サステナビリティをファッションに!服で取り組むサステナブルとは

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ファッション分野でのサステナブルな取り組みを「サステナブルファッション」と言います。
ただわたしたちにできることは、何も特別なことではありません。
今回は、サステナブルな服や素材の選び方や、暮らしの工夫をご紹介します。
エシカルファッションとの違いも取り上げます。

 

目次

  1. サステナブルファッションとは?
    • サステナブルの意味
    • サステナブルファッションとは
  2. エシカルファッションとの違いは?
    • エシカルファッションとは
    • サステナブルファッションとの違い
  3. サステナブルな服、ブランドに頼らない選び方
  4. 私たちにできるサステナブルな暮らしの工夫
  5. まとめ

サステナブルファッションとは?

サステナブルの意味

サステナブルは、「持続可能な」を意味する言葉です。
「サステナブルな暮らし」、「サステナブルファッション」、「サステナブルシーフード」、「サステナブル経営」のように使われています。
「SDGs(持続可能な開発目標)」は、ステナブルディベロップメントゴールズ(Sustainable Development Goals)の略称。
持続可能な社会を実現するための様々な取り組みを「サステナブル」という言葉で表しています。

いままでは「エコ」という言葉がよく使われていましたよね。
エコは主に環境に留意する活動を指します。
それに対しサステナブルは、人権や社会にも留意する活動を含みます。
環境や人権、社会に留意し、持続可能な社会を実現する活動のことです。
本記事では、この中でも注目度の高い「サステナブルファッション」について、取り上げます。

 

サステナブルファッションとは

「サステナブルファッション」は、ファッション・アパレル分野で持続可能な社会を実現する取り組みです。
アパレル企業が取り組むサステナビリティな商品づくり、私たち消費者が選ぶサステナブルな服、リユースを中心としたサステナブルな社会の仕組みなど、すべてサステナブルファッションの一環です。

 

・サステナブルファッションが注目される理由
ファッション・アパレル業界は、長らく多くの課題が指摘されてきました。※1
売れ残りの服を大量に破棄することで生じる二酸化炭素の排出、服の製造過程で排出する汚水等による環境破壊、人権に留意の欠ける労働環境、動物愛護の問題など、環境面や倫理面で多くの課題を抱えています。※1
業界として、これらの課題へ取り組むことを宣言したのが、2019年にフランスで開催された「ファッション協定」です。※2
ファッション協定では、気候変動・生物の多様性・海洋資源の保護の3点を中心に取り組むことが定められています。※2
ヨーロッパを中心としたアパレルメーカーなどが参画しており、日本では2020年12月に初めて国内のメーカーも加盟しました。※2

 

※1 環境省_サステナブルファッション/2021年8月19日現在
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/
※2 >日本企業初!ファッション産業の環境負荷低減に向けた国際的枠組み 「THE FASHION PACT(ファッション協定)」に加盟 │ 株式会社アシックス コーポレートサイト/2021年8月19日現在
https://corp.asics.com/jp/press/article/2020-12-10

エシカルファッションとの違いは?

サステナブルファッションと同じように使われるのがエシカルファッションです。
同じような使われ方をするものの、本来の意味には違いがあります。

 

エシカルファッションとは

エシカルとは「倫理的な」「道徳的な」を意味します。
「エシカル消費」とは社会や人、自然環境などに留意した消費行動のことです。※3
1つは、正当な賃金を受け取り安全な労働環境で作られたもの、CO2削減など環境に留意している商品など、人や社会に留意して作られたものを選ぶこと。
さらにそれらの課題に取り組む企業を応援することも、エシカル消費の1つです。※3
ファッションに取り入れるエシカル消費を「エシカルファッション」と言います。

 

【エシカルファッションの具体例】
・オーガニック製品を選ぶ※3
・フェアトレードマークのついた商品を選ぶ※3
・障がい者支援につながる商品を選ぶ※3
・被災地で作られたものを買う※4
・伝統工芸品を買う※4
・自然保護認証マークの商品を選ぶ※4
・二酸化炭素削減を工夫しているメーカーの商品を買う※4
などです。

 

サステナブルファッションとの違い

こう見ていくと「サステナブルと何が違うの?」と思いませんか?
エシカル消費とサステナブルは、別のものというわけではありません。
エシカル消費は、サステナブルな取り組みの1つです。
消費者庁では、エシカル消費をSDGsで設定されている17の目標のうち、特に「12 つくる責任・つかう責任」に対する取り組みと位置付けています。※3
つまり、エシカルファッションはサステナブルファッションの取り組みの一部といえます。
次章からは、サステナブルファッションの具体例を見ていきましょう。

