スーパーフード「ケール」の力で、老いに負けない元気な体を作りましょう!!

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ケールは栄養価が高く、しかも栄養バランスもとれた食材でありながら低カロリーであることから、スーパーフードとしてアメリカで人気に火がつきました。
日本では少し前まではケールは青汁の原料として知られる程度でしたが、近年では豊富な栄養成分から青果としての取り扱いも増えてきました。
栄養満点なケールはどのような野菜で、どのような栄養素をもっているのでしょうか。
ケールの上手な摂取方法とあわせてご紹介します。

目次

  1. 緑黄色野菜の王様ケール
    • 緑黄色野菜とは
    • ケールとは
    • ケールの品種
  2. 栄養素をたっぷりと含んだケールの育て方
    • ケールの産地
    • ケールの育て方
  3. ケールの栄養成分
    • ケールにはどのような栄養素があるか
  4. ケールを上手に摂取するには
    • 独特の香りと苦みのケールを上手に摂取するには
    • ケールの葉を使ったアレンジレシピ
  5. まとめ

緑黄色野菜の王様ケール

緑黄色野菜とは

緑黄色野菜と聞くと、ニンジンやカボチャのような色の濃い野菜を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実はこれ、色によって区別されているわけではなく、β-カロテンの含有量で分類されています。
厚生労働省の基準によると「原則として可食部100g当たりカロテン含量が600㎍以上の野菜」が、緑黄色野菜です。
トマト、ピーマン、さやいんげんなどはカロテンの含有量が600㎍未満ですが、一度に食べる量や使用頻度の多い野菜はカロテン補給に役立つため、緑黄色野菜に分類されます。
おもな緑黄色野菜には、ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、カボチャ、アスパラガス、青ネギ、にら、おくら、春菊などがあります。
一方で、β-カロテンの含有量が少ない、緑黄色野菜以外の野菜は淡色野菜と分類されます。
淡色野菜はβ-カロテンの含有量が少ないものの、ビタミンCやミネラル類、食物繊維など健康効果が期待できる栄養素を多く含んでおり、キャベツ、白菜、もやし、れんこん、大根、玉ねぎ、なす、セロリ、きゅうりなどが該当します。 ※1

ケールとは

ケールはアブラナ科の多年草で、キャベツやブロッコリーの原種と言われている野菜です。
地中海沿岸が原産、紀元前200年ごろから栽培されたといわれており、ギリシャ・ローマ時代にケルト人が最初に栽培したことから、「ケール」と呼ばれるようになりました。
ケールの別名は葉キャベツで、和名は「リョクヨウカンラン」「ハゴロモカンラン」、中国名は「葉牡丹」です。
日本に持ち込まれたのは江戸時代初期で、観賞用と親しまれていました。
野菜には緑黄色野菜や淡色野菜がありますが、ケールの別名が葉キャベツなら、淡色野菜かと考えるかもしれません。
しかし、ケールと近しい野菜であるブロッコリーは、緑黄色野菜。
では、ケールはどちらに分類されるかというと、緑黄色野菜です。
名称には「キャベツ」がありますが、実は芽キャベツも緑黄色野菜なのです。※2、3

ケールの品種

ケールがキャベツやブロッコリーなどのアブラナ科野菜のルーツとなったのは、ケールの野生種を祖先として多くの品種が生まれたことに始まります。
ケールの葉は、キャベツのように丸い球にならず、一枚一枚の葉として成長しますが、長い年月を経て葉が発達するにつれ、キャベツや葉牡丹へと変化しました。
また、茎の部分が発達することで、カリフラワーやブロッコリー、コールラビなどの野菜へと進化したともいわれています。

ケールには、青汁の原料になる青汁用ケールのほかに、いつくかの品種があります。

  • サボイキャベツ:ちりめん状に縮れた葉で、別名シューフリーゼ。煮込み料理に向く。
  •  サイペリアン種:緑の葉部分がフリル状になったカリーノ・ケールと言われる品種。にがみや青臭さがなく、サラダでも楽しむことができる。
  •  カーボロネロ:イタリア原産のケールの仲間、別名黒キャベツと呼ばれる。丸くならず葉を広げて育つ品種で、繊維が硬いため生食には向かないが、煮込みや炒め物など、加熱により風味豊かな味わいになる。
  •  ポルトガルケール:キャベツのように肉厚で広い葉が特徴。
  •  ロシアンケール:葉の切れ込みが深く葉の軸がピンク色を帯びている。※2、3

