30代、貯金の平均は?夫婦・独身それぞれの中央値は?
30代の貯金額の平均は、夫婦世帯・家族世帯と独身で異なります。
平均的にいくらなのか、気になりますよね。
今回は30代の平均貯蓄額と、独身・家族世帯別の中央値や収入に対する貯金の割合、毎月の貯金額、などを金融庁の調査をもとに解説します。
また将来に備えて貯金なしから1,000万円貯める方法もご紹介します。
目次
- 30代の平均貯蓄額と中央値、独身と夫婦で差はある?
- 30代の平均貯金額は、いくら?
- 夫婦・家族世帯の貯金額、平均591万円、中央値は400万円
- 手取り年収の13%を貯金
- 貯金目標は2,000万円
- 独身男女の貯金額、平均327万円、中央値70万円
- 手取りの16%を貯金する
- 貯金目標は1,000万円
- 30代で1000万円貯めている人の割合は?年収は?
- 30代で貯金1000万円以上、独身では1割未満
- 1000万円以上の貯金があるのはどんな人?
- 30代で1000万円貯めるには…
- 子持ち世帯、これからいくら必要?住宅費・教育費・老後資金の目安は?
- 住宅費、用意すべきは物件価格の30%
- 子供2人の教育費、まずは800万円が目標
- 老後資金は2000万円必要?!
- まとめ
30代の平均貯蓄額と中央値、独身と夫婦で差はある?
30代の平均貯金額は、いくら?
厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査」によると、30代の1世帯当たりの平均貯金額は530万円です。※1
30代世帯の1世帯当たりの収入、平均所得額は614.8万円ですので、およそ年収分の貯金があると言えます。※1
ただ30代は、独身もいれば子持ち家庭もあり世帯構成は様々です。
独身と家族世帯では貯金の額も、これから必要になる費用も異なります。
次章から、世帯構成別に貯金の状況を見ていきましょう。
※1 2019年 国民生活基礎調査 結果の概況 Ⅱ 各種世帯の所得等の状況/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/03.pdf
夫婦・家族世帯の貯金額、平均591万円、中央値は400万円
家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)によると、
二人以上世帯の
- 平均貯金額は591万円※2
- 中央値は400万円※2
です。
30代二人以上世帯の手取り年収は平均527万円ですので、およそ手取り1年分の貯金があると言えるでしょう。
全く貯金をしていない世帯は少数派で、全体の8%です。※2
手取り年収の13%を貯金
貯金をするために、毎月どれだけ貯められるのかも気になる点ではないでしょうか。
家族世帯の貯金は、手取り年収の13%が目安のようです。※2
30代二人以上世帯の手取り年収は平均527万円。※2
1年間に貯金できる平均的な金額は68万5100円(527万円×13%)だと考えられます。
貯金目標は2,000万円
貯金の目標残高は、
- 平均2,230万円※2
- 中央値2,000万円※2
です。
夫婦共働きであれば、一人当たり1,000万円を目標にするご家庭もあるかもしれませんね。
家族世帯の貯金の主な目的は、「子供の教育費」と「老後資金」です。※2
独身世帯よりも貯金の目的が明確であるため、預貯金以外に生命保険や株式、財形貯蓄などを組み合わせて資産形成しているようです。※2
家庭持ち、特に子持ちの30代は、人生の三大支出といわれる住宅費用・教育費・老後資金の3つともに備えなければならない時期ですよね。
それぞれの費用の目安は、後ほど詳しく解説いたします。
・中央値とは…
中央値とは、対象のデータを大きい順(ないし小さい順)に並べたときに中心にくる値を指します。
平均値の場合、極端に大きな数字がデータに含まれていると、その数値が影響して平均値が高くなります。
一方中央値は、特定の値の影響を受けず、人数が多い値がわかるのです。
※2 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)/金融広報中央委員会 /2021年7月5日現在
https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2020/pdf/per22001.xlsx
独身男女の貯金額、平均327万円、中央値70万円
30代独身世帯の貯金額は、
- 平均327万円※3
- 中央値70万円※3
です。
平均と中央値の差が大きいことからも分かるように、貯金をする人としない人に分かれています。
具体的には、
- 貯金をしていない層が最も多く31.1%※3
- 100万円未満が19.9%※3
- 1,000万円以上の貯金がある層は13%※3
30代独身の貯金の実情は、上記の通りです。
30代独身の半数は、貯金額が100万円以下だとわかります。
手取りの16%を貯金する
30代では、手取り収入の平均16%を貯金しています。※3
30代独身の手取り年収は平均約300万円ですので、年間48万円が平均的な貯金できる額だと考えられます。