 

※3 エシカル消費とは │ 消費者庁/2021年8月19日現在
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/ethical/about/
※4 エシカル消費とは│エシカル消費特設サイト[消費者庁] /2021年8月19日現在
https://www.ethical.caa.go.jp/ethical-consumption.html

サステナブルな服、ブランドに頼らない選び方

「サステナブルファッション」には様々な取り組みがあります。
大きく「サステナブルな服を選ぶこと」「暮らしの中での工夫」の2つに分けられます。
まずは、サステナブルな服の選び方を具体的に見ていきましょう。

 

【サステナブルな服選びの例】

 

  • 国際認証や環境ラベルなどがついているもの※1
  • 再生原料で作られているもの※5
  • 二酸化炭素排出に配慮して作られたもの※5
  • 長く着られる品質のもの※5
  • 生産過程で人権に留意したもの※5
  • 環境に配慮して作られたもの※5
  • アニマルフリー※5
  • 古着※5
  • 売れ残りの衣類※5
  • 伝統工芸技術を使ったもの※5
  • カスタムメイドの服※5
    など 

・国際認証や環境ラベルなどがついているもの
オーガニック製品の認証ラベルや国際フェアトレード認証ラベル、エコマークなどの認証ラベルがついた商品は、産地の自然や働いている人たちに留意した商品の証です。※1※3
商品を選ぶ時にラベルを気にしてみると、今までとは違う選び方ができるかもしれません。

 

・再生原料で作られているもの
再生原料には、ペットボトルや再生プラスチック、再生ポリエステルでできた生地、リサイクルダウン、端材からできるジーンズなどいろいろな種類があります。※1
服の見た目では分かりづらいので、商品タグの記載や商品サイトで確認しましょう。

 

・二酸化炭素排出に配慮して作られたもの
服を作りお店に届ける家庭で、製造工場での石油資源使用およびトラックでの輸送などにより大量の二酸化炭素を排出しています。※1
製造過程で二酸化炭素削減を工夫しているメーカーや、輸送が少ないメーカーといった選び方もサステナブルファッションの一環です。
ただこの点は、お店で服を見ても気づけませんよね。
ホームページなどを見ると、メーカーの企業姿勢やブランドヒストリーで確認できます。

 

・長く着られる品質のもの
流行の服を買い、1シーズンで捨てていませんか?
1着の寿命が短いと、服の生産や廃棄を減らせません。
飽きないデザイン、長持ちする素材や作られ方、長く使えるよう工夫のされた服を選ぶと、服の廃棄量や生産量を減らせます。
丈夫な作りやシンプルなデザインだけでなく、サイズ変化に対応できるアジャスター付きの服もあります。

 

・生産過程で人権に留意したもの
海外の衣類製造工場における人権問題は、2021年にも社会問題としてメディアに取り上げられましたよね。
製造工場で働く人たちの労働環境などに留意して作られた商品も、サステナブルな選択の1つです。
アパレルメーカーのホームページなどで企業姿勢を確認してみてください。

 

・環境に配慮して作られたもの
服の製造過程では、二酸化炭素排出以外にも水の汚染も問題の1つです。
生地を染める際の水使用量を減らす、汚染しないなども環境への配慮の1つ。
ジーンズ生地の製造にかかる水の使用を99%削減した日本のファストファッションブランドもあります。※6

 

・アニマルフリー
皮革製品やリアルファーは、動物愛護の観点で課題となっています。※5
合成皮革や人工皮革、さらにリサイクル素材のものを選んだり、フェイクファーの商品を選んだりすれば、生態系の保存につながります。※5

 

・古着
フリマアプリやオークションサイト、ヴィンテージショップで古着を選ぶのも1つの方法です。
1着を長く使うことにつながり服の廃棄量を減らせます。
ただ他人が着たものを買うのは、抵抗がある人もいますよね。
抵抗がある人は「新古品」を探してみてください。
買ったものの使っていない商品や、棚に陳列されていた商品などである「新古品」であれば、誰かの「おふる」ではありません。

 

・売れ残りの衣類
売れ残った型落ちの商品は、よくセールやアウトレットで販売されていますよね。
他にも、メーカーの売れ残り商品のタグを付け替え、安く販売するサービスもあります。※7
このようなサービスを利用することも衣類破棄への働きかけとなります。

 

