フラボノイドは第7の栄養素と呼ばれる機能性成分!しっかり摂取して元気な体を作りましょう

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「フラボノイド」という言葉は、耳にしたことがないという方も多いのかもしれません。
では、ポリフェノールという言葉はどうでしょう?
ポリフェノールには、たくさんの種類があるのですが、その1つにフラボノイドが含まれています。
フラボノイドが隠し持つ、健康パワーを知り、毎日の生活に取り入れてみましょう。
フラボノイドは、力強い味方となり、私たちの体内で大きな働きをしてくれます。

目次

  1. フラボノイドとは
    • 機能性成分となるフラボノイド
    • フィトケミカルとは
    • 色で見分けるフラボノイド
  2. フラボノイドの種類
    • フラボノイドはかなり種類が多い
    • フラボノイドを多く含む食品
  3. フラボノイドの健康パワー
    • フラボノイドの防御成分とは
    • 何気ない生活でも人間は刺激を感じている
    • フラボノイドは体の元気さを維持する成分
  4. フラボノイドの上手な摂り方
    • フラボノイドの1日の摂取量
    • フラボノイドはこまめにとろう
  5. まとめ

フラボノイドとは

機能性成分となるフラボノイド

人間にとって食べるという行為は、ただお腹を満たすだけではなく、生きていくために必要な栄養素を摂取するためのものです。
たとえば、体を動かすために必要な三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)、これにビタミンとミネラルを加えたものは五大栄養素など、体内で不足しないよう摂取していくことが必要です。※1

また、健康な体を作るためには、絶対に必要というわけではありませんが、大切な栄養素が数多く存在しています。※1 
これらの栄養素は、機能性成分と呼ばれ、食物繊維や乳酸菌、キトサン、コンドロイチンなどがあります。
近年、メディアなどで取り上げられるようになったフィトケミカルという成分も、機能性成分として注目を集めていますが、フラボノイドは、まさにこのフィトケミカルに当てはまる成分となります。※1 

フィトケミカルとは

フィトケミカルは、植物に含まれる化学物質です。
この物質は、植物が自分自身を守るために作り出した自己防衛成分で、多くの植物から見つかっています。
植物がこれらの物質を作り出すようになったのは遥か昔のことです。
紫外線や乾燥、虫といった刺激から身を守るため、色素やアク、渋み、苦味といった成分を身につけました。※1
植物により、身につけた自己防衛成分には違いがあり、その数は数千種類ともいわれています。
植物性の食品には、何らかの機能性成分が含まれているのですが、性質により次の5つに分類することができます。※1

【フィトケミカルの分類】※1
・ポリフェノール類
植物の色素やアクなどの成分

・カロテン類
野菜などに含まれる色素

・テルペン類
柑橘類などの香りや苦みの成分

・イオウ化合物
ニンニクなどの香りの元となる成分

・β-グルカンなどがあげられます。
きのこなどに含まれている多糖類

フィトケミカルの中でも、ポリフェノールは代表的な成分となります。
また、多くの植物に含まれている成分となるため、ポリフェノールだけでもたくさんの種類があり、フラボノイド系とノンフラボノイド系に分類することができます。※1
つまり、フラボノイドはポリフェノールの1種ということになります。

色で見分けるフラボノイド

ポリフェノールは種類が多く、分類は難しいとされています。
しかし、植物が作り出した物質は色素を含むことから、野菜や果物の色から分類することができます。※1、3

【色で示す機能性成分の分類】※1、2

・フラボノイド(黄色)
バナナ/レモン/グレープフルーツ/パイナップル

・アントシアニン(青色)
ぶどう/ブルーベリー

・リコピンやカプサイシン(赤色)
トマト/パパイヤ/ピンクグレープフルーツ/あんず

・β-カロテン(オレンジ色)
オレンジ/にんじん/パパイヤ/あんず

フラボノイドのフラボは、ラテン語の黄色を意味しています。
色素により分類されたもののうち、淡黄色や無色の色素を持つものをフラボノイド系といい、その他をノンフラボノイドと呼んでいます。※1、2
植物が作り出す自己防衛成分は、人間が摂取すると、健康を維持する不思議な力があり、フラボノイドは機能性研究の対象とされ、特定保健用食品としても注目を集めています。※1、2、3

※1 中村丁次監修 2020年3月発行 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版
http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415327433/
※2 中嶋洋子著 2017年10月発行 これは効く!食べて治す 最新栄養成分事典 主婦の友社
https://books.rakuten.co.jp/rb/15102685/
※3 越阪部奈緒美 ポリフェノールパラドックス 生体利用性と機能性の矛盾 化学と生物 Vol. 54, No. 10, 2016 / 2020年12月25日閲覧 
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/54/10/54_726/_pdf/-char/ja