貯金目標は1,000万円
30代独身の貯金残高の目標額は、
- 平均2,310万円※3
- 中央値1,000万円※3
です。
現貯金額の中央値70万円と目標額中央値1,000万円とは930万円の差があります。
1年間48万円のペースで貯めると、930万円貯まるには約20年かかります。
30代から20年間、定年前までには貯められる計算ですね。
30代になると、老後資金を目的とした貯金を始める人も多いようです。※3
後ほどご紹介する老後資金の貯め方を参考に、30代のうちから準備すると将来苦しまずに済むかもしれません。
※2 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」/金融広報中央委員会/2021年7月5日現在
https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2020/pdf/per22001.xlsx
※3 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)/金融広報中央委員会 /2021年7月5日現在
https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/tanshin/2020/pdf/per12001.xlsx
30代で1000万円貯めている人の割合は?年収は?
多くの30代にとって目標の1つである1000万円。
貯めているのは、どのような人でしょうか。
家計の金融行動に関する世論調査から、1000万円貯めている人の割合や年収を見てみましょう。
30代で貯金1000万円以上、独身では1割未満
まず、30代で1000万円を貯金している人の割合を見てみましょう。
【30代貯金1000万以上の割合】
- 30代二人以上世帯…20.4%※2
- 30代独身…9.1%※3
独身では1割未満ですが、家族世帯では2割以上が1000万円を超えています。
2000万円以上貯金している割合は、独身も家族世帯も3%程度です。※2※3
1000万円以上の貯金があるのはどんな人?
1000万円以上貯められるなんて、年収が高いはず…と思いませんか?
しかし1000万円以上貯金がある人の年収と年代を確認すると、年収が高いほど貯めているというわけでもなさそうです。
【貯金額1000万円以上の世帯の年収と年齢】単位:%
独身 | 二人以上世帯 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
年収 | 30代 | 40代 | 50代 | 30代 | 40代 | 50代 |
収入なし | 0 | 9.6 | 12.5 | 0 | 0 | 0 |
300万円未満 | 2.8 | 7.7 | 10.7 | 5.3 | 17.6 | 16.7 |
300~500万円未満 | 8.5 | 21.1 | 25.9 | 7 | 12.4 | 26.1 |
500~750万円未満 | 28.9 | 28.7 | 46 | 23.6 | 30.6 | 41.3 |
750~1,000万円未満 | 62.5 | 64.7 | 38.5 | 66.7 | 56.4 | 54.4 |
1,000~1,200万円未満 | 50 | 50 | 75 | 40 | 65 | 58.5 |
1,200万円以上 | 100 | 75 | 50 | 50 | 81.8 | 75 |
※家計の金融行動に関する世論調査より作成
貯金額1000万円以上の人の割合が増えるのは、年収750万円~1000万円以上の世帯です。
ただ年収750万円~1000万円未満の世帯と1000~1200万円未満の世帯を比較すると、年収があがるほど貯金額が高いとは言い切れません。
年収があがるほど生活水準が高くなるため、貯金が難しい可能性もあるでしょう。
一方、年収500万円未満でも1000万円の貯金を達成している世帯もあります。
特に40代以上の家族世帯では、年収が少なくてもしっかりと貯めている世帯もあるようです。
30代で1000万円貯めるには…
30代の10年間で1000万円貯めるには、どのような方法があるのでしょうか。
いくつかのシミュレーションを立てましたので参考にしてみて下さい。
・毎月83,400円ずつ積み立てる
毎月の給料から83,400円を積み立てれば、10年間で1000万円を達成できます。
毎月確実に貯めるなら、給料天引きの積立貯金などが向いているでしょう。
貯金の目的が老後資金の場合は、企業型確定拠出年金やNISAを活用すると税制優遇が受けられます。
・ボーナス全額+毎月の積立
ボーナスが支給されるのであれば、手を付けずにそのまま貯金すれば確実に貯金が殖やせます。
厚生労働省の調査によると、令和2年の夏冬のボーナスの平均合計額は615,816円(夏304,828円+年末310,988円)です。※4※5
例えばこのボーナス全額を貯金すると、10年で1000万円貯めるのに不足するのは年間384,000円。
月々32,000円を積み立てると達成できる計算になります。
・副業で収入を増やす
最近は副業を解禁する企業も増えていますよね。