・伝統工芸の技術を使ったもの
伝統工芸は、古くから語り継がれている技術です。
大量生産とは違い、しっかりと作られている物も多いですよね。
着物を見ても分かる通り、伝統工芸は世代を超えて長く使えるものも多いものです。
さらに地元の伝統工芸品であれば、輸送にかかる負荷が減らせるだけでなく、地域経済への貢献にもなります。

 

・カスタムメイドの服
カスタムメイドは、オーダーメイドで自分に合ったものを作るというだけではありません。
注文をしてから服を作るため、メーカーは在庫を抱える必要がなく、服の廃棄量を減らせるのです。
さらに色やデザインを選べることも多く、自分好みの服が作れます。※1
愛着を持って、長く使えるのではないでしょうか。

 

これらが、サステナブルファッションを実現する服選びのポイントです。
ここでご紹介したのはあくまで一例です。
次章では、サステナブルファッションを取り入れた暮らしの工夫を見ていきましょう。

 

※1 環境省_サステナブルファッション/2021年8月19日現在
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/
※3 エシカル消費とは │ 消費者庁/2021年8月19日現在
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/ethical/about/
※5 サステナブルファッション習慣のすすめ│エシカル消費特設サイト[消費者庁] /2021年8月19日現在
https://www.ethical.caa.go.jp/sustainable/
※6 BLUE CYCLE JEANS:ジーンズを、地球品質へ。/ユニクロ/2021年8月19日現在
https://www.uniqlo.com/bluecyclejeans/
※7 Rename.jp - 服の新しい売り方 │ リネーム公式通販/2021年8月19日現在
https://www.rename.jp/

私たちにできるサステナブルな暮らしの工夫

ファッション(衣類)は、毎日の暮らしになくてはならないものです。
日常の中でできるサステナブルな暮らしの工夫を見てみましょう。

 

【サステナブルな暮らしの例】

  • 衝動買いをしない※5
  • 服を長持ちさせる(洗濯の工夫・お直しなど)※1※5
  • シェアリングやレンタルを活用する※1※5
  • 古着に出す※1
  • 家族で着まわす※5

 

・衝動買いをしない

雑誌を見て、流行のデザインや人気の服に飛びついてしまった経験はありませんか?

クローゼットを見ると似たような服があり、結局1度しか着なかった…ということもよくあることです。
手持ちの服のうち、25着は1年間に1度も着られていないというデータもあります。※1
買う前に、本当に必要かよく考えることが大切です。

 

・服を長持ちさせる(洗濯の工夫・お直しなど)
1着を長持ちさせるコツの1つが洗濯です。
服のタグに洗濯できる方法が表示されていますよね。
素材に合った洗濯方法で服を傷ませなければ、着なくなった時に人に譲ったり売ったりできます。※1
クリーニングや乾燥機のかけすぎにも注意が必要です。※5
また少しのほつれややぶれはお直しをして使えば、1着の寿命は長くなり、廃棄量の削減につながります。


・シェアリングやレンタルを活用する
最近では、シェアリングやレンタルできるファッションアイテムも増えています。
ドレスや着物、礼服などからブランドバッグ、通勤服までレンタルやシェアリングできるサービスがあります。
着る回数が少ない服や試してみたい流行のデザインは、レンタルするのも手です
服の廃棄量や生産量を減らせ、1着の寿命が長くなります。

 

・古着に出す
着なくなった服を古着に出すのは、実践している人も多いかもしれませんね。
リサイクルショップに持ち込んだり、寄付したり、地域の廃品回収に出したりする方法があります。
服のリユースについては、服をリサイクル(リユース)するには?売る・買取以外の方法は?

の記事で詳しく解説しています。

 

・家族で着まわす
子どものうちは、兄弟・姉妹で「おさがり」を着ることもありますよね。
母と娘、父と息子でも着まわせるかもしれません。
服の購入頻度が減り、家計の節約にもつながります。

 

これらはあくまで一例です。
家庭ごとに、無理なくできることからはじめてみましょう。

 

※1 環境省_サステナブルファッション/2021年8月19日現在
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/
※5 サステナブルファッション習慣のすすめ│エシカル消費特設サイト[消費者庁] /2021年8月19日現在
https://www.ethical.caa.go.jp/sustainable/

まとめ

サステナブルファッションと聞いても、個人でできることはイメージしづらいものです。
何か特別なファッションアイテムを買うということではなく、基本は無駄をなくすこと。
1着の服を大切にするために、日々の洗濯を工夫したり服のリメイクをしたりすることもサステナブルファッションです。
また買う前によく考えること、買うと決めたらサステナブルな商品を選ぶことも大切です。
今後、服を選ぶ時には、ブランドストーリーや商品タグを確認してみてくださいね。

 

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