フラボノイドの種類

フラボノイドはかなり種類が多い

フィトケミカルにはいくつもの種類があり、ポリフェノールにもたくさんの種類がありました。
特性から分類されたフラボノイドには、どのくらいの種類があるのでしょうか。
フラボノイドは、化学構造では2つのベンゼン環を3つの炭素原子でつないだジェフェニルプロパン構造を持つ化合物の総称となります。※1、2、4
ビタミンPとも呼ばれるフラボノイドにも、数えきれないほどの多くの種類があります。
構造の違いから数千種類もの存在が確認されています。
それでは、フラボノイドの代表的な種類と、フラボノイド多く含む食品をみてみましょう。※1、2

フラボノイドを多く含む食品

●フラボノイドの種類と成分を多く含む食品※1

【フラボン類】
・アピゲニン/パセリ・セロリ・ピーマン
・ルテオリン/ピーマン・セロリ・春菊

【フラボノール類】
・ルチン/そば
・ケンフェロール/ブロッコリー・にら・大根・玉ねぎ

【フラバノン類】
・ヘスペリジン/みかん・レモン

【イソフラボン類】
・ダイゼイン/大豆

【カテキン類(フラバノール類)】
・カテキン/緑茶
・エピカテキン/カカオ

【アントシアニジン類】
・シアニジン/いちご・ぶどう・ブルーベリー
・デルフィニジン/なす・ぶどう・ブルーベリー

お茶の成分といえばカフェインという人も多いと思いますが、お茶の渋みや苦みといった成分はポリフェノールの仲間であるフラボノイドのカテキンです。
私たちが日ごろから口にすることの多い緑茶は、発酵させていないため、フラボノイドは生き生きとした状態で茶葉に残っています。※1、2、3
数多くあるフラボノイドは、多くの植物に含まれているため、日本人は食事から1日あたり数十~数百㎎を摂取していると推定されています。※1、5
しかし、食の欧米化や外食などに伴い、野菜を摂取する機会が減少すると、フラボノイドの摂取量は減少しているかもしれません。
日頃から、野菜をあまり摂取していないという方は、フラボノイドが体内で不足している可能性があります。
野菜不足が気になる方は、丼といった炭水化物メインの食事ではなく、具沢山の味噌汁やサラダといった1品をプラスして、野菜をしっかりと摂取する習慣をつけるようにしましょう。
フラボノイドを意識的に摂取するためにも、食生活を振り返り、健康な毎日を送れる体を作っていきましょう。※1、2

※1 中村丁次監修 2020年3月発行 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版
http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415327433/
※2 中嶋洋子著 2017年10月発行 これは効く!食べて治す 最新栄養成分事典 主婦の友社
https://books.rakuten.co.jp/rb/15102685/
※3 越阪部奈緒美 ポリフェノールパラドックス 生体利用性と機能性の矛盾 化学と生物 Vol. 54, No. 10, 2016 / 2020年12月25日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/54/10/54_726/_pdf/-char/ja
※4 東 敬子 室田佳恵子 寺尾 純二著 野菜フラボノイドの生体利用性と抗酸化活性 ビタミン80巻8号(8月)2006 / 2020年12月25日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/80/8/80_KJ00004362797/_pdf/-char/ja

フラボノイドの健康パワー

フラボノイドの防御成分とは

植物は敵を身近に感じていても、その場所からは逃げることができませんから、敵を寄せ付けないシールドを身に纏いました。
この成分は人間に対して、良い影響を与えてくれます。
しかし、この栄養素は身も守るための成分なので、外側に含まれています。※1、2、3
フラボノイドを多く含む食品を摂取する時は皮まで食べるようにすると良いでしょう。
今まで破棄していた皮の役割を知ることで、自然に感謝し、しっかりと味わう習慣をつけましょう。※1、2

何気ない生活でも人間は刺激を感じている

植物と違い、人間は刺激を受ければその場所から移動することができるため、体への負担は少ないように思えます。
しかし、実は同じように、人間も日々、刺激の中で生活を送っているのです。
例えば通勤途中の紫外線や、健康診断で行われるレントゲン、車から排出される汚染された空気、たばこといったものは勿論、激しい運動や加工食品や食品添加物は、私たちの体には刺激となります。
このような何でもないような刺激、あるいは刺激によりつくられる成分は、日々体内へと蓄積されてしまいます。※1、4、5、6 
中には、体の中に留めておかない方が良い成分もあります。
そこで、体を元気にしようとする活躍が期待されるフラボノイドの出番がやってくるのです。※1、4、5、6

フラボノイドは体の元気さを維持する成分

もともと人間には、体内にある毒素を取り除くメカニズムがあります。
体内にある毒素にはたとえば、摂り過ぎてしまった脂肪や糖、アルコール、乳酸などがあります。
また、体の外から取り込んでしまうものには、野菜などに残留した農薬、タバコ、食品添加物、着色料などのほか、紫外線や放射線も、体にとっては無くても良いものです。※5、6
このような体にとっては無くても良いものを、体の外へ追い出そうとする仕組みが、人間の体には備わっているのです。