いまの給料から貯蓄するのが難しいなら、副業などで収入を増やすのも手です。
民間企業の調査によると、副業系フリーランスの年間報酬の平均額は約64万円です。※6
所得税の課税対象となる場合も多いものの、先にご紹介したボーナス以上の報酬を得ている人も多いと言えるでしょう。
ボーナスと副業収入を貯金する、副業の収入と積立で貯金するなど、組み合わせれば目標達成に近づけるでしょう。
※2 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」/金融広報中央委員会/2021年7月5日現在
https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2020/pdf/per22001.xlsx
※3 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)/金融広報中央委員会 /2021年7月5日現在
https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/tanshin/2020/pdf/per12001.xlsx
※4 毎月勤労統計調査≪特別集計≫令和2年夏季賞与(一人平均)/厚生労働省 /2021年7月5日現在
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r02/02k/dl/pdf2020kakishoyo.pdf
※5 毎月勤労統計調査 令和3年2月分結果速報等/厚生労働省/2021年7月5日現在
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r03/2102p/dl/pdf2102p.pdf
※6 フリーランス実態調査 2021/ランサーズ /2021年7月5日現在
https://speakerdeck.com/lancers_pr/huriransushi-tai-diao-cha-2021?slide=27
子持ち世帯、これからいくら必要?住宅費・教育費・老後資金の目安は?
30代は結婚して子供が生まれたり家を買ったりと、ライフスタイルが変わる人も多い時期ですよね。
これからのライフイベントに必要なお金の額は、今までの支出とは額が違います。
人生の三大支出と呼ばれる住宅費用・教育費・老後資金の目安を知り、目標の貯金額を考えておきましょう。
住宅費、用意すべきは物件価格の30%
30代二人以上世帯の約4割は、5年以内のマイホーム購入を検討しています。※2
家族のいる30代にとって住宅購入は最大の関心事かもしれませんね。
安い買い物ではないので、資金を貯めて計画的に購入しないと先々の家計が不安です。
頭金なしで購入できる物件もありますが、全くの自己資金なしでは買えない場合もあります。
家を買うには、頭金と諸費用の代金を自己資金で準備しなければなりません。
準備する金額は、頭金と諸費用併せて物件購入価格の30%が目安です。※7
・頭金
住宅購入に用意すべき頭金の目安は物件価格の20%だと言われています。※7
費用はエリアや物件内容により異なるので、1つの目安として考えて下さい。
・諸費用
住宅購入には、諸費用がかかります。
諸費用の目安は新築で3~7%、中古物件の場合は6~10%だと言われています。※7
土地の登記代やローンの保証料、税金などの諸費用は、基本的に住宅ローンの対象外です。※7
頭金と併せて事前に準備しておくと安心です。
一部の銀行では、諸費用を対象としたローンもありますが住宅ローンとは別の契約となります。※8
【住宅購入にかかる諸費用】
- 保証料※9
- 事務取扱手数料※9
- 団信生命保険※9
- 登記手数料※9
- 登録免許税※9
- 火災保険料※9
- 不動産取得税※9
- 印紙税※9
- 仲介手数料(中古物件の場合)
- 固定資産税
- 家具購入費/リフォーム代など
など
子供2人の教育費、まずは800万円が目標
また子供が生まれると、住宅費と並行して必要になるのが教育費です。
教育費は、幼稚園から大学まですべて国公立の場合でも、子供1人当たり780万円にもなります。※10※11
子供が2人の場合は、2倍の1,560万円もの教育費がかかる計算です。
ただし2020年から私立高校の授業料が実質無償化になるなど、受けられる支援も増えています。
世帯年収などの世帯状況により、実際の負担額は少なくすむ 場合もあります。
教育費の目安としては、まずは子供1人あたり400万円、子供2人で800万円を目標にしましょう。※11
・子供一人 当たりの教育費の目安
学校ごとの費用と支援金の目安は、下記の通りです。
【幼稚園から高校まで】
・すべて公立…541万円※10
・幼児園のみ私立…635万円※10
・小中学校が公立、幼稚園高校が私立…788万円※10
・すべて私立…1830万円※10
【大学の授業料】
・国立大4年間…約240万円※11
・私立文系4年間…約400万円※11
・私立理系4年間…約540万円※11
【支援金等】
・私立高校授業料実質無償化(世帯年収により支援額が異なる)※12
老後資金は2000万円必要?!