※1 厚生労働省 e-ヘルスネット 緑黄色野菜 / 2019年7月29日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-037.html
※2 NHK出版からだのための食材大全 池上 文雄 (監修), 加藤 光敏 (監修), 河野 博 (監修), 三浦 理代 (監修), 山本 謙治 (監修)  2018年11月発行 NHK出版
※3 生活実用シリーズNHK「趣味の園芸ビギナーズ」育てて美味しいヘルシー植物 池上 文雄 (監修), 北条 雅章 (監修), 石倉 ヒロユキ (監修) 2015年3月発行 NHK出版

栄養素をたっぷりと含んだケールの育て方

ケールの産地

ケールは青汁の主な成分になりますが、厚生労働省によると日本で生産されるケールは4161トンで、主な産地は島根、岡山、福岡、熊本、大分、鹿児島などが挙げられています。
同じく青汁の原料として活用されている青刈(葉)麦の生産は1810トンで、島根、熊本、大分で主に生産されています。※4

日本各地で生産されるケールですが、農業の抱える課題には、生産者の高齢化、耕作地の放棄の増加、農家所得の低減、異常気象による不作など、深刻な課題があります。
これをふまえ、より付加価値の高い作物の生産を実現するために、低コスト超省力栽培技術など、さまざまな技術開発が検討されています。
そのひとつの例として、農業におけるIT化(ICTの活用)があります。
ITの進歩により、これまで農家の人たちが長い年月をかけて培ってきた知識や経験をデータ化し、過去の栽培や収穫データに基づく栽培管理が行えるようになってきました。
これは、ケールの栽培だけに限ったことではありませんが、近年話題のドローンも活用できるようになると、従来は人が巡回しながら目視で観察・確認していた作業も、ドローンからの画像を元に管理できるようになります。
その結果、現代農業の抱える課題である人手不足の解消や、害虫の早期発見などに、役立てようという取り組みが始まっています。※5

ケールの育て方

ジュースの原料にもなるケールは、繊維が硬くそのままで食べるのは難しいですが、家庭菜園で育てることで、料理にも活用できる新鮮な若い葉を手に入れることができます

ケールはタネから栽培しますので、ケールのタネと直径9㎝のポットを用意します。
種は3月中旬から4月下旬に蒔きます。
発芽し、本葉が1~2枚育ったところで1本を残して間引きます。
さらに本葉が5~6枚まで育つころ、ポットから日当たりがよく風通しの良い畑に移して40センチ間隔で植え、たっぷり水を与えます。

5月中旬ごろ、本葉が10枚ほどになったら追肥し、根に土を増します(土寄せ)。
その後は、2週間に一度同じ肥料を足すか、水やりの代わりに液体肥料を週に1回与えるとよいでしょう。
6月中旬ごろ、葉が30~40㎝に成長し完全に葉っぱが開いて濃い緑色に色づいたら、外側の葉から順に収穫しますが、この間も引き続き追肥を行うことで、何度も収穫することができます。
また、ケールはキャベツの祖先というだけに、アブラムシ、アオムシ、コナガの幼虫が付きやすいので、これらを見つけ次第、除去しましょう。

ケールをスーパーで手に入れたら、ケールの水分を逃がさないために、水で湿らせた新聞紙やキッチンペーパーなどに重ねた葉を包み、ポリ袋や保存用袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。
5~10日ほど日持ちしますが、日が経つにつれ苦味が増していきます。
美味しくいただけるうちに、早めに使い切りましょう。
また、ケールは冷凍保存も可能です。
すぐに食べきれない場合は、2~3分茹でてから冷凍保存袋に入れて冷凍しましょう。※2、3

※4 J-STAGE 産学官連携コンソーシアムによる日本型生薬生産システムの構築 / 2019年7月29日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/148/6/148_315/_pdf
※5 政府広報 Society5.0  / 2019年7月29日閲覧
https://www.gov-online.go.jp/cam/s5/#
※2 生活実用シリーズNHK「趣味の園芸ビギナーズ」育てて美味しいヘルシー植物 池上 文雄 (監修), 北条 雅章 (監修), 石倉 ヒロユキ (監修) 2015年3月発行 NHK出版
※3 NHK出版からだのための食材大全 池上 文雄 (監修), 加藤 光敏 (監修), 河野 博 (監修), 三浦 理代 (監修), 山本 謙治 (監修)  2018年11月発行 NHK出版

