/
※6 JALA | 無痛分娩関係学会団体連絡協議会/2022年2月15日現在
https://www.jalasite.org/
※7 妊産婦にかかる保健・医療の現状と関連施策│厚生労働省/2022年2月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000479245.pdf

出産の一時金はいくら?高額療養費の限度額は?

出産育児一時金とは

前章まででご紹介した出産費用は、出産にかかる費用です。
自己負担する額ではありません。
出産では一時金や補助金などが支給されるため、実際の自己負担額は数万円という場合も少なくないでしょう。
分娩方法により適用される支援が異なります。
分娩方法ごとに、どのような補助がいくらあるのかまとめました。

 

【正常分娩・無痛分娩等の補助】
・出産育児一時金:42万円(40.8万円の場合あり)

 

【帝王切開の補助】
・出産育児一時金:42万円(40.8万円の場合あり)
・高額療養費

 

高額療養費とは

高額療養費制度は、病院での医療費の支払いが上限額を超えた場合に費用の一部を負担してもらえる制度です。
対象となるのは保険が適用される医療費のみ
つまり帝王切開の場合に利用でき、正常分娩は適用外です。
また入院時の差額ベッド代や食事代などには適用されません。※10

負担する医療費の上限額は、年収により異なります。
年収約370万~約770万円の場合は、1ヶ月の上限額は80,100円+(医療費-267,000)×1%。※10

 

【医療費の支払い上限額】

  • ~年収約370万円:57,600円※10
  • 年収約370~約770万円:80,100円+(医療費-267,000)×1%※10
  • 年収約770~約1,160万円:167,400円+(医療費-558,000円)×1%※10
  • 年収約1,160万円~:252,600円+(医療費-842,000円)×1%※10
  • 住民税非課税者:35,400円※10

 

会社員の手当「出産手当金」とは

出産手当金は、出産のために会社を休んだ際の手当です。
出産育児一時金とは異なり、出産後に申請により支給されます。
対象は、健康保険組合に加入して会社員として働いている人です。
産前産後休暇中の給与の代わりとして支払われます。
専業主婦(被扶養者)はもらえません。

 

【出産手当金の概要】

  • 支給額:およそ給与の2/3
    (1日当たり:標準月額報酬の平均額÷30×2/3) ※11
  • 対象者:会社を休み給料が支払われていない被保険者※11
  • 受給条件:出産前42日~主産の翌日以降56日まで※11

 

出産育児一時金は、出産にかかる費用負担軽減のための一時金です。
健康保険組合から支払われます。
健康保険に加入している会社員だけでなく、被扶養者の専業主婦や国民健康保険に加入する自営業者も受け取れます。
金額は一律42万円(産科医療保障制度対象外の出産の場合は40.8万円)です。※1
一児につき42万円ですので、双子の場合は84万円が支給されます。※8
妊娠4カ月以降の出産が対象で、早産や死産、流産も受給対象です。※8

 

【出産育児一時金の概要】

  • 支給額:一児あたり42万円※1
    (産科医療保障制度対象外の出産の場合は40.8万円)※1
  • 対象者:会社員、専業主婦、自営業者など※1
  • 受給方法:出産した医療機関に直接支払もしくは被保険者が受け取り

 

・いつもらえる?受け取る方法は?

出産育児一時金は、病院に直接支払い、出産費用に充当できます。
健康保険組合から病院に直接支払われるので、まとまったお金を用意する必要がありません。(対象外の病院あり)※1
いったん自分で病院に支払い、出産後に健康保険組合に申請をして受給することもできます。※1

 

・出産育児一時金をもらえない場合とは?
出産育児一時金が受け取れるのは、健康保険に加入している人(被保険者)とその家族(被扶養者)です。※8
健康保険に加入していない場合は、もらえません
また対象となるのは、妊娠4ヶ月以降の出産です。
妊娠4ヶ月以前の出産は対象ではありません。

 

・一時金を超えた場合は?
出産費用が出産育児一時金の42万円を超えた場合、差額は自分で病院に支払います。※8
正常分娩は保険適用外なので、高額療養費は適用されません。