30代になると、老後資金が気になる人も増えてきます。
必要な老後資金が2000万円とも言われて話題になりましたよね。
実際には2000万円なくても老後の生活はできるものの、ある程度の貯えは必要です。
30代が最低限必要だと考えているひと月あたりに必要な老後生活費は24万円です。※2
これに対し、今の世代が受け取っている年金額は、厚生年金(第1号)の平均年金月額で14 万6,000円です(標準月額報酬(1か月間の収入)31万5,000円として算出)。※13
もし一人世帯であれば、毎月10万円の不足です。
夫婦ともフルタイムの共働きで月収31万5,000円くらいであれば、夫婦でもらえる年金は毎月およそ30万円。
最低限の生活は年金で賄える計算です。
しかし、ゆとりある老後生活を送るとなるとひと月24万円では足りないようです。
生命保険文化センター「生活保障に関する調査」によると、ゆとりある老後の生活費は平均36万円です。※14
この生活では、夫婦共働きで平均的な年金受給額がもらえる場合でも毎月6万円不足します。
仮に老後25年間、毎月6万円の不足とすると1800万円足りない計算になります。
ゆとりある老後生活を送るならば、退職までに1800万円あると安心できそうですね。
ただ実際の年金支給額は就労状況により異なります。
自分たちの働き方・収入でどれくらいの年金がもらえるかは、日本年金機構のサイトで確認してください 。
※2 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」/金融広報中央委員会/2021年7月5日現在
https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2020/pdf/per22001.xlsx
※7 住宅資金の作り方、頭金の目安を教えてください| 一般社団法人 全国銀行協会/2021年7月5日現在
https://www.zenginkyo.or.jp/article/life/myhome/4375/
※8 りそな諸費用ローン│住宅ローン│りそな銀行/2021年7月5日現在
https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/shohiyo/
※9 住宅ローン借り入れにかかる諸費用|住宅ローンを選ぼう|ノムコムの住宅ローン/2021年7月5日現在
https://www.nomu.com/loan/knowledge/cost_01.html
※10 平成30年度子供の学習費調査の結果について/2021年7月5日現在
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_01.pdf
※11 Q. 大学費用の準備、今からでも間に合いますか? | 一般社団法人 全国銀行協会/2021年7月5日現在
https://www.zenginkyo.or.jp/article/life/educational/4382/#:~:text=%E4%BA%8B%E5%89%8D%E3%81%AB%E7%94%A8%E6%84%8F%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%8D,%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%EF%BC%88%E8%A1%A8%E5%8F%82%E7%85%A7%EF%BC%89%E3%80%82
※12 令和2年4月から私立高校授業料実質無償化がスタート/文部科学省/2021年7月5日現在
https://www.mext.go.jp/content/20200117-mxt_shuugaku01-1418201_1.pdf
※13 平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況 /厚生労働省 /2021年7月5日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/000578278.pdf
※14 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?|公益財団法人 生命保険文化センター/2021年7月5日現在
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/7.html
まとめ
30代はライフスタイルが大きく変わる時期です。
30代の貯金の実態は、貯金できている人もいれば出来 ていない人もいるようです。
ただ夫婦世帯、子持ち世帯では、将来に備え年収分くらいの貯金を持っている世帯が多いと考えられます。
独身の場合も家族世帯の場合も、30代のうちから貯金する習慣をつけておくと40代・50代になって慌てずに済むかもしれません。
貯金を殖やすための家計のやりくり
の記事も参考にしてみて下さい。