ケールの栄養成分

ケールにはどのような栄養素があるか

ケールはさまざまな栄養素を含んでいますが、その中でもβ-カロテンの含有量は緑黄色野菜の中でもトップクラス。
可食部100gで比較すると、トマトのβ-カロテンは540μgですが、ケールは2900μgも含まれています。
同じ緑黄色野菜のブロッコリー(ゆでたもの100g)では770μgですから、その含有量の多さが分かります。※6
ケールに含まれるβ-カロテンは、体内に取り込まれるとビタミンAに変わり、からだのさまざまな部分を元気にするために働きます。
さらに、ビタミンAは、ロドプシンと呼ばれる成分の生成を促す働きもあります。
ロドプシンという名称はなかなか聞き慣れないかもしれませんが、これは目の一番奥の網膜という部分にある成分で、暗いところでも光を受けて反応する色素です。
ビタミンAを多く摂ることで、このロドプシンが増えていくのです。※2、3、7、8

また、ケールに含まれるミネラル類にはカルシウムがあり、含有量は牛乳の2倍と、野菜の中でも上位に位置します。※2、3、6、7、8
カルシウムは、体を丈夫で元気にしてくれますが、子供のころから「牛乳を飲みなさい」といわれた人もいるでしょう。
これは特に、牛乳に含まれるカルシウムが、子供たちの体を丈夫で元気にすると考えられているためです。

さらに、特徴的な成分として注目したいのが、ルテインという成分です。
ルテインとは色素成分であるカロテノイドの一種で、主に青い光を吸収する働きがあります。
私たちの体の中では、光の通り道に多く存在する成分で、目の健康を維持すために必要な成分です。
しかし、ルテインは体内ではつくることはできない物質であるため、食事から摂取する必要があります。
ケールには、このルテインが多く含まれるとされているため、私たちが元気でいるためには、必要な食材といえます。※2、3、6、7、8

ケールにはさらに、メラトニンという成分も含まれています。
メラトニンとは、人間以外でも多くの動物の体内にあるホルモンで、さまざまなリズムに関係しています。
例えば、渡り鳥は秋が深まると温かい土地へ移動し、春には元の土地へ戻ってきて繁殖し、夏を過ごします。
渡り鳥のこうした行動にも関係しているのが、メラトニンです。
もちろん、私たち人間の中にもありますが、年齢を重ねるごとにその生成量が減ってしまいます
そこで、ケールなどの食材から、毎日少しずつ摂り込んで行く必要があるのです。※2、3、7、9

そしてもう一つ忘れてはならないのが、ケールには豊富な食物繊維が含まれていることです。※2、3、
食物繊維はもともと体の中でつくることができず、食材から摂り込むものです。
厳密には「栄養素」にはなりませんが、健康を維持する働きがあります。※2、3、6
多くの野菜やこんにゃくなどにも食物繊維は含まれていますが、生野菜からたくさんの食物繊維を摂るのは難しいため、ゆでたり煮たりしてカサをへらしてから摂ると良いでしょう。
ケールから食物繊維を摂るならば、生食よりも温野菜にした方が良いかもしれません。

※6 文部科学省 食品データベース / 2019年7月29日閲覧
https://fooddb.mext.go.jp/
※7 J-STAGE 緑黄色野菜におけるクロロフィル、カロチン、トコフェロールの含有量ならびに相関について / 2019年7月29日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1983/39/6/39_6_485/_pdf/-char/ja
※9 厚生労働省 e-ヘルスネット メラトニン / 2019年7月29日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-062.html
※2 生活実用シリーズNHK「趣味の園芸ビギナーズ」育てて美味しいヘルシー植物 池上 文雄 (監修), 北条 雅章 (監修), 石倉 ヒロユキ (監修) 2015年3月発行 NHK出版協会著
※3 NHK出版からだのための食材大全 池上 文雄 (監修), 加藤 光敏 (監修), 河野 博 (監修), 三浦 理代 (監修), 山本 謙治 (監修)   2018年11月発光 NHK出版
※8 体の悩みを解決!ずっと元気に!サプリメント健康辞典 一般社団法人 日本サプリメント協会著 2015年12月発行 集英社