この働きは酵素の一種であるスーパーオキシドディスムターゼやカタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどが担うほか、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイドなども同じ働きを持っています。
その中でも、さまざまな食品にも含まれるビタミンCは、自分の仕事が終わると、クタクタに弱ってしまいます。
フラボノイドは、この弱ってしまったビタミンCを、元気づける働きがあります。
また、フラボノイドにはこれらの成分にも負けないほどの強い健康パワーがあり、強い毒性をも封じ込める働きがあります。※1、5、6
健康維持のためにも、さまざまな栄養素とともに、フラボノイドもしっかりと摂取するようにしましょう。※1、5、6

※1 中村丁次監修 2020年3月発行 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版
http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415327433/
※2 中嶋洋子著 2017年10月発行 これは効く!食べて治す 最新栄養成分事典 主婦の友社
https://books.rakuten.co.jp/rb/15102685/ 
※3 越阪部奈緒美 ポリフェノールパラドックス 生体利用性と機能性の矛盾 化学と生物 Vol. 54, No. 10, 2016  / 2020年12月25日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/54/10/54_726/_pdf/-char/ja
※5 本田沙里、増田俊哉(著) ポリフェノール,化学反応を基盤とする機能性物質 抗酸化反応から成分間反応まで  化学と生物?Vol. 53, No. 7, 2015 / 2020年12月25日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/53/7/53_442/_pdf/-char/ja
※6 農林水産省 食品の機能性 / 2020年12月25日閲覧
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/renkei/6jika/pdf/b-13.pdf

フラボノイドの上手な摂り方

フラボノイドの1日の摂取量

フラボノイドは私たちの体を元気にしてくれる、健康に良い成分です。
この成分をしっかりと体内で活用するためには、1日あたりどれくらいのフラボノイドを摂れば良いのでしょうか。
厚生労働省では、日本人の健康の保持・増進などのために必要なエネルギーや、栄養素の摂取量の基準を示した「食事摂取基準」を定めていますが、フラボノイドの1日の推奨摂取量は、ここには記載されていません。※1、7

しかし、フラボノイドが体に良いからと1つの食品を過剰に摂取してしまうと、反対に不調を招いてしまうことがあります。
例えば、フラボノイドを多く含む緑茶では、カフェインが多く含まれているため、緑茶ばかりを飲んでしまえばカフェインの過剰摂取へと繋がります。※1、7、8
同じように、果物ばかり食べれば糖をたくさん摂取してしまうことになります。
ひとつの食品ばかりに集中するのではなく、フラボノイドは野菜などに多く含まれているので、1日350 gの野菜を摂取することを目標にするとよいでしょう。
また、大豆や果物にも多くフラボノイドは含まれています。
毎回の食事で、きちんといろいろな野菜を摂取することを意識していれば、自然と栄養のバランスは整ってきますから、野菜と合わせて豆腐や果物も取り入れた食事を心がけるようにしましょう。
じつは、これが一番の健康への近道となります。※1、7、8、9

フラボノイドはこまめにとろう

フラボノイドは、ポリフェノールに属する水溶性の植物色素成分です。
水に溶けやすい性質があるため、体内では吸収されやすいという特徴があります。
野菜などから摂取し、30分もすると、フラボノイドは体内で活発に働きはじめてくれるのですが、体内での滞在時間は短いため、長時間の働きは期待できません。※5
体内ではフラボノイドを異物として認識してしまうため、なるべく早く体外へ出そうとします。
フラボノイドの働きが切れないようにするコツは、毎食必ず野菜を食べるようにすることです。
くれぐれも、1日分をまとめて摂取するのではなく、適量をこまめに摂取する習慣をつけていきましょう。※5
何かと忙しい現代では、朝食を食べる時間を確保するのも難しいかもしれません。
そのような時でも、何も食べないのではなく、バナナなどの果物だけでも口にするようにすると、フラボノイドを摂取することができます。
まずは食生活を見直し、元気の元となるフラボノイドを摂取する習慣を身に付けていきましょう。※5

※1 中村丁次監修 2020年3月発行 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版
http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415327433/
※5 木戸康博/桑波田雅士/中坊幸弘・編 2015年1月発行 栄養科学シリーズNEXT 基礎栄養学第3版 講談社
https://www.kspub.co.jp/book/series/S020.html
※7 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 / 2020年12月25日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
※8 厚生労働省 「食事バランスガイド」で実践 毎日の食生活チェックブック / 2020年12月25日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/pdf/eiyou-syokuji8.pdf
※9 農林水産省 消費・安全局 消費者行政・食育課 考える やってみる みんなで広げる ちょうどよいバランスの食生活 / 2020年12月25日閲覧
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wakaisedai/attach/pdf/balance-8.pdf

まとめ

植物たちは太陽からエネルギーをもらって身を守る成分を作り出し、私たち人間は食を通してこれらの成分を体の中に取り込んでいます。
現代の私たちは、毎日の生活でさまざまな刺激を受けていますが、毎日少しずつ、植物が作る成分をこまめに取り込むことで、自分たちの体を守ることに役立てています。
この素晴らしい成分を作り出している植物に日々感謝し、美しく、健康に生きるためにもフラボノイドをしっかりと摂取していきましょう。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
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