 

・一時金を下回る場合、差額はもらえる?
出産費用が一時金の42万円を下回った場合は、その差額を請求できます
出産後に健康保険組合に申請すると、後日口座に振り込まれます。

 

・健康保険組合の付加給付金も
健康保険組合独自の制度で、42万円に付加給付金がプラスで支給される場合もあります。※9
付加給付金の額は健康保険組合ごとに異なりますので、ホームページなどで確認してください。

 

自治体独自の補助金も

これらの国の支援制度とは別に、独自の補助金制度を実施している自治体もあります。
東京都では、コロナ禍の出産支援を目的に、出産後に10万円相当分の補助が受けられます。※12
出産後に専用カードが配布され、育児用品の購入や子育て支援サービスの利用に使えます。※12


※1 出産育児一時金について│厚生労働省/2022年2月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000700493.pdf
※8 子どもが生まれたとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会/2022年2月15日現在
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3280/r145/#:~:text=%E5%87%BA%E7%94%A3%E8%82%B2%E5%85%90%E4%B8%80%E6%99%82%E9%87%91%E3%81%AF,%E4%B8%87%E5%86%86%EF%BC%89%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82%EF%BC%89
※9 被保険者が出産したとき | [ITS]関東ITソフトウェア健康保険組合/2022年2月15日現在
https://www.its-kenpo.or.jp/hoken/situation/case_03/hihoken.html
※10 高額療養費制度を利用される皆さまへ/厚生労働省保険局/2022年2月15日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf
※11 出産で会社を休んだとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会/2022年2月15日現在
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3290/r148/#:~:text=%E5%87%BA%E7%94%A3%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%82%92,%E9%87%91%E3%81%8C%E6%94%AF%E7%B5%A6%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
※12 東京都出産応援事業│東京都/2022年2月15日現在
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/tokyo_shussanouen.files/shussanoen_leaf.pdf

 

出産準備にもお金がかかる!産後の子育て費用も気になる

出産準備の費用

平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査によると、第一子妊娠中の出産準備にかかった費用は、全国平均で約66,000円、東京23区の平均は75,000円です。※13
この他にも、里帰り出産や通院する交通費や妊娠中の健診費用がかかり、出産までにもまとまったお金がかかることが分かります。

 

1歳までにかかる費用

子どもが生まれてからかかる費用も少なくはありません。
0歳のうちにかかる費用の平均は931,246円です。※14
内訳は、以下の通りです。

【0歳の子育て費用】

生活用品費 222,000円
子どものための預貯金・保険 221,000円
お祝い行事関連費 159,000円
食費 111,000円
衣類・雑貨費 89,000円
レジャー・旅行費 53,000円
保育費 51,000円

※14 平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査より作成(百円単位四捨五入)

0歳のうちにかかる生活用品費は約22万円です。※14
また他の年齢よりもお金がかかるのがお祝い行事関連費です。※14
1歳までの1年間で、お祝い行事関連費に約16万円かかっています。
お宮参りやお食い初めなど、お祝いの機会が多く、お金がかかると考えられます。
和装を用意したり、写真スタジオで撮影したり、食事会をしたりすると、一度にまとまったお金が必要です。
お祝い事のお金をあらかじめ準備しておくと安心ですね。

 

※13 平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査結果 5.出産前後の費用について│内閣府政策統括官/2022年2月15日現在
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_hiyo/pdf/zentai/3sho_4.pdf
※14 平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査結果 第2章 調査結果の概要│内閣府政策統括官/2022年2月15日現在
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_hiyo/pdf/zentai/2sho.pdf

まとめ

出産にかかる費用は正常分娩の場合、平均46万円です。
そのうち、自己負担は42万円との差額分のみ。
46万円であれば自己負担額は4万円です。

帝王切開の場合は、高額療養費制度も利用できます。
働くママは出産にあたり会社を休んだ期間、出産手当金がもらえたり、自治体独自の補助金があったり、いくつかの支援があります。
自分が利用できる制度を、出産前に確認しておくと安心ですね。

 

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