ケールを上手に摂取するには

独特の香りと苦みのケールを上手に摂取するには

日本においてのケールは、青汁などジュースでいただくのが一般的ですが、実際のヨーロッパでは、一般的な食材として多くの料理にケールが使われています。
味わいにクセがあるため敬遠されがちなケールですが、加熱すると甘みが増し苦味を抑えることで、美味しくいただくことができる野菜なのです。※2、3、8

調理用としてのケールは、葉は大きすぎず、柔らかめのものを選ぶとよいでしょう。
また、油と調理することで含有量の豊富なβ-カロテンの吸収率が上がり、効率よく栄養を摂取することができるというメリットもあります。
炒め物であれば、細切りにしてお肉や他の野菜といっしょにオリーブオイルで炒めるのがお勧めです。※2、3、8

ケールを使った料理の例をいくつか紹介しましょう。

 

【青汁】
まずは、最もメジャーな青汁です。
ケールは、葉が大きくて緑が濃く、表面に張りのあるものを選びましょう。
また、材料はケールだけではなく、りんごやレモンなどの果物、そしてはちみつなど甘みを加えることで飲みやすく仕上げることができますので、お好みで選んでください。
水分が少ないと喉ごしが悪く飲みづらいですので、水分を加えることもポイントです。
これらの材料をまとめてミキサー(ジューサー)にかけ、ジュース状にして出来上がりです。

 

【ロールキャベツ(ロールケール)】
ケールはキャベツの先祖のような野菜ですから、ケールを使ったロールキャベツ(ロールケール)も美味しい料理です。
材料や手順は、ロールキャベツと同じ。
合いびき肉に下味をつけてこねて、団子状に丸めてから大きめのケールの葉を使って包みます。
この時、ケールの葉の軸の部分を薄くし、さっと湯通ししてから使うと、ケールの葉が柔らかくなるので包みやすくなります。
ールは長時間煮込むことでゴワゴワ感は抜けますが、しかしシャキッとした歯ごたえは残るため、ロールキャベツとはまた違った美味しさを楽しむことができます。

ケールの葉を使ったアレンジレシピ

ケールの一種、カーボロネロ(黒キャベツ)はイタリア・トスカーナ地方での定番の伝統野菜です。
このカーボロネロを使ったトスカーナの郷土料理に「リポナータ」という料理があります。
これはカーボロネロと、いろいろな野菜や豆を一緒にじっくりと煮込んだ家庭料理です。
味付けは塩と胡椒でシンプルに仕上げ、いただく直前にオリーブオイルをかけるのがポイントです。※2、3、8

このように、ケールは青汁だけでなく工夫次第でさまざまな料理で楽しむことができます
しかし、栄養が豊富なケールですが、やはりまとめて一度に食べることはお勧めできません。
どんな食材にも言えることですが、たとえ栄養があるといっても過剰摂取をすれば却って逆効果になってしまう可能性があります。
ケールを摂取するときは、一度にたくさん食べるのではなく、毎日少しずつサラダに入れたり、青汁ならコップ1杯程度にしたりなど、他の食品とのバランスを考えたメニューにしましょう。
もし体調不良を感じたときには一旦中止し様子を見るようにしましょう。※10

※10 J-STAGE 青汁をはじめとする健康食品の使用実態・意識調査 / 2019年7月29日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphcs/34/7/34_7_644/_pdf/-char/ja
※2、3 NHK出版からだのための食材大全  池上 文雄 (監修), 加藤 光敏 (監修), 河野 博 (監修), 三浦 理代 (監修), 山本 謙治 (監修)  2018年11月発行 NHK出版
※8 体の悩みを解決!ずっと元気に!サプリメント健康辞典 一般社団法人 日本サプリメント協会著 2015年12月発行 集英社

まとめ

私たちの体は、私たちが日々食べたもので作られています。
より健康長寿をめざすなら、やはり毎日の野菜摂取は大切です。
アメリカでそのブームに火が付いたケールはまさに、私たちに健康をもたらすスーパーフード。
ケールから健康パワーをもらい、そして適度な運動をしながら、未来の健康を手に入れましょう。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
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