優しい甘さで元気一杯!チョコレートの美味しさを楽しみましょう

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ほっと一息つきながら味わうチョコレート。
でも実は、いろいろな味わいがあり、選ぶのも楽しみのひとつと言えるでしょう。
チョコレートには、手頃な価格なものから少し値段の高いものもあり、百貨店などには1粒単位で売られるとても高価なものがあります。
このような価格の違いは一体どこからくるのでしょうか。
美味しいだけじゃない、健康パワーを秘めたチョコレートの秘密に迫ります。

目次

  1. チョコレートの原料
    • カカオの木からチョコレートができるまで
    • チョコレートの風味は発酵技術で決まる
    • チョコレートも安全第一
    • チョコレートの質を高めるコンチング
  2. チョコレートの種類
    • ダークチョコレート
    • ミルクチョコレート
    • ホワイトチョコレート
    • 生チョコレート
  3. チョコレートの健康パワー
    • チョコレートの成分
    • ポリフェノールで健康な毎日を送りましょう
    • チョコレートで元気な体を作りましょう
  4. チョコレートの1日の摂取量
    • チョコレートの1日の摂取量
    • チョコレートを摂取する時の注意
    • チョコレートの保存方法
  5. まとめ

チョコレートの原料

カカオの木からチョコレートができるまで

チョコレートは、テオブロマ・カカオという植物の果実から作られています。
テオブロマという言葉には、メキシコ原住民の言葉で神の食べ物という意味があります。
昔から、貴重な食べ物だったことが伺えます。※1、2、3

現在、カカオは世界中で栽培されるようになりましたが、チョコレートの原料であるカカオの原産地は、中央アメリカとアマゾン川流域です
16世紀には、現在のヨーロッパを中心にチョコレートの需要が高まり、ヨーロッパ人が植民地でのカカオ栽培を始めたことにより、カカオ栽培は世界的へと広がっていきました。※1、2、3
カカオが最適に育つ環境は、赤道の南北緯度20度以内の高温多湿地域です。
カカオは日陰を好む性質であるため、背の高い林の中や、熱帯雨林付近に農場が作られることが多くなりました。※1
現在の主なカカオの産地は、アフリカのコートジボアールやガーナ、南米のエクアドル、ベネズエラ、アジアのインドネシアとなっています。※2

チョコレートの風味は発酵技術で決まる

カカオの収穫時期は、栽培される地域で少し違います。
乾期と雨期の区別がない地域では通年に渡り収穫されますが、多くの場合では地域ごとの乾期と雨期の年2回、収穫が可能です。※1
カカオを収獲すると、すぐに発酵させ、その後は何日もかけて乾燥させます。
天然の微生物で発酵させると、豆の内部には酵素が充填されます。※1、3
この酵素こそが、チョコレートの風味に欠かすことのできない要素であり、チョコレートの風味は発酵技術により大きく左右されます。
発酵と乾燥を終えた豆は、麻袋に詰めて出荷します。※1、3

チョコレートも安全第一

カカオ豆は屋外で乾燥させることが多いため、異物が混入する可能性があります。
小石や小枝、時には虫が袋の中に混ざっていることもあり、ガラス片や金属片などが混入していても不思議ではありません。
そのため、カカオ豆を採取したあとはカカオ豆を安全に加工できるよう、目視、ふるい、磁石などを使う方法で豆を選別します。※1、3
近年では、自動選別機による選別も行われるようになりました。※1

選別した豆は、高圧の水蒸気を当てるなどの方法で、滅菌されます。
その後は、チョコレートの製造において欠かすことのできない焙煎が行われます。
焙煎は、豆の安全性の向上や、風味を良くする目的で行われます。※1、3
カカオ豆は温度によって変化するため、メーカーは専用の焙煎機で極上の風味を引き出し、カカオニブと食べられない部分に分離します。
発酵や焙煎により、カカオの風味が詰まったカカオニブを挽くと、液状のカカオマスができます。
このカカオマスがチョコレートの材料です。※1、3

チョコレートの質を高めるコンチング

メーカーは、風味を引き出すために、カカオマスをさらに熱します。
この工程はコンチングと呼ばれ、豆の種類だけではなく、メーカーの趣向も取り入れられるため、数時間から数日間と所要時間には大きなひらきがあります。
コンチングの時間が長ければ長いほどチョコレートの風味は高まり、まろやかになります。※1、3
コンチング後は、そのまま製品化することもできるのですが、さらに熟成やテンパリングといった工程が追加されることもあります。※1

※1 ドム・ラムジー(著) 2017年12月発行 CHOCOLATE チョコレートの歴史、カカオ豆の種類、味わい方とそのレシピ 東京書籍
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/books/special/01/
※2 化学と教育 67巻4号 チョコレート歴史・食文化と機能性
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/67/4/67_184/_pdf/-char/ja
2020年12月25日閲覧
※3 化学と生物 56巻1号 チョコレートでとる乳酸菌 乳酸菌を腸で活躍させるために
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/56/1/56_551210/_pdf/-char/ja
2020年12月25日閲覧

チョコレートの種類

ダークチョコレート

ダークチョコレートには基本的に、カカオと砂糖の2種類が材料として使われています。
ダークチョコのバリエーションや風味は、とても豊富です。
本格的なカカオの味を楽しむのに適したダークチョコには、次のような種類があります。※1、4

●100%ダークチョコ※1
砂糖や香料も含まれていない、カカオ100%で作られたもので、カカオをそのまま味わえる

●粗挽きダークチョコ※1
カカオや砂糖を石臼で粗挽きしたもので、ざっくりとした食感が楽しめる

●フレーバー入りのダークチョコ※1
コンチングの過程でスパイスやドライフルーツを加えたもの

●甘さいろいろダークチョコ※1
いろいろな種類の砂糖を使い、ダークチョコレートに風味を追加したもの

ミルクチョコレート

ダークチョコレートにミルクを追加してつくられたのが、ミルクチョコレートです。
1875年、スイスのショコラティエによりミルクチョコレートは初めて作られました。
口当たりの良さから、あっという間に人気商品となり、現在でもミルクチョコレートはどんどん進化しています。
ミルクチョコレートは、ダークチョコレートよりも砂糖が多く使われているイメージがあるかもしれません。
しかし、ミルクには乳糖という天然の糖分があるため、砂糖はダークチョコレートよりも少ないこともあります。※1、4
ミルクチョコレートには、次のような種類があります。

●定番ミルクチョコレート※1
濃厚な赤茶色で、パキッと割れるものが高品質で、ミルクの優しい甘さとカカオの味わいを楽しめる

●ダークミルクチョコレート※1
定番ミルクチョコレートとダークチョコレートの中間に位置し、定番ミルクチョコレートよりもカカオを多く含む

●フレーバー入りミルクチョコレート※1
コンチングの工程やテンパリングの段階でスパイスやフレーバーを混ぜたもの

●牛乳以外のミルクチョコレート※1
ヤギやヒツジのミルク、アーモンドミルクやココナッツミルクなど、牛乳以外のミルクで作られたもの

ホワイトチョコレート

ホワイトチョコレートの主原料は、ココアバターとミルクパウダー、砂糖です。
ココアパウダーを作る上で、残ったココアバターの使い道としてホワイチョコレートは製造されました。
そのため、チョコレートと呼べるのかという議論もありますが、優しく繊細な味わいで人気は高いです。
チョコレートメーカーはバリエーションを広げるために、いろいろな風味を誕生させています。※1、4
ホワイトチョコレートには、次のような種類があります。

●定番ホワイトチョコレート※1
ココアバター35%、ミルクパウダー20~30%、砂糖30~45%で作られることが多く、シンプルな味わい

●キャラメル味のホワイトチョコレート※1
キャラメル色・ブロンド色のホワイトチョコレートで糖分を煮詰めてキャラメル状にしている

●フレーバー入りホワイトチョコレート※1
粉砕やコンチングなどの工程でパウダーやオイル状のフレーバーを加えたもの

●固形フレーバー入りホワイトチョコレート※1
テンパリングした後にドライフルーツやナッツ、カカオニブなどの食材を加えて作られる

生チョコレート

明確な定義がありませんが、焙煎しない生のカカオ豆で作られたチョコレートを、生チョコレートといいます。
焙煎による殺菌処理が行われていないカカオ豆を使用するため、衛生面でも信頼のおけるメーカーであるかどうかも、商品選択の基準となります。
他のチョコレートと同様にいろいろな種類がありますが、生のカカオ豆特有の風味を楽しむことができます。※1、4

※1 ドム・ラムジー(著) 2017年12月発行 CHOCOLATE チョコレートの歴史、カカオ豆の種類、味わい方とそのレシピ 東京書籍
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/books/special/01/
※4 佐藤清隆・古谷野哲夫(著) 2011年10月発行 カカオとチョコレートのサイエンス・ロマン-神の食べ物の不思議- 幸書房
https://books.rakuten.co.jp/rb/11403690/

チョコレートの健康パワー

チョコレートの成分

チョコレートの約50%は脂質です
それ以外には、食物繊維やミネラル、ポリフェノールなどが含まれています。※2
マヤ王国の時代からカカオ豆は健康によい食べ物として、食されてきました。
当初、生で食べられていたとされるカカオは、世界へと広がる中で、砂糖が加えられ、お湯に溶いて飲まれるようになりました。※2
甘くて香ばしい飲み物となったカカオはさらに進化を遂げ、ココアバターとなり、チョコレートが作られるようになったのです。
王たちにも愛されたカカオの中で特に注目されたのは、ポリフェノールです。
しかし、近年ではチョコレートは微生物による発酵食品であることから、乳酸菌を含有させたものも注目を集めるようになりました。※2、3

ポリフェノールで健康な毎日を送りましょう

ポリフェノールは、植物に含まれている色素やアク、渋み、苦味の成分であると同時に、体を元気にしてくれる成分でもあります。
これは、植物が自分自身を守るために作り出した、太古の昔から受け継がれている自己防衛成分です。※5
植物は乾燥や紫外線といった外界からの刺激がすべて害となりますが、栄養を大地から吸い上げるため、害となる刺激にさらされていても、その場所から逃げることはできません。
そのため、刺激から身を守るために色素やアクなどの成分となるケミカル(化学物質)を作り出しているのです。※5
これらは、人間にもよい影響をもたらしてくれます。
しかし、この成分は水溶性であるため、体内での滞在時間が短いという特徴があります。
ポリフェノールの働きを得るためには野菜をたくさん食べることも大事ですが、食事の間にチョコレートをつまむなど、チョコレートから摂取するのも良いでしょう。※5

チョコレートで元気な体を作りましょう

チョコレートの原料となるカカオ豆には、テオブロミンという成分も含まれています。
この成分には、体を元気にしてくれる働きがあり、マテの木やコーラの実などにもわずかに含まれています。
しかし、テオブロマ・カカオからチョコレートが作られていることからも分かるように、テオブロミンはカカオ豆に多く含まれています。
体の内側から元気を底上げしてくれるテオブロミンは、チョコレートから摂取するとよいでしょう。※1

※1 ドム・ラムジー(著) 2017年12月発行 CHOCOLATE チョコレートの歴史、カカオ豆の種類、味わい方とそのレシピ 東京書籍
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/books/special/01/
※2 J-STAGE チョコレートと歴史・食文化と機能性 / 2020年12月25日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/67/4/67_184/_pdf/-char/ja
※3 J-STAGE チョコレートでとる乳酸菌 乳酸菌を腸で活躍させるために / 2020年12月25日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/56/1/56_551210/_pdf/-char/ja
※5 梅田達也(著) 2001年1月発行 植物のくれた宝物-ポリフェノールのふしぎな力- 研成社 
https://product.rakuten.co.jp/product/-/ce32eaf323eee259b5baf9ea889f71f8/spec/

チョコレートの1日の摂取量

チョコレートの1日の摂取量

チョコレートには、体に嬉しい成分がたくさん含まれています。
しかも美味しいとくれば、たくさん食べたくなってしまいますが、チョコレートは食事ではなく間食として考えなければいけません。
栄養バランスのとれた食事の中で、間食としてチョコレートを食べることが大切です。※6、7
間食とは、朝食・昼食・夕食以外に摂取する食べ物や飲み物で、エネルギー源となるものです。
栄養補給以外にも、間食には気分転換や生活に潤いを与えるといった役割があり、1日の中でも楽しみの1つに当てはめることができます。
とはいえ、間食を食べ過ぎてしまっては、肝心の食事量に影響が出てしまいます。※6、7
1日の栄養素の不足を補う量を摂取することが望ましいとされる間食は、一般的な適量は200kcalとされています。
メーカーにより、差はありますがアーモンドチョコレートでは、100gあたりで約580kcalとなります。
チョコレートは、パッケージの表示をしっかりと確認し、適量を楽しみながら摂取しましょう。※6、7、8

チョコレートを摂取する時の注意

チョコレートは、カカオ分の多いダークチョコレートを少量楽しむのであれば、私たちに元気をくれ、健康を底上げしてくれます。
しかし砂糖や添加物の多く入ったチョコレートでは、反対に体に負担を与えてしまうこともあります。
また、チョコレートは脂質も多く、カロリーが高い食べ物ということも忘れてはいけません。※9、10、11

さらに、チョコレートには特徴的な成分(カフェインとデオブロミン)が含まれているため、小児には刺激が強いこともあります。
チョコレートは必ずしも必要な栄養素ではないので、無理に子供に与える必要はありません。
妊娠中と授乳期においても、刺激物の過剰摂取は体調不良を引き起こすリスクを秘めています。
また、この刺激物の働きでお薬の効き方が変わることもあります。※9、10、11

くれぐれもチョコレートは、過剰摂取になってしまわないよう、1回分を小皿に取り出し、ゆったりとした気分で楽しむようにしましょう。※9

チョコレートの保存方法

チョコレートの賞味期限は、種類によって大きく異なります。
生クリーム入りやトリュフだと1週間もたないこともあるため、しっかり表示を確認するようにしましょう。
保存方法は、チョコレートは34℃前後で溶け始めるため、涼しい場所で保管するのがよいでしょう。
しかし、冷蔵庫での保管は、チョコレートの表面が結露してしまうため、食感が悪くなります。
室温15~20℃での保存が最適です。
プロのようにチョコレートを楽しみたいという場合は、ワインセラーを利用し、最適な18℃を保つとよいでしょう。※1
また、チョコレートは匂いが移りやすいため、香りの強い物の近くでの保存は好ましくありません。
湿気を避け、乾燥した状態になるよう心がけるようにしましょう。※1

※1 ドム・ラムジー(著) 2017年12月発行 CHOCOLATE チョコレートの歴史、カカオ豆の種類、味わい方とそのレシピ 東京書籍
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/books/special/01/ 
※6 中村丁次監修 2020年3月発行 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版
http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415327433/
※7 厚生労働省 「食事バランスガイド」で実践 毎日の食生活チェックブック / 2020年12月25日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/pdf/eiyou-syokuji8.pdf
※8 e-ヘルスネット 間食のエネルギー(カロリー) / 2020年12月25日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-013.html
※9 文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)全体版
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
※10 日本医師会/日本歯科医師会/日本薬剤師会総監修  2019年7月発行 健康食品・サプリ[成分]のすべて<第6版> ナチュラルメディシン・データベース 日本対応版 同文書院
https://www.dobun.co.jp/shop/tkxcgi/shop/goods_detail.cgi?GoodsID=00000386
※11 厚生労働省 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A~カフェインの過剰摂取に注意しましょう / 2020年12月25日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html

まとめ

チョコレートが完成するまでには、多くの時間と手間がかけられています。
ゆっくりと時間をかけて味わうチョコレートは、複雑な風味と香りを存分に堪能することができ、しかも体を元気にしてくれます。
他の食べ物や飲み物と一緒に楽しむことができるチョコレートで、調和や対照となる組み合わせを探してみましょう